アプリストアレビュースコアが低いなら宣伝活動を停止し、原因の本質に踏み込むべき(改善方法も解説)
こんにちはトロネコです。
ゲームマーケティングをやっていると、AppStore、GooglePlayにおけるレビュースコアは非常に気になります。
最低でも3点台後半、4点以上なければ安心してプロモーションや宣伝活動ができないものです。
なぜならアプリストアのスコアはプロモーション、宣伝活動によるユーザー獲得に極めて大きな影響を与えるからです。
しかしながら、多くの現場ではアプリスコア2点台でも宣伝プロモーションを実施しているケースが見られます。
しかし、それは本当に勿体無いことです。
デジタルプロモーション、TVCM、Web施策、SNS運用などあらゆる施策は基本的に新規ユーザーを獲得することを目的としています。
しかし、アプリストアのスコアが4点台と2点台では、同じ施策効果でもユーザーを獲得する効率(コンバージョン率)が2倍以上の開きがあります。
例えば、アプリスコアが4点の状態で1億円かけてTVCMを投下したら、10万人の新規ユーザーが取れるとしましょう。
しかし、アプリスコアが2点台だと5万人しか取れない計算になります。
1億円かけているわけですから10万人獲得すればCPI(Cost Per Install)は1,000円ですが、5万人しか獲得できないなら2,000円となります。
もし、そのゲームの想定LTVが1,500円なら、アプリストアのレビューが2点だったことでROI(Return On Investment)が割りあわず、1億円のTVCMは意味がない施策になります。
1億円かけて獲得した5万人のユーザーは、1億円の投資回収ができず終わってしまうという計算になるわけです。
そこで今回は、
・アプリストアレビューの重要性と
・スコアが低くなってしまう原因
・スコアを改善する方法について
解説します。
【大前提】アプリストアレビュー4点以上でプロモーションを実行する
アプリストアのレビューは2点台だけど、宣伝を止めるわけにはいかないのでTVCMを実施します
実際にこのような状況は「あるある」なのですが、トロネコとしては体を張って必死にTVCMを止めに入ることでしょう。
なぜなら
どんなにマーケティング戦略を考えて、TVCM制作に落とし込み、設計、実行してもアプリストアのレビュースコアが2点だと、獲得ユーザー数が半減するからです。
これについてはASOの記事でも書いていますが、あらゆる施策の結果、ユーザーは必ずゲームアプリストアを通して、アプリをインストールします。
つまり、TVCMもデジタル広告も、SNS施策も・・・
あらゆる施策の結果、
ユーザーはアプリストアに来訪して、そこで「最終確認」をしてアプリインストールします。
最終確認のプロセスである「アプリストア」におけるスコアが4点と2点ではユーザーのインストールモチベーションに大きな影響を与えるのです。
レビュースコアに対する考え方は「性別」「年齢」「それまでのゲーム経験」「ネット情報に関する意識」など、様々な要素が影響しますが、一般的には次のような心証をユーザーに抱かせてしまいます。
4点以上 | このゲームは安心してインスストールできる。一定レベルのゲームとしての面白さ、楽しさが期待できる |
3点台後半 | このゲームならインストールしてもいいかも。それほど大きな間違いはないだろう |
3点台前半 | このゲームをインストールすることをやや躊躇う。何か問題があるのではないだろうか?レビューの書き込みを見て判断しよう |
2点台 | このゲームには何か問題があるかもしれない。インストールしようと思ったけどやめようかな |
1点台 | このゲームはインストールするべきではない。いますぐストアを離れよう |
実際のところアプリストアのスコアが高いからといって、ゲームが面白いのかというと、必ずしもそうとは限りません。
スコアが高い=ゲームが面白い
スコアが低い=ゲームがつまらない
というのは必ずしも比例するものではないのです。なぜならスコアが下がる理由はゲームの面白さ以外の部分にも影響を受けるからです。これについては後ほどお話します。
しかし、スコアが低いということは、事実としてユーザーに不安を感じさせてしまいます。
このゲームアプリ、TVCMを見て気になったからストアに来てみたけど
このレビュースコアの低さ・・・
なんかあるんじゃないのかな・・・
これは非常に勿体無いですよね。
よってマーケティングを適切にやっているゲーム会社は必ずアプリストアのレビュー改善をしてから、プロモーションを実施します。
アプリストアのレビュー改善をせずにTVCMやデジタル広告を実行することはありません。
なぜなら、アプリストアのレビューの低さはプロモーション効果にクリティカルな影響を与え、その結果、限りある原資(お金、人)を活用できないことを彼らは知っているからです。
だからこそ、どんなに売上が必要であってもアプリストアが最低でも3点台後半、できれば4点台ないとプロモーションは実施しません。
もし、スコアが未達なら、まずはスコアを低くしている原因を明確にして、解決することに注力します。
アプリストアレビューのスコアが低くなってしまう理由
なぜ、アプリストアのレビュースコアが低くなってしまうのか?
「スコアが低い=ゲームがつまらない」という事は必ずしも比例しない
という話を先ほどしました。
つまり、スコアが低いということはゲームがつまらないということとは限らないのです。例えば、ゲームインストール直後でスコアが下がる原因としては様々なものがあります。
・期待していたゲームとは違った
・ダウンロードに時間がかかる
・ゲームが遊べない、サーバーに繋がらない
・ゲームの動作が重い、端末依存で動作しない
・ゲームを始めるまで面倒(ユーザー登録が必要など)
いずれもゲームの面白さというより、ゲームを始める前段階におけるハードルがアプリストアのレビューを下げていることが非常に多いのです。
ちなみに、ゲームを始めた直後のユーザーがアプリストアレビューをつけたくなる、つける衝動に駆られるタイミングはゲームを始めた当日、もしくは翌日が多いと言われています。
つまりプレイした直後、当日と翌日の「ゲーム体験」がレビュースコアに影響を与えます。
もちろん、ある程度プレイした上でレビューをつける人もたくさんいます。ただし、ある程度プレイしたユーザーはそこまで低いスコアをつけにくいという特徴があります。
なぜなら、ある程度プレイしている状態ですから、致命的に悪い印象を持っているわけでないからです。1点をつける可能性は低いといいうわけです。
ちょっとまとめてみましょう。
ユーザー | スコア | 1点をつける理由 |
インストール当日、翌日にレビューするユーザー | 1をつける可能性がある | ゲーム画素べない、動かない、遊び方がわからない、勝てない、といった初期的な原因が多いから |
ゲームをある程度遊んでからレビューするユーザー | 1をつける可能性は低い | 長くプレイすることでわかる楽しさ、勝利の難しさ、課金依存度、ゲーム運営に対する不信感 |
実はレビュースコアが下がる多くの原因は、全体的な平均値が低いのではなく、
1をつける特定のユーザーの比率が多いことに起因しています。
3点とか、2点とかつけるユーザーよりも、1点をつけるユーザーが全体の平均スコアを下げているというわけです。
そして、ゲームを始めた直後においてレビューを下げる要因の多くは
「遊べない」「遊びにくさ」「不親切さ」が多いのです
下記でリテンションに関する記事を書いていますが、リテンションに影響を与える要素はアプリストアのスコアとも関連があります。
下記の記事からスコアを低くしている原因を見つける事ができます。
高いアプリストアのスコアを獲得する方法
アプリストアのレビューで高いスコアを獲得する方法は前のパートでもお話をしましたが、こちらの記事から推測、分析することはできます。
時間があれば、ぜひ読み込んでみてください。
ところでアプリストアのスコアが低い状況を解決する方法として、注目したいことが2つあります。
そもそもストアレビュー数の数が少なすぎる問題
どんなゲームであってもストアレビュー5点というものは存在しません。どんなに品質が高く面白いゲームであっても、1点をつけるユーザーは一定数存在します。
ストアレビュー数が少ない時、これら1点をつけるユーザーの存在感、スコアに与える影響力が増します。つまりレビュー数が少ない状態とアプリストアのスコアの低さは一定比例するというわけです。
よってストアレビュー数を増やすことで解決できる場合があります。
ゲームをある程度プレイすると、ゲーム内からストアレビュー誘導が行われる場合がありますが、ユーザーはそのゲームに対して「心が動いた瞬間」に高いスコアをつける傾向があることがわかっています。例えば次のような場合です。
・SSRをゲットしたとき
・強敵を倒したとき
・一定のプロセスをクリアした達成感を感じたとき
そのような時にストアレビューに誘導するとスコアの高いレビューを獲得できる可能性が高まりまるのです。
つまり、そのゲームに対して感動したユーザーにレビューしてもらうための「仕組み」をゲーム内に実装することで、平均スコアの改善が可能となります。
スコアを下げている原因に真摯に向き合い解決する
もう一つは、スコアを下げている根本的な原因に向き合うことです。
どんな原因でアプリストアのスコアを下げているのか?
その原因に向き合って、真摯に原因解決を行うことで長期的にスコアを上げる事ができます。
例えば次のような原因が考えられます。
軽度 | バグ、遊びにくさ、ゲームのわかりにくさ | 改善まで時間はかからない |
重度 | ゲームのつまらなさ、改修 | 解決まで時間がかかる |
一番良いのは、このような状況をゲーム配信前に徹底的に潰した上で、ゲーム配信する事です。
つまり、アプリストアのスコアの低さは、それまでのゲーム開発、マーケティングが適切ではなかった結果である。
結果を踏まえて、反省して次に活かせるかが、アプリストアのスコア改善の一歩につながります。
だからこそアプリストア2点台でもTVCMやプロモーションを実行するのは、
過去の間違いを反省して改善せず、なかったことにするような行為だと思うのです。
それでは、我々が達成したい「目的」を叶えることは難しいですし、そもそも「目的」が明確になっているのか?「目的」を達成する気があるのか疑わしいと思うのです。
それでも、なぜ低いアプリストアスコアでプロモーションをやめないのか
アプリストアのスコアが2点台・・・
確実にプロモーション効果は出ない、むしろ宣伝費の無駄遣いである・・・
それがわかっているのに、プロモーションを実行してしまうには様々な理由があります。トロネコの経験を踏まえて分析すると次のような理由が存在する場合が多くみられます。
・売上重視であり、数字を作るマーケティングが先行している
・そもそも本質に向き合わない姿勢が組織に染み付いている
・または、本質に向き合えない環境要因がある
・マーケティングとゲーム開発と、ゲーム経営層の視点やコミュニケーションに問題がある
このような理由、もしくはこれらが複数混ざり合った複合的な理由によって、アプリスコア2点台でも宣伝活動が実行されるわけです。
でも、これって全てゲーム会社の都合に過ぎません。
そしてゲーム会社の都合とユーザー(顧客)の都合は一致しません。
その結果、うまくいかないことも、みなさんわかっているはずです。
ユーザー(顧客)に寄り添い、原因の本質を直視して、真摯に解決すること
そこにしか現状を解決する道は存在しないということもわかっているはずです。
だからこそ、わかっているなら、その道が苦労の道だとしても、そこに踏み込むしかないのです。
まとめ
今回の記事を読んでみて
たしかにそうだよなぁー
と思ったら、ぜひ、その想いを行動に移してください。
おかしいと思ったら「おかしい」と声を上げ行動する
役職とか役割とか、立場とか、そういったことは関係ありません。
もし、日本のゲーム業界を、ゲーム開発やゲームマーケティングから変えたいと思うなら、皆さんの想いが、行動がゲーム業界の未来を創ります。
一緒に頑張りましょう!道は開けます!