なぜ、HOW思考で作られたプロモーション施策は結果がでないのか?【マーケティング戦略が重要です】

マーケティング
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スマホゲームアプリマーケティングでアイディア先行の「HOW思考」がNGな理由

こんにちはトロネコです。

マーケティングの仕事をしているのこんな質問をよく受けます。

プロモーション施策考えているんですけど

「面白くて」「新しくて」「効果ありそうな」

施策アイディアありませんでしょうか?

 

こういう質問をする人の多くは物事を施策ベースで考えているタイプといえるのですが、トロネコはこのような思考を

「HOW思考」と呼んでいます。

こんな方は、たぶん優秀なアイディアマンであり
施策アイディアで現状を打破するタイプです。

もちろん「HOW思考」でもうまく行くことはあります。

しかし、「HOW思考」で成功体験を積んでしまうと、その人における「HOW思考」はさらに加速する傾向があります。

でも、実際のところプロモーションを担当している人の多くは、結構な確率でHOW思考だったりしませんか?

なぜなら、ネットでも

「ゲーム プロモーション施策 事例」

というワードはかなり検索されているからです。

 

このワードが検索されている理由は、HOW思考ベースで自社の目的を達成しようと考えている証拠なのです。

 

しかし、マーケター観点ではHOW思考による、施策ありきのプロモーションはおすすめできません。

なぜなら

HOW思考でつくられた施策は仮に良い結果が出ても

・何が成功要因で
・何が抱えている課題をクリアにして
・その結果、どうやって目的、目標達成に貢献できたのか

施策としての効果検証がしにくいからです。

 

マーケティングの価値は

「成功確率をあげる」

「失敗確率をさげる」

「成功・失敗要因を明確にして」

「個人ではなく、企業や組織の成長に繋がる」

ここにあります。

 

HOW思考(=アイディアマン)に染まってしまうと、たまにヒットは打ちますが、結果と原因の因果関係が分析できないため、全体からすると平均打率は良くありません。

施策結果から「振り返り」ができないので組織としての成長スピードも遅く、同じような失敗を何度も繰り返します。

HOW思考に染まった状態とは

「ヒットを狙いにいくのではなく」「バットにボールが当たってヒットになるまで、ただ打席に立ち続けているようなもの」

なのです。

マーケティング思考は施策の最適化ができます

ちょっと、わかりやすいように野球にたとえてみましょう

9回裏、0対0、ノーアウトランナー3塁サヨナラのチャンス

9回裏、0対0、ノーアウトなので、ここで必要なのは
3塁ランナーをホームに返すことです。

外野フライ、またはスクイズバントを決めれば十分であり、それ以上の成果は不要です。

 

プロモーションも、目的、目標を達成するために適切な方法が必要です。

100万円のプロモーションで済むのに
1億円のプロモーションを打つのは無駄使いです。

現状を把握した上で、いま必要なのは

・100万のプロモーション施策か
・1億のプロモーション施策か

目的と目標から導き出して、決めるのがマーケティング戦略です。

 

しかし、「HOW思考」をもとにつくらた施策は、施策アイディアありきですから、その施策が課題をクリアにして目的、目標を達成するために

予算や施策が「足りているのか」「過剰過ぎないか」「向いている方向は正しいのか」わかりません。

「新しくて、面白くて、バズったけと、ゲーム内売上は無風だった」

というケースはゲーム業界「あるある」ですが、
この場合は向いている方向が違っていたのかもしれません。

「新しくて、面白い施策だったけど、いまいちバズらなかった」

という場合は、向いている方向は間違っていなかったけど、露出が足りなかっただけかもしれません。

マーケティング戦略は
こうすれば、上手くいくであろうという
論理的な積み上げから導きだした成功するためのシナリオです。

マーケティング戦略から施策をつくれていれば、もし施策が失敗しても、または、失敗しそうになっても、振り返りによる学びや、施策のテコ入れができます。

しかし「HOW思考」で作られた施策は、失敗するのをただ眺めているだけで、失敗を学びに変える事ができないのです。

HOW思考に染まった人の具体的な特徴

新しいゲームのマーケティング担当になった瞬間に、HOW思考に染まっている人は次のような行動を始めます。

・やるべきプロモーション施策を書き出す

・時系列に並べる

・各プロモーションの実施に向けた仕込みを行う

 

これはゲーム会社内のマーケティング、プロモーション担当に限った話ではありません。外部の広告代理店はプロモーション会社に新規タイトルのプロモ提案を依頼した時にも、HOW思考に染まった代理店は同様の施策リストをただパワーポイントで出してきます。

でも、冷静になって考えてみてください。

 

その施策ひとつひとつは面白そうで、派手で目立ちそうな施策かもしれません。そして実施することで「やった気分」に浸れる施策ばかりかもしれません。

でも皆さんがこれから発売、配信しようとしているゲームや商品のターゲットユーザーや、設定した目的、目標を達成するための施策になっているでしょうか?

その施策リストを実施すれば、目的、目標を達成してターゲットユーザーを獲得できるのでしょうか?

 

目的、目標、ターゲットユーザーを明確にして、それらを達成するための方針こそが「マーケティング戦略」なのです。

実はHOW思考に陥っている状態とは、マーケティング戦略を完全に無視している状態といえます。

HOW思考から脱却する方法

HOW思考っていうヤツは本当に厄介なヤツでして
一度染まってしまうと、なかなか抜け出せない悪いヤツなんですよ

一見、マーケティングマインドが高そうな人も
いざとなったら「HOW思考」で物事を考えてしまうことがあります。

 

あの人って凄いアイディアマンなんだよね

こう言われたことはありませんか?

これは、マーケティングがでない人、無能な人と言われていると思ってください。アイディアマンという言葉は、まさにHOW思考の代表格だからです。

 

では、どうやってHOW思考から脱出するのか?

トロネコの経験上、HOW思考を脱却する方法はひとつしかありません。

 

・必ず先に「マーケティング戦略」をつくり
・「マーケティング戦略」をメンバーに周知した上で
・施策の議論をする
・議論が「マーケティング戦略」から外れて
・HOW思考になりそうなら
・マーケターが「マーケティング戦略」を再度説明し、軌道修正する

もちろん議論を阻害せず、メンバーが持っているアイディアを引き出しながら進行する必要はあります。

絶対に施策アイディアから入ったりしてはいけません。

なぜなら、どんなに素晴らしい、面白そうでバズりそうな施策であっても、この商品、ゲームを売る上でその施策は適切とは限らないからです。

ここはファシリテーターとしてのスキルも重要になってきます。

これを続ける事でHOW思考を修正し
マーケティング思考を擦り込みながら
メンバーに習慣化させます。

このようなプロセスは実際にトロネコもやってきた方法であり、HOW思考からチームや組織が脱却するためには有効な方法です

ただし、音頭を取るマーケター自身が「絶対にHOW思考にならず、マーケティング思考であり続ける」という最後の砦を死守しなればなりません。

つまり裏を返せばマーケターの能力次第で開発も営業も含むチームメンバーのポテンシャルを決めるというわけです。

 

繰り返しますがプロモーション施策で世の中をザワつかせる事がマーケターの仕事ではありません。

ゲームや商品をヒットさせた上で世の中をザワつかせる事が目的です。

マーケター、プロモーション担当の中にはゲームや商品が売れることなんてどうでもよくて、ただ自分の実績になる、やったことリストに追加できる、世の中をザワつかせることを仕事の目的にしている人もいるので要注意です。

ワンランク、ツーランク、スリーランク上の視点で物事を考えてみましょう。

もし、皆さんがゲーム会社の社長や経営層であるならば、バズるプロモーションはどうでもいい話です。あくまでもそれはゲームや商品を売るための手段に過ぎないからです。

まとめ

話を最初に戻すと

「ゲーム プロモーション施策 事例」

で検索すると、さまざまなプロモーションの成功事例がヒットします。

もし、これらでヒットする事例が本当に成果が出た施策だとしても、ヒットする要因って「タイミング「ゲームタイトルの特性」「市場環境」などさまざまな要因が影響しているので、同じ事を真似ても、みなさんの商品や担当タイトルに効果があるかというと、ちょっと疑問です。

しかし、施策事例のアイディアとしては参考になります。それが成功事例でなくても、そこにはヒントが隠されているかもしれません。

そのヒントを活用するには「HOW思考」にならないように

まず最優先でタイトルのマーケティング戦略をつくる

という点が重要です。

その上で、その戦略を達成するために施策事例が使えそうなら、アイディアを拝借してあなたの戦略にチューニングしながら施策に落と仕込めばいいわけです。

これができるとゲーム業界に限らず、あらゆる業界の施策事例、それも成功失敗を問わず取り込むことができるのでオススメです。

マーケティング戦略なんて作ったことがないです

という方は下記の記事で詳しく解説していますので合わせて読んでみてください。

というわけで今回はここまで!