なぜ1月と4月は新規ユーザー獲得におすすめなタイミングなのか?|ユーザーモチベーション分析

マーケティング
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スマホゲームマーケティングにはユーザーのモチベーションが上がるタイミングの理解が必要です

こんにちは

マーケティングスペシャリストのトロネコです。

今回はゲームアプリだけでなく、あらゆるアプリやサービスにも使えるマーケティングの基本的な考え方についてお話します。

その考え方とは

「1月や4月ほど完全新規ユーザー獲得に最適なタイミングはない」

という話です。

現在、世の中はコロナの問題でリアル店舗は大きな打撃を受けています。オンラインサービスやスマホアプリの場合は、その影響を実感できるレベルで可視化できないため、1月や4月における完全新規ユーザー獲得の影響について実感も、数値分析することが難しいかもしれません。

でも、繰り返しお伝えしますが

「1月や4月ほど完全新規ユーザー獲得に最適なタイミングはない」

これは事実です。

だからこそ、このタイミングで施策設計することで通常よりも大きなKPI改善を目指すことができます。

なぜ1月や4月が新規ユーザー獲得におすすめのタイミングなのか?その理由について解説します。

コロナ禍なのに1月になってスポーツジムの体験入会が大きく増えた

コロナの影響でリアル店舗は大きな影響を受けています。スポーツジムも同様で一般的には多くの人が平常時と比べると避ける傾向にあります。よって、これから新規入会する人も減ると思われます。

でも、知り合いのスポーツジムは12月にはピタッと止まっていた体験入会が、1月になって大きく増えています。これは決してこのスポーツジム固有の話でははないのです。

実は1月や4月など人生において「区切り」となるタイミングは、人間のモチベーション心理に大きな影響を与えることがわかっています。

1月や4月は1年間の中でもユーザーのモチベーションが最高にあがるタイミング

元旦に年賀状を書いたり、4月から学校や新社会人になったり、転職したり、すでに働いている人は新しい部署で働き始めたり

人生のサイクルを通して1月と4月は

「新しいことが始まる」という習慣が染み付いています。その結果、1年間のサイクルとしてユーザーのモチベーションが最高にあがるタイミングなのです。

特に新しいことを始めるモチベーションは高まるタイミングとされています。この人間の心理を十分理解して、マーケティングを行っているのが、あの有名なユーキャンです。

ユーキャンのTVCMは1月や4月に多い

【チャレンジユーキャン2021】白石麻衣さんインタビュー動画

毎年、ユーキャンは次のようなサイクルでプロモーションを仕掛けています。今年は白石さん、多部さん、桐谷さん、杏さん、井ノ原さんといった20代中盤から30代にかけた男女を意識したタレントさんを起用しているようです。

年末:ユーキャン流行語大賞の実施

1月:タレント起用によるTVCMの実施

→CM内容は必ず「新しいことを始めよう」がコンセプトである

4月:1月と同様にTVCMなど大型プロモーションの実施

 

この流れは何十年も続いています。

なぜなら、1月と4月は消費者が新しいことを始めるモチベーションが高まることをわかっており、そこでのプロモーションを行うことでプロモーション効果を倍増させられることを知っているからです。

また、さまざまな調査結果をみると、1月と4月はモチベーションがあがるタイミングことは裏付けされています。

新年はモチベーションが全体的にあがる!若い人ほどその傾向が高い

例えば次のようなデータがあります。データはいずれもちょっと古いのですが、人間の基本的なモチベーションのサイクルの傾向は安定して激変しにくいので、古いデータでも組み合わせることで参考になります。

第一生命が調査したデータによると、4月の新年度は年末年始についてモチベーションがあがるとしてます。

データ元:「新年度における消費者の傾向」第一生命

 

下記のデータは新年1月から新しい趣味を始めるモチベーションについて調査されています。

データ元:PRTIMES「新年と趣味に関する調査」

若い年代ほど、新しいものに対する意識が強く、年齢を重ねていくことで下がっていくという非常にわかりやすいデータですね。あとで話をしますが

年齢が低いほど、新しいゲームが出たらとりあえずお試しプレイしやすく、面白ければ乗り換える傾向がありますがが、年齢があがるほど、新しいゲームが出てもお試しプレイさせにくく、いま遊んでいるゲームばかり遊び続けるという傾向があります。

年齢が高めのゲームジャンル、コンセプトを持ったゲームほど、既に市場に先行タイトルが存在すると、なかなか新規ユーザーを獲得しにくく、CPIが高騰するのは年代における意識の特徴からも裏付けされます

データ元:PRTIMES「新年と趣味に関する調査」

注目して欲しいのは、の調査では多くの人が

「趣味を始めたいけど、始めたい趣味がわからず今探している」

と答えています。

トロネコは自分から趣味を探して、自分で決めて勝手に楽しむ性格なのですが、そんな人は全体から見るとレアキャラであり、多くの人は「自分で見つけられない状態」だったりするのです。

データ元:PRTIMES「新年と趣味に関する調査」

それゆえに、企業はTVCMやクチコミ拡散が期待できるプロモーションを投下することで「趣味を始めたいけど、始めたい趣味がわからず今探している人」に対して「気づき」を与えるわけです。

ユーキャンが1月と4月に投下するマーケティングはまさに、このようなデータに基づいていると推測されます。

ユーザーのモチベーションの高まりと合わせての新規ユーザー獲得施策は効果が倍増する

とはいっても、ユーキャンはあくまでも「学び事業」ですからゲームとは一見関係ないようにみえるかもしれません。

でも、1月と4月におけるモチベーションの高まりは決して「学び」に限ったものではなく、日本人のライフサイクルの中に時間をかけて刷り込まれた習慣みたいなものです。

前のデータで「趣味」の話がありましたが、ゲームも「趣味」そのものです。多くの人が新しい趣味を探しているわけです。

ちなみに、今回は日本独自の話をしていますので、海外ではモチベーションがあがる季節タイミングは若干違うかもしれません。

余談ですがここをうまく分析できると日本のゲームアプリを海外持っていったり、その逆のパターンにおいても適切な戦略を作ることができます。

スマホゲームにおける月別獲得ユーザー数の推移

実際にトロネコが独自にテストをしている月別の獲得ユーザーの推移データをご紹介しましょう。

こちらはトロネコ独自の研究の一環としてユーザーのアプリインストールの推移を分析したデータです。どこかのゲーム会社のデータとか、調査会社のデータでもなく、こんな調査もトロネコは独自でやりながらゲームアプリの研究をしています。

実際には次のような方法で調査しています。

・「100連無料!」といった訴求はせず、純粋にゲームの魅力訴求で調査

・広告出稿ではなくオーガニックによるユーザー獲得

つまり、広告テクニックによって数値のバイアスがかからないようにすることで、純粋なユーザーのモチベーションによる月別の推移を出しています。

広告のテクニックや、CPI高騰を覚悟で露出をあげれば獲得数をコントロールすることができますし、それではユーザーのモチベーション推移は分析できないので、一切排除して研究をしたデータになります。

 

ちなみに前日、次のようなTweetをしました。

仮設を立てて、実際にやってみないとわからないことが多いので、日々、いろいろなことを試しながら研究して学んでいます。

研究とか調査とかマーケティングとか楽しい!!

 

ちなみに2020年はコロナの影響で例年と比べるとデータにバイアスがかかりすぎているので、平常時の状況を把握するため今回は2019年のデータを使っています。

縦軸がインストール数、横軸が月別の推移となります。1月と4月はゲームに対するモチベーションが他の月と比べても明らかにあがっていることがわかります。

8月は夏休みが入るため、モチベーションよりも可処分時間の多さがデータに出ている感じです。8月の夏休みよりも1月、4月の方が可処分時間が少ないのですが、それでも数字は上なのです。

これらユーザーのモチベーション上昇をスマホゲームマーケティングに活かさない手はありません。

 

ゲーム業界では1月や4月はあまり意識されていない事実

実はゲーム業界においてユーザーモチベーションの高まりはそれほど意識されていません。

12月に任天堂のゲームが1年間で最も売れるという傾向がありますが、これは任天堂のゲーム機やソフトがプレゼント商品としての需要が高まることと、冬のボーナスに影響している点が大きいのです。

先ほどの表は基本プレイ無料のゲームの推移ですから、まさに購買意欲よりも、プレイモチベーションの推移が色濃く出ているデータになります。

スマホゲームの場合は、配信中タイトルであっても

1月、4月はユーザーモチベーションがあがるからあえてプロモーションをかけるという考えは極めて少ないのです。

多くのケースでは1月、4月がそのゲームアプリにとって周年タイミングだったり、商戦期として設定したゆえにプロモーションを行います。

スマホゲーム会社の場合、1月、4月のユーザーモチベーションを意識していないことを裏付けるもうひとつの証拠としては、そもそも配信開始月をあまり考慮せずに配信されるケースが多く、配信から1年後の周年タイミングになって、実は社内外で競合タイトルが多くて苦労する、というケースも見られます。

詳しくは下記の記事をご覧ください。

ちなみに家庭用ゲームの場合、9月と3月に新作タイトルが集中しがちなのですが、あれはゲーム会社の多くが9月、3月決算のため、決算に貢献するために期内になんとか発売させなければならない、といった別の目的によって発売日が設定される場合が多いのです。

まとめるとゲーム業界では1月、4月におけるユーザーのモチベーションはあまり考慮されていないので、ここを考慮してマーケティング設計すると、現状を大きく変えられるかも!?

ということになります。

完全オリジナルタイトルは1月や4月にリリースがおすすめ

ゲームの配信タイミングについては、ゲームによって様々な制約が発生する場合があります。例えば次のようなものが挙げられます。

・版権や契約条件によってアプリ配信月が制限される

・ゲーム会社の都合で配信タイミングが決まる

また、ゲーム自体がたくさんのファンを抱えている版権IPタイトルだったりするならば、それほど配信タイミングを考慮する必要はないかもしれません。なぜなら、100万人のファンが存在して、そのゲームを待ち望んでくれるなら、配信タイミングは大きな影響を与えないからです。

一方で、ファン0人から立ち上げる完全新規タイトルは、1月、4月といったユーザーのプレイモチベーションを利用しない手はありません。

完全オリジナルタイトルや、ノンIPタイトルのゲーム運用なら、1月、4月における消費者のモチベーションの高まりは活かしたいところですね

4月に新規ユーザー獲得→GWでユーザー定着の設計がおすすめ

今回の記事を読んで頂いた結果、消費者のモチベーションを活かしたマーケティング設計をしたい!と思った方は

4月に新規ユーザーを獲得→GWでユーザー定着

といったダブルの設計がおすすめです。

獲得したユーザーは定着させないと意味がありません。1月にユーザーを獲得した場合、2月で定着させなければならないのですが2月って、1年を通してもゲームユーザーを定着しにくいタイミングだったりします。定着させるためには相応の可処分時間が必要なのですが、そういった意味では

4月に新規ユーザーを獲得→GWでユーザー定着

という設計は非常に理想的なのです。

まとめ

今回、1年間の中におけるユーザーモチベーションの高まるタイミングについて解説してきました。

ゲーム業界的には、まだまだ踏み込めていない領域ですから、やるだけの価値は十分にあります。

運用中タイトルならば年間の運用計画を作る際に、1月と4月のユーザーモチベーションの高まりも組み込んだ上での施策設計ができると良いですね!

今回ご紹介した内容について、もっと詳しく相談したい!という方はLINEチャットで気軽に無料相談できる「トロネコのカベウチ」、もしくはメールにてご連絡ください。

toro_neko2020@yahoo.co.jp

みなさまのお役に立てればトロネコは幸せです。