ゲーム業界における「宣伝」と「マーケティング」の違い【別担当にすると失敗します】
こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。
今回は20年に渡ってゲーム業界でマーケテイングや宣伝や、時にはゲームプロデューサーをやってきたトロネコが感じた
「宣伝」と「マーケティング」の違いについて お話します。
ゲーム会社って社内の組織変更が頻繁に行われるのですが
・宣伝とマーケティングが分離されたり ・再び合体したり ・マーケティングという部署がなくなったり ・いろいろ変更したけど結局、元に戻したり |
組織設計をしている人の考え方や、その時の会社の方針で、組織体系がガラっと変わってしまいます。
これはゲーム業界で働いている人にとっては「あるある」話ですね。
その都度、思うのは
「組織設計をしている人はゲーム事業をよく理解していないかも!?」
といった印象も受けます。
ときどき「宣伝」と「マーケティング」を分断するような組織変更が行われたりすることが稀にあるですが、これは高確率で上手くいかないのでおすすめできないです。(なぜ、おすすめできないのか後程お話しますね)
でも、なぜこのような分断が行われるのか、トロネコはずっと考えていました。
その原因として考えられるのはゲーム事業における 「宣伝」と「マーケティング」の違いを理解していない人が多いのが原因かもしれません。
実際のところゲーム事業の責任者ですら
マーケティングでユーザーを獲得してDAUを維持して・・・
といった話をしたりしてしまうくらいですから、
これはマーケティングと宣伝の違いを理解していない、混在しているかもしれない、わかりやすい事例です。
なぜなら、
マーケティングは「ユーザーを獲得すること」ではないからです。「ユーザーを獲得する」ことは、マーケティングの一部に過ぎません。
こちらでも説明していますが
「マーケティングとはモノが売れる仕組みつくり」です。
それをトロネコはわかりやすいように言語化して「3つのマーケティング」で分解しています。
つまり「マーケティングでユーザーを獲得してDAUを維持して・・・」
という部分は、「3つのマーケティングの一部」に過ぎないのです。
(ユーザーを獲得する活動はマーケテイングそのものではなく、マーケテイングの実行プロセスにおける宣伝活動の一部だったりします)
なぜ、 「宣伝」と「マーケティング」を混同してしまうのか?
それは、ちゃんと説明してこなかった我々の責任でもありますので、今回は 「宣伝」と「マーケティング」の違いをお話したいと思います。
【目次】 ・比較:ゲーム業界における「宣伝」と「マーケティング」の役割の違い ・宣伝とマーケティングを分けることによるデメリット ・宣伝とマーケティングを同じ担当にすることによるメリット ・まとめ |
比較:ゲーム業界における「宣伝」と「マーケティング」の役割の違い
まず「宣伝」と「マーケテイング」の違いを整理しておきましょう。
マーケティング
こちらでも触れていますがマーケティングとは
「モノが売れる仕組みをつくること」です。
ゲーム事業の場合はこちらで説明している「3つのマーケティング」から構成されます。
念のため下記にも表を貼っておきましょう。
宣伝
「3つのマーケティング」のうち
「②とどけるマーケティング」「③とどけつづけるマーケティング」において、お金を使ってゲームの魅力を届けることが「宣伝」です。
もちろん、お金を使わない「宣伝」もありますが、キャッシュアウトはなくても、基本的には何かしらのお金がかかっているケースが殆どです。(社内で作るにしても社内のWeb制作人件費とか)
たとえば
・TVCMをつくる、流す
・雑誌やWeb広告を購入する
・公式サイトやPVをつくる
・イベントを開催する
といったように
「お金でないと解決できない施策」を宣伝と一般的には言われています。
つまりまとめると
【マーケティング】
モノが売れる仕組みを作る人
【宣伝】
モノが売れる仕組みの中でお金でないと解決できない手段
と切り分けることができます。
100%のケースで絶対にこうなるとは限らないですが、こんな感じで切り分けはできます。
宣伝とマーケティングを分けることによるデメリット
「マーケティング」で「モノが売れる仕組みつくり」を行います。
その「仕組み」の一部を担うもの、お金でなければか行けるできないことを実行するのが「宣伝」とするならば
【マーケティング】
↓
【宣伝】
といった関係がつくられます。
つまり「マーケティング担当」が作った「モノが売れる仕組み(その中にマーケティング戦略も含まれます)」を元に、「宣伝計画」は実行されます。
よって、
両者は一心同体、かつワンチームでなければなりません。
となると、切り分けるよりも同一人物がやれば
「マーケティング戦略」に対して「間違った宣伝」が行われる可能性は低くなります。
しかし、マーケティングと宣伝が物理的に分断され、それぞれの役割が完全に切り分けられた状態になると
せっかく練り込まれた素敵な勝率の高い「マーケティング」が、
適切な「宣伝」によって「とどけることができない」という事になります。
分かりやすい例をあげると
「マーケティング戦略つくりました」
「でも、マーケティング戦略は置いておくとして宣伝施策は別途考えよう」
といった感じです。
信じられないかもしれませんが、実際にこういった現象が現場では当たり前に起きているので、本当に勿体ないです。
(これは、同一人物がマーケティング、宣伝を兼ねても起こりうるので、また別の問題があるのですが・・・・)
よって、「宣伝」と「マーケティング」は同一人物が担当するか、もし部署として分ける場合でも、極めて近い場所で連携が取れている状態を担保しなければなりません。
そのメリットについて次のパートでお話しましょう。
宣伝とマーケティングを同じ担当にすることによるメリット
宣伝とマーケティングを同じ担当にすることによるメリットは
ただひとつです。
マーケテイング戦略が、宣伝施策に活かされやすい」
という点です。
自分で作ったマーケテイング戦略ですから、そこから施策に落とし込むのは簡単ですね。
そして「マーケテイング戦略がただの紙資料で終わらず、戦略として施策に活かせる、反映できる」というメリットもあります。
良くないケースをあげましょう。
マーケティングはしっかりつくれたけど、でもやっている事は、「いつもと同じ」「他のタイトルと差異なし」ということありませんか?
これ「あるある」だと思います。
タイトルAとタイトルBはゲームとして全然違うのに、施策に落とし込んでみると、どれも同じような施策ばかりで違いがない
という事がゲーム業界で働いているとスマホゲーム、家庭用ゲームに関係なく頻繁に目にします。これは本当に勿体ないです。
これは、また別の問題があるのですが下記でも書いていますが、HOW思考でプロモーション施策が作られている証拠です。
なぜ、HOW思考で作られたプロモーション施策は結果がでにくいのか?【マーケティング戦略が重要です】
まとめ
今回、ゲーム業界における「宣伝」と「マーケティング」の違いについて お話しました。
あなたの会社における名称は「宣伝部」ですか?「マーケティング部」ですか?それともそれ以外の名称ですか?
不思議なことなのですが、例えば「宣伝部」という名称だけど、会社が求めていることは「マーケティング部」的なものだったり、その逆もあります。
これって、やっぱり「宣伝」と「マーケティング」の違いを理解していないことが原因だと思うのですが、そういう場面に出会ったとき、矛盾を指摘できるようになってほしいと思います。
というわけで今日はここまで!