【本当に必要!?】マーケティング4Cと3Cとは何か?ゲーム事業における違いも解説

マーケティング

こんにちはトロネコです。

今回はマーケティングの基本でもある「マーケティング4C、3C」について解説します。

基礎知識なので、知っている人もいると思いますが、トロネコはゲームマーケターということもあるので、ゲーム事業における4C、3Cについてもお話します。

最初にちょっとだけ答えをお伝えすると

あくまでもマーケティングの4C、3Cは一般知識であり、ゲーム事業に照らし合わせると、

4Cとか3Cとか不要かも

という部分も実はあります。(その理由は後ほど解説します)

 

また、ゲームマーケの現場で

マーケティング4Cとか3Cとか使っていないかも!?

もし使っていても、それって「資料上の話」で

実際に使いこなせていないかも。

という部分もあります。

ならば、実際に使いこなすにはどうすればいいのか?

あまり語られていない「マーケティング4C、3Cの真相」についてお話します。

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一般的なマーケティングにおける4Cと3Cとは?その違いも解説

まずは一般的なマーケティング知識としての「マーケティング4C、3C」について解説していきましょう。

マーケティング4C

一般的なマーケティング知識である「マーケティング4C」について、まず解説しましょう。

4Cとは次の4つのCから始まる言葉の頭文字を取って「4C」と呼んでいます。

Customer value(顧客価値) 商品やサービスが顧客(ユーザー)にとって、どんな価値をもたらすか
Cost(顧客コスト) 商品やサービスを顧客が購入利用するときにかかる「手間」「心理的負担」「購入時の負担」などにおけるコスト
Convenience(顧客利便性) 近くのお店か、ネット購入か、それとも配達不要のデジタルデータか?決済、配送など購入における利便性
Communication(顧客とのコミュニケーション) 商品の詳しい情報、魅力をオンライン、オフラインなど、どのように顧客とやりとりして関係性を維持するか

重要なのは4Cとは、4つの重要な要素を「顧客視点」で考えるフレームワークという点にあります。

4Cの前には4Pという概念がありました。

4Pとは

・Product(商品やサービス)

・Price(価格)

・Place(流通チャネル)

・Promotion(広告販促)

の頭文字を取ったフレームワークであり「売り手である企業視点」で考えられていたわけです。

4Pが生まれたのは1960年、4Cは1993年

売り手視点では物が売れていた時代から、顧客視点でないと物が売れないという時代の変化により4Cが重要になってきたというわけですね。

とはいえ4Cでさえ1993年に考えられたフレームワークであり、現在は2021年です。後で解説しますが、ゲームアプリのような最先端の商品、サービスにおいては4Cが当てはまらなくなってしまいました。

マーケティング3C

続いて、一般的なマーケティング知識である「マーケティング3C」についても解説しましょう。

3Cとは次の3つのCから始まる言葉の頭文字を取って「3C」と呼んでいます。

Customer(ターゲット市場やターゲット顧客) どんな市場が、どのくらいん規模で存在して、ターゲットユーザーは誰なのか?
Competitor(競合する製品やサービス、企業) その市場において競合する製品やサービスは何か?レッドオーシャンか、ホワイトスペースか?競合相手の強みや弱みは何か?
Company(自社) 自社の商品やサービスはどんな強み、弱みがあるか?

3C分析とは、Costomer、Competiterといった外的要因と

自社の内的要因を3つの要素に分けて分析するフレームワークなのです。

あれ!?これってSWOT分析っぽい感じがするよなぁ

と思うかもしれませんが、その通りでして3CはSWOT分析と重複している部分があります。もちろん4Cの一部もSWOT分析と被りがあります。

既に気づいているかと思いますが

3C、4C、4P、SWOT分析とかは

異なる人が作った、時代も異なるマーケティングのフレームワークです。しかも、ところどころ重複している部分もあります。

しかも正しいと思われていたことが、時代によっては適切ではなかったり、業種によってもマッチしない場合があります。

何が正解かではなくて、どれをうまく使いこなすのかが重要なのです。

先に答えの一つをお伝えすると

これらツールを使うことが「マーケティング」ではありません。

あくまでも、これらツールはビジネスにおける「戦い方(=マーケティング戦略)」を決める上でのサポート的な役割にすぎないのです。

ゲームマーケティングにおける4Cと3Cとは?その違いも解説

一般的な4C、3Cについてお話をしましたが、ここからが本来です。

マーケティング4C、3Cというフレームワークはあくまでも一般的なマーケティングの話です。我々はゲーム業界でゲームマーケティングをしています。

ゲーム業界以外でもそうですが、それぞれの業界向けにカスタマイズして活用できるかが重要です。ここからはゲーム業界向けの具体的な4C、3Cについて解説していきます。

マーケティング4C

一般的なマーケティング4Cは次の4つのポイントを「顧客視点」で考えるフレームワークであるという話をしました。

Customer value(顧客価値) 商品やサービスが顧客(ユーザー)にとって、どんな価値をもたらすか
Cost(顧客コスト) 商品やサービスを顧客が購入利用するときにかかる「手間」「心理的負担」「購入時の負担」などにおけるコスト
Convenience(顧客利便性) 近くのお店か、ネット購入か、それとも配達不要のデジタルデータか?決済、配送など購入における利便性
Communication(顧客とのコミュニケーション) 商品の詳しい情報、魅力をオンライン、オフラインなど、どのように顧客とやりとりして関係性を維持するか

しかし、これをゲームアプリに当てはめて考えてみましょう。

次のような感じになります。

Customer value(顧客価値) ・ゲームジャンル、コンセプト、モチーフ、遊びの中身などによって顧客(ユーザー)もたらす価値は異なる
Cost(顧客コスト) ・スマホゲームの場合は基本プレイ無料なので、利用するときにかかる「手間」「心理的負担」「購入時の負担」などにおけるコストは少ない
Convenience(顧客利便性) ・スマホゲームの場合は、必ずアプリストアでダウンロードする(購入先が決まっている)。ダウンロードのため購入における利便性は高い。
Communication(顧客とのコミュニケーション) ・ゲームの詳しい情報、魅力をオンライン、オフラインなどを通じてユーザーに伝える必要がある

実際には、もっと細かく書き出すことができます。ここでは簡易的に書き出していますが、ここで注目して欲しいのは

スマホゲームの場合は、その特性からCost(顧客コスト)、Convenience(顧客利便性)が決まっていて、ここを我々はコントロールできないというわけです。

例えば、畑で採れたキャベツを売ろうと思ったら、値段はいくらか?どこで売るか?考えなければなりませんよね。

でもスマホゲームの場合は

・多くのスマホゲームは「基本プレイ無料」によるゲーム内課金という形式をとっており、顧客コストは限りなくゼロになります(厳密にはゼロではないのですが、話が深くなるのでここでは除外しています)

・アプリストアで売るしか手段はありません(厳密にはブラウザゲームとか、androidの場合はapkを配布するといった方法もありますが、これは少数派なので、ここでは除外しています)

つまりマーケティング4Cのうち、2つはアンコントローラブルというわけです

マーケティング3C

続いてマーケティング3Cになります。

一般的に3Cとは次の3つのCから始まる言葉の頭文字を取って「3C」と呼んでいるという話をしました。

3C分析とは、Costomer、Competiterといった外的要因と自社の内的要因を3つの要素に分けて分析するフレームワークでした。

Customer(ターゲット市場やターゲット顧客) どんな市場が、どのくらいん規模で存在して、ターゲットユーザーは誰なのか?
Competitor(競合する製品やサービス、企業) その市場において競合する製品やサービスは何か?レッドオーシャンか、ホワイトスペースか?競合相手の強みや弱みは何か?
Company(自社) 自社の商品やサービスはどんな強み、弱みがあるか?

しかし、これをゲームアプリに当てはめて考えてみましょう。

次のような感じになります。

Customer(ターゲット市場やターゲット顧客) いま開発中の新作タイトル、もしくは運用中のタイトルの「ゲームジャンル」「コンセプト」「ゲームの遊び」に対して、「絶対に遊びたい!」「遊んでもいいかも!?」と思ってくれるユーザーが市場にどのくらい存在していて、そのユーザーはどんな属性や嗜好をもているのか?
Competitor(競合する製品やサービス、企業) いま開発中の新作タイトル、もしくは運用中のタイトルの「ゲームジャンル」「コンセプト」「ゲームの遊び」と重複する競合ゲームタイトルは何なのか?市場規模に対して、その競合タイトルの占有率はどのくらいであり、我々は競合ゲームタイトルから、どのくらいのユーザーを自社タイトルに振り向かせないとビジネスとして成立しないのか?競合相手の強みや弱みは何か?
Company(自社) いま開発中の新作タイトル、もしくは運用中のタイトルの「ゲームジャンル」「コンセプト」「ゲームの遊び」において、競合タイトルと戦える「強み」、または戦えない「弱み」は何か?

なんか3Cの内容をゲーム事業仕様に整理してみると、これって一番最初のペライチのゲーム企画書にまとめられていたら、その後、大きな事故にならないような気がしませんか?

下記の記事でも書いていますが、マーケティング3Cとは、ゲーム企画立ち上げ時点で、ある程度イメージしておくべき、そのゲームのもっとも根本的な部分にある

外的要因と自社の内的要因を3つの要素に分けて分析するフレームワークといった感じですね

 

ざっくりとした3Cならゲーム企画担当者でも作れそうな気がしませんか?

実際のところ3Cだけでは抜け漏れがあるのでSWOT分析まで踏み込む必要はありますが、そこはマーケターがガッツリ入り込んで一緒に作れば良いというわけです。

 

3CとSWOT分析はどっちが重要か?

3CとSWOT分析の違いは?どっちが重要なのか?

みたいな話が世の中でされる場合がありますが、これは、どっちがダメで、どっちが優れているという議論をする意味がそもそもないのです。

なぜなら、もう一度繰り返しますが

これらツールを使うことが「マーケティング」ではありません。

あくまでも、これらツールはビジネスにおける「戦い方(=マーケティング戦略)」を決める上でのサポート的な役割にすぎないのです。

ツールなので別に使いたい方を使えばいいのです。

ただし一般的に3CとSWOT分析は次のような違いがあると言われています。

3C 顧客(=ターゲットユーザー)を分析した上で、競合タイトルと自社タイトルの戦略の違いを考えるフレームワークであり、常に顧客(=ターゲットユーザー)が最優先であり、顧客(=ターゲットユーザー)におけるニーズが優先される
SWOT分析 自社を主役で考えた上で、自社から見た内外環境を把握するフレームワークである。SWOT分析に登場する「強み」「弱み」「機会」「脅威」は全て自社にとってのものである

これは、あくまでも誰かが決めた建前の話に過ぎません。

実際にSWOT分析は下記のようなシートを埋めていく感じで考えていきますが

これらシートを埋めていく上で、自社のことしか考えず、顧客のことは考えない、といったことは実際の作業において存在しないのです。

SWOT分析のフレームワークを使っても、「顧客視点」は忘れないし、「自社視点」も踏まえた上で考えていきます。

ただし、3CとSWOTでは考える粒度、密度が圧倒的SWOT分析の方が深いので、むしろ3Cだけ考えていればマーケティング戦略が作れるというのは、ちょっと危険な考え方です。

ならば3CとSWOT分析の両方をやればいいかというと、私もかつて、両方を使ってやっていましたが、

ただ複雑にしているだけで、肝心のマーケティング戦略を導き出す観点がまとまりにくいと感じてきたので、現在はSWOT分析に3Cや、4Cの視点も含めた上で整理しています。

だから、トロネコがマーケテイング戦略を作る場合、その作成プロセスの中で最も時間をかけるのが「SWOT分析のパート」だったりします。

ただ、SWOT分析の項目を穴埋めをすればいいのではなく、3C、4Cの観点も踏まえた上で考えるからです。

あとは、SWOT分析の場合は

「脅威」「弱み」といった項目があるのですが、ゲームアプリ事業における「脅威」「弱み」を事前に整理して、それに対する打ち手を講じることで、ビジネスとして大失敗を回避して、成功確率を高めることができます。

なぜなら、ある程度、ゲームマーケティングを積み重ねてくると「脅威」や「弱み」が予測できるようになりますし、ゲームアプリの場合は「運営型商材」なので、

実は3Cにおける顧客ニーズを語る前に、自社の「弱み」やわかりやすい「脅威」を払拭しないままサービス開始したことによる失敗するリスクの方が大きかったりするからです。

多くの現場で4C、3C、SWOT分析は資料作成向け分析、形骸化している

4C、3C、SWOTなど、色々なフレームワークがありますが、最終的にはみなさんが「これがいい!!」と思うものを選んで頂ければと思います。

トロネコの場合はこちらのページの下の方で「マーケティング戦略の雛形」を掲載していますが4C、3Cは使わず、SWOT分析を採用しています。ただし、この「マーケティング戦略の雛形」の中では4C、3Cという言葉を使っていないだけで、それに相当する項目も含まれています。

つまり、

4C、3C、SWOTなどいろんなフレームワークがありますが、どれを使おうがOKなのです。大切なのは、

これらツールを使うことが「マーケティング」ではありません。

あくまでも、これらツールはビジネスにおける「戦い方(=マーケティング戦略)」を決める上でのサポート的な役割にすぎないのです。

 

このゲームタイトルで勝利するための「戦い方(=マーケティング戦略)」を決めるの目的であり、そこから導き出した施策を実行して、売り上げとかKPIとかKGIを達成できればいいだけなのです。

しかし残念ながら多くのゲームマーケティングの現場では

・マーケティング戦略が適切に作られていないので、そもそも3Cとか4CとかSWOTという文化も少ない

・マーケティング戦略が作られ、3C、4C、SWOTといったフレームワークが活用されているゲーム会社であっても、それは社内決裁を通すための社内資料向けの「言い訳」であったり、誰かを説得したり、仕事をとるための資料だったりしている

 

といった感じです。

つまり本来の使い方ができていないので、ゲーム事業の成功に貢献できていないというケースが非常に多いのです。

マーケティング戦略とは「資料を作ること」

マーケティング戦略とは「資料の雛形を穴埋めすること」

といったケースも多いのですが

もっと酷いのは

マーケティングなんて不要だから、思うままに施策を実施するだけ

世の中で目立つ、話題になる(実際に自分たちがそう思っているだけで何も話題になっていない自己満足に過ぎないのですが)施策を実行するだけ

予算を使うことがマーケティングである(マーケティングとプロモーションの混同)

といったことが見られます。

でも、このような場合の多くは、確実にそのゲーム事業は将来ピンチに陥ります。

これは20年以上に渡ってマーケティングをやってきたトロネコだから言えることでもあるのですが

ゲーム業界にいると、何度も「同じような失敗」に遭遇します。

歴史は繰り返されるし、多くの人が失敗から学ぼうとしません

だからこそ、ここに気づいて本気で変えよう!この状況じゃダメだ!

と思える人は圧倒的に強いし、そういう人がいるゲーム会社の未来は明るいのです。

まとめ:結局のところどうやって戦うのか?戦略が重要です

今回は「4Cとは、3Cとは、そしてSWOTとは」みたいな話をしましたが

実はそこは重要ではありません。

なぜなら、これらツールを使うことが「マーケティング」ではなく、これらツールはビジネスにおける「戦い方(=マーケティング戦略)」を決める上でのサポート的な役割にすぎないのです。

だから、私はいつもこのように質問を投げかけています。

このゲームを成功させるための「戦い方(=マーケティング戦略)」って何ですか?

「戦い方(=マーケティング戦略)」がスラスラと、データを元に論理的に説明できた上で

その上で、ゲームの面白さを感情的に伝えられるならば、それだけで十分だからです。

4C、3C、そしてSWOTはあくまでも前準備の話。

結局のところ、どうやって戦うのか?戦略が重要です。

 

というわけで今回はここまで!