【メリット】ゲーム会社は自社でゲームメディア(オウンドメディア)を作るべきという話

マーケティング

こんにちは

マーケティングスペシャリストのトロネコです。

ゲームマーケティングに仕事を20年にわたってやってきましたが
その中でずっと感じていたことがあります。それは・・・

「ゲーム会社も自社でゲームメディアを持つべき」

ということです。

キュレーションメディアでも
自社のオリジナルメディアでも
形式は問いません

いずれにしても自社の優良顧客ユーザーを維持し続けるゲームメディアを自社で作り運用すべきです。

なぜなら

スマホゲームにしても、家庭用ゲームにしても、次々と新作ゲームを配信、発売するわけですが
新作の発売のたびに

事前登録ユーザーをコストとかけて新規に収集し
ゼロから新作ゲームの認知に奔走するのは無駄が多く、効率が悪すぎるからです。

その都度、新作ゲームが発売、配信されるたびにゼロからユーザーに情報をリーチして、ユーザーを振り向かせるのではなく、せめて自社タイトルのゲームファンをプールしておくゲームメディアを小さくてもいいので用意するべきです。

それによって新作ゲームのプロモーションコストを大幅に削減できるだけでなく

例えばゲームアプリやオンラインゲームがサービス終了となった場合でも

最後まで遊んでくれたユーザー(実は非常にLTVや継続率が高いヘビーユーザー)を、サービス終了によって離れていくことをただ見届けるのではなく、ゲームメディアを持って引き止められるからです。

サービスクローズにおけるユーザーの受け皿にもなるのです。

今回は「ゲーム会社は自社でゲームメディアをつくるべき」というテーマでお話をしながら
そのメリットと、作り方についても解説していきます。

ゲーム会社が自社でゲームメディアをつくるメリット

現代においてゲーム会社が自社でゲームメディアをつくることに対してはメリットでしかありません。

その昔、トロネコが家庭用ゲーム会社に勤めていたときは、既存のゲームメディア、ゲーム雑誌とのお付き合いの建前上、考慮しなければならないことがたくさんありました。

しかし時代は大きく変わり、現在はネットを中心とした情報発信がメインになっています。

ゲーム会社における公式Twitterも、YouTubeチャンネルもある意味、自社のゲームメディアみたいなものです。

一方で、自社でゲームメディアをつくる上でのデメリットといえば「コスト」や「うまくいかなかった時のリスク」みたいなものだったりするのですが

実は自社でゲームメディアをつくる上で「コスト」はあまりかかりませんし、「コスト」がかからないかららリスクもないのです。

サーバーは月額数千円から始められますし、ちょっとした人的リソースをかければすぐに着手できるのです。

(大きく育ってきたらサーバーを増強し、人も増やせばいいのです)

ちなみにこのサイトはトロネコが一人で運用していますが、200記事以上あります。これも「ゲームマーケティング」という領域における「株式会社トロネコマーケティング」のオウンドメディアなのです。

一方でゲーム会社が自社でゲームメディアを持つメリットはたくさんあります。

①新作ゲーム発売のプロモーションに使える

スマホゲームアプリの場合は事前登録キャンペーンにおけるユーザー獲得メディアとして使えますし、家庭用ゲームにおいても告知媒体として使えます。

そもそも自社のオウンドメディアですから、最終的には自社のゲームタイトルのファンがここに集まるような設計と運営をします。

よって、いつでも自社のゲームファンと連絡がつく「連絡手段」を確保するようなものなのです。

また、仮に自社のゲームメディアに対する月間ユニークユーザーがたった1万人しかない、としましょう。でも、この1万人はただの1万人ではありません。

スマホゲームアプリのKPIで表現するなら、課金率もLTVの高い、そのアプリ運営を支えてくれる重要顧客になります。

どうしてもPV数といった「数」に着目しがちですが、スマホゲームの売上が必ずしもDAUやMAUと比例しないのと同じで「数」ではなく「質」が重要です。

 

別にゲームメディアを作らずともTwitterやSNSを使えばいい

という考え方もありますが、SNSの場合は情報伝達には長けているのですがユーザーの熱量維持が難しいという弱点があります。

いわゆる「繰り返し来訪してファンになってくれるリピーターになりにくい」ということです。

またSNSの場合は検索エンジンでヒットしない(しにくい)性質がありますので、そのSNSをフォローしていない人には情報伝達しにくいという弱点があります。

 

②自社ゲームメディアは大幅なコスト削減につながる

自社でゲームメディアを持つことで大幅なコスト削減につながります。

メディアの運用コストがかかる!というのは大きな誤解です。なぜならトロネコ1人でもメディアを片手間で運用することができるからです。

それ以上にゲームメディアを持つことで大幅なコスト削減によるメリットが非常に大きいのです。

 

例えば新作スマホゲームアプリの事前登録ユーザーを1件獲得するためのプロモーションコストは平均100円から200円になります。(ゲームジャンルやコンセプトで変動します)

仮に事前登録を100万件獲得するならば、1億から2億円のコストがかかります。

実際にそこまで事前登録にコストをかけているゲームアプリがどれだけ存在するか疑問ですが、新作ゲームアプリの場合、Web制作費やデジタルマーケティング費、その他を含めて配信前に数千万規模のコストはかかります。

これらコストの大部分を削減することができるのです。

一方で、家庭用ゲームソフトの場合は、発売日が全てですから、トロネコの時代は数億円もかかるタイトルがたくさんありました。

でも、自社でゲームメディアを持っていれば、これらコストを大幅に削減できるだけでなく

そこで余った余剰資金を別のプロモーションにチャレンジすることもできるわけです。

いつも定番の施策をやるだけで予算が底をついていたのに、これからは、もっといろいろなチャレンジができるわけです。

 

③自社ゲームメディアは積み上げて成長できる

例えば年間10本のゲームを発売配信するゲーム会社があるとしましょう。

そのうち2本しかヒットせず、残りの8本は失敗でプロジェクトとしては赤字になるとしましょう。(実際にヒットの打率はそのくらいかもしれません)

失敗した8本にかけたコストは全くの無駄になります。投資の回収もできず赤字です。

しかし、自社ゲームメディアにその一部でも投資した場合は、8本のゲームが失敗しても、メディアに投資したコストは、ゲームメディアの媒体力という形で蓄積されて自社資産として残ることになります。

ゲーム事業なんて失敗の連続です。

新たにヒットさせることがどれだけ難しいことか

トロネコは20年間、マーケティングをやってきて見にしみて実感しています

家庭用ゲームも、スマホアプリも、PCオンラインゲームも

全てのゲームマーケティングは「1回限りの使い捨て」です。

わかりやすい例を挙げるなら、特設Webサイトを作っても、それはそのゲームタイトル専用であり「使い捨て施策」なのです。

この無駄をどうにかできないものか?

トロネコはかねてより、そこで制作した資産を別のゲームプロモーションに転用しようと試みてきましたが上手くいかないことが多いのです。

ゲーム事業なんてギャンブルだよね

かつて、そういった人がいますが、これはあながち間違っていないのです。

でも、これっておかしいですよね。

 

理想的な形としては、ゲーム会社におけるあらゆるゲーム事業の活動が、資産として積み上がっていき、積み上げれば積み上げるほど、後発のゲームは楽にマーケティングや宣伝ができる

そういう状況を我々は作る必要があります。

そういった視点で考えれば、自社ゲームメディアがあれば、あらゆるゲーム事業活動における労力が蓄積され、ゲーム会社における将来の資産になります。

④自社でゲームメディアをつくることはとっても簡単

このような話をするとこんな意見が出てきます。

自社でゲームメディアなんて作れないよ!

理想ばかり言うけど、現実は違うじゃないか!

でも、これは思考停止している状態なのです。

でもちょっと冷静になって考えてみてください。

今、世の中で攻略サイトや新興ゲームメディアが続々と登場していますが
彼らは最初、少人数で始めて、ここまで大きくしてきました。

しかも、彼らは元はゲーム会社ではなく、ゲーム好きが講じてゲームメディアをここまで大きくしてきたわけです。

そう考えると

ゲームを作っている、ゲームユーザーのことを理解している、ゲーム会社が作れないわけありません。

必要なコストは

レンタルサーバーとワードプレスと、企画運営を行うスタッフだけです。
レンタルサーバーとワードプレスだけなら数万円程度でできますし
企画運営スタッフも別の仕事をさせながら兼任させることでコストダウン可能です。

サイト規模が大きくなってきたら、それに合わせて投資をすればいいだけです。

リッチなデザインが必要とか考えがちですが実はユーザーはそんなところは求めていません。

ユーザーにとって価値ある情報を提供できればゲームメディアとして成立するのです。

トロネコがこのサイトを片手間で運用して200記事以上も書いているように、やろうと思えば誰でもゲームメディアを運用できます。

 

⑤ゲームジャンルが限定されているゲーム会社ならアドバンテージあり

もしみなさんの会社がシミュレーションゲームしか作らないとか
パズルゲームしか作らないとか、乙女ゲームばかり作っているとか

特定のゲームジャンル、及びターゲットユーザーの属性が似通っているゲームばかり作っている会社なら、いますぐ自社でゲームメディアを立ち上げるべきです。

なぜなら

ゲームジャンルが近い=ターゲットユーザー属性が近い

ということは、そこに特化したゲームメディアを立ち上げる事で効率的に情報訴求ができるからです。

乙女ゲームとシミュレーションゲームの両方を融合させたゲームメディアを作るとユーザー同志のコンフリクトが発生し苦戦します。

でも、ユーザー属性が近ければ近いほど両者に対して訴求できるメディアを作れるのです。

⑥ゲーム開発会社が自社ブランディングの一環として作ってもいい

ここまでの話は決して大手ゲームパブリッシャーに限った話ではありません。
別に下請けでゲーム開発をしている会社がゲームメディアを立ち上げても構わないのです。

むしろ、立ち上げることによってゲーム開発会社における自社ブランディングの一環として使えます。

さらに自社が下請けで開発のセールスを開発会社主導で伸ばすことができるようになりますし、将来、開発会社からパブリッシャーへの転身を考えているならやらない理由はありません。

ゲームメディアを自社で作るなんて想像できないし難しいよ。

そう思うかもしれませんが、実はそこまで難しくありません。
重要なのは、そこに長けた人材がひとりいれば済む話です。

わからない事を聞ける人がいればいいだけです。

難しいと感じるのは単純に経験がなく、未知なる得体の知れない存在だからです。
経験がある人にとっては

今日の明日にでもサイトのモックを立ち上げることができます。

⑦SEOを駆使すれば圧倒的なゲームメディアが作れる

実は既存のゲームメディアを見ると、SEOの知識を持って運用しているメディアと、そうではなくこれまで積み上げた媒体力やドメインパワーに依存しながら運用しているメディアを見かけます。

新しくゲームメディアを立ち上げる時にSEOの知識は必須です。

ただし、ここで伝えたいSEOの知識とは、googleの検索エンジンに評価されるための知識ではなく、ゲームファン、ゲームユーザーのインサイトに踏み込んで彼らを魅了するゲームマーケディングのスキルです。

その昔、キュレーションメディアが話題になった時、とにかくたくさんの記事と、それを構成する文字数による「質」よりも「数」が重要とされていました。

googleの評価ロジックを研究して、そこに合わせれば良いと考えられていたのです。

しかし、現在は全く異なります。

新たにゲームメディアを作るなら、ゲームユーザーのインサイトをどれだけ分析したサイト構成とサイト記事を用意できるかにかかっているからです。

ゲームとは「ゲームジャンル」×「コンセプト」に掛け合わせから生まれるという趣味嗜好の塊です。

そして人の心を動かすエモーショナルな感動を与えられるゲームがヒットします。

もしみなさんが立ち上げようと考えているゲームメディアが

シミュレーションゲームに特化したゲームメディアなら、とことんシミュレーション好きのゲームファンのインサイトを分析しましょう。

 

・彼らはどんなユーザー属性なのか?

・彼らはどんな情報を求めているのか?

・どうすれば明日も明後日もサイトに来てくれるのか?

まさに、これはゲームマーケティング戦略そのものなのです。

これを得意とするのはゲーム会社です。

だったらゲームメディアも簡単にできると思いませんか?

 

⑧自社メディアを作れれば新たなマネタイズも作れる

最後にちょっとだけ欲張りな話をしましょう。

ゲームアプリマーケティングの仕事をやっていると、「事前登録キャンペーン」とか「Web運用広告」とかいろんなプロモーションをするわけですが

正直なところ課金をしてくれて、遊び続けてくれるユーザーはいくらお金を出しても欲しいものです。

なぜならゲームアプリ事業が成立するためには

「継続モチベーション」×「課金モチベーション」

という計算式が成立する優良ユーザーが欲しいからです。

 

でも、そんなユーザーがまとまって獲得できる媒体なんてなかなか存在しません。

だからゲームマーケターやデジタルマーケターは、

 

どこに優良なユーザーが存在して、どうすれば獲得できるのか

日々模索しているわけです。

 

もしみなさんが立ち上げようと考えているゲームメディアが、仮にシミュレーションゲームに特化したゲームメディアで、そこで獲得できるユーザーが

「継続モチベーション」×「課金モチベーション」

という計算式そのものといっていいくらい「質」が高いユーザーなら、世の中の新作シミュレーションゲームの宣伝担当者は、お金を出しても皆さんのゲームメディアに広告を出したいと思うでしょう。

トロネコもそんなゲームメディアがあるなら高額でも広告出したいです

自社向けに始めたオウンドゲームメディアが結果的に新規事業になった!

ということはあり得る話です。

 

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なぜゲーム会社は自社でゲームメディアを作れないのか?

ここまでの話を聞いてみると、自社でもゲームメディアを簡単に作れそうな気分になってきましたよね?

それでも、ゲーム会社は自社でゲームメディアをつくることができていません。

(作ったゲーム会社もあるかもしれませんが、上手く行った話は聞きません)

なぜなのか?
それには次のような理由があると推測されます。

・やり方を知らない
・SEOに長けた人材がいない
・ゲームメディアを立ち上げようという熱量の高い人材がいない
・ゲーム会社自体が自社でゲームメディアを持つことの重要性を気づいていない
・ゲーム会社の内部におけるゲーム事業自体がそれぞれ単独行動をしていてバラバラである

実際のところ理由は上記全部だとトロネコは考えています。

社内をまとめて、SEOに長けていて、ゲームメディア立ち上げ経験があって、自社でゲームメディアを持つことの重要性をわかっているゲームマーケターがいれば全部解決できます。

でも、そんなスキルセットの人材がゲーム会社にはいません。(一部は持っていても、全部を持っている人はなかなかいないものです)

でも、そんな人がいるなら、その人にわからないこと全部聞けばいいだけの話です。

まとめ

今回はゲーム会社が自社でゲームメディアをつくるべき、という話をしました。

もしみなさんの会社が新しいゲーム会社で

「最初のゲーム1本を発売したけど、今後はまだ不透明でわからない」という会社なら

そこまで急いで自社メディアをつくる必要はありません。

でも何年もゲームパブリッシャーとして、ゲーム開発会社として経営してきて
これから数年後までラインナップが揃っているような会社は

今すぐ自社でゲームメディアをつくるべきです。

 

というわけで今回はここまで!

 

ゲームメディアの開発や、SEOについて不明なことがあればお気軽にご相談ください。きっとみなさんのお役に立てると信じています。

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