【ゲームアプリ】ログインボーナスの役割効果と作り方・設計実装方法(配信前と配信後の違いも)
こんにちは、トロネコです。
今回はスマホゲーム開発では定番のログインボーナス機能について解説します。
実はログインボーナスには役割と効果があります。
そしてログインボーナスは実装、実施するタイミング(=アプリのフェーズ)によっても、その役割と効果は変化します。
(↑ここ重要です)
時々、ログインボーナスを同時に3本、4本実装しているアプリも見かけますが
本当にそこまで必要なのか?実施する目的と効果は何か?
アプリのフェーズと合致しているのか?
もしかすると・・・・とりあえずログボをやっておかなきゃ、とログボをやることが目的や手段になっていないか?
実は、考えているようで、実はあまり考えられていない、ログインボーナスを見直し、適切に設計、実装することでスマホゲーム事業は大きく改善できます。
ぜひ、これからログボを実装、実施しようと思われている皆様の参考になれば幸いです。
ログインボーナスの役割と効果
「なぜログインボーナスを実装するのでしょうか?」
この質問に対して明確に答えられる人は、多くないかもしれません。
答えとしては
ログインボーナスを実装する目的と役割は「継続モチベーション」の底上げになります。
ログボがあることでログインをしようと思うし
獲得したログボの報酬でゲームをプレイする意欲が沸くというわけです。
この「継続モチベーション」はゲーム事業を成功させる上で重要な3つのモチベーションの中の一つを担います。
詳しくはこちらでも解説しています。
ただし、人間のモチベーションって非常にいい加減で、コンディション(ユーザーの気分や状態、知識、学習状態のことです)によって変化します。つまりアプリのフェーズ(配信直後なのか?配信から1年経過したのか?)、状態(盛り上がっているタイミングか?閑散期か?)によってもモチベーションは変化するのです。
↑ここ重要です!
なので、アプリのフェーズによって必要とされるログインボーナスの内容は変化することを忘れてはいけません。
同じログボをずっと続けていても効果を発揮しないというわけですね
というわけで、代表的なアプリの3つのフェーズについて整理しておきましょう
ゲーム配信直後
(day7まで) |
ゲーム配信後
(day30まで) |
特別なタイミング
(周年キャンペーン等) |
|
ログボの目的 | ・事前登録からのアプリインストール促進
・day7程度までの初期継続率維持 |
・離脱防止、DAU維持
・ユーザーアクティビティ向上によるプレイ促進 |
・ユーザーの復帰
・イベントへ参加促進によるDAU貢献 |
ログボの目標(数値) | DAU、7day継続率 | DAU、30day継続率 | DAU、新規ユーザー、復帰ユーザーのイベント期間における継続率 |
ログボ実装の課題 | ユーザーが求めているログボの中身(報酬)を仮設に基づいてログボを実装しなければならない(不確定要素あり) | ゲームに対するユーザーの学習進捗度、ゲームコンテンツの消費ペース、30dayまでにおける継続率に関わるインセンティブの変化を仮設に基づいてログボを実装しなければならない(不確定要素あり) | 周年タイミングにおける既存ユーザーの状態、離脱ユーザーを復帰させるための理由となるもの、ゲーム内経済の把握ができていない事が多い |
戦略(=ログボ実装における対策) | 事前テストで7day継続率に貢献するインセンティブを明確してログボに実装する | 事前テストで30day継続率に貢献するインセンティブを明確してログボに実装する | 配信から、このタイミングまでのゲームコンディションの推移を分析した上で最適なログボを設計する |
この表に書かれていることが全てではないのですが、多分、ほぼ伝えたいことは網羅されていると思います。
要するにちゃんと考えて分析して、わからないところは放置せずテスト等で仮設の精度を上げてログボを実装しましょうね、という話なのです。
同じログインボーナスでも実施するフェーズによって「目的」やその他もろもろが異なります。
ここが理解できると、ログインボーナスの設計を適切に実施できるようになります。
ログインボーナス設計におけるヒント
ログインボーナス設計において必要な観点(=考え方)は前の項目で整理した4つの観点でかなり深掘りできると思います。
・ログボの目的
・ログボの目標(数値)
・ログボ実装の課題
・戦略(=ログボ実装における対策)
なので、まずは、この4つの観点を皆さんのゲームの状況、フェーズによって議論して欲しいのですが、もう少しヒントをお伝えすると次のような観点(=考え方)をプラスすると良いと思います。
こちらも一例なのですが、ログボ設計の際の参考に加えてみてください。
・新規か既存か?それとも復帰ユーザーか? | 新規ユーザーと既存ユーザー、離脱ユーザーはそれぞれユーザーの状態、ユーザーが抱える課題、ゲームの進捗後が異なります。状態が異なるということは、それぞれのユーザーから必要とされるログボも異なります。 |
・事前登録とセットで考えてみる | 事前登録キャンペーンの結果、様々な報酬がもらえるようになる事が多いのですが、それら報酬はただサービスでユーザーに渡すのではなく、ユーザーの初期継続率に対する効果を踏まえて設計するべきです。となると、事前登録の結果、ログボが豪華になるような施策もアリです。 |
・周年施策、TVCM、コラボなどのタイミングとセットで考える | 周年施策やTVCM、コラボを実施する際には、実施するための戦略が考えられていると思います。ターゲットユーザーは誰?何を期待しているのか?目標KPIは何か?様々なクリエイティブや訴求軸も考えられているはずです。そういったものとログインボーナスは連携することでゲーム内KPIに対する貢献度をアップできます。 |
・その時に獲得したいターゲットユーザーをセットで考える | 平常時に実施しているログインボーナスも、ただ実施しているのではなく、必ず、特定のターゲットユーザーに対する効果を考えて実施していると思います。ターゲットユーザーの状態を細かく明確にすることで、ログインボーナスの設計も明確になります。 |
開発チームだけでなく、宣伝マーケターなど、その他のメンバーちゃんと考えてログボを実装、実施しているか?ただ、それだけの話なんです。
ログインボーナスの設計と事例サンプル
トロネコは、このようにログボに対する考え方を、様々な方にしてきたのですが、そういう話をすると、次のような質問を頂くことが多いです。
じゃ、具体的にどんなログインボーナスがいいのか?教えてください
多くの方がログインボーナスに対する「戦略」や「考え方」よりも、「手っ取り早く、今すぐ使えるやり方、アイディア」を求めがちです。
これは正直なところ、HOW思考(=施策ありきで戦略なし)になってしまい、うまく行かないので100%おすすめしません。
それでも、人間は「手っ取り早く、今すぐ使えるやり方、アイディア」を欲しがる方が多いので、今回は3つほどログボのサンプルをご紹介します。
ただし、約束してください。必ず下記の4つも考えた上で実施してくださいね
・ログボの目的
・ログボの目標(数値)
・ログボ実装の課題
・戦略(=ログボ実装における対策)
今回、3つのログインボーナスのサンプルをご紹介します。
これ以外にもゲームアプリの状態、内容によって膨大にログボは考えられますが、汎用的な物に絞ってご紹介します。
ログボの内容 | 設計で注意すること | メリット | デメリット | |
①中身が見えるログインボーナス | 一般的な今日明日何がもらえるログインボーナス | ターゲットユーザー設定、ユーザーコンディション、インセンティブがゲーム進行や運用と連動していること | DAUにプラス | ありふれたログボのため「飽き」による効果低下 |
②中身が見えないログインボーナス | 何がもらえるかわからない。ガチャ、ルーレット、おみくじ等による一見ログインボーナスに見えないけど、ログボの役割を果たすもの | 中身が見えないことによるゲーム内の演出。
ターゲットユーザー設定、ユーザーコンディション、インセンティブがゲーム進行や運用と連動していること |
サプライズ的な効果でDAUにプラス | なし |
③プレイアクティビティ変動型 | ユーザーのプレイアクティビティ(プレイ時間やゲーム進捗)によって変化するユーザーそれぞれに寄り添った変化するログインボーナス | 一般的な固定ログボと違って、仕組みを設計実装する必要がある | 各ユーザーの状態に合わせてDAUにプラス | 実装工数がかかる |
①と②の組み合わせでログボによるKPI貢献の効果を上げるのが現実的でおすすめです。
③を実装しているタイトルはまだ少ないのですが、もし開発段階からログボをどうにかしてKPI改善をしたいなら、ゲームアプリ配信初期段階におけるログボに限定して③にチャレンジすると初動KPIは大きく改善できます。
ログインボーナスの必要性や見直しも必要
最後にお話しするのは
「ログボって本当に必要なの?」
「もしかしたらログボの存在ってゲーム事業全体から考えると悪じゃないの?」
という話です。
良かれと思って実施していたログインボーナスが、実はそのゲームの売り上げやKPIを悪化させていた・・・
考えたくないけど、実際にそんな事はあり得るのです。(怖いですよね)
この話は各タイトルによって考え方が変わるので、ここでは結論を出せないのですが、次のような観点(=考え方)で皆さんのゲームアプリも議論してみてください。
ログインボーナスだけを獲得して、すぐ離脱する「ログボが日課になっているユーザー(惰性でプレイしているユーザー)」って本当に維持する必要あるの? | →そのユーザーを諦めても実はKPIは下がらなかった・・・・なんてことも。 |
ログボで獲得したアイテムだけでゲームをまわしているユーザーって無課金ユーザーだし、そのユーザーって本当に必要なの? | →無課金ユーザーってゲーム事業において本当に必要なの?という話です。「無課金ユーザーもいずれは課金してくれるかもしれないので必要だよ!」という考え方もあるのですが、現実的な話として、ずっと無課金ユーザーは、時間が経過してもほとんどは永久に課金しないんですよね・・・。 |
ログボで付与するアイテムがゲームの市場経済を悪化させているケース | →ログインボーナスで付与したアイテムがゲームの売り上げに対して悪影響を与えていて、ログインボーナスをやめたら、ゲーム内の市場経済が最適化されて課金ユーザーの課金がアップしたということも。 |
もはやログボはあってもなくてもいい状態のアプリ | →そのログボ・・誰も必要としていないし、なくてもいいんじゃない?むしろ、ゲームの起動時に表示されるのがうざいから、ゲームアプリの軌道の邪魔になっていて、継続率に悪影響を与えているアプリ。ゲームを起動すると3つも4つもログボが走っていて、それよりも早くゲームを遊ばせてくれ!!というアプリもあります。 |
ログボをやめる、やらない・・・という判断も実は「正解」というケースもあるのです。
当たり前の機能として実装されているログインボーナスをやめるという判断は、すごく勇気がいる事かもしれません。
でも、辞めた結果、KPIが改善して売り上げが上がった!!!!
というゲームが実際に存在するのも事実です。
まとめ
というわけで、今回ログインボーナスに特化して解説してみました。
とはいえログボの是非については、それぞれのゲームアプリについて状況は異なるので、今回のケースが100%当てはまらないゲームアプリも当然存在します。
重要なのは
ちゃんと考えてログボを設計し実装しているか?
もしそれが間違いだったら、ゲームアプリの状態に合わせてログボも改修して変化しているか?
とりあえず慣習として、やらなければならないから・・・やめるのが怖いから、辞めた結果、DAUが下がったら責任問題になるから・・・だからログボを続けています・・・
というのが一番よくありません。
ログボをやめることでDAUは下がるけど、売り上げは上がった!
というケースも実際にあるからです。
皆さんのスマホゲーム事業において何が最も重要なのか?(売上ですよね?利益ですよね?DAUとか実はあまり重要じゃないんですよね)ということを考えてログインボーナス設計に向き合うようにしましょう!。
そうすればゲーム事業は大きく変わりますよ!
というわけで今回はここまで!