【中国ゲーム会社が日本市場にさらに参入強化】日本のゲーム会社ができること・やるべきこと
ニュースにもなっていますが2021年7月以降、中国ではオンラインゲームの新規タイトルの承認が降りない状態が続いています。
実は中国でオンラインゲームを配信するにあたっては許可が必要となります。
その結果、中国市場ではさまざまな影響が出ています。
・1万4,000社のゲーム会社が倒産
※ちなみに中国には30万社のゲーム関連会社が存在するとのことです。
・倒産しないまでもリストラを実施するゲーム会社も増加
その結果、多くの中国のゲーム会社は中国ではなく海外に市場を求めている状態です。
海外のゲーム市場といえば
アメリカ、日本、韓国が巨大な市場ですが、中国で開発されるゲーム会社の多くは日本市場との文化的な相性が近く、日本でオンラインゲームの新作配信が加速しているというわけです。
2022年、日本市場はこれからどうなる?
現時点でも中国で新作のオンラインゲームは配信されておらず、いつ再開されるか目処は立っていません。
これによって現在、続々と中国のゲーム会社が開発したアプリが日本で先行配信される状態になっていますが、2022年、さらにこの傾向は加速すると予想されます。
これによって2022年、日本のゲーム市場はさらに次のような状態が加速すると思われます。
日本のスマホゲーム市場はさらにレッドオーシャン状態
日本市場では中国、韓国、欧州開発のゲームアプリやPCオンラインゲームなどが乱立する状態になります。ゲームユーザー視点では嬉しい状態かもしれませんが、ゲーム会社視点では過当競争が繰り広げられることになります。
オンラインゲームに求められる品質基準の向上
現状、中国と日本のゲーム会社を比較した場合、ゲームの開発費、宣伝費においては圧倒的に中国が上です。かけられるコストとクオリティや売上は必ずしも比例すると断言できないものの、ゲーム開発においては、例えば
数十億から数百億円の開発費がかかるオープンワールドゲームを作れる中国のゲーム会社と
そこまでの投資ができない日本のゲーム会社といった
「作れるゲームジャンルの偏り」は今後さらに加速すると思われます。
日本ゲーム業界全体に対するメリット
日本のゲーム会社視点で見れば、かなり厳しい状況が予想されますが、一方で日本のゲーム業界全体で見れば、ゲーム業界周辺事業においてはメリットはないわけではありません。
例えば中国ゲーム会社の日本市場へのシフトによって、次のような領域においてはビジネスチャンスが増える可能性はあります。
ゲームメディア
中国ゲーム会社の日本シフトによって、ゲームアプリが増えることで、ゲームメディアでは取り扱うタイトルが増え、オンラインメディアを中心に活性化する可能性はあります。
ゲームに関する広告
Web広告、youtuber施策、TVCM、OOH(Out Of Home media/屋外広告物)といった広告媒体に対する中国ゲーム会社による広告出稿は増加すると思われます。
その結果、広告価格は高騰する可能性もあります。
ゲーム開発に付随する周辺事業
中国のゲーム会社が日本市場で展開する上で非常に重要なのは日本ユーザーが求める品質の担保にあります。
例えば
日本市場向けの品質テスト、バグチェックなどの事業はさらに活性化するでしょうし
オンラインゲームを日本市場向けにカルチャライズするための事業も需要が高まることでしょう。特に3次翻訳については今後、さらに重要になると考えられますし、それができる人材や請負ができる会社のニーズはかなり高まるでしょう。
1次翻訳 | 外国語を日本語に直訳する |
2次翻訳 | 直訳した日本語を違和感ない言葉に置き換える |
3次翻訳 | そのゲームの世界観や使っているIPに合わせた日本語に置き換える |
これまで多くの海外のゲームアプリは1次翻訳すら不十分なゲームが多く、2次翻訳の重要性が求められていましたが、本気で日本市場で結果を出すには3次翻訳が必須になります。
実際のところゲーム内の翻訳だけでなく
アプリストアの記述や公式サイト、Twitter運用などあらゆるプロモーションツールにおいても3次翻訳が不十分なケースが散見されますので、中国ゲーム会社にとっては今後の課題となるでしょう。
中国ゲーム会社もマーケティングの重要性にシフト
中国のゲーム会社も数年前から続々と日本市場に参入して、結果も出してきたわけですが
その一方で
「数年前のやり方では日本市場では、もう、うまくいかない」
ということに多くのゲーム会社が気付き始めています。
実際のところ中国ゲーム会社は日本のゲーム会社と比べると、宣伝予算も豊富で、たくさんのTVCMやOOH(Out Of Home media/屋外広告物)、Youtuber施策などを実施してきましたが、
効果があまりみられないし、何よりもコストがかかりすぎる
といった事に気付き始めています。
そして、「マーケティングの重要性」について理解が進み
いかに効率的に、ゲームビジネスを展開していくか、模索している最中です。
今後、中国のゲーム会社もマーケティングマインドが一気に進み、日本のゲーム会社を追い越していく可能性もあります。そういった意味では日本のゲーム会社は、かなり危機感を持ってゲーム事業を展開していかなければ、太刀打ちできない可能性もあるのです。
2022年、日本市場で成功を収めるために必要なこと
最後に中国のゲーム会社、日本のゲーム会社が日本市場で成功を収めるための、これから必要なことについて簡単にまとめておきましょう。
日本のゲーム会社が中国のゲーム会社に勝利する方法
日本のゲーム会社が中国のゲーム会社に勝利する方法は極めてシンプルです。
日本市場、日本の文化、日本のユーザーの嗜好性を知り尽くし、かつ、彼らにアプローチするための手法も理解している日本のゲーム会社は、
それらアドバンテージや資産を活用することで、全然、戦えます。
ただし、開発費、宣伝費では圧倒的に中国ゲーム会社には敵わない可能性があります。
そこで重要なのは
「どこにリソースを注力することで、勝機があるか」
「マーケティング戦略がどこまで作り込めるか」
ここにかかっています。
逆をいえば、中国のゲーム会社と同じことをやっていては絶対に勝てません。
中国のゲーム会社が日本のゲーム市場で成功する方法
一方で中国のゲーム会社が日本のゲーム市場で勝利するための方法もシンプルです。
日本のゲームユーザー、文化を理解し
日本のユーザーがが求めているものを、適切な手段で届けるだけです。
多くのケースでは
翻訳や品質が不十分だったり、ゲームとしての新規性が低かったり
日本市場における「戦い方」を知らなかったり、間違っていたり
します。
よってベストな方法としては
ゲーム開発チーム、マーケティングチームに日本のゲーム市場を知り尽くしたプロを入れることで解決できます。
まとめ
今回の記事ではますますレッドオーシャン化する日本のオンラインゲーム市場で
結果を出すためのヒントについてお話しました。
お金もリソースも無限ではありません。
その中で重要なのは
「どこにリソースをかけることで、勝算がアップするか」
そのためには
これから、ますますマーケティングの重要性は高まると思います。
私、トロネコも20年以上にわたってゲーム業界でマーケターをやってきましたが、まだまだマーケティングの浸透は不十分であると感じています。
一方でマーケティングの重要性に気づき、取り入れることでライバルの会社に対して圧倒的なアドバンテージになり「戦える状態」を作ることができます。
マーケティングは宣伝プロモーションではありません。
まずは、そこに気づき、学び、取り入れることができるかが、皆さんのゲーム会社のこれからを決めると思います。