曜日によってデジタルマーケティングの獲得効率(CTR/CVR)が変動する理由

宣伝・プロモーション

こんにちは

マーケティングスペシャリストのトロネコです。

突然ですが質問です。

1週間のうち、もっともユーザー獲得ができる曜日はいつですか?

例えばデジタルマーケティングにおける運用広告の場合、成果地点を

インストールベースなのか?(ゲームがインストールした時点で成果とするか)

ゲーム起動ベースなのか?(インストールしたゲームの初回起動時とするか)

これら成果地点の設定によっても答えは異なりますが

 

正解は

「ターゲットユーザーにおける可処分時間が多い曜日になります」

 

つまり

インストールも、インストールしたゲームの初回起動も、ターゲットユーザーの可処分時間に比例します。

さらに注意して欲しいのは、

そのゲームのターゲットユーザーが誰なのか?によって可処分時間も変化するという点です。

基本的に土日祝日などが圧倒的にユーザーの可処分時間は多いはずですが、ターゲットユーザーによっては土日祝日はむしろ時間が取れない人もいるわけです。

「ゲームタイトルのターゲットユーザー設定次第で獲得できる曜日が異なる」

まずは、ここを押さえておく必要があります。

 

さらにもう一歩進んで考えるならば、ユーザーがインストールするタイミングと、

実際にゲームを起動するタイミングは必ずしも同時ではありません。

とりあえずゲームをインストールしたけど、遊ぶのは週末にしようかな

と言ったようにインストールとゲームプレイには時間のズレが生じます。

どのくらいのズレが生じるかは、これもターゲットユーザーの属性によって影響を受けます。

 

 

これらのことは、よく考えると、当たり前のことなのですが、多くの人がこのシンプルな事実に気づいていません。

 

デジタルマーケティングを行う人の多くは、

今、この瞬間に広告を出したら、今日中にユーザーがゲームを起動してくれる(ユーザー獲得できる)から、すぐにゲーム内KPIに影響を与えることができると考えています。

インストールと実際のゲーム起動に時間のズレが存在することをあまり理解していないのです。

 

ちょっと変わった、わかりやすい具体例をあげてみましょう。

OBT開始したけど、想定した数字に対して全然、人が集まらない!!

急遽Web広告を出して参加者を今日中に集めなければならない!!

こんな状況ってありませんか?

 

でも、「急遽Web広告を出して参加者を今日中に集めなければならない!!」というのは、ゲーム会社の一方的な都合であり、ユーザーの可処分時間を全く考えられていません。

ターゲットユーザーが会社員であるならば、平日にゲームをインストールするところまでは誘導できても、ゲームを遊んでもらうところまで行くのは結構大変なのです。

 

ちなみに、今回はデジタルマーケティングの話をしていますが

SNS運用、youtuber施策、動画施策、TVCMなど、あらゆるプロモーション効果をみる上でもゲームインストールとゲーム起動のタイミングにはズレが生じます。

このタイミングのズレを理解できていれば

インストールからのゲーム起動までのタイムラグを計算した上で、いつ集客したユーザーがゲーム内KPIにインパクトを与えられるのか?設計できるわけです。

 

しかし、多くのマーケター、プロモーション担当、デジタルマーケ担当は、ここまで考えておらず、ユーザーをインストールさせることを自分たちの仕事と考えている傾向があります。

でも、ゲーム事業の責任者の視点で物事を考えてみてください。

 

一担当ではなく、ゲーム事業の責任者の視点で考えると

「ゲームマーケティングにおいて重要なのはユーザーを獲得することではなく」

「ゲームマーケティングにおいて重要なのはユーザーにゲームを遊んでもらって」

「最終的にはゲーム内で売上を獲得すること」

ということに気づくと思います。

 

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ゲーム内KPIに影響を与えるユーザー獲得設計の手順

今日からゲーム内で新しいイベントが開始するから新規ユーザーが欲しいとか

今日、1周年記念だから新規ユーザーが欲しいとか

どうしても、「今日」という時間軸で物事を考えてしまいがちですが、

 

・このゲームのターゲットユーザーは誰なのか?

・どんな行動特性があるのか?

・今日という日は月曜日なのか?金曜日なのか?

様々な要因が「インストール」と「ゲーム起動」という「ユーザーアクション」に影響を与えます。

簡単にまとめると、各プロセスには次のようなユーザー感情、ユーザーの事情が働きます。

厳密にはこれら各プロセスの行動において

ユーザーの中で明確な論理的な損得勘定が働いて行動したり、行動しなかったりするわけではありません。

ユーザーは無意識に判断して、無意識にそこで行動したり、それ以上の行動を止めたりします。

広告をクリックする 広告クリエイティブに対する反応。興味があればクリックする、興味がなければクリックしない
アプリストアに飛ぶ アプリストアの情報をもとにインストールするか、しないか判断します。この判断材料はターゲットユーザーの属性によって変動します。

論理的に判断する人もいれば、感情的に直感的に判断するユーザーも存在します。ここを攻略する方法がASOの設計の話になります。

アプリインストール
アプリを起動する アプリを起動する瞬間は、「とりあえず、どんなゲームなのかみてみるかな」という小さな決意ができるかによります。
ゲームを始める ゲームを始めるという行動は、これからしばらくはゲームを遊べる時間が確保できるので「とりあえずチュートリアルくらいまではこのゲームで遊んでもいいかな」という小さな決意ができるかによります。

 

これらプロセスが一瞬で完了するユーザーもいます。広告を出した瞬間にこのプロセスが秒速で完結する人もいます。そういう人はすぐにゲームユーザーとして獲得できますが

でも多くの人はある程度、時間を要するのです。

 

例えばターゲットユーザーが会社員ならば

朝、広告をクリックさせてもゲームインストールさせることは難しいかもしれません。

お昼休みにインストールさせることができても、すぐに遊ぶだけの時間が取れないかもしれません。

そのゲームがガッツリ遊ぶゲームだとするならば、明日も仕事があるので、平日の夜にゲームを遊ばせるのは難しいかもしれません。

 

しかし、ターゲットユーザーが主婦ならば

家事が落ち着いた午後の数時間はゲームに充てられるかもしれません

 

さらにガッツリ系のRPGと、ライト系のパズルゲームなど

ゲームジャンル、ゲームの遊び方も可処分時間に影響を与える要素になります。

 

冒頭でお話ししましたが

OBT開始したけど、全然、人が集まらない!!

急遽Web広告を出して参加者を今日中に集めなければならない!!

といった状況だとするなら、

これはターゲットユーザーの行動を全く理解しておらず、その場しのぎのプロモーションをしようとしているに過ぎないのです。

 

そもそもOBTの実施スケジュールもターゲットユーザー属性を考慮したものではなく、ゲーム会社都合で設定されている場合があります。

OBT実施の目的って何でしたっけ?

Web広告でユーザーを獲得する目的って何でしたっけ?

結局のところ、ゲーム内で何かしらのインパクトを出したいからユーザー獲得をするわけであって、ただ、ダラダラとユーザーを獲得すればいい、というわけではないはずです。

これはOBTやWeb広告の話だけを言っているのではなくて、マーケティング全般でも言えることで、TVCMとかも全て含まれます。

 

データで見るCTRとゲーム起動のタイムラグ

様々なデータをもとに分析すると次のような事実が見えてきます。

Web広告を例にあげてみましょう(理論上はSNS施策やTVCMでも同様の結果になるはずです)

・平日はWeb広告のCTRは良いけど、インストール数が少ない

・平日でもインストール数が良いゲームもあるけど、初回起動されないからゲーム内KPIに反映されない

これらの要素がゲームユーザー獲得に大きな影響を与えます。

平日は広告もクリックされるけどいまいちインストールされない

または、

インストールされるけど、ゲーム内KPIに反映されない

というケースがありますが、これは可処分時間が影響しています。

その一方で、土日はCTRやインストール数に対して、過剰なくらいにゲームの初回起動がされたりします。

土日はユーザーの可処分所得があるので、ユーザー獲得しやすいタイミングであることには変わりないのですが、平日にインストールしたユーザーが土日の可処分時間がある時にゲームを起動した事による積み上げが、かなりされているのです。

 

上記に対してターゲットユーザーの可処分時間と、ゲームのインストール&プレイに影響を与えるゲームジャンルを掛け合わせてみましょう

 

・仕事をしているのか?学生なのか?主婦なのか?

・ゲームジャンルは?ダウンロード容量は?ゲームプレイ時の追加アセット量は?

これらを踏まえて

ゲーム内でKPIの盛り上がりが必要な日から逆算して、広告展開のスケジュールを設計することができます。

金曜日夜から開始するゲーム内イベントを盛り上げたいならば、そこから逆算してWeb広告の掲出を設計すべきです。その際にゲームのジャンルやターゲットユーザーの属性なども考慮に入れる必要があります。

 

いやいや、違うよ

だって毎日、Web広告出しているけど毎日ユーザー取れているから

Web広告は掲出した瞬間にゲーム内ユーザーとして獲得できるんだよ

という意見もあるかもしれません。

もちろん瞬間的に獲得できるユーザーも存在します。ユーザーによっては平日でも可処分時間があるユーザーだって存在するからです。

でも平日と休日のWeb広告のKPIとゲーム内のKPIを並べて比較してみてください。Web広告のKPIに対して、明らかに土日の獲得効果が異常に高くはないですか?

月曜日から金曜日の間で、とりあえずインストールしたけどゲーム起動するのは土日だったりするユーザーが多いはずです。

 

下記でも関連記事を書いていますので参考にしてみてください。

まとめ

最後にまとめると次のようになります。

・平日はCTRは稼げてもなかなかCVしない

・土日はCTRとCVRのタイミングのギャップが短い

・上記のギャップはユーザー属性の可処分時間に依存する部分が大きい

・CTRとCVはゲームジャンル、内容、フェーズによっても影響を受ける

・デジタルマーケティングはクリエイティブだけでなくユーザー分析による運用も重要である

そのゲームタイトルにおけるターゲットユーザーはどんなユーザーなのか?

ここを深く掘り下げず、ただプロモーションをしてユーザーという数字上のKPIだけを追いかけているケースが多いので注意が必要です。

というわけで今回はここまで!

今回の記事が皆さんの気づきになれば幸いです。