ログインボーナスといえば多くのスマホゲームで実装されている定番中の定番機能ですが
こんな疑問を持っている方も多いと思います。
・効果あるの?
・なんとなく慣習でやっている
・そもそも効果検証なんてやってないし
結論としては
・ログインボーナスに対して適切な効果検証ができているゲーム会社は皆無
・ログインボーナスは「やらなければならないもの」と慣習化している
・ログインボーナスの効果は極めて低下しており存在意義が問われている
というのが事実です。
それでも、習慣、慣れ、思考停止状態は怖いもので
2本、3本のログインボーナスを同時開催するのはもちろん
中には4本、5本のログインボーナスを同時開催しているゲームも存在します。
これによって何が起こっているかと言いうと
・複数のログインボーナス実施で効果検証はさらに困難に
・ゲーム内の経済バランスが崩れ売上に影響あり
・ログボで報酬がもらえることにユーザーが慣れてしまい効果そのものが低下
といった状況になっています。
はい、かなりマズイ状態なのです。
ログインボーナスの目的と役割
そもそもログインボーナスの目的って何なのでしょうか?
ログインボーナスって誰向けの施策で、どんな効果があるのでしょうか?
ここめちゃくちゃ重要です。
まとめると
・ログインボーナスの恩恵を受けられるのは既存ユーザーだけなので
・既存ユーザーの継続率、リテンション、ゲーム起動率アップによる離脱防止効果
というのが主な目的になります。
つまりログボでもらえる報酬をきっかけに、既存ユーザーのゲームに対するプレイモチベーションを上げられるか?それがログボの目的と役割の全てです。
それ以外に目的を設定しても構いませんが、結局のところログインボーナスって
現在進行形でそのゲームをプレイしている人にしか届かないし効果はありません。
もちろん効果的なログボ設計も可能です。
こちらで詳しく解説しています。
【ゲームアプリ】ギフトコード(プロモションコード)の効果と事例
そこでログインボーナスと同じ報酬内容で(いやむしろ報酬はチープであっても問題なし)
ログインボーナスよりも高い効果を期待できて
さらに既存ユーザーだけでなく新規、離脱ユーザーにも効果を出せる施策としてギフトコードが最近、人気です。
※ギフトコード、交換コード、シリアルコード、プロモーションコードなど読み方はさまざまです。
このギフトコードを使ったプロモーションについて実例を踏まえて解説します。
ちなみに
アプリストアの規約でギフトコードを使ったプロモーションが制限されている場合があります。予めストアの規約の確認をした上で自己責任で検討してください。
(とはいえ、多くのゲーム会社がやっている施策だったりします)
ギフトコード(プロモーションコード)とは
よく見かけるギフトコードのパターンをまとめましょう。
・Twitter、Discord、公式サイトでギフトコードを公開
※ランダムでユニークなシリアルコードではなく固定のパスワードみたいなもの
※ギフトコードの使用期限を設定しているもの、設定していないものあり
※ギフトコードはゲーム外で公開されている(ゲーム内で公開されることはない)
・ゲーム内で入力
※一部タイトルではゲーム外に入力させるケースあり
・ゲーム内で報酬がもらえる
といったものが最近の一般的なケースです。
ここで面白いのは、ギフトコードを配布しているゲーム会社の中にはログインボーナス機能をやめてギフトコードだけに振り切っている会社もあるという点です。
ギフトコードに振り切ってログボをやっていないゲームの理由としては次のようなものが考えられます。
・ゲーム内経済を壊さないように配布できる報酬を制限するため
・ログインボーナスの効果がないことをわかっている
・ギフトコードの方がKPIにインパクトがある施策を臨機応変に実施できる
※もちろんギフトコードとログインボーナスの両方を並行して実施しているケースもあります。
ギフトコード(プロモーションコード)の目的と効果
基本的にギフトコードはゲーム外で公開されます。
よってゲームを現在進行形でプレイしていないユーザーもターゲットにすることができます。つまり「新規」「既存」「離脱」の3つのユーザーにアプローチできます。
ギフトコードプロモーションの目的と効果について整理しましょう。
ターゲットユーザー | 目的 | 効果 |
新規ユーザー | インストールモチベーションの刺激 | ギフトコードをきっかけにインストールしてもらう |
既存ユーザー | プレイモチベーションの刺激 | ギフトコードをきっかけにプレイモチベーションを維持する |
離脱ユーザー | プレイモチベーションの刺激 | ギフトコードをきっかけに復帰してもらう |
オンラインゲームの方程式として次のようなものがあります。
3つのモチベーションの掛け算が成立した瞬間にオンラインゲームは成功します。どれか一つが欠けても成功しません。失敗します。
このモチベーションの刺激にギフトコードプロモーションは効果があります。
下記でも詳しく解説しています。
ログインボーナスだって同じように何かしらのモチベーションを刺激するのではないですか?
という疑問が出てくるかもしれません。
しかしログインボーナスは「ゲームにログインしないとわからない施策」なので、現在進行形でそのゲームをプレイしている既存ユーザーしか効果が期待できません。
さらにログインボーナスが3本、4本、同時に走っていたり、よくわからないうちにログインしたらログインボーナスの報酬がもらえたりしますよね?
ログインボーナスはユーザーにとってはゲーム運営側から一方的に差し出された「受け身のプロモーション」なのです。自分から意思を持って自発的にもらった報酬ではありません。
ここがめちゃくちゃ重要なのですが3つのモチベーションは「受け身」より圧倒的に「自発的」行動させるプロモーションの方が、モチベーションが刺激されて効果があります。
ギフトコード施策って、ユーザー自ら自発的に情報(=コード)を入手して、コードを入力しますよね?この演出が各種モチベーションを刺激するのでKPIに対するインパクトは大きいのです。
報酬内容よりも、演出がモチベーションに影響を与えます。
ギフトコード(プロモーションコード)の効果的な使い方事例
ギフトコード施策は次の3つの要素の掛け合わせで、細かくターゲット設定と効果を設計できます。
「どこで告知するか?」
「いつ告知するか?」
「いつまでコードが使えるか?」
つまり、この3つの要素を掛け合わせて施策を設計することで、さらにKPIに対して効果を高めることができます。
どこで告知するか?
ギフトコードは公式サイト、Twitter、Discord、Youtubeなどで公開されるケースが多いです。
公開する場所によってターゲットユーザーが変化します。
公開する場所 | ターゲットユーザー | |||
既存ユーザー | 新規ユーザー | 短期離脱ユーザー | 完全離脱ユーザー | |
○※1 | ○ | ○ | △ | |
Discord | ○※1 | × | △ | × |
公式サイト | ○※2 | △ | △ | × |
Youtube
(番組や告知動画) |
○※1 | × | × | × |
※1 どこまで既存ユーザーをフォローさせているか、プールできているかによって効果は変動します。よってゲーム配信直後からできるだけフォローさせる施策は別途必要です。
※2 公式サイトで公開されるケースは、事前登録からの流れが多いので、ゲーム配信直後に効果を期待できます。
いつ告知するか?
「いつ告知するか?」によってギフトコードの効果は変化します。
典型的な例について整理しました。
告知時期 | 効果 |
ゲーム配信直後 | ・事前登録からのインストール促進
・ゲーム開始直後の全体プロモーション効果の押し上げ |
大型プロモーション実施タイミング(TVCMなど) | ・TVCM効果の底上げ |
大型キャンペーンタイミング(年末年始や周年など) | ・キャンペーン効果の底上げ |
隙間・閑散タイミング(キャンペーン後半、閑散期などKPIがダレる時期) | ・DAUが下がるタイミングにおける瞬間的なテコ入れ |
週末(金曜日から土日に向けてユーザー可処分時間が上がるとき) | ・ターゲットユーザーの生活事情に合わせたゲームプレイ促進 |
いつまでコードが使えるか?
先ほど、3つのモチベーションの話をしましたが
モチベーションをいかに刺激するかによって、KPIに対する効果を大きく変化します。
いつまでコードが使えるか?
使用期限はいつか?
期限が設定されているので早く使わなければならない(=ゲームを起動しなければならない)
というモチベーションをコントロールすることができます。
コード使用期限の有無によるメリットとデメリットは次のとおりです。
使用期限の有無 | メリット | デメリット |
使用期限あり | ・DAUのスパイクを作れる | ・期限切れのコードは効果がない
・常に新規コードのストックが必要 |
使用期限なし | ・使用期限がないため、永続的に効果を期待できる | ・タイミングによってはDAUに明確なインパクトを与えにくい |
使用期限を設定したギフトコードを活用している事例があります。最近話題の「キノコ伝説」は使用期限の短いギフトコード施策をTwitterで実施しています。
例えばこちらのコードは
4/8(月) PM6時に告知、使用期限は4/14(日)終日までとなっています。
使用期限は7日間
金土日の週末にかけて使うことができるため、新規、離脱、復帰ユーザーにとって使いやすく、一定のKIPへのインパクトが期待できます。
さらにこちらのコードは
4/6(土) PM0時に告知、使用期限は4/7(日)終日までとなっています。
使用期限は土日の2日間
可処分時間のある土日に振り切って配布することで、新規、離脱、復帰ユーザーに対する大きなKPIのインパクトが期待できます。土日にDAUのスパイクを作ることを目的とした施策ですね
まとめ
今回はギフトコードの役割と効果、設計方法のヒントについて解説しました。
アプリストアの規約を踏まえて実施の検討が必要になりますが、設計次第ではKPI、特にDAUに大きなインパクトを与えることが可能です。
その一方でログインボーナスはその効果を改めて考え直す、見直す必要があると思います。
ログインボーナスがゲーム内経済に悪影響を与えていて、辞めたことで、KPIが改善するケースもあるので、この機会にログボの必要性も検討してみましょう。