こんにちはトロネコです。
世の中にはWeb広告運用でユーザーを獲得して
ゲーム内KPIに貢献できるゲームアプリ運営がある一方で
どんなにWeb運用広告をまわしても、ユーザーを獲得できず、かつゲーム内KPIに貢献できてないゲームアプリ運営が存在します。
なぜ、このようなギャップが生まれるのか?
踏み込んで解説します。
Web運用広告でユーザー獲得できるゲームアプリとユーザー獲得できないゲームアプリの違いとは?
Web運用広告でユーザー獲得ができていない会社には次のような課題が存在します。
この「違い」について解説しましょう。
①設定獲得単価の違い
ゲームアプリのWeb広告運用をするにあたって、多くのゲーム会社は自社のROASやROIといった指標でWeb広告経由でユーザーを獲得する単価を決めます。
これはある意味、正しいやり方なのですが
一方で、視点を変えると、これって・・・・
「自社の都合による単価設定」
と言い換えることもできます。
これってどういうことなのか?
自社アプリのROAS、ROI理由で広告単価を決めるのは、あくまでも自己都合にすぎません。
一方で世の中には適正価格(=競争力を持って戦える価格)というものが存在します。
みなさんが広告出稿に決めているROAS、ROIの数字って
あくまでも自社都合の数字なのです。
例えばの話ですが
自社のROASやROIに基づいてCPI:500円でユーザー獲得をしたいゲームアプリがあったとしましょう。
でも、ユーザーを取り合う競合ゲームアプリがCPI1000円で展開していたら、500円では勝負になりません。
これはあくまでも極端な話ですが
ここで重要なのは、Webマーケティング担当者の中には
自社ゲームアプリと直接競合する他社の単価を知らず、自社都合だけで単価を押し通しているケースも多いのです。
また、デジタルマーケティングの仕事をしながらも
世の中の適正価格を知らない人も多いのです。
みなさん、競合他社のゲームがいくらの単価で広告出稿しているか
スラスラと数字が出てきますか?
マーケターをやっているなら、主要タイトルの広告出稿状況とか、獲得単価とかスラスラ出てこなければマズイと考えてください。
競合しない、どうでもいいゲームタイトルの単価が出てこないならまだいいのですが
直接競合=ベンチマークタイトルの単価が出てくる状態にしましょう。
繰り返しますが
自社の希望するROI、ROAS、CPIはあくまでも自社の都合に過ぎません。
世の中の動きや、市場価格を知る必要があります。
②アプリストアや公式サイトを見てもどんなゲームかわからない
ユーザーは広告を見て、広告を踏んで、アプリストアに遷移します。
もう、これはあらゆるアプリにおいて共通のことです。
しかし・・・
ユーザーがたどり着いたアプリストアにおいて、そのゲームが何者なのか?
ユーザーにとってインストールする価値があるのか?
わからないことが多いのです。
アプリストアに書かれている内容がよくわからないのに、改善されず、Web運用広告が実施されているゲームもよく見かけます。
スマホゲームアプリの場合、あらゆる宣伝活動の結果、ユーザーはGooglePlay、AppStoreといったアプリストアを経由してアプリをインストールします。
事実として膨大なユーザーがアプリストアに来訪しますが
そこに書かれている内容を見て、ほとんどのユーザーはインストールを踏みとどまります。
つまり、膨大なユーザーがアプリをインストールせずに、アプリストアから離脱しているのです。
よってアプリストアにおけるASOがとっても重要になります。
付け加えるなら、アプリストアだけでなく、公式サイトやTwitterなどにおけるSEOも重要です。
さらに踏み込むと
ここで重要なSEO、ASOとはインプレッションではなく。
そこに来訪したユーザーの転換率=CVを意識したASO、SEOなのです。
みなさんの会社にはゲームマーケティングにおけるASO、SEO担当者は存在しますか?
多分、存在しない会社がほとんどかもしれません。
ASO、SEOが適切に実行されていない故に
みなさんが一所懸命、実行している施策は、その大半が無駄に終わっている可能性もあるのです。
ASO、SEOは特別な担当者を設けなくてもいいのです。
マーケターであり、Web運用広告担当者であり、ゲーム開発である
あなたがやってもいいのです。
自分の仕事じゃないから・・・
ではなく
「それをやらないと、今やっている自分の仕事は全部無駄になる」
そのくらいの危機感がないと、うまくいきません。
③広告クリエイティブがフォーマット化されたコピーの横展開である
トロネコも多くのゲームWeb広告を目にしますし、
その都度チェックしています。
いろんなクリエイティブを見てきますが、本当に、本当に残念なクリエイティブも多いのです。
多くのゲームアプリにおける広告クリエイティブは「他社の広告の二番煎じ」だったりします。
他社のゲーム広告の画像を変えただけで、構成や見せ方は全く同じ
みたいな広告を頻繁に見かけます。
そのようなクリエイティブがユーザーを獲得するための「成功の方程式」みたいな感じで現場では横展開しているわけです。
Web広告担当の方は自社のゲームアプリの魅力やターゲットユーザー、訴求軸を理解されていますか?
このクリエイティブがCTR、CVRが良いから、そのフォーマットをただ横展開して使いまわしているだけではないですか?
(ちょっと、耳が痛い話ですよね)
ひたすら広告計測ツール上の見せかけの数字だけを追いかけて
広告クリエイティブを量産している状態は実際のところ多いのです。
でも、それって本質的にはゲーム事業に貢献していません。
④自社アプリの中身にある問題に踏み込まない(踏み込めない)
Web広告担当の視点からすると、価値がないユーザー(=課金しないユーザー、継続率が悪いユーザー)を獲得しても意味がありません。
よって広告出稿の際に「ハードKPI」という目標指標を設定をする場合があります。
※ハードKPIとは一般的な平均値よりも厳しい数字目標を設けたKPIというイメージです。
これはどういうことかというと
「XXXXXというKPIを達成しなければお金をかける意味がない」
「だからXXXXというKPIを達成するユーザーを集めよう」
と条件をつけてユーザー収集を行うわけです。
これは広告を出向する側からすると、一見、理にかなっているように見えます。
でも、ちょっと冷静になって考えてみてください。
ハードKPIという新たな定義を作っても
それはWeb広告だけに責任転換しているようなものです。
下の図をご覧ください。
ちょっと複雑で、これだけでは書ききれていないのですが
イノベーター理論によってアプリ配信から時間経過が長いアプリほど、獲得できるユーザーの質は自然低下します。
そもそも課金ユーザーだけ獲得するのは不可能です。
(ゲームアプリに対する課金意欲が比較的高いユーザーを狙って獲得することはできますが、結局のところ課金するかは、そのゲームが面白いか?課金したくなるか?といったゲーム本体に依存するからです)
イノベーター理論によってアプリ配信から時間経過が長いアプリほど、獲得できるユーザーの質は自然低下しますが、これはどういうことかというと
「獲得ユーザーの継続率、課金率に対するユーザー属性がアプリ運営の経年によって変化しているので、それに合わせてゲーム内も改修しないとユーザー属性とゲームの不一致が発生します」
ちょっと複雑な話なのですが
簡単にまとめると
ハードKPIを設定するのはいいけど、それは自己都合である。
ユーザー属性の変化に応じてアプリ内も合わせて改修することができていないのに、ハードKPIを求めても矛盾している。
といった感じです。
ハードKPIという新たな定義を作って
獲得したユーザーの質に責任転換しているようなものです。
(広告担当に責任を押し付けているような感じですよね・・・)
ゲーム会社は分業制が進んでいますが、でも最終的にあらゆる広告の結果、獲得したユーザーを
どう活かすか。最後はゲームの中身が全てです。
ゲーム内の課題を対応せずに、広告によるユーザー集客だけに責任を押し付けるのは、あまりにも無責任です。
でも、ゲーム内に対して意見したり改善を指示したりできるWeb広告担当者ってほぼ存在しないですし、
Web広告担当者はユーザー獲得だけしていればいい
みたいな風潮があるのも事実です。
つまり、マーケティング部門と開発部門が完全分業化されており、相互に断絶している状態というわけです。
でも、両者は点として存在するわけではなく、線として繋がっていないとゲームアプリ事業はうまくいきません。
ゲーム内に課題があるなら、ワンチームとしてみんなで一緒に解決しましょう。
その上で広告出稿をするべきです。
マーケティング部門はユーザーを獲得すればいいんだよ。
みたいな考え方が現場では存在するのは事実です。
でも、これだと本当にうまく行かないんですよね。
⑤デジタルマーケティング担当のおごりに起因する問題
最後に核心をついた話をもう一つしたいと思います。
ゲームプロモーションにおいて、最もお金が動くのは何だと思いますか?
TVCMとか、交通広告とかですかね?
あとリアルイベントとか・・・・
実はこれは不正解です・・・・・
TVCMや交通広告はリアルイベントは金額的には大きいのですが、単発的な案件です。
実はWeb広告こそ膨大なお金が日々、毎月動きます。
数千万、数億といった金額がタイトルごとに毎月動く場合もあります。
これはゲーム会社に限った話ではないのですが
予算を持っている部門って影響力があります。つまり社内外に対しても発言力も大きいのです。
予算が使えるということは、言い換えると権力と同じです。
よって、膨大な予算を使っているのに、ユーザーが獲得できない状態がもし社内に存在するなら
それは属人的な怠慢についても検証しなければなりません。
また、膨大な予算があると、実際はうまくいっていないけど、うまくユーザーが獲得できているように見せかけることもできます。
なぜ、ユーザーが獲得できないのか?その原因について、もっと真剣に向き合いましょう。
広告出稿視点だけで世の中を見ている広告担当は極めて危険です。
これは極端な例ですが、予算1億円を明日から予算0円にした方が、人間は本質に対して考えるようになります。
1億円の予算があるからこそ、その予算を使うことが目的になっている場合もあるのです。
まとめ
今回はちょっと耳の痛い話が多かったかもしれませんが、これらは実際に今現在も世の中のどこかで起こっている事です。
そして、多くの人はその事実に反省し、改善しようとしますが、再び、同じ間違いを繰り返しているのも事実です。
現代のゲーム事業は巨大化していますので、多くの会社で分業化されています。
よって、自分の仕事を遂行することばかりに注力しがちで
事業として本当に大切なことを見逃しているケースが多々あります。
でも、結果的にはゲームが売れて、会社として利益を出して、そこで働いている人も、ゲームユーザーもみんながハッピーになることが最終ゴールなのです。
俯瞰的に物事を見ることができれば、みなさんのゲーム事業はもっと改善できます。
というわけで今回はここまで!
今回の内容についてトロネコにお仕事の相談したい方は下記までご連絡ください。