【初心者向け】P2E・NFTを使ったゲームマーケティングにおける基本的な考え方

マーケティング

こんにちはトロネコです。

今回はまだよくわからない人も多いかもしれない「P2E」「NFT」に関するお話です。

NFTを使ったゲームにおける「P2E」続々と登場しているので

ゲーム運営に関するマーケティングの考え方についても解説します。

P2E、NFTとは何か

そもそもP2E、NFTとは何か?

ここか話を始めましょう。

P2E(Play to Earn)

P2EとはPlay to Earnの頭文字を取った言葉であり「遊びながら稼ぐ」という意味を持ちます。

ブロックチェーン技術を使ったオンラインゲームで使われる言葉になります。

ゲームをプレイすることで仮想通貨がもらえたりします。この仮想通貨を換金することでお金を稼ぐというわけです。

ちなみに

ブロックチェーンゲーム(BCG)、NFTゲーム、P2Eゲームというワードも使われますが、いずれもPlay to Earn(遊びながら稼ぐ)という意味を持ちますので、同じ意味を持ちます。ただ表現が異なるだけと考えていただいて結構です。

最近はゲームをすることでポイントを稼ぐゲーム(ポイ活ゲーム)や、ゲームを稼ぐことで豪華賞品がもらえる景品ゲームみたいなものも多数登場しています。これらは仮想通貨がもらえるわけではないですが、ある意味、P2Eなのかもしれません。

でも一般的にはP2Eとは呼ばれていません。

P2Eの対象物は基本的に

「報酬として仮想通貨がもらえる」

という部分をベースに考えていただいて結構です。

NFT(Non-Fungible Token)

最近、よく耳にするNFTとはNon-Fungible Token(ノン-ファンジャブル トークン)の頭文字を取った言葉になります。

NFTとは非代替性トークンという意味を持ちます。「変えが効かない唯一無二のもの」とも言い換えられます。

ゴッホの絵、トロネコ手書きサイン入り色紙、美術品などが該当します。

一方で仮想通貨は代替性トークンになります。「変えが効く」とも言い換えられます。

お金、仮想通貨、ゴッホの絵の副製品コピーなどが該当します。

NFTと仮想通貨の違い

がごっちゃになっている人も多いかもしれません。

NFTも、仮想通貨もブロックチェーン技術(データの改竄や不正が困難な完全にデータを記録できる技術のこと)を使っているため、いずれも「トークン」と呼ばれていますが

NFTはブロックチェーン技術によって証明された「変えが効かない唯一無二のもの」となります。P2Eゲームの中でNFTキャラクターが手に入る場合がありますが、これも唯一無二のキャラクターであり価値を生みます。

一方で仮想通貨はブロックチェーン技術によって証明された。「変えが効くもの」となります。仮想通貨はコピーしたり、偽札は作れないけど、あくまでも通過ですから、膨大に世の中に同じ通過が存在するという意味です。

NFTはデジタル資産の所有者を明確にすることができるため、最近はニュースでも見かけることも多くなりましたが

NFTを使ったデジタル美術品、漫画、楽曲などが話題になっています。

主なP2Eゲーム

P2Eゲームはかなりタイトル数も増えてきています。

最初からP2Eを前提として開発されたゲームから、すでに運営中のオンラインゲームをアップデートすることで後からP2Eの機能を追加したものまで多種多様になっています。

Sorare(ソラーレ) NFTカードによるサッカーゲーム。ゲームの結果によって報酬がもらえる
JobTribes(ジョブトライブス) NFTトレーディングカードゲーム。ゲーム内で使うキャラクターがNFTになっている
Crypto Spells(クリプト・スペルズ) 日本開発のNFTトレーディングカードゲーム。
The Sandbox(ザ・サンドボックス) マインクラフトみたいなメタバース(仮想空間)。キャラクターを作成したり土地を売買できる
PolkaFantasy(ポルカファンタジー)  ファンタジーRPG風なトレーディングカードゲーム
BombCrypto(ボムクリプト)  放置少女みたいな放置ブラウザゲーム。放置するとNFTアイテムを稼いでくれる
元素騎士ONLINE  元々サービスしていたオンラインゲームにNFT機能をアップデート追加したタイトル
Mir4(ミル4)  有名なオンラインゲーム。ゲーム内でレベル40を超えると、収集したアイテム「黒鉄」を仮想通貨に交換できる

ただ、いずれのゲームも、基本的にはこれまで存在しているゲームシステムをベースにしており、NFT、P2Eの登場によって、何かしら新しいゲームシステムが発明されたわけではないという点に注目です。

つまり、ゲーム内の通過やアイテム、キャラクターがNFT化されただけであって、そのサービスを運営する上で従来のゲームアプリマーケティングの経験や戦い方、戦略やプロモーションは使えるということになります。

 

ただ、ここからが重要です。

従来のゲームアプリマーケティングの経験や戦い方、戦略やプロモーションは使えるけど、そのまま全部使えるわけではない、とううことです。

P2E、NFTゲームのマーケティングにおける「攻略法」をここからお話します。

ここからの内容はめちゃくちゃ重要です。

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P2E/NFTゲームマーケティングの攻略法と課題

基本的に一般的なゲームアプリマーケティングの経験や知識、戦い方がP2E、NFTゲームのマーケティングでも使えます。

でも、そのまま使うと、実はうまく行きません。

なぜなら

一般的なゲームと、P2E/NFTゲームではユーザー属性やユーザーのプレイモチベーションが全く異なるからです。

プレイモチベーションが異なる

一般的なゲームアプリ事業を成功させるための方程式は、別の記事でも解説していますが次の方程式が全てです。

それぞれのモチベーションに影響を与えるKPIは次の通りになります。

・継続モチベーションに影響を与えるKPI

DAU:DailyActiveUsers 1日あたりの固有のアクセスユーザー数

MAU:MonthlyActiveUsers    1ヶ月あたりの固有のアクセスユーザー数

継続率:RR(ReturnRate/RetentionRate)  1ユーザーのゲームプレイ継続状況

・継続モチベーションを支えているもの

「勝ちたい」「強くなりたい」「コンプリートしたい」「ストーリーを読みたい」「1番になりたい」「友達と一緒に遊びたい」など・・・

 

 

・課金モチベーションに影響を与えるKPI

ARPU:AverageRevenuePerUSers プレイしている全体のユーザーに対する(無課金ユーザーも含む)平均か金額

ARPPU:AverageRevenuePerPaidUSers 課金しているユーザーの平均化金額

LTV:LifeTimeValue そのユーザーが特定の期間にゲーム内で使った課金額の合計

・課金モチベーションを支えているもの

「勝ちたい」「強くなりたい」「1番になりたい」「そのためにはもっとアイテムやキャラが必要だ」など・・・

 

これらモチベーションは「マズローの5段階欲求説の記事」でも触れていますが、低次欲求から高次欲求まで、ユーザーの成長プロセスとともに様々なモチベーションの動機が存在します。

 

これら「継続モチベーション」と「課金モチベーション」の掛け合わせでゲーム事業は成立します。

言い換えれば

継続モチベーションだけ作れても、課金モチベーションが作れなければ売上は作れません。

継続モチベーションが作れず、課金モチベーションが作れたとしても(そんなことはほぼ存在しないのですが)これも売り上げは作れません。

 

規模の大小はありますが両方が同時に成立しなければゲーム事業は成功しないのです。

これについては下記の記事で詳しく解説しています。

前置きが長くなりましたが、ここまでが一般的なゲームの話です。

 

P2E、NFTゲームの場合はプレイする目的は基本的に「お金」です。

これはP2E、NFTゲームの生まれ育ちにもよります。最初からP2E、NFTゲームとして開発されたゲームと、後からP2E、NFTゲーム機能を追加したゲームでは異なります。ここも考慮する必要はあるのですが

 

基本的にP2E、NFTゲームの場合はプレイする目的は基本的に「お金」になりますので、一般的なゲームにある「継続モチベーション」にある

「勝ちたい」「強くなりたい」「コンプリートしたい」「ストーリーを読みたい」「1番になりたい」「友達と一緒に遊びたい」など・・・

といったモチベーションは一般的なゲームアプリと比べるとかなり低くなります。

また、課金モチベーションの目的は、あくまでも稼ぐための投資としての課金という意味合いが強くなります。

P2E、NFTゲームの場合は

一般ゲームとは異なるモチベーションについて深く掘り下げる必要があります。

モチベーションが異なるということは

継続、離脱、課金ポイントも異なるということであり

それら課題に対する打ち手も異なるからです。

ここはP2Eゲームのマーケティングを考える上で非常に重要なポイントです。

口座開設のハードル

ここからはP2E、NFTゲームを始める上でのハードルになるものをご紹介します。

プレイのハードルになるもの=集客に影響しますので

新規ユーザー獲得において解決すべきこと、となります。

 

P2E、NFTゲームの場合は仮想通貨などが必要になります。よって仮想通貨の口座を開設する必要があります。

・銀行口座を作る

・ネット銀行口座を作る

・クレジットカードを作る

・ネット証券口座を作る

・仮想通貨のアカウントを作る

これらは非常にハードルが高く、P2E、NFTゲームと関係なく各社が苦戦している部分になります。

P2E、NFTゲームのために、これら口座を作ることはできるのか?

そのための明確な動機を提示することができなければ、P2E、NFTゲームにおける完全新規ユーザー獲得は苦戦します。

一方でP2E、NFTゲームのターゲットユーザーを「仮想通貨の口座を持っている人」に限定するという方法もあります。

SBIネット銀行を持っている人は、BIG、TOTOが訴求されるように、P2E、NFTゲームに近い状態のユーザーに対してアプローチするという方法は、まず最初の考えるべきことになります。

初期投資のハードル

P2E、NFTゲームを始める上では初期投資が必要になります。

つまり、基本プレイ無料で始められるスマホゲームのお手軽さとは違い、ゲーム開始時にNFTキャラクターなどを購入する必要があるので、何かしら初期投資が必要になります。安くても数万、数十万のお金が必要になります。

この初期投資問題を解決する方法として「スカラーシップ」という仕組みがあります。

スカラーシップとは

お金を持っている人がゲームを始めるために必要なNFTキャラを購入して、それを他のプレイヤーに貸し出して、貸し出されたNFTでユーザーが儲けた場合、儲けの50-70%がオーナーの収入になるという仕組みです。

しかし、この仕組みは複雑であり、結局、オーナーが儲かるだけであるとも言えます。

損失リスクがある

P2Eは稼ぐことが目的であり、投資活動のひとつなので損失リスクがあります。

極論を言えば、損失によって投資がまわらなくなったらその時点でゲームから強制退去となりますし、一般的なゲームと違い「稼ぐこと」がプレイモチベーションに直結しているので無課金で遊び続ける理由はありません。

(稼げないのにP2Eを遊ぶ理由ってないですよね?だったら普通のゲームを遊びますから)

このようなリスクがあるので

完全新規ユーザーが始める上での超えるべき心象ハードルも高くなります。

課税申告が面倒臭い

仮にP2Eで儲かったとしましょう。

でも仮想通貨は確定申告などの課税申告が面倒いというのも課題としてあります。むしろ、確定申告について理解がある人ほど、P2Eゲームをプレイすることで発生する課税が原因で、一歩踏み出せない人はいるかもしれません。

P2E/NFTに対するイメージ問題

そもそもP2E、NFTそのものが新しく、ニュースで見かけるNFTは投機そのものであり、そこに本当に価値があるのか、まだ理解できていない人も多いと思います。

つまり、圧倒的にイメージがまだ定まっていない、不安定な状況なので、そういった部分においてはプレイ障壁になりうる可能性はあります。

リプレイスに難しさ

基本的にP2E、NFTゲームは普通のゲームと変わりません。

そして、一般的な新作ゲームアプリの場合は他のゲームからの乗り換えによってヒットします。

時間もユーザーも有限ですから、新しいヒットが生まれるためには、他のゲームからユーザーを奪ってくる必要があります。

これはP2Eもゲームである以上、同じなのです。

でもP2Eは一般的なゲームとは異なるプレイモチベーションを持っていますので、単純にゲームからの乗り換えはハードルが高くなります。

ならば、仮想通貨、株式投資、その他投資やギャンブル的なものから乗り換え需要を狙うとしても、ユーザーにとって可処分時間、可処分所得は限られていますから

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と考えると、まだまだ乗り換えハードルも高いと言えます。

まとめ

P2E、NFTゲームを成功させるためには様々なハードルがありそうです。

少なくても一般的なゲームアプリの成功の方程式はそこそこ使えそうだけど、そのままではうまく行かない、ということは推測できます。

ここにおける課題を洗い出し、どのように解決していくのか

マーケターとしてP2E、NFTゲームを成功させるために踏み込めるかがポイントになりそうです。