【売れるゲームの作り方】マズローの欲求5段階説におけるゲーム開発とコミュニティマーケティングの考え方
こんにちは!
マーケティングスペシャリストのトロネコです。
今回はヒットタイトルを作るためのヒントをひとつだけお話します。
ヒットタイトルといっても、小さいヒットではありません。
メガヒットタイトルを作りたい方向けのヒントです。
ゲーム企画、開発の際にここを考慮した企画や設計ができると想定以上のヒットを狙えます。
今回紹介するヒットゲームをつくるための「ヒント」は
「マズローの欲求5段階説」というものです。
これを理解したゲーム開発を行うとヒットするゲームがつくれる可能性がアップします。
これについて、お話していきましょう。
【目次】 ・ マズローの欲求5段階説とは ・ゲーム第3段階「社会的欲求」に踏み込めるかがヒットタイトル創出の条件 ・ 「社会的欲求」に踏み込むにはゲームがコミュニティツールになる必要あり ・人とのつながりが楽しいゲーム開発設計がポイント ・コミュニティマーケティングの真髄はTwitter(SNS)運用ではない ・まとめ |
マズローの欲求5段階説とは
そもそも「マズローの欲求5段階説」って聞いたことありますか?
「マズローの欲求5段階説」とは、アメリカの心理学者「アブラハム・マズロー」が人間の欲求を5段階で理論化したものです。
トロネコが「マズローの欲求5段階説」を描くと下記のようなものになります。
すいません絵が下手ですね(T_T)
ゲームに関係なく、マーケティングに触れたことがある人なら一度は見たことがある図かもしれません。
「マズローの欲求5段階説」はピラミッド状の階層から構成されており、低層ほど「毎日を生きる」ことに関係する欲求、上層ほど「人生どう生きるか」という欲求となっています。
そもそも「マズローの欲求5段階説」についてはゲームとは関係なく、「人間行動全般」に関する理論です。
ちなみに、トロネコが掲げている
マーケティングを通してゲーム業界を変えたい
という思いは「①自己実現欲求」に相当するかもしれません。
トロネコは毎日、最低限は生きていけるだけの生活ができていますので④⑤はクリアできています。
親しい仲間や、このメディア「トロネコのマーケティング大学」を通して③は満たされていますし、「②承認欲求」についてはトロネコは顔出ししていませんが、多くの人にこのメディアを読んで頂いているので、ある意味満たされているかもしれません。
このように「マズローの欲求5段階説」は人間の欲求の段階的な高まりを可視化したものであり、
「必ず下から上に向かって欲求は上がっていく」
というプロセスを辿ります。
マズローの欲求5段階説の第3段階「社会的欲求」に踏み込めるかがヒットするゲームタイトル創出の条件
一見、「マズローの欲求5段階説」とゲーム開発は全く関係ないように見えるかもしれません。
そして、多くのゲーム開発者は ゲームの企画を考える際に「マズローの欲求5段階説」とか意識して考えていないかもしれません。
ゲーム開発で普通、「マズローの欲求5段階説」なんて意識なんてしませんよね
マーケターでも意識しているのはごく一部ですから、今回のトロネコの話はゲーム業界ではかなりレアな話です。(でもかなり重要なのです)
しかし
意識して考えていないだけで、無意識にそれらを取り込んでゲーム企画を考えている人はいます。
ここがポイントです。
マズロー?なにそれ?
でも、それっぽいことは考えて仕事していたかも
そんな人は実際に存在します。
その結果、無意識の中から考えられたゲームの企画書は、ヒットの確率があがっています。ここにヒットを狙うためのヒントが隠されているというわけです。
だからこそ、今回の記事のテーマは
意識してヒットの確率をあげるために「マズローの欲求5段階説」 を意識してゲーム企画開発をしてみよう!
という話になります。
では、「マズローの欲求5段階説」のどこに、ヒットするゲーム開発ができるヒントが埋もれているのか「考え方」を説明していきましょう。
まず、一般的な 「マズローの欲求5段階説」をもう一度ご覧ください。
④⑤は「生きること」に関わる欲求です。
しかし、ここが満たされ③に踏み込むと状況が変わってきます。
「生きること」から「どこかに所属したい」といった「所属欲求」がでてきます。ひとりじゃ寂しいから、そこにソーシャル的な所属欲求が生まれるのです
いいかえれば「つながり」を意識し始め
「つながるために」ゲームをプレイしているようなイメージです。
そして②①に踏み込むと、単なる「所属」だけでは満足できず、「自分の存在」や「自分は何ができるのかという価値」を求めるようになります。
つまり、「③社会的欲求」を境目に、「食う・寝る・遊ぶ」という「自己満足」から、あなたの存在価値をも認めてもらう「自己顕示欲」にシフトしていきます。
これはゲームの世界にも活用できます。
・家庭用ゲームの中でも人とのつながりを意識したeスポーツ系
・モンハンなどの協力ゲーム系 ・PCオンラインゲーム、スマホゲームなどコミュニケーション要素が重要なゲームは 「マズローの欲求5段階説」は非常に参考になります。 |
そこで、 一般的な「マズローの欲求5段階説」の右側にトロネコのオリジナルで【ゲーム】の要素を追加してみました。その図が下記になります。
④⑤は「ゲームが楽しい」「面白い」といったゲームを通して満足できる、「シンプルな欲求」です。
言い換えると、
④⑤の段階は「ゲームが主役」であり、ゲーム本編をプレイすることで満たされる欲求です。
1人でプレイして、感動のあまり泣いてしまうようなRPGをみたいなイメージです。自己完結型のゲームとも言い換えることができそうです。
しかし③に踏み込むと状況は一変します。
皆さんも子供の頃に経験したかもしれませんが、わかりやすい例をあげると次のようになります。
・同じゲームをやっているから共通の話題ができるから友達グループに参加できる |
・モンハンをやっているから4人チームのうちの1人として一緒に遊んでいる |
これらによって満たされるのは、
どこかに所属している満足感、つまり「社会的欲求の充足」です。
ここで注目して欲しいのは
④⑤はゲームとあなたの1対1の世界です。
ですから、もしそのゲームがヒットしても1対1の世界におけるヒットが上限となります。 |
しかし
③に踏み込んだ時点で複数人から構成されるグループの世界におけるヒットが期待できます。グループの世界におけるヒットが実現すると、一挙にユーザー数が増えていきます。クチコミによるユーザーの拡大が期待できるというわけです。
そして、この時点で「ゲームが主役」ではなく「ゲームは脇役」になり、それ以上に重要な、「どこかの集団に所属する」ことが主役になります。 |
実は③に踏み込めるゲームを作れるかが、「基本プレイ無料」ゆえに、ある程度のプレイユーザー数が必要なスマホゲーム市場におけるヒットをつくる必須要件のひとつです。
一方で、家庭用ゲームの中規模タイトルなら④⑤だけでも勝負できるタイトルもあります。例をあげれば5万から10万本の販売でもビジネスが成立するパッケージ販売型ビジネスです。
つまり、スマホゲームでヒットを狙うなら、ゲームの機能、遊び、楽しさにおいて 「③社会的欲求」を満たしてあげる企画を大前提で作る必要があります。
スマホゲームの企画を考える際に「マズローの5段階欲求説」は非常に重要な気がしてきませんか?
そして、「マズローの5段階欲求説」に沿って企画がまれば1人のユーザーがさらに友達を連れてくる「ヒットの連鎖」まで設計できそうな気がしませんか?
ただし「③社会的欲求」を満たしてあげるにしても、
過剰過ぎず、適切な形で満たしてあげる必要があります。
ならば、4人協力プレイモードを実装すれば大ヒット間違い無しですね!
という単純な話ではないからです。
ここは、もう少し深い話をしましょう。
③を超えて②①に踏み込めると何が起こると思いますか?
・そのゲームに対して熱狂的なファン
・このゲームをもっと知ってもらいたい、広めたくて仕方ないリーダー
が作られるようになります。
そうなると、このゲームは爆発的に遊んでいる人が増えます。
なぜなら、宣伝しなくても、ファンがクチコミで広めてくれるからです。しかも宣伝よりも信憑性の高いリアルなファンの熱意に溢れたクチコミです。
クチコミとは、どんなTVCMでも敵わない最強の宣伝なのです。
もちろん、例えば1万人を上限とした限られた市場の中でしか 「マズローの欲求5段階説」における③④⑤が発生しないゲームもあります。(いわゆる市場が小さいニッチなゲームという意味です)
つまり
・ゲームジャンル
・ゲームコンセプト
・ゲームの遊び方
・ゲームの拡散力
といった要素の選択によって、
例えば1万人を上限とした市場の限界を作ってしまうことがあります。これは、今回の話とは別の課題ですので、ここでは割愛します。
(わかりやすい例を挙げるとRPGとレースゲームでは、そもそもゲームジャンルとしての市場上限が違います)
では、「④安全欲求」から「③社会的欲求」に踏み込めて、
ゲームが「主役」から「脇役」に変化するためには何が必要なのでしょうか?
ここで注意して欲しいのは
モンハンのように、ただ「4人共闘機能」という「機能」を実装すれば対応できるかというと必ずしもそうではありません。
これについて次のパートでお話していきましょう。
「③社会的欲求」に踏み込むにはゲームがコミュニティツールになる必要あり
最初の答えをお伝えすると
「③社会的欲求」 に踏み込むためには、ゲームは「コミュニティツール」になる必要があります。
わかりやすい例をあげてみましょう。
・共通の話題として会話が弾む(ゲームの遊びとしての深さ) |
・同じ時間軸で並行して遊ぶことで、またはみんなと一緒に遊ぶことで、ゲームの楽しさが増幅する(共感を生むゲームである) |
つまり、そのゲームがコミュニティツールとして使われ始めたら「③社会的欲求」に足を踏み込んだサインです。
コミュニティツールの代表例としては「LINE」がありますよね。
LINEは友達とコミュニケーションをするためのツールです。
よって、最終的にゲーム内で
・一緒に冒険できるから |
・毎日同じ時間に集まってプレイできるから |
・ゲームはしないけど、ゲーム内のチャットで話をするだけでも楽しいから |
というところまで踏み込めると 「③社会的欲求」にどっぷり浸かっている状態になります。
わかりやすい例を挙げるとスマホゲームの「荒野行動」があります。
単純にFPS、バトロワゲームとしての「ゲームの楽しさ」を超えて、ゲーム内で誰かと繋がれる「コミュニティツール」に「荒野行動」は踏み込めたからこそFPSという従来の限られたユーザーだけが楽しむ、ゲームジャンルの上限を突破できたともいえます。
ちなみに、明確なコミュニティツールとしての初めて世の中に登場したゲームはプレイステーションポータルブル(PSP)の「モンスターハンターポータブル」だとトロネコは考えています。
なぜなら、当時、新作が発売されると、ゲームショップに友達4人を誘って、モンハンのPSP版を買いにいく現象が見られたからです。
(これは友達のコミュニティから外れたくないために、モンハンというコミュニケーションツールを買うわけですね)
実際に職場でも、仕事が終わった後にモンハンをプレイしている同僚グループがいました。
(実際にモンハンが好きだったのか、職場の上下関係の問題で仕方なく上司に付き合っていたのか・・は不明です)
しかしいずれのケースも「マズローの5段階欲求説」の「③社会的欲求」に踏み込んだ結果といえます。
ファミコン時代にもこれに近い現象はありましたが、ゲームの上手下手関係なく、参加して役割を果たせるという点がコミュニティツールとしてのゲームの必要条件です。
人とのつながりが楽しいゲーム開発設計がポイント
まとめると、
「 人とのつながりが楽しいゲーム開発設計がポイント」
ということになります。
これを 「マズローの欲求5段階説」を参考にして、ゲームの企画段階から盛り込まれているかが重要です。
人との繋がりは必ずしもオンラインに限定する必要はありません。
なぜなら、わかりやすい例として「eスポーツ」は、オフラインでも人との繋がりを楽しめるからです。
ここで面白いネタをひとつお話しましょう。
以前にFGI(Focus Group Interview)をしました。
※FGIとは対面式でインタビューをしながらユーザーの深層心理や潜在ニーズを引き出していく調査手法のひとつです。
その時に、いまハマっているゲームを聞き
そして、なぜ、そのゲームをプレイしているのか聞いたら
友達にインストールを強制されらて、それから続けています。ゲームはあまり面白くないけど、友達と一緒に楽しめるツールとして遊び続けています
という回答をいただきました。
このゲームはオンライン、オフラインでみんなで集まってプレイするタイプのゲームでしたが、彼はオンラインとオフラインの両方で
マズローの5段階欲求における「②承認欲求」と「③社会的欲求」の間で生きているわけです。
たぶん、この人は今後もこのゲームを辞めずにプレイし続けていくでしょう。
(でも、インタビュー調査ではつまらないゲームだと断言しています)
そして、もしかすると新しい他の人も誘うかもしれません。
このように理想的なのは
オンライン、オフラインの両方での繋がりを意識したゲーム設計をすることです。
ただしそれは「ゲーム内機能」を装備すれば解決できるというものではなく
「繋がりを意識させる遊び」のレベルまで昇華する必要があります。
機能、システム < 遊びの本質、体感、心を動かす衝動
みたいなゲームとして「遊びの設計」まで踏み込まなければ「マズローの5段階欲求」は紙に書いた絵でしかないのです。
コミュニティマーケティングの真髄はTwitter(SNS)運用ではない
最後に、よくあるケースをお話します。
ゲーム内で「人とのつながりを意識した設計」ができていないのに、完成したゲームをもって、
ゲーム外で人とのつながりをサポートするようなプロモーション施策を考えてくださーい!
と言ってくる人がいます。
でも、これはうまくいきません。なぜなら、
プロモーションで「マズローの欲求5段階説」 の「③社会的欲求」に踏み込むような施策を投じても、
「マズローの欲求5段階説」 が機能するには必ず「ゲーム自体がコミュニティツール になる必要がある」ためです。
ゲーム内でコミュニティツールとしての設計が不十分なのに、ゲーム外の
・リアルイベント
・Twitter(SNS)運用
などで「コミュニティマーケティング」を実施しても、効果が出たような数字を瞬間的に作れても、本質的に、かつ継続して効果を生み出すことはできません。
なぜなら、
・リアルイベント
・Twitter(SNS)運用
これらは「まず、ゲームそのものがコミュニティツールとして機能した上で、それを一部サポートするツールに過ぎないからです。
よって、ゲーム内でやるべきことを解決せず、リアルイベントや、Twitter運用だけでコミュニティ醸成はできません。
まずはゲーム単体で「マズローの欲求5段階説」 の「③社会的欲求」に踏み込める「つくるマーケティング」を実現しましょう。それができないと本物の「コミュニティマーケティング」はできません(断言します)
「つくるマーケティング」とは
そのユーザーが「夢中で遊びたくなる」「遊び続けたくなる」、面白さにフォーカスしたゲームをマーケティングのサポートのよって作ることです。
マーケターとして開発フェーズでもできることがたくさんあるのです。
ちなみに、「コミュニティマーケティング」といわれる分野では、「実際にコミュニティ醸成できたかのように見せることができたりする」のですが、マーケターとしては、もっと本質を見る必要があります。
もちろん、 リアルイベントや、Twitter運用はゲーム外に向けて情報発信するツールとしては有効ですので、これら施策を否定するわけではありません。
でも、ゲーム外でいくら「コミュニティマーケティング」をやっても、ゲームの主役はゲームですから、ゲーム内が作られていないと意味がありません。
そして、今回の「マズローの5段階欲求説」では、さらに踏み込んで「ゲームが主役ではなく、最終的にゲームは脇役になる必要があって、最後はゲームがコミュニケーションツールとして、人と人がつながる役割まで踏み込まないと、大ヒットは生まれないとしています。
かなり深い話ですよね・・・・
でも、本気で大ヒットさせたいなら、ここに踏み込む必要があります。
そして、本質に踏み込めていないケースが、ゲーム業界では多いのです。ここはトロネコがなんとしても変えていきたい部分です。
まとめ
今回は「マズローの欲求5段階説」をきっかけに、ヒットするゲーム企画開発のヒントをお話しました。
最後にこれまでお話してきたこととは全く正反対の話をしますね。
「マズローの欲求5段階説」 というと、ちょっと学問的(アカデミック的)で、ゲーム開発とはあんまり関係ないと考えている人もいると思いますがゲーム開発者は必ずしも、学問的である必要はありません。
なぜなら
「ゲームなどのエンタメは人間の感性に訴えかけるコンテンツですから、理論や数字、計算式だけでつくられたエンタメは、世の中を変えるほどのインパクトは作れない」とトロネコは考えるからです。
でも、もしあなたがマーケターや開発メンバーのひとりとして、今回紹介した 「マズローの欲求5段階説」の考え方を知っていれば、ゲーム企画開発における「気づき」を与え、「視野」を広げメンバーの能力をもっと引き出すことができます。
「気づき」を与え「視野」を広げることはゲーム開発において凄く重要なのです。
なぜなら「気づき」と「視野」はチームメンバーが持っている能力をさらに引き出すことができるからです。
ぜひ、 「気づき」と「視野」を広げて
人間の心を揺さぶるゲームを作ってください!
そんなゲームが続々と誕生することをトロネコは楽しみにしています!