スマホゲームのガチャ設計・課金設計の教科書|実装前に知っておきたい売れる仕組みの作り方

コア体験・プレイサイクル
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スマホゲームのガチャ設計・課金設計の教科書|実装前に知っておきたい売れる仕組みの作り方

こんにちはトロネコです。

現在でもスマホゲーム売上の大部分を占めるのが「ガチャ」です。
しかし、ただガチャを実装すれば売上が上がるというわけではありません。

・ユーザーは何を理由にガチャを回したくなるのか。
・ゲーム開始から、どのようなプロセスでガチャに誘導するのか
・どのガチャで売上を作るのか

これらは、順番を意識して設計する必要があります。

そこで「ガチャ実装ゲーム」における課金設計を、どの順番で、何を考えながら作るべきかを解説します。

もちろん、ここに書いてあることをそのまま採用する必要はありません。
ただし、「ガチャ実装の考え方」を知ることで、課金設計の精度はかなり変わります。

スマホゲームのガチャ課金を設計する前に、ぜひ参考にしてください。

課金設計でやってはいけないこと

課金設計の話になると、多くの人は「どう売るか」から入りたくなってしまいます。
しかし、ここが大きな間違いなのです。

まず、最初に確認するべきなのは、マネタイズではなく「コアゲーム体験」です。

 

 

・そのゲームを遊んだとき、何が気持ちいいのか。
・何を繰り返しプレイしたくなるのか。
・想定したゲームの楽しさは適切に成立しているのか。

ここが曖昧なまま課金の話を先に考えると、課金圧が強いゲームになってしまいます。

つまり、ガチャの見せ方やゲーム運営で無理にマネタイズしようとする設計になりやすく「押し売り」に近い印象を与えます。

ユーザーにとって「課金」はゲームをプレイした結果にすぎません。
つまり、主役はあくまでも「ゲーム」であり、ゲームの面白さの先に「課金」が発生するのです。

そしてガチャは、「ゲームそのものの面白さ」を決めるものではありません。

あくまで、ゲーム体験をもっと楽しむための「加速装置」みたいなものです。

つまり
「ゲームの面白さを確認する」→「課金設計を行う」
といった順番が非常に重要です。

コアゲーム体験についてはこちらで詳しく書いています。

 

ゲーム開発におけるガチャ設計方法

スマホゲームのガチャ課金設計は、次の順番で考えます。

①ゲーム企画

②プロトタイプ(コアゲーム体験を確認)

③課金のプロトタイプ設計

④α版以降で課金導線を検証

⑤仕様確定、本実装

①②は通常のゲーム開発の流れですが、課金設計は、必ずゲーム本体の「②プロトタイプ」でコアゲーム体験を確認した結果、「このゲームのコアな面白さ」が固まってから設計します。

なぜなら、
ガチャは、「ゲームそのものの面白さ」を決めるものではなく
あくまで、ゲーム体験をもっと楽しむための「加速装置」のようなものだからです。

コアゲーム体験が成立して、初めてその上でのマネタイズ設計を行います。
トロネコはこれらを「課金のプロトタイプ設計」と呼んでいます。

よく見られる間違ったケースとしては

・ゲーム企画段階から詳細なガチャ設計が盛り込まれている
・ゲーム企画よりも、むしろマネタイズ内容の方を重視している
・プロトタイプでコアゲーム体験が確認できないままスケジュールに追われてマネタイズ設計がされている

といったものが多く見られます。
このような考え方が現場で見られる原因は

「とりあえずガチャを設置すればいい」
「ゲーム運営でなんとかなる」
「テクニックでマネタイズできる(限定、ステップアップ、確定ガチャなど)」

と考えてしまうことにあります。

このような考え方は、ユーザーがガチャを引くまでのプロセスを理解していない証拠です。

 

実際には、ユーザーがガチャを回すまでにはプロセスが存在します。

・ユーザーがガチャで排出するアイテムやキャラを欲しいと思う理由がある
・少しだけガチャを回したいと思う「きっかけ」がプレイ体験の中にある
・ガチャを回した分が無駄にならないという損得勘定が働く
・1回だけガチャを回しただけで終わりではなく、もっと回したい理由がある

これらのプロセスを理解した上で実装しないとうまくいきません。
だからこそ、実装前に「課金のプロトタイプ設計」を理解する必要があります。

課金のプロトタイプ設計で最初に決めること

「課金のプロトタイプ設計」とは
ユーザーがコアゲーム体験を経た上で課金に至るまでのプロセスを考慮したマネタイズ設計であり設計した通りにユーザーが行動するのかを検証することです。

「課金のプロトタイプ設計」は次の4つから構成されます。

①ユーザーが課金するまでのプロセス
②ユーザーがガチャを回す理由
③ユーザーがガチャを回し続けたい理由
④ガチャ促進のためのテクニック

①ユーザーが課金するまでのプロセス

ユーザーが課金するまでの基本的なプロセスは次のようなものがあります。

・ゲームをプレイ開始

・ゲームが面白い(ゲームコア体験に対する評価)

・もっとゲームを進めたい

・強くなりたい、勝ちたい、自慢したいなど様々な理由が生まれる

・課金する

このプロセスはユーザーによって個人差があります。
実際にはユーザーの属性(過去のゲーム体験や嗜好性)によって異なります。

ユーザーによっては、これらのプロセスを一瞬で辿る場合もあれば、時間がかかる場合もあります。よって皆さんのゲームタイトルによって違いはあるものの、基本的にはこのような流れであると、ざっくり理解しておいてください。

 

その上でガチャ設計は次のように「点」ではなく「線」で考えます。単発ではなく流れで設計します。

 

・ガチャ排出キャラ・アイテムが欲しいと思う
└性能、演出、モチーフ、限定感など、理由はゲームによって異なる

・少し回す
└最初の1回を引かせる入口が必要
└無料配布、初回特典など

・課金で回す
└小さな課金障壁をこえる

・定期的に回す(習慣をつくる)
└サブスク、ログイン報酬

・回す価値を実感する(自分の中で納得する)

・プロセスが見える
└あと何回で確定なのか
└今どこまで来ているのか

・ハズレが無駄にならない
└重複排出、低レア排出、外れ扱いの結果にも価値を持たせる
└無駄に感じさせると、そこで止まる

・次回も回す
└ガチャ体験に対する満足感

・天井まで回す
└天井までの残りを可視化

もちろん全てのユーザーが天井まで回すわけではありません。
しかし、このようなプロセスを理解することで、「課金のプロトタイプ設計」がしやすくなります。

また、この流れが連続してつながっていくことで売上として積み上がりやすくなります。
一方で、どこかで設計が不十分だと途中で止まります。

つまり
「ガチャを回すことを無理なく習慣化させる設計」
が重要です。

習慣化の入り口としてサブスクパスが有効

ゲーム内に実装されている「サブスクパス」は
「ガチャを回すことを無理なく習慣化させる設計」の入り口として使えます。

一般的にサブスクパスは次のような目的で実装される事が多いです。

・安定した売上を得る手段
・固定ファンの囲い込みによる継続率の維持、離脱防止

しかし、実はそれ以上に大きい役割があります。それは、

最初の少額課金の壁を越えさせることです

 

完全無課金で入手した無料石を使ってガチャを回す体験と
低額微課金のサブスクパス加入で入手した石でガチャを回す体験は
実は同じように見えて違うのです

サブスクパスの場合はお金を支払っているユーザーであるため
その先にある「ガチャ課金」に進む心理的な壁がかなり低くなります。

つまりサブスクパスの本当の価値は、

・最初の課金ハードルを超えること
・毎日ログインする理由を作ること
・入手したサブスク報酬の石でガチャを回す習慣を作ること
・その結果、サブスク報酬を超えて課金ガチャを回す習慣に繋げること

ここにあります。

サブスクパスを安定した売上を得る手段として実装、運用するか
それとも、課金ガチャを回すための「習慣化」を踏まえて設計するか
この考え方の違いは売上に大きく影響します。

②ユーザーがガチャを回す理由

ユーザーがガチャを回す理由は何か?
ここを理解することで、「課金のプロトタイプ設計」の精度がさらに上がります。

ガチャを回す理由は1つではありません。
またゲームジャンルによっても、ガチャを回す理由は変わります。

代表的な理由、動機としては次のようなものがあります。

・いま必要だから欲しい

新キャラ、新装備によってキャラを強化できるならば

ゲームをもっと進めたい
PvP、PvEで勝ちたい
ゲームが進まない、勝てないことに対する解決方法

といった理由はガチャを回す強い動機になります。

・今後役立つから欲しい

現時点では必要性は高くなくても、今後のイベント、クエスト、育成計画で価値が高いので
先を見越して確保したいという動機です。

・魅力的だから欲しい

例えば
必殺技、モーション、ボイス、演出、かっこいい、かわいいなど
見た目、推し要素、IPの魅力はガチャを回す動機になります。
これはスペックや性能だけでは動かないユーザーにも効果があります。

・限定だから欲しい

いつでも手に入るものではなく、今しか手に入らない
という「限定感」もガチャを回す理由の一つになります。

・自己顕示欲から欲しい

他のユーザーは持っている
他のユーザーに負けたくない
ギルド、同盟、フレンド、ランキング、PvPをプレイする時に持っておきたい「自己顕示欲」や「競争意識」も動機になります。

また、アバター系ゲームにおける
その服、その装飾、その見た目が欲しいからガチャを回すという動機も同じです。

・実際に使ってみて欲しい

フレンド機能、レンタル機能などで使ったキャラが強かった、便利だった、楽しかった
このような体験もガチャを回す動機になります。

 

その上で重要なのは次の2つです。

・これら欲求はコアゲーム体験のベースがあった上で成立する
→コアゲーム体験なしでは成立しない

・ユーザー属性やゲーム内容によって回す理由は異なる
→全ての動機は同じレベルで存在するのではない。何が中心になるのかを決めておく必要がある

つまり「コアゲーム体験」をしっかり作って検証されているのが大前提になります。

コアゲーム体験についてはこちらで詳しく書いています。

 

③ユーザーがガチャを回し続けたい理由

ガチャは単発ではなく、継続的に回してもらえないと売上になりません。
そこで、「ユーザーがガチャを回し続けたい理由」も考慮して設計する必要があります。

・重複排出を無駄にしない設計

ガチャが単発になってしまう大きな理由の1つが、
ガチャを回した結果、自分が必要としない「ハズレ排出」の対応ができていないケースがあります。

例えば次のような事が多くみられます。

・重複キャラが出ても、ただの重ね素材で終わる
・低レアが出ても、使い道がない

これでは、ガチャを回すと損をした気分になりやすくなります。

そこで
「ユーザーがガチャを回し続けたい理由」を作る上で重要なのは

重複排出や低レア排出にも別の価値を持たせることです

たとえば、

・別系統の育成素材に使える
・専用通貨に変換できる
・交換所で別の価値に変えられる
・スキル強化や特別解放に使える

といったものが挙げられます。

ポイントは
ハズレを引いて無駄にならない
ハズレ体験を失望だけで終わらせない状態を作ることです。

ここを考慮することでユーザーは
「回したガチャは全部無駄だった」と感じにくくなります。
その結果、「ガチャを回し続けたい理由」を阻害しにくくなります。

・天井や進捗の可視化

人間は「ゴール」や「目的」が見えない状況に対して不安を感じます。
ガチャも同じで最後まで回してもらうために重要なのが、進捗の見える化です。

あと何回で確定なのか
今どこまで来ているのか
ステップアップの何段目なのか
次に何が確定するのか

このような天井や進捗を可視化することで自分の現在地を理解することができます。
その結果

「あと10回で確定」
「次の段階で★5確定」
「ここまで来たなら続けたい」

といったガチャを回すモチベーションを作る事ができます。

・ユーザーを迷わせない

ガチャの商品数をたくさん用意しているゲームもあります。

選択肢が多い

商品が充実している

ユーザーの満足感が上がる

と考えることもできますが
一方で、ユーザーを迷わせてしまっている可能性があります。

重要なのはこのゲームの売上を支えるものは何かという点です。

実際には、複数のガチャが満遍なく売れることはなく
売上を稼ぐ本命ガチャは1本に集中することが多いのです。

つまり、自由にユーザーに選ばせるのではなく、
設計側がどのガチャに回させたいのかを明確にすることが重要です。

ここが曖昧だと、

・どのガチャも中途半端になる
・売りたい対象がぼやける
・ガチャの導線が機能しない
・ユーザー反応が弱く売上が上がらない

といった状態になりやすくなります。

まず決めるべきことは
「このゲームではどのガチャで売上を作るのか」
という点です。

④ガチャ促進のためのテクニック

ガチャによる課金促進は、ゲーム運営や演出による見せ方でも作れます。
一例を挙げると

・期間限定
・ステップアップ
・★5確定
・復刻ガチャ
・バナー訴求
・イベント連動
・おすすめ表示

など様々なテクニックによって課金の背中を押すことはできます。

ただし、これはあくまでも
「ゲームのコア体験」「課金のプロトタイプ設計」ができてからの話です。

ここがないまま、運営や演出だけで何とかしようとすると
「課金圧が高い」「ユーザーに対する押し売り感が強い」という印象を与えてしまいます。
また、仮に短期的に売上を作れても継続的な売上は見込めず、かつユーザーの信頼を失います。

まとめると

・主役は「ゲームのコア体験」
・その上で「課金のプロトタイプ設計」
・ゲーム運営や演出による見せ方はあくまでも補助的な役割

この関係が逆になるとうまくいきません。

 

押し売りにならない課金設計とは何か

「課金のプロトタイプ設計」で重要なのは、ただ売上を作ることだけではありません。
ポイントはユーザーに納得して購入してもらうことです。

・ユーザーは、課金そのものを否定しているわけではない
・問題なのは納得感のない「課金圧」「押し売り感」である

ここがポイントです。

たとえば、「課金圧」や「押し売り感」をユーザーに感じさせてしまう方法として次のようなものがあります。

・課金しなければ勝てない、進められない
・急に課金によるゲームバランスを変更する
・いま課金をしないと今後のプレイに支障が出るように見せる
・ハズレガチャは損失になる
・ガチャを回してもゴールや進捗が見えない
・課金することで何を得られるのか分かりにくい

こうした設計は、ユーザーに「押し売り感」を与えてしまいます。

一方で、例えば
次のような方法なら「課金圧」「押し売り感」を軽減できます。

・そのキャラを欲しい理由がある
・ガチャのゴールや進捗が見える
・ハズレガチャが無駄にならない
・課金で入手したキャラやアイテムの価値が明確
・ゲームバランスを壊さず長期プレイできる

 

ガチャは、「ゲームの面白さ」そのものではありません。
「コアゲーム体験」を拡張し、面白さを広げたり、加速させたりするためのものです。

ガチャは主役ではないのです。

当たり前のことに思えるかもしれませんが、
実際のところ開発運営側はそこの意識が低くなりがちですので注意が必要です。

ガチャ実装前に確認したいチェックポイント

最後に、ガチャやマネタイズ機能を実装前に最低限確認したい項目をまとめました。
チェックリストとして活用してください。

① コアゲーム体験は成立しているか
→面白さが弱いまま課金設計に進んでいないか。

② 売上を支える本命ガチャは決まっているか
→どのガチャで売るのかが曖昧になっていないか。

③ そのガチャを回す理由は明確か
→性能、演出、キャラ、競争、所有欲など、ガチャを回す理由はあるか

④ 最初のガチャを引かせる導線やプロセスはあるか
→無料体験、少額課金、サブスクパスなどの導線

⑤ ガチャを回す流れが「点」ではなく「線」でつながっているか

・欲しい

・少し回す

・課金で回す

・定期的に回す(習慣化)

・回す価値を実感する(納得感)

・プロセスが見える

・ハズレが無駄にならない

・次回も回す

・天井まで回す

⑥ ガチャによる重複排出、ハズレガチャに別の価値があるか
→損失ではない、別の利用方法があるか

⑦ 天井や進捗の見せ方は十分か
→ゴールが可視化されているか

⑧ ゲーム運営やガチャ演出で解決しようとしていないか
→「課金のプロトタイプ設計」をやっているか

 

まとめ

スマホゲームのガチャ課金設計は、ただガチャ機能を実装すればいいという話ではなく
「点」ではなく「線」で考える「課金のプロトタイプ設計」が重要です。

・コアゲーム体験の確認
・課金のプロトタイプ設計
・それができた上でゲーム運営、演出や見せ方によるガチャ促進

この順番を守るだけでも、課金設計の精度は大きく変わります。

トロネコは今回のガチャの話だけでなく、あらゆるプロセスを含めて総合的にお手伝いしています。
判断に迷ったら、お気軽にご相談ください。