スマホゲーム事前登録キャンペーン報酬の設計方法(アプリ配信直後のKPIが激変します)

スマホゲーム

こんにちはトロネコです。

今回は新作スマホアプリ、PCオンラインゲームにおけるの定番施策である

「事前登録キャンペーン」における報酬設計の基本的な考え方

についてご紹介します。

 

基本的な考え方なので、スマホゲーム、PCオンラインゲームに限らず、オンライン系Webサービスでも転用はできます。

ぜひ、事前登録キャンペーンの報酬設計する時のベースの考え方としてご活用ください。

その他、事前登録に関する情報は下記でも記載していますので合わせてご覧ください。

【保存版】ゲームアプリの事前登録プロモーション・配信までのおすすめ期間は?

ゲームアプリ事前登録媒体の賢い選び方

 

適当に事前登録キャンペーン報酬を決めていませんか?

例えば事前登録キャンペーンの報酬を考える時に次のような考え方で決めていませんか?

 

事前登録キャンペーンの報酬は何にしようかな?

とりあえずゲーム内アイテムで用意できる報酬をあげることにしよう

ゲームとは関係ないけど、リアル報酬(実物のプレゼントなど)も用意しようかな。

100万円プレゼントとか現金や金券もいいかも!?

 

なんとなくゲーム内アイテムの報酬を決めたり

ゲームとは関係ない報酬をプレゼントしたりしていませんか?

 

 

いずれのケースも、おすすめしません。

なんとなく決めたゲーム内アイテムは、ユーザーから見ると欲しいアイテムではないかもしれませんし、ゲーム外のリアル報酬は本来獲得する必要のないターゲット外のユーザーを無駄に獲得してしまい、売上に直結しない場合が多いからです。

 

基本的に事前登録キャンペーンにおける報酬はゲーム内アイテム報酬だけにするべきなのですが、ここで問題なのは

ゲームアプリ配信前に「ゲーム内の石やコイン100枚プレゼント!」といっても

誰もそのコインや石の価値をゲーム配信前に理解できないので、事前登録を後押しするだけのパワーとして「ゲーム内の石やコイン100枚プレゼント!」が適切なのか?不適切なのか?よくわからない

というわけですね。

ゲーム配信前ですから、そのゲームがどんなゲームで、どんなアイテムが有用なのか誰もわからないので、事前登録キャンペーンの報酬の価値なんてわかるはずないんですよね

 

 

ならばどうするか?

事前登録施策による報酬は以下の3つのポイントで設計します。

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事前登録キャンペーンにおける報酬設計の3つ観点

事前登録キャンペーンの報酬設計は次の3つの観点を押さえておくだけで、その価値は大きく変わります。

知っているのと、知らないのでは大きな差がつくので、必ず押さえておきましょう。

事前登録キャンペーンの報酬設計をする際に、これらを踏まえて設計するようにしましょう

 

 

①事前登録からのインストールコンバージョンを意識した報酬

なぜ事前登録キャンペーンをするのか?

下記の記事でも書いていますが、事前登録キャンペーンに登録するようなユーザーは課金率、生涯課金金額が他のユーザーよりも飛び抜けて高い傾向にあることがわかっています。

スマホゲームの事前登録キャンペーン施策で獲得したユーザーの課金率・生涯課金金額(LTV)が高い理由

 

なんとなくアプリをインストールしたユーザーに比べて、事前登録までしてアプリをインストールしたユーザーでは、そのゲームに対する熱量や期待値が断然違うのは当然ですよね。

 

 

(また、事前登録で獲得したユーザーだけで、その後、数年のゲーム運営の売上のベースが作られているゲームも存在しますので、事前登録ユーザーの価値は非常に高いのです)

 

そうなると

事前登録ユーザーをアプリ配信直後にどれだけインストールさせられるのか?コンバージョン(インストール転換)が非常に重要になってきます。

 

つまりアプリ配信日の当日、少なくても配信日直後の土日までには事前登録ユーザーにアプリをインストールしてもらい、ゲームを遊んでもらう必要があります。

つまりアプリ配信直後からゲームを起動しなければならない理由づけとして事前登録報酬は決める必要があります。

 

具体的には

アプリ配信から期間限定でインストールしたユーザー全員に、ゲームアプリ起動直後にもらえる特別な事前登録報酬が必要になります。

 

 

「期間限定」で「特別な報酬」というのがポイントで

これが事前登録ユーザーのコンバージョンを促進するのです。

 

具体的には次のような設計が考えられます

期間限定 アプリサービス開始から24時間、48時間、最初の土日まで等、その期間を超えるともらえない報酬
特別な報酬 既存のSレアキャラ(良いキャラだけど、今後入手できる余地は残す)、このタイミング限定で2度と入手できないキャラ(そこまで強くないけど今後入手できない限定キャラ)、XX連ガチャ無料(誰でもその価値を理解できる限定ガチャ)、スタートダッシュ向け素材セットなど

ここでのポイントは

なんとしても配信直後に遊ばなければならない理由付けが事前登録ユーザーに提供できるかにかかっています。

 

その他、事前登録で獲得したTwitterフォロワーはアプリサービス後の貴重なプロモーション資産として活用できます。

そのため事前登録媒体の選び方も重要になります。こちらの記事も要チェックです。

ゲームアプリ事前登録媒体の賢い選び方

 

②アプリ配信からday7の離脱を軽減させる報酬

①で事前登録ユーザーのインストールを促進できたら、その次にやってくるのは

「ユーザーを離脱させず、どうやってプレイ継続させられるか」

になります。

改めて説明する必要までもありませんが、無料のスマホゲームやPCオンラインゲームは

インストールした直後からユーザーが辞めていく宿命から逃れられないゲーム

なのです。

下記の記事でも詳しく解説していますが、どこでやめるのか?

それは

ユーザー属性×ゲームジャンル×ゲーム設計

によって変動します。

【保存版】KPI継続率に影響を与える10個の要素改善方法|リテンションマーケティングの正体

 

こちらの記事で書いていますがアプリ配信からイメージとしては次のような感じでユーザーは辞めます。

ゲームジャンル 1day 3day 7day 14day 30day
一般平均 50% 40% 30% 15% 10%
パズル 70% 60% 50% 40% 30%
シミュレーション 40% 30% 20% 15% 10%
RPG 50% 40% 30% 15% 10%

一般的な平均値(=悪くない及第点の数字)でも、1dayでインストールユーザーの50%が辞めます。

 

やめる理由には様々なものが存在しますので、事前にチューニングテストなどを行って、事前登録報酬設計をするタイミングでは

「ユーザーがやめる理由や箇所」を把握して、ゲーム内でも解決されていると思います。

【ゲームアプリ開発】CBT・OBT・チューニングテストの設計方法とメリットとデメリット

 

ゲーム内でユーザーの離脱ポイントをできるだけ解決したけど、解決しきれない部分を事前登録報酬でサポートするのです。

例えばテストで下記のような離脱ポイントが判明して、ゲーム内改修をしたけど、全てのユーザーに対して改修し切れないという課題が残ったとしましょう。

下記は全てダミーになります。実際にはテストを実施するともっと詳細な離脱ポイントが明確になります。

プレイ日数 テストで判明した離脱原因 事前登録報酬によるサポート
day0 初期アセットのダウンロード待ち時間が長い 不可能
day1 ゲームのルール理解がしにくい 不可能
day2 ボス戦でやられてしまう 可能
day3 キャラクターの成長で苦戦する 可能
day4 遊びたいのにスタミナが切れてしまう 可能

 

day2、day3、day4の離脱要因を軽減するために、事前登録で例えば次のようなアイテムでサポートします。これらはゲームによってバラバラであり、それはターゲットユーザーによるテストによって把握できます。

離脱につながる原因 事前登録報酬の付与タイミング 事前登録キャンペーンによる報酬
ボス戦でやられてしまう 事前登録ログインボーナス2日目 ボス戦をなんとか突破できるプレイ達成感を削がない回復アイテム
キャラクターの成長で苦戦する 事前登録ログインボーナス3日目 キャラクターの成長実感を感じられるプレイ達成感を削がない成長アイテム
遊びたいのにスタミナが切れてしまう 事前登録ログインボーナス4日目 無限に遊ばせて惰性感を感じさせないスタミナ回復アイテム

 

アプリ配信からのday7におけるユーザー離脱を軽減する目的として、事前登録キャンペーン報酬は設計しましょう。

③CBT、OBT結果を反映した報酬

「②アプリ配信からday7の離脱を軽減させる報酬」を決定する方法としては、社内だけのクローズドなチューニングテストが必要になります。

チューニングテストを実施せず、ゲーム開発サイドの想定だけで事前登録報酬を決めるケースが多く、それもダメとは言わないのですが、

ゲーム開発サイドが想定していることがうまく行くケースの方が実は少なく、チューニングテストをすると、想定外の気づきが得られる事が多いのです。

ゲームタイトル発表後にCBT、OBTをやるので、その結果を持って、事前登録キャンペーンの報酬設計すればいいのでは?

という意見もありますが、

CBT、OBTの実施タイミングって、既に事前登録キャンペーンが開始している事がほとんどだと思います。

例えば下記のようなスケジュール感になると思います。

アプリ発表前 社内でリクルートしたユーザーによる完全クローズドなチューニングテスト
アプリ発表直後 事前登録キャンペーン開始
配信2ヶ月前から1ヶ月前 一般ユーザーから募集したCBT、またはOBT、もしくはその両方
アプリ配信日確定 一般ユーザーから募集したCBT、またはOBTによる最終確認の結果

 

「CBT、OBTは社内チューニングテストによって改修されたゲームビルドに対する最終確認テスト」みたいな位置付けになります。

ただし、CBT、OBTで下記に関わる新たな発見をすることも多いものです。

継続モチベーションに関わる問題

課金モチベーションに関わる問題

 

ゲームアプリなどは継続と課金モチベーションの掛け算で作られています。

スマホゲーム・Webサービスは継続モチベーションと課金モチベーションの掛け算で説明できる|モチベーションマーケティング

 

CBT、OBTではこの2つのモチベーションの最終確認をします。新たな問題が発見されても、発売日を厳守するなら、ここから大規模なゲーム改修はできません。

発売日を変更しないことを前提とした上で、CBT、OBTのタイミングでできることってバグ修正とバランス調整くらいになります。

 

よって、CBT、OBTで発見された課題を解決するために「事前登録キャンペーンの報酬」で対応できることを考えます。

そんなこと言っても、このタイミングで既に事前登録キャンペーンは開始されており、報酬もオープンになっているので間に合わないですよね?

そんな声も聞こえてきそうですよね・・・

そこで、CBT、OBTで発見された課題に対する事前登録報酬は

開催中の事前登録キャンペーンにおける追加報酬という形で対応するのです。

 

よく事前登録キャンペーンで、「追加報酬決定!」みたいなニュースを見ることはありませんか?

あの追加報酬はあまり考えられずに「ただ追加されているケース」が実は多いのですが、この追加報酬をCBT、OBTで発見された課題を解決するための報酬として用意するのです。

これによって、事前登録キャンペーンの報酬が「ただの過剰なアイテム供給」や「ゲーム配信直後のゲーム内経済を壊してしまう悪施策」にならずに済みます。

 

継続モチベーション×課金モチベーションの話はyoutubeチャンネルでもご紹介しています。

【保存版】スマホゲームアプリ事業の成功の方程式を全部お話します!The Formula for Success in the Smartphone Game App Business

 

まとめ:事前登録キャンペーンの報酬設計は一歩間違えると地獄かも

最後に事前登録キャンペーンの報酬について、ちょっと怖い話をしましょう。

今回のように、事前登録キャンペーンにおける報酬設計がちゃんとされていれば問題ないのですが、実は多くの現場では

目的も不明確なまま、なんとなく設計されているケースも少なくないのです。

そもそも、事前登録キャンペーンの報酬が、アプリ配信直後のKPIに貢献できる事を理解していないケースも多く、勿体ないことをしているゲームも多いのです。

 

「もったいない」だけなら、まだいいのですが、怖いのは

事前登録で配布したアイテム、ゲーム内通過、キャラクターなどが、配信直後の

課金モチベーションが高い、もっとも売上が期待できる状況に水を挿してしまうような事態を引き起こしてしまうようなケースです。

例えば

「過剰なアイテム付与でゲーム内経済が壊れてしまった」

「強すぎるキャラ付与でユーザーはガチャを回す必要がなくなった」

そんなリスクが事前登録の報酬付与は隣り合わせであることを理解する必要があります。

 

今回は事前登録の報酬設計の話をテーマにしていますが、一番伝えたいこと、重要なことは

ちゃんと目的を持って事前登録キャンペーンの報酬設計をしましょう

ということなのです。

なぜ、事前登録キャンペーンの報酬で、そのアイテムやキャラを付与するのか?

それを付与したらどんなことが起こるのか?(メリットとデメリット)

それを理解して報酬設計する「姿勢」が重要なのです。

 

ぜひ、今回ご紹介した3つの観点を踏まえた上で、事前登録キャンペーンの報酬を議論するようにしてみてください。

そうすればもっとゲームアプリ事業の成功率がアップするはずです!

というわけで今回はここまで!