【危険】ゲーム企画の9割が誰に向けたゲームなのか明確になっていない原因(ターゲット設定のやり方解説)

ゲーム開発

こんにちはトロネコです。

ゲームの仕事をしているとどうしても気になることがあります。

それは

新しいゲームの企画書って、そのゲームを遊んでくれるユーザーイメージが明確になっておらず、なんとなく「ふわっと」した状態で企画が進んでいる事が多いんですよね。

例えばこのゲームのターゲットユーザーは

「20代、男性、社会人、アニメ好き」

くらいしか設定されない状態で企画が作られたりします。

「20代、男性、社会人、アニメ好き」では、ターゲットが設定されていないのとほぼ同じ。あまりにもターゲット像が「ふんわり」し過ぎており、解釈の幅が広すぎるのです。

世の中の9割の企画書は、この粒度でターゲット設定がされており、この状態で作られたゲーム企画は、ゲーム開発が進むことで、誰に向けたゲームなのか?不透明な状態で進んでいくことになります。

まだペライチのゲームの企画段階だし、そこまで明確にターゲットユーザーなんて決めなくてもいいよね

といった思いがここに存在するわけですが

そのペライチの企画書をもとに、プロトタイプ版(試作品)が開発されるわけですから、少なくても最低限、「誰に遊んで欲しい、誰向けのゲームなのか?」明確になっていないと、よくわからないプロトタイプ版(試作品)が作られてしまって、よくわからない状態のまま配信を迎えてしまうことも多いんです

実はこの「ターゲットが明確になっていない状態によるゲーム企画の着手」こそが、そのゲームがうまくいかない最初の原因なのです。

なぜ、ゲーム企画段階でターゲットユーザーが明確に設定できないのか?

どうすればターゲットユーザーを設定できるようになるのか?

というテーマでお話します。

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誰に向けた不明確なゲーム企画が作られてしまう理由

なぜ、誰に向けたゲームなのか明確ではない「ふんわりした」ゲーム企画書が作られてしまうのでしょうか?

以下のような原因が考えられます。

・ゲーム企画する人がターゲット設定のやり方を知らない

・既に存在する他のゲーム企画書を参考にして企画を作るため、ターゲット設定の精度が他のゲーム企画から影響を受ける(他のゲーム企画もターゲット設定が適切ではない)

・ペライチのゲーム企画段階において、ターゲット設定は重要ではない、という間違った認識が現場に存在する

・ペライチのゲーム企画においては、アイディア重視で企画が作られている

 

ペライチの企画書だからターゲット設定とかどうでもよくて、それよりもゲームの面白さ、アイディア重視で企画を考えるべき!という意見があるのは理解できます。

しかし、その企画書が100本ある企画書の中の1本にすぎず

最終的に企画の採用を判断する人が、ターゲットユーザーの設定ができるならそれでも問題ありません。しかし、実際には10本の企画書が出されて、そのうち半分においてプロトタイプ版(試作版)が作られるような場合は、ターゲット設定が「ふんわり」している状態の企画書はリスクが高いのです。

なぜなら、その企画書を遊んでくれるユーザーは

・ビジネスになるくらいの母数でユーザーが存在するのか?

・競合タイトルに勝てる可能性はあるのか?

・お金を払ってくれる可能性はあるのか?

といった点が明確になっていないと、そもそもビジネスとして成立しないゲーム企画をプロジェクトとして通してしまうこともあるからです。

ゲーム事業はボランティアではありません。面白そう、新しそうな企画が事業として成立するとは限らず、最低限、事業としての見込みがある企画をプロトタイプ版着手の判断をするべきなのです。

ビジネス、売上、利益って

ゲームってそういうものじゃないし、

そうやって可能性をペライチの企画段階で潰すのはどうかと思いますよ

という意見があるのもわかっています。

もちろん、可能性を潰すのはダメです。でも、ゲームアプリは一度、開発を決めたら膨大なお金が動き、多くの人の時間をとってしまいます。

失敗した結果、お金が失われるだけならまだ良いのですが、他の選択肢を取れば成功して、さらに次に繋がったかもしれないプロジェクトが、間違ったゲーム企画を選んだばかりに、時間を無駄に使ってしまうことの方がリスクが高いのです。

失った時間は取り戻せません。時間を失うことほどモッタイナイことはないのです。

ゲーム企画段階でターゲットを明確にすることのメリット

ゲーム企画段階からある程度のターゲット設定が明確になっていることによって、さまざまなメリットがありますが、その中でも最大のメリットは次になります。

「ビジネスとしての大きな失敗を回避できる」

ターゲットが明確になっているということは、仮説の域をまだ出ていないし、これから検証を積みかせる必要がはあるものの、ペライチのゲーム企画段階で、ある程度のビジネスとして成功できる見込みがたった状態であると言えます。

まずプロジェクトの最初の入り口を見誤る確率がグーンと下がります。

これによって100%成功できるとは断言できませんが、少なくても見当違いで大きく外して大失敗する確率を下げることは可能です。

さらに、ある程度ターゲットが明確になっているということは、そのターゲット像を踏まえた上で、今後、プロトタイプ版が作られ、本開発に進んでいきます。常にターゲットユーザーを踏まえた上で開発が進められ、市場の変化や、新たな気づきによって、ターゲットユーザーの軌道修正も行われていきます。

この走りながら細かくチューニングをしていくという意識が働き続けることで、ゲームの精度も上がり、そのプロジェクトは成功に向かって進んでいきます。少なくても失敗する可能性は、チューニングが続いていくことで、軽減されるわけです。

ゲーム企画段階で明確にしておきたいターゲットの作り方

ならば、どうすればペライチのゲーム企画段階でターゲット設定が作れるのか?

別にこの段階で完全なるターゲット設定ができている必要はありません。完璧を求めているわけではないのです。

ただし、我々が今作ろうとしているゲーム企画は、誰に向けたゲームで、誰に楽しんでもらいたいのか?

年齢性別、世代、趣味嗜好によってテーマやコンセプト、モチーフ、キャラクターデザイン、ゲームジャンル、遊び、可処分時間、可処分所得・・・など求めるものが違います。

ターゲットによって明らかに求めるものが違うから、そこを明確にしてゲーム開発を作るわけです。

よって最低限、下記だけは明確にしておきましょう。ポイントはたった3つです。この3つをペライチのゲーム企画で明確にするだけの話なのです。

市場調査とかデータの裏付けがあればベターですが、別に明確な裏付けがなくても構いません。仮説によるターゲット設定でもいいのです。

なぜなら、仮説でもいいので、あなたがターゲット設定をするという行為の裏には、そこに勝機があるという確信が、あなたの中に何かしら存在するからです。

 

①企画のゲーマ、コンセプト、モチーフ、ゲームジャンルにおける、ざっくりとした市場規模感

50万人なのか100万人なのか、1000万人なのか?

②その市場を構成するユーザー属性

年齢性別、世代、趣味嗜好、今遊んでいる他社ゲーム、過去のゲーム体験、可処分時間、可処分所得など

③どのユーザーが企業の成功を左右するのか?

ざっくりとした市場規模全体の中で、どのユーザーを獲得すればゲーム事業として成立するのか? 50万人、100万人、1000万人の中の最先端に位置するターゲットユーザーは誰?

 

3番目のターゲットユーザーを明確にできたら、それこそがペライチのゲーム企画のターゲットユーザーであり、そのユーザーのための企画になっているのか?そこに注力してゲーム企画が作られているか、だけの話なのです。

まとめ

ペライチのゲーム企画段階で、そのゲーム企画のターゲット設定が明確になっていない状態で、その後、本開発が進められ、そのままゲーム配信されてしまう・・・・

そうやって、ふわっとした状態で進められたゲームの多くが、

「どこかで見たようで、特徴もなく、誰の心も動かさないゲームになってしまいます」

そうなると、配信後に何をやっても状況を改善できません。

ゲームアプリは配信後、運営しながら改善してユーザーを獲得していく。1年くらい経って成功を納める。Web運用広告やゲーム運用次第でなんとでもなる!

といった考えを、いまだに持っているゲーム会社もありますが、これは古い考えであり、競合タイトルが既に存在している現在においては間違いです。

タイトル発表直後から勝負は始まっていますし、アプリ配信直後でほぼ勝負は決まります。

ペライチのゲーム企画段階からターゲット設定ができていれば必ず成功するという保証はありません。

しかし、ペライチのゲーム企画段階からターゲット設定できなければ、限りなく勝率は下がってしまうような時代だという認識を持つ事が重要です。

 

とはいえ、現場の企画担当者全てが、今回お話したようなスキルやマインドを持てるか?というと難しいものがあります。

だからこそ、企画をみてジャッジする人は最低限、「ターゲット設定に対する意識」を持つようにしましょう。

もし、それができないなら社内ではなく外部にレビューを求めるのも方法としてはアリです。

ちなみにトロネコも様々な依頼を頂きますが、企画書に対するマーケティング視点でのレビューといったお話もよく頂いております。

もし興味がありましたら、こちらまでご連絡ください。

というわけで今回はここまで!