ゲーム市場、スマホアプリ市場のパイは限られているけど
最近は中国のゲーム会社による、さらなる日本市場の参入や、これまでゲームとは無縁だった企業の参入などによって
「壮絶なユーザーの奪い合い」
が繰り広げられています。
とはいえ、もはや完全レッドオーシャンの市場においては、「まっさらな新規ユーザー」を獲得するなんて夢物語であり、未開拓、未発見の「ホワイトスペース」なんて、そう簡単に見つけられるものではありません。
となると、これからのアプリビジネス、ゲームビジネスで生き残っていくために必要なことは
今、この瞬間も、遊んでくれている、使ってくれている既存ユーザーをどうやって維持していくか
ここが重要になってきます。
今回はDAUを構成するユーザーの一つでもある「既存ユーザー」を維持改善する方法にフォーカスしてお話をしていきます。
DAUは3つのユーザーから作られている
突然ですが質問です。
DAUを構成する3つのユーザーを答えてください!
「トロネコのゲームマーケティング大学」を愛読して頂いている方なら簡単すぎる問題ですよね?
DAU(Daily Active Users/1日あたりのアクティブなユニークなユーザー数)は次の3つのユーザーから構成されます。
DAU = 新規ユーザー+既存ユーザー+復帰ユーザー
となるわけです。
下記の記事でも詳しく説明していますので、お時間がある時にでもご覧ください。
5年以上前ならプロモーションを投下すれば、新規ユーザーもザクザク獲得できた時代もありましたが、多くのユーザーが何かしらゲームをしているような現代においては、新規ユーザーが本当に取れなくなりましたよね。
復帰ユーザーとは一度、そのゲームを辞めた(離脱した)ユーザーを指しますが、そのゲームを辞めたということは、何かしら他のゲームを遊んでいるということになるので、これも復帰させる事が難しく
あの手この手で復帰させても、LTV(生涯課金額)、RR(継続率)ともに、低くなりますので、復帰させるためにコストやリソースを費やしても、割りに合わなくなりつつあります。
そこで近年、注目されているのが「既存ユーザー」というわけです。
既存ユーザーとは生き残りの精鋭部隊
下記の記事でも書いていますが
スマホゲームの場合は「基本プレイ無料」ということもあって、ゲームをインストールしてプレイした瞬間からユーザーは辞めていきます。
新規ユーザーを獲得しても続々と辞めていくわけです。
そんな中で、ずっと遊び続けて頂いているのが「既存ユーザー」なのですが、例えばインストールから30日経過後に残るユーザーが10%とするなら、この10%のユーザーは
このゲームを支えてくれる精鋭部隊であり
このユーザーがいるからこそこれからもこのゲームが成立する
(このユーザーを失ったらこのゲームに未来はない)
といっても過言ではありません。
新規ユーザーも、復帰ユーザーも獲得しにくくなった現代において
既存ユーザーを維持することは、このゲームの運命を決めるわけですね
既存ユーザーを軽視して、新規ユーザーの顔色しか見えていないゲーム会社はもはや生き残れません。
ならば、どうやって既存ユーザーを維持するか?
今日からすぐにできる「既存ユーザーの維持獲得方法」についてお話します。
スマホアプリ既存ユーザー維持→DAU維持に効果が見込める施策
ゲームアプリだけでなく、スマホアプリ全般において
既存ユーザーによるDAU維持改善が見込める施策について、KPIという数字に対するインパクトが大きい順に解説します。
ただし、KPIに対するインパクトが大きいからといって、必ずしも根本的な課題解決につながるとは断言できない部分もあり、その点は各項目のデメリットに記載していますので参考にしてください。
ゲームのプッシュ通知
スマホアプリの基本機能である「プッシュ通知」は既存ユーザーに対する「アクションを促す情報伝達」として活用できます。
しかし、多くのゲームアプリはあまり活用できていないのが現状です。
プッシュ通知は
「既存ユーザーを引き止める最後の砦」です。
これから色々出てくる施策で効果が見込めないユーザーでも、アプリを削除していない限り情報伝達によって、アプリからの完全離脱を防止することができます。
KPIにおけるDAUへのインパクト | ○ |
メリット | アプリを削除していないユーザー、かつプッシュ通知をオンにしているユーザーに対して情報伝達ができる。アプリだけで完結する。他の外部ツールは不要。 |
デメリット | プッシュ通知をオンにさせる必要あり。送信しすぎるとユーザーに対してネガティブな印象を与える。 |
対応タスク | プッシュ通知をオンにさせる施策の実施。およびプッシュ通知の運用計画 |
ゲームアプリアイコンの変更
1周年記念、コラボなどで、アプリのストアアイコンを変更する事がありますが
これによってユーザーのスマホのホーム画面に表示されている「アプリアイコン」も同時に変更になります。
ホーム画面のアプリアイコンの変更は、ユーザーの注意をひく事が可能であり
瞬間的ではありますが既存ユーザーのゲームアプリの起動=DAUというKPIのアップ
に繋げる事ができます。
KPIにおけるDAUへのインパクト | ◯ |
メリット | KPIという数字上においてはアイコン変更した直後は瞬間的にDAUがアップします。 |
デメリット | アプリ変更に気づいたユーザーは瞬間的にアプリを起動することでDAUがアップするだけであり、アプリ起動後に何もなければ、瞬間風速的なDAUで終わってしまいます。また頻繁にアプリアイコンを変更することはできないため、限られた一発勝負の施策としての意味合いが大きくなります。 |
対応タスク | アプリアイコンはユーザーを「驚かしている」ようなものですかr、必ず、その先にあるアプリそのものの施策もセットで、かつアイコン変更と同時に実施する必要ががります。ましてアイコンの変更だけフライングでやらないようにしましょう。 |
自社LINEプッシュ通知
ゲームアプリなら、専用の公式LINEアカウントにユーザーをプールして
LINEからのプッシュ通知をする事でDAUを改善する施策を行う事ができます。LINEのプッシュ通知はただの情報伝達ではなく
「然るべきタイミングに、ユーザーのアクションを伴うプッシュ広告が打てる」
という特性を持っています。
ユーザーの興味を惹き、アプリを直接起動できるタグを仕込み
その上でユーザーの可処分時間に合わせたタイミングでプッシュ通知をすることで
既存ユーザーによるDAUを大きく改善できます。
KPIにおけるDAUへのインパクト | ◎ |
メリット | 既存ユーザーによるDAUをKPIツールでもわかるレベルで改善できます。 |
デメリット | 既存ユーザーが公式LINEアカウントに登録している必要があります。送信しすぎるとユーザーに対してネガティブな印象を与えブロックされます。 |
対応タスク | アプリ内からLINEアカウント登録への導線を作り、かつ、既存ユーザーがLINEアカウントに登録する理由付けを用意します。 |
ゲームアプリ内のインフォメーション(お知らせ)
アプリを起動した際に表示される「お知らせ」「インフォメーション」は
そのアプリを利用するすべてのユーザーに情報を周知させる事ができます。
明日も、明後日も、アプリを起動したくなる情報を適切に掲示することで、既存ユーザーのアクティビティを高め、DAUを維持することはできます。
多くのゲームアプリでは
適切な「お知らせ」「インフォメーション」設計ができていないため、ここを研究し、改善するだけで長期的にDAUを維持しやすい基礎環境を構築する事ができます。
つまり既存ユーザーが離脱しにくいベースが作れるというわけです。
KPIにおけるDAUへのインパクト | △ |
メリット | 既存ユーザーに対する情報周知をする事で「辞めにくい状態」を作ることができます。 |
デメリット | 「お知らせ」「インフォメーション」はゲーム開発チームで作られる事が多く、「情報伝達性」はあまり考慮されていない事が多いです。改修には工数がかかります。 |
対応タスク | ゲーム開発とマーケティング部門との連携、及び長期的な改善計画を立てる必要があります。 |
自社Youtube運用
そのゲームアプリ専用のyoutubeチャンネルがあるなら
youtubeチャンネル上でLINEやTwitterの役割を担う「動画投稿」を行うことで既存ユーザーのアクションを促しDAUを改善する事が可能です。
例えばゲーム内と連携して
本日19時に実装される新キャラの紹介を、本日18時50分の予約投稿でyoutubeで紹介動画を公開して、ゲーム内への導線を作ることでも、既存ユーザーのアクティビティは高められます。
KPIにおけるDAUへのインパクト | △ |
メリット | 動的に視覚的に情報伝達が行え、ユーザーのアクションを促す事ができます |
デメリット | YouTubeチャンネルに既存ユーザーが登録していないと効果は見込めません。また、youtubeで動画公開された時にユーザーに伝わるように通知(ベルマーク)をオンさせておかなければDAUへの効果は低下します。 |
対応タスク | ゲーム内施策と連携したyoutube動画の制作と運営。通知(ベルマーク)をオンさせておくための施策がセットで必要です。 |
自社Twitter運用
ゲームアプリの既存ユーザーが公式Twitterをフォローしている場合は、Twitter投稿を持って、既存ユーザーのアクティビティを促し、DAUを維持改善する事ができます。
KPIにおけるDAUへのインパクト | △ |
メリット | 低コスト、低リソースで既存ユーザーのアクティビティを改善し、DAUにインパクトを与える事ができます。 |
デメリット | Twitterはタイムラインが流れる媒体であるため、ユーザーに対する情報伝達性は低く、かつ、その投稿からダイレクトにゲームアプリを起動させる動線が低く、単体のツイートではDAUに対するインパクトは小さい傾向にあります。 |
対応タスク | アプリ内からTwitterアカウント登録への導線を作り、かつ、既存ユーザーがTwitterアカウントをフォローする理由付けを用意します。現状のTwitter運営の設計と運用の見直しも検討します。 |
おすすめの方法
ここまで色々な方法について解説してきました。
これ以外にもTikTokやメルマガ、Facebookなど様々なメディアを使った方法は考えられます。
最後におすすめの方法としては
今回、ご紹介した方法を複合的に組み合わせて、かつ時間差で実施するという点です。
例えばゲーム内で19時から新しいイベントが始まったなら媒体特性を踏まえた上で、次のように時間差でメディア運用をします。
1日前 | ゲーム内お知らせ | 事前告知 |
18時 | Twitterによる情報拡散も考慮して1時間前に告知 | |
18時50分 | アプリプッシュ通知 | 開始直前に告知 |
18時50分 | YouTube | 開始直前に動画で情報告知(5分以内で見終わる動画にすること) |
19時 | LINE | すぐにアクションが起こせるLINEプッシュで告知 |
19時 | ゲーム内イベント開始 | |
20時 | Twitterによるイベント開催中告知を実施 |
このように媒体特性を踏まえた上で、かつタイミングをずらし時間差で告知することで、それぞれ単体ではDAUとしてKPIに反映されにくくても、それぞれのメディアの役割を果たすことで既存ユーザーのアクティビティを高め、DAUを改善する事ができます。
ポイントは1人のユーザーはLINE、Twitterなど複数の媒体に登録している可能性もあるという点です。1回の情報伝達では動かせなくても、時間差で複数回のフリークエンシー(情報伝達回数)を稼ぐことでユーザーに対して情報周知ができ、アクションをさせる事ができます。
ダメなケースとしては19時のイベントと同時に全部の施策を一斉通知するようなケースです。これをやってしまうと情報伝達の無駄打ちになりますし、ユーザー側としても一斉通知させるのは、ストレスになってしまいます。
メディアの特性の理解がおすすめ
アプリプロモーションでは様々なメディアを使っています。
重要なのは、それらメディアの特性を理解して、最適な使い方をするという点にあります。
実はほとんどの人が、メディアの特徴をあまり理解していません。
厳密には理解はしているけど、特徴の違いを持って戦略や施策に落とし込めていないのです。
これを防ぐ方法として、媒体特徴をまとめたシートをトロネコは公開しています。こちらを使いながら戦略や施策を検討することで、効果的なプロモーションを実施する事ができます。
まとめ
今回は最近注目されている「既存ユーザー」の維持と改善について解説してみました。
「複合的な組み合わせ」と「時間差による施策設計」が重要
という話をしましたが、
施策の全体設計と、各個別運用を連動する必要があるので
ここには運用と設計のプロが必要です。
私、トロネコもこの辺りは支援していますので、もしご興味がございましたら、お気軽にご相談ください。
メール、またはLINEチャットで気軽にご相談できる「トロネコのカベウチ」をご利用ください。
ありがとうございました。