周年施策事例の紹介と周年施策のメリットと課題を徹底解説
こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。
今回はゲームアプリプロモーションにおいては、非常に重要で、毎年必ずやってくる周年プロモーションについての考え方についてお話します。
最初に結論をお話しすると
「ゲーム運営側の視点と、ユーザー側の視点のギャップをどこまで無くせる周年キャンペーンが設計できるかが、非常に重要となります」
多くの周年キャンペーンはゲーム運営側の視点で作られており、効果が出し切れていないのです。
そして、今回、従来の周年プロモーションをさらに進化させた、新しい周年施策案の考え方ついても触れていますので、ゲームアプリ運営の方は、ぜひ参考にしてみてください。
さらに今回はこんな疑問についても解決できるヒントをご提供します。
ゲームアプリの周年施策プロモーションって
ちょっとマンネリ化して効果が下がっているんじゃないの?
新しい施策キャンペーンのヒントを知りたい
ゲームアプリの周年プロモーション施策とは
そもそも周年プロモーションとは何でしょうか?
ゲームアプリの周年施策とは、サービス開始日をアプリの配信日を起点に
そこから運営1年、2年、3年・・・・・というように
年月を重ねることで毎年やってくる誕生日です。
つまり配信日を決めるということは、そのゲームアプリの一生涯における周年タイミングも決めるということになります。
話が脱線してしまいますが、競合タイトルがひしめくタイミングでゲームを配信すると、そのゲームの一生涯においてずっと苦労することになります。
なぜなら、ずっと競合タイトルと周年キャンペーンがかぶるからです。
周年プロモーションは、毎年の誕生日をお祝いすることで、既存ユーザーをプレイモチベーションを高めるだけでなく、新規ユーザー、離脱ユーザーまで取り込もうという狙いが根底にあります。
ゲームアプリにおける代表的な周年施策事例
周年記念における代表的なプロモーションについて幾つかあげてみましょう。施策例と実施場所、効果を整理すると次のようになります。
施策例 | 実施場所 | 効果 | |||
ゲーム内 | ゲーム外 | 新規ユーザー | 既存ユーザー | 離脱ユーザー | |
1周年記念ログインボーナス | ○ | ○ | ○ | ○ | |
1周年記念無料100連ガチャ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
1周年記念有料ガチャ | ○ | ○ | |||
1周年記念アイテム・キャラクタープレゼント | ○ | ○ | ○ | ○ | |
1周年記念ミッション・クエストイベント | ○ | ○ | |||
1周年記念ゲームプレイでリアル商品が当たる | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
1周年記念Twitterリツイートキャンペーンでリアル商品が当たる | ○ | ○ | ○ | ○ |
ほとんどの周年キャンペーンはこれら施策をベースとしており、その組み合わせや設計方法の違いで変化をもたせています。
なぜ周年プロモーションは盛り上がってKPIを獲得できるのか?
1周年、2周年、3周年といったように周年プロモーションは実際のところKPIの改善が積み上げが期待できます。
モンストやパズドラでさえ、7周年、8周年といった周年施策でもTVCMを中心に様々なプロモーションを行っています。なぜなら
新規ユーザーの獲得、離脱ユーザーの復帰、既存ユーザーの維持による売上増が見込めるからです。
では、なぜ周年プロモーションはKPIの盛り上げができるのか?
その理由は、「周年」というものに対するユーザーの期待値が顕在意識レベルで存在することにあります。
長いゲームアプリ運営の歴史の中で
周年施策は何かイイことがあるかも!!
そんな意識が擦り込まれているからです。
周年施策の効果は高く、運営タイトルでは「維持」「安定」「改善」するための重要な施策として考えられています。
周年合わせでTVCMやWeb広告を投下することで、さらに効果を底上げすることもできます。
0.5周年、100日記念、1,000日記念の効果は?
ちなみに最近は0.5周年、100日記念、1,000日記念といった、周年施策の派生版も実施されています。
しかし、1周年、2周年施策に比べると、ユーザーのモチベーションアップ効果は弱く、大きな成果は残せていないようです。
その理由は1周年、2周年といった施策に対する
周年施策は何かイイことがあるかも!!
といったユーザーの期待値の刷り込みに対して、
0.5周年、100日記念、1,000日記念施策の刷り込みが弱いという点があります。
実際のところ0.5周年、100日記念、1,000日記念は1周年、2周年に対して施策内容も弱いですし、その弱さをユーザーが実体験を持って知っているというのも原因でしょう。
また1周年はゲーム配信日という強い立て付けがありますが
0.5周年、100日記念、1,000日記念というのは
ゲーム運営側で無理やり作られた、自己都合的な施策とユーザーに感じさせてしまっているのも原因としてあるかもしれません。
実際のところ0.5周年、100日記念、1,000日記念施策効果はゼロというわけではありませんが、1周年施策ほどの効果を出せていないのは事実です
ユーザーとゲーム運営側では周年に対する目的と期待値の違い
ユーザーとゲーム運営側では「ゲームの周年」という概念に対する目的や期待値が異なります。
ここを整理することで、ユーザー目線から大きく乖離した周年キャンペーンを設計し間違えることを回避できます。下記にて簡単にまとめてみました。
観点 | ゲーム運営側視点 | ユーザー視点 | ||
既存ユーザー | 新規ユーザー | 離脱ユーザー | ||
目的 | ユーザー獲得→DAUアップ→売上獲得したい | ゲームをもっと楽しみたい | お得感、始めるタイミングの一致 | お得感、復帰タイミングの一致 |
感情 | 周年きっかけでプレイして欲しい | ただ周年を楽しみたい | いま始めると楽しめそう。流行っていそう。プレイしてみよう | 周年タイミングだし、一時的にプレイしてもいかな |
課金 | 周年期間で売上をあげたい | 課金意欲が高まる | 課金については特段な感情なし | |
継続 | 周年終了後もずっとプレイして欲しい | 周年施策が満足できたら、これからもプレイしたい | ゲームが楽しかったら、今後もプレイしていいかも |
ここで注目して欲しいのはゲーム運営側の視点は既存ユーザーの視点に近く、新規ユーザー、離脱からの復帰ユーザーとは必ずしも一致しにくいという点です。
また既存ユーザーと、新規ユーザー、離脱からの復帰ユーザーでは、周年という概念に対する視点が異なるという点もあります。
つまり、「ゲーム運営」「既存ユーザー」「新規ユーザー」「復帰ユーザー」この4つの異なる観点を持ったユーザーが存在することになります。
4つのユーザーの「周年」に対する考えや目的は異なるわけですから、ここを整理・理解した上で、どこに注力するのか決めないと、曖昧な周年施策になってしまい結果を出しにくくなります。
ゲーム運営視点による周年施策におけるメリットと課題の整理
ゲーム運営視点から見た周年施策についてメリットと、今後の課題について整理しておきましょう。
周年施策のメリット
ゲーム会社側からみた周年施策については次のようなメリットがあります。
・周年施策に対するユーザーの期待値を利用して
既存ユーザー維持、新規、離脱ユーザーの獲得が見込める
・ユーザーの期待値はTVCMやWeb広告など施策よって底上げもできる
・周年というワードには期待値の底上げしやすい魔法の言葉である
全てのゲームに必ず訪れる周年タイミングは、そのゲームを盛り上げるための絶好のチャンスであり、ゲーム会社側のやり方次第でその効果をコントロールすることもできます。
周年施策の今後の課題
ゲーム会社側からすると周年施策については、いいことばかりのように思いますが、近年様々な課題がわかってきました。今後はこれらを解決していく必要があります。
・あらゆるタイトルが周年施策をやっているのでユーザーは慣れており
以前より施策効果は減少傾向である
・2年、3年、4年と周年施策を重ねることでマンネリ化してしまい効果は減衰する
・タイトル同士で周年施策の時期が被ることも多く、競合することで効果が落ちる
周年施策タイミングが被るということは、そもそもゲームの配信日があまり考えられずゲーム開発スケジュールや、アニメ放送などのキャラクター展開に引っ張られて展開されているという点があります。
下記で現在セールスランキング100位に入っているゲームを配信月順に並べたシートがありますが、同じ月で配信日が被ってしまうと周年施策も被るということになります
近年、人気ゲームは7年8年と運営が長期化しつつありますし、中国から続々と大型タイトルが配信されパワーマーケティングが展開されています。従来の周年施策の方法だけでは戦えない状況になりつつあるのは事実です。
ゲーム運営側とユーザーにおける周年に対する感情の違いを深掘り
周年施策について「ゲーム運営視点」「ユーザー視点」
2つの視点についてもう少し深掘りをしてみましょう。
それぞれの視点から見ることで、もっと効果的な周年施策はないのか、そのヒントが見えてきます。
運営視点の周年施策
「祝ゲームアプリ1周年」「DAUを獲得して売上もあげるぞ!」
運営視点による周年施策のほとんどがこれです。
これらゲーム運営側の目的と
周年施策は何かイイことがあるかも!!
といったユーザーの期待に応えるような施策をミックスして設計されます。
ユーザー視点での周年施策
ユーザー視点に切り替えると、見え方がちょっと変わってきます。
アプリサービス開始日=そのアプリの周年記念日=そのユーザーがゲームを始めた日とは限らないからです。
よって、ユーザー視点から見ると
ゲーム運営から発信されている「周年」は「何かしらお得で楽しいことが起こるタイミング」という認識は持っていますが、ユーザーのとってジブンゴト化できる記念日かというと、決してそうではありません。
きっと、長年にわたってそのゲームをプレイしている人にとっては
「そのゲームを始めた日」「そのゲームと出会った日」
そんな日が本当に記念日かもしれません。
ちょっと、わかりにくいかもしれないので、もう少し分かりやすい例をあげてみましょう。
【ゲーム運営視点での周年】
彼や彼女の誕生日
【二人が付き合い始めた日】
ユーザー視点での周年施策
二人が結婚した日
といった感じです。
二人が付き合うとか、そんなの関係なく、お互いの誕生日はもう決まっていて変えられません。
しかし、「付き合い始めた日」「結婚した日」は二人の世界だけの記念日です。
「付き合い始めた日」「結婚した日」から新しい関係が始まっていきます。これがユーザー視点での周年という事になります。
そうなるとこんな考え方も出てきませんか?
誕生日もお祝いしますけど、「付き合い始めた日」「結婚した日」もお祝いしたりしませんか?
実は「誕生日」に匹敵するほど、「付き合い始めた日」「結婚した日」も二人にとっては大切な周年施策なのです。
新しい周年施策プロモーションを考えてみよう
新しい周年施策のアイディアとして前のパートで取り上げた
「付き合い始めた日」「結婚した日」に相当する
「そのゲームを始めた日」「そのゲームと出会った日」
も周年施策のヒントとして使えそうな気がします。
ただし、
「そのゲームを始めた日」「そのゲームと出会った日」といったデータをユーザーごとに取得しておき、その日が来たら伝えなければ期待値をあげる周年施策には使えません。
よって、ユーザー視点での周年施策を実施するために、いくつかやらなければならないことがあります。
・ゲーム開始時にプレイヤーの誕生日を入力させる
・ゲームプレイした日付を裏でデータを記録しておく
・ゲーム内でユーザーに個別でメッセージを通知する機能を実装する
・ゲームのプッシュ通知をオンにさせる施策を並行して実施する
こうすることでユーザーがゲームを開始した日、ユーザーの誕生日を取得することができて、かつ、そのユーザーに対して個別でお祝いメッセージを送ることができます。
ゲーム内でユーザーに個別メッセージを送ることができる機能はもちろん必要ですが、ゲームを離脱してしまうとメッセージが届かないため、効果を最大化させるには、プッシュ通知をオンにさせておく必要があります。
プッシュ通知をオンにする施策もセットで設計して実施が必要なので、こちらの記事もチェックしてみてください。
ちなみに、非ゲーム系のサービスですが、とても面白いプロモーション事例がありましたのでご紹介しましょう。
1年前に海外旅行でモバイルWiFiルーターをレンタルしたのですが、
それから、ちょうど1年後、初めてレンタルしてから1年経過したので割引クーポンがメールで送られてきました。 |
その後、初めてここの会社のWiFiモバイルルーターを使った日に毎年、
「始めてレンタルした日からX年目なので割引クーポン送ります」
といったメールが届き続けています。
つまり、この会社のモバイルルーターを使った日がトロネコとこの会社との周年記念日というわけなのです。
二人の出会いをきっかけにした、ユーザー視点に寄添った周年施策であり、二人だけの記念日ですから、1対1の周年施策が毎年実施可能というわけです。
さらに個別ユーザーごとに寄添える施策ですからユーザーの状態にあわせた施策の切り分けができそうです。
これは運営視点での一方的な周年施策ではできない施策です。
ユーザー視点に寄添った周年施策はユーザー変化にあった施策が可能
アプリインストール直後から、ユーザーの状態はどんどん変わっていきます。
例えば、
・毎日ゲームを遊んでいる人 ・1週間に1回しかログインしない人 ・しばらくゲームを離れている人 |
全部、ユーザーの状態が異なりますので、求めているニーズも異なります。
ずっと遊び続けているユーザーでさえ、配信直後と1ヶ月、1年後ではユーザーの状態がどんどん変わっていきます。
ユーザーは常に進化、成長、変化し続けているのです。同じままの状態でずっと変わらないということは絶対にありません。
よって、ユーザーをある程度のグループに分けて例えば次のような施策を設計してみましょう。
プレイ開始から1年後、そしてユーザーの誕生日にも
お祝いメッセージと、プレゼントを自動で送るようにしましょう。
ユーザーの状態にあわせてプレゼントとして何を送るかでKPIへの影響は変わるので、継続率、課金率などの改善が期待できます。
さらにゲームアプリのプッシュ通知機能を使えば、ゲームを完全に離脱したユーザーに対して復帰の導線をつくることができます。
できれば、お祝いメッセージもゲーム内容と連携した形で
初めてお会いしてから1年ですね。
というようにキャラクターに言わせるのも効果があります。
もちろん従来の周年施策は、まだまだ効果がありますので従来通り実施してください。
ここでのポイントは従来の周年施策に加えて、ユーザー視点での周年施策を並用することで、ユーザー視点に寄り添った手厚い周年施策を年間を通して定常ルーチンの中でつくれてしまうのです。
1年に1回だけの周年施策、その他様々な施策、記念施策に加え、ユーザーひとりひとりに寄り添った個別記念施策まで作ってゲーム運営ができればユーザーの継続率を大きく改善できます。
まとめ
今回、マンネリになりがちで
でもいまだに圧倒的に効果が期待できる周年施策について解説してみました。
もし、周年施策についてお悩みがございましたらメール、またはLINEチャットで気軽に無料相談できる「トロネコのカベウチ」をご利用ください。
下記の記事でも書いていますが、周年施策は遅くても3ヶ月前、できれば6ヶ月前には設計が必要だからです。
今回の記事が少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。