こんにちはトロネコです。
今回はゲームプロモーションやゲームの宣伝方法において、基本的なリストをご紹介します。
「ただ面白いプロモーションをやるだけでは、ゲーム事業はうまく行きません」
「面白いキャンペーンをやることが目的になるとゲームプロモーションは失敗します」
スマホゲーム、PCオンラインゲーム、家庭用ゲームの宣伝やプロモーションを考える上で、何をやればいいのか?何を検討すればいいのか?
初心者でもわかるように解説します。
ゲームプロモーションとは?PR、宣伝、広告との違い
その前にゲームプロモーションとは何か?宣伝や広告との違いについて整理しておきましょう。
まず、現実的な話として多くの現場では
ゲームプロモーション、宣伝、PR、広報といった言葉の意味が区別されず、同じ意味を指す言葉として使われているという事実があります。
ゲームの認知を高めて、ゲームを売ることに対する総称として使われている感じです。
でも、実際のところ、これらの言葉は全て異なる意味を持ちます。
対価 | 定義 | 具体事例 | ターゲット | 注意点 | |
プロモーション | 有料 | 「販促活動」という言葉で言い換えることができます。企業とユーザー間でコミュニケーションを伴う販促活動を指します | SNS運用、オウンドメディア運営、公式サイト、PV制作、キャンペーンサイト制作 | ユーザー | プロモーションとは一見、無料で実施できる施策のように思うかもしれませんが、広告出稿にお金を使っていないだけであり、制作費、人件費でお金が発生します。 |
宣伝 | 有料 | 他社の媒体メディアの面を購入するメディアバイイングに相当するものは全て宣伝に該当します | TVCM、OOH、雑誌広告、オンライン広告、インフルエンサー施策 | ユーザー(家庭用ゲームの場合は流通バイヤーも含む) | プロモーション、PR、広報に該当する案件でも、お金を払ってメディアを購入している場合は、実質的に宣伝に該当します |
PR | 無料 | 商品情報をメディアに渡して無償で掲載してもらう活動全般を指します | アプリストア、ゲーム媒体、ニュースメディア、インフルエンサー、TV番組、プレスリリース | 最終的にはユーザー向けだけど、メディア側を向いているケースが多いです | 本当の意味で無償PRが実現できるのは「ヒット商品」を持っている会社や、メディアとの優良な関係を築いてきた会社に限定されます。最近はお金で購入したPRに対して「PR表記」を記載必須とする法律も登場しており、本来の意味と異なりつつあります |
広報 | 無料 | PRと意味が重複して使用される場合がありますが、個別商品というよりは会社の知名度、ブランディングが本来の目的です。 | 企業のブランドを上げるプレスリリース、メディア掲載交渉、発表会など | 最終的にはユーザー向けだけど、メディア側を向いているケースが多いです | ゲームという商品単体ではなく、コーポレイトに所属している人員が担当することが通常ですが、会社の規模や組織によっては兼任されていることもあります |
マーケテイングとプロモーション・宣伝の違い
プロモーション、宣伝、PR、広報の違いがわかってきたところで、もう一つ、混在している言葉として「マーケテイング」があります。
マーケティングの定義を今一度おさらいしておきましょう。
ゲームにおけるマーケティングとは「ゲームが売れる仕組みづくり」です。
下記でも詳しく紹介していますので、とりあえず一度、目を通しておきましょう。
その上で、マーケティングとプロモーション、宣伝、PR、広報の違いは何か?という話なのですが
ゲームにおけるマーケティングとは「ゲームが売れる仕組みづくり」であり、「ゲームが売れる仕組み」の一部を担うのがプロモーション、宣伝、PR、広報になります。
プロモーション、宣伝、PR、広報は「ゲームが売れるための手段」というわけです。
プロモーションや宣伝が失敗する原因
プロモーションや宣伝がうまくいかないことありますよね?
いや、むしろ上手くいかないことの方が多いかもしれません。
上手くいかない、失敗する理由はシンプルに2つあります。
①マーケティングが適切に実行されていない
マーケティング戦略が作られていない、このゲームを成功させるための適切な勝ち筋が考えられていない。どうすれば成功できるのか?戦い方が定まっていない。とも表現できます・
②プロモーション、宣伝が先行している
「マーケティング戦略が作られていない」の逆説的な話になるのですが、多くの現場では「プロモーション、宣伝をやることが目的化している状態」です。
この状態をトロネコは時々「HOW思考」という言葉を使って表現します。
もう少し具体的な話をすると
新作ゲームだから「公式サイト」作って、「SNSアカウント」作って、「オンライン広告」出して、やることリスト作らなきゃ
みたいな感じで、「プロモーション、宣伝をやることが仕事」「やり切ることが仕事」になっているような現場は100%失敗します。
ゲームプロモーション宣伝方法チェックリスト
家庭用ゲーム、スマホゲーム、PCゲーム、さらにはstem、ブラウザゲームでも使える、代表的なプロモーション、宣伝項目のリストをまとめました。
タイトルやゲーム会社の環境によって、やるべき事は変化しますし、全部をやる必要はありません。(そもそも、お金、時間的にできない場合もありますよね)
よって、汎用的に使えるように最低限議論するべき施策に限定しました。
どれをやる?なぜやる?
どれをやらない?なぜやらない?
チームメンバーで議論をして「マーケティング戦略」「マーケティング的な方針」に基づいて判断をする事が重要です。
ASO
・ASOとはApp Store Optimizationの頭文字をとった言葉
・ASOの役割は2つ
アプリストア内でのキーワード検索順位を上げる × アプリのコンバージョンを上げる
・検索されてアプリページに到達しても、ユーザーの多くはインストールせずに離脱するので、「画像」「映像」「紹介文」「レビュースコア」を最適化することはアプリビジネスの基本中の基本であり最重要項目
・ASOはアプリの時間経過によるターゲットユーザーの変化と連動して変化するので、常にPDCAを回して最適化をし続ける必要あります
あらゆるプロモーションの結果、必ずアプリストアを経由するのでASOは超重要なのですが、軽視している現場も多いです。プロモーション効果を無駄にしているケース多いので要注意です。
PR・プレスリリース
・PRはPublic Relationの略称。基本的に無償掲載なのでメディア媒体との関係作りは重要
・ただ情報を渡すのではなく、メディア側のメリットや興味関心を考慮した提案や交渉が重要
・プレスリリースは誰でもできる無償の商品発信の方法。最近はプレスリリースを打ってもほぼ無風のケースも多く、リリース内容に仕掛けやメディアの興味関心を惹きつけるものが必要
世の中には膨大なPRやプレスリリースが日々発信されているので、その多くは取り上げられず埋もれてしまいます。最終的にユーザーに届けるのが目的ですが、まずは媒体が関心を持ってもらうようなプレスリリースの設計が重要です。
SNS運用(Twitter/インスタ/Tiktok/LINE)
・Twitter、インスタ、LINE、Youtubeなど自社運営による公式アカウント全般
・SNSはそれぞれ機能的特性、ユーザー属性、役割と効果があるので、戦略や目的に応じて使い分けないと効果を出せません。
・SNS運用は無償でできるプロモーションであり、無計画に実施しがちですが、SNS運用に特化したマーケティング戦略を策定する必要があります
SNSをフォローして、「いいね」を押すユーザー感情を無視して、企業側の都合でSNS運営しているケースは多々見られます。ユーザーサイドになって考えると適切で効果的なSNS運用設計が可能です。不要な情報発信やむやみに報酬プレゼント、広告的な運用はユーザーから嫌われる場合があります
PV(プロモーションビデオ)
・視覚的に情報を伝えたり、課題を解決する際に便利な映像ツール
・マーケテイング戦略、アプリのフェーズや目的によって必要とされるPVの内容も変動
・PVって最低限作らなければならないプロモーションツールと考えがちだけど、目的が不明確な不要なPVも多く見られます
PVってそこそこ制作費も手間もかかるのですが、効果測定が難しいですよね・・・・という意見をよく聞きます。
こういう意見が出ている現場って、ほぼマーケテイング戦略が存在せず、「PVを作ることが目的化」しているケースが多いんです
公式サイト
・アプリストアに到達する前にゲームの概要を知る重要なオウンドメディア
・ゲームのフェーズによって役割やターゲットユーザーは変化するので公式サイトも時系列による変化が求められる
・スマホ最適化はもちろん、1stビューからスクロールした際の情報など、ユーザーの動線や興味関心を踏まえた設計が必要。
公式サイトって作り手は「カッコよさ」を求めるけど、ユーザー目線では別に「カッコよさ」が最重要事項ではなかったりします。
一度作るとそのまま放置される場合が多いので、「更新性」を重視した簡素な公式サイトの方が効果を出せる場合もあります
TVCM
・アプリの宣伝においてデジタル広告が主流になった現在においても、広く認知(フリークエンシー)を獲得する方法として、いまだに有効なのがTVCM
・タイトルの特性、ターゲット等によってTVCMの効果や相性は異なるため、必ずしもTVCMが全てのゲームに対して費用対効果において有効とは限りません
・TVCMによるアプリ事業に対する費用対効果測定は可能です。
ゲームのTVCMに多く見られるのは「作り手が伝えたいことが多く、絞りきれず、よくわからない、目的が不明なCM」が作られてしまうケースです。
15秒、30秒のCMが主流になるため、そこで伝えられるメッセージは一つに絞る必要があります。マーケティング戦略が適切に策定されていれば簡単に絞れます。
デジタル/オンライン広告
・Google、LINE、YouTube、Tiktok、Twitterなど様々なオンライン媒体における広告全般
・そのゲームのターゲットユーザー属性によって相性の良い媒体は異なるので、相性の良い媒体と、相性の良い訴求軸(クリエイティブ)をどれだけ速く発見できるか?PDCAをまわすスキルが求められます
多くのゲーム会社において「デジタル広告をまわす人」「ゲーム開発運営をする人」「マーケティング戦略を作る人」が分断されているため、デジタル広告はROAS重視の運営をしがちですが、実際のところゲーム事業を俯瞰的に長期的に見た場合、うまく行きません。
拡散広告(インスタントウィン)
・Twitter上で動画を再生した結果、何かしらインセンティブがもらえる当選キャンペーンに参加できるような仕組み。多くはその場で当落がわかるため、インセンティブ目的でTwitterフォローしたり、RTしたりするため、フォロワー増や情報拡散に効果があるとされる
アプリ初期段階に純粋にTwitterの媒体力を上げる方法としては有効という考え方もあるけど、そもそも、そのゲームのターゲットユーザーではないユーザーをお金をかけて収集しているので、ゲーム事業やKPIに対するインパクトは低め。単発ではなく、他のプロモーションとの掛け合わせによる設計が必要です
動画広告
・youtueやインスタ、Tiktokなど動画メディア上での広告や、ユーチューバー、動画系インフルエンサーによる動画投稿など
・広告はCVR、CPIなどのKPI測定が可能だが、インフルエンサー広告は測定するための事前設計が必要になります
・TVCMなど他のプロモーションと複合設計することで、全体の宣伝費に対するCPIを軽減させることも可能です
ユーチューバー施策は登録者、再生数などの「数によるパワー」が重要とされてきましたが、最近は「質」が重視されています。獲得ユーザーではなく、獲得したユーザーがどれだけ売上に貢献したのか?費用対効果(ROI)が重視されるため、100万人登録者のユーチューバーよりも、10万人登録者のユーチューバーの方がROIが良い場合もあります。
リアルイベント
・そのゲームのコアファン、重要な顧客ユーザーをおもてなしし、そこから派生的にゲーム事業を拡大するために使われることが多い施策
・効果測定ができない割に、費用がかかる、という意見もありますが、効果測定は可能であり、それに見合った費用の抑え方もあります
リアルイベントは役割と目的に基づいた設計が重要なのですが、多くのゲーム会社では「リアルイベント運営担当」と「ゲーム開発運営」「マーケティング戦略を作る人」の連携が取れていないケースが多く、「賑やかしの自己満足のイベント」になっているケースも見られます
事前登録プロモーション
・新作ゲームアプリにおいて切っても切り離せない定番の施策
・事前登録数に応じて、報酬が変化するなど「積み上げ式」のキャンペーンが定番です
・ただ事前登録キャンペーンをやっても効果が出にくくなっているので、最近はバイラルコンテンツとの併用による拡散を意識したキャンペーン設計も重要となっています
事前登録キャンペーンの役割と効果は設計次第で多く変動します。ゲーム開発、運営、プロモーション、マーケティングが連携して事前登録キャンペーンを設計できるとKPIに大きく貢献できますが、多くの現場では、あまり考えずに実施されていることが多いです。
プロモーション宣伝費の決め方
プロモーション、宣伝費ってどうやって決めればいいの?
これもよく聞かれる質問なのです。
下記の記事で「宣伝費の決め方」「考え方」について網羅しているので、こちらをご覧ください。
まとめ
というわけで、ゲームのプロモーション、宣伝を検討する時に、ぜひ活用してください。
時系列で全ての項目を網羅したい方は「トロネコのマーケティング100リスト」が便利です。こちらをご覧ください。
宣伝、プロモーションだけでなく、新作ゲームアプリのやること全部を網羅的に知りたい!という方はこちらの記事が役立つと思います。
もちろん、そのゲームの内容、市場や自社の環境、そして戦略によってやる事は変化します。
うちのゲームの場合、プロモーションを何をやればいいのか?
そもそも戦略ってどうすればいいのか?
そんな時はぜひトロネコまでお仕事としてご相談ください。
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