こんにちはトロネコです。
20年以上、ゲームの仕事をしてわかったことがあります。
それは
新作ゲームや新規サービスの99%は失敗するという残酷な事実です
既存タイトルの続編やIPを使ったゲームの場合は99%という数字はある程度、軽減できる、リスクヘッジできる部分もあるので、多くのゲーム会社は有名IPを使ったり、続編に頼ったりします。
でも完全新規タイトルの場合は99%は失敗すると言って過言ではないくらいに成功ハードルは高いのです。
でも多くの人が
自分のやっているタイトルだけは失敗しない、上手く行く
といった
根拠のない自信に満ち溢れています。
それ、全然ダメだし、やばいし、失敗するよ
と助言しても聞き入れる耳を持たないくらいに自信に溢れているのですが、結果的に失敗します。
助言を聞き入れない、聞き流す、そして失敗する
失敗したことに対して絶望して、費やした時間とお金に後悔する
そんな現場が今もこの瞬間、世界のどこかで何度も繰り返されているのです。
これって、色々と無駄ですよね(お金、人生、時間も)
そこで、今回は少しでも失敗を回避するためにできることをお話します。
・なぜ失敗するのか?
・どうすれば失敗する確率を下げられるのか?
この2つについて解説します。
なぜ99%の新規ゲームタイトルは失敗するのか?原因とは何か?
99%の新規ゲームタイトルが失敗する原因としてはさまざまなものがあるのですが、その中でも代表的な8つについてピックアップして解説します。
どれか一つでも思い当たるものがあるなら、99%失敗する世界に足を踏み入れていると考えていただいて結構です。
①市場分析ができていない
ここでの市場分析とは
「ビジネスとして成立する市場がそもそも存在するのか?」
「市場が存在したとしても、そこに食い込む余地、自社の勝ち目はあるのか?」
という話なのですが、
結構な確率で適切な市場分析ができていない状態でゲーム開発をしてしまうケースがあります。
意外に思うかもしれませんが
「魚がいない海で釣りをしていたり」
「魚はいるけど、強力な竿と餌を持った釣り師の横で釣りをしていたり」
そんなケースは結構多いのですが、本人は全く気づいていなかったりします。
②戦略が存在しない
戦略とは勝利するための戦い方を指します。
いわゆるマーケティング戦略がそれに該当します。
実はマーケテイング戦略なんて全く存在しない状態でゲームを開発して販売しようとしているケースは多いのです。
むしろ戦略なんてなくても、ただゲームを作って宣伝をして出せば売れると思い込んでいるケースも結構みられます。
③ユーザーファーストではなくビジネスファーストになっている
ゲームビジネスの基本的な考え方は
「面白いゲームを作って、ユーザーに遊んでもらって、その対価として利益を得る」
というものです。
まず「ユーザーありき」という、ごく当たり前の話なのですが、そんなユーザーがすっぽり抜けており、お金を稼ぐことが目的になっているケースも多くみられます。
④ゲームのことがよくわかっていない
ゲームの面白さとは何か?ゲーム事業を成功させるための基本的なお作法(やり方、進め方、フォーマット)もわかっていない人がゲームを作っているケースも多くみられます。
これはゲームクリエイターと呼ばれる人でも、わかってない、わかったつもりになっているケースもありますし、ゲームばかり作っている会社ですらわかっていないので、2本目、3本目のヒットを出すのに苦労していたりします。
⑤根拠がない自信に満ち溢れている
「上手く行く」「自分ならできる」「なんとかなる」
根拠のない自信に満ち溢れているケースもゲーム事業は確実に失敗します。これも結構みられるケースなので注意が必要です。
本人は本気でうまくいくと思っているのですが、実際のところ新規ゲーム事業の99%は失敗します。
⑥たまたま上手くいったラッキーな成功体験を実力だと勘違いしている
ゲームの仕事をやっていると、「狙ってヒットできたケース」は稀で、結構な頻度で、「運よくヒットしちゃった」という現場に遭遇します。
でも人間は自己顕示欲、自己承認欲求の塊ですから、「運よくヒットしちゃった場合」でも、後付けで「狙ってヒットさせた」ようなストーリーを考えてしまいがちです。
でも、実際のところゲーム業界的には「運よくヒットしちゃった」は結構多いので、その結果、2本目、3本目のヒットを出すのに苦労していたりします。
⑦社内の人間関係に配慮している
ゲーム業界って会社組織はフラットな会社と思うかもしれませんが、フラットな会社はごく一部で、上下関係がはっきりしていると言っていいかもしれません。
「このゲームは確実に失敗する」「なんとかしなくちゃ」
とわかっていても、人間関係の影響を受けて「変えられない現実」が実際に存在します。
⑧自分たちだけで全部やろうとしている
ゲーム会社でよくあるケースとして、「自分たちだけで全部やろう」「全部ゲームを作りきろう」とするケースを見かけます。
その結果、
あらゆることをゼロから作り出して完成形を目指すので、全てに手が回らなず、当たり前のことができず不完全なゲームで勝負しなければならないケースも多くみられます。
どうすれば新規ゲームタイトルが失敗する確率を下げられるのか?
なぜ、99%の新規ゲームが失敗するのか?
その原因がわかったところで、では、どうすれば失敗する確率を下げることができるのか?
という話をしたいと思います。
ここでのポイントは
「どんな対策をしても新規ゲームタイトルの成功確率は100%にはなりません」
絶対にヒットさせることはできないという事実は知っておく必要があります。
その上で
「失敗確率99%を以下に改善できるのか?そのために何をすればいいのか?」
という話になります。
断言しますが、絶対に新規タイトルを成功させることは不可能です。なぜならゲーム成功はさまざまな要因の掛け算によって生み出されるからです。
限りなく失敗確率を0%に近づけたいなら、ヒットしたゲームの続編と有名IPを使ったゲームに振り切るしかないのです。これは各ゲーム会社もわかっているので、シリーズ続編や有名IPを使ったゲームが世の中に氾濫しています。
ここでは完全新規のゲームタイトルの話をしていますので、99%の失敗確率を下げる方法についてお話します。
これは99%失敗する理由の裏返し、打ち手によって、失敗確率を軽減できます。
99%失敗する原因 | 失敗確率99%を軽減する方法 |
①市場分析ができていない
②戦略が存在しない |
・ゲームの企画段階からマーケターを参加させる |
③ユーザーファーストではなくビジネスファーストになっている
④ゲームのことがよくわかっていない |
・そのゲームジャンル、ゲームコンセプト、ゲームシステムのことをわかっている人をチームに参加させる
・適切なユーザーテストを行い、ユーザーの声をゲーム開発にフィードバックさせる |
⑤根拠がない自信に満ち溢れている | ・自信やプライド、過去の経験や実績は捨てて、何事に対しても「なぜ」「なぜ」「なぜ」を繰り返す |
⑥社内の人間関係に配慮している | ・誰が発した意見なのか?それは無効にして、ゲームの本質に踏み込んで議論、判断する |
⑦自分たちだけで全部やろうとしている | ・自分たちができること、強み、弱みを理解して、できないことは無理せず、できる人、できる組織に任せる |
ここで書いていることは、ごく当たり前のことで「わかっている」と思うかもしれません
実際のところ、ゲームタイトル別に細かく対応法は異なるので、ここで全ての答えを網羅することは困難ですが、でも、実際のところ、ここに書いていることは、多くのゲーム開発現場ではできていません。
7つの項目を挙げましたが、ここでのポイントとしては
7つのうちどれかを改善すれば失敗率が下がり成功に近づく
というものではなくて
7つ全部、対応してやっと99%の失敗率が少し改善する、打席に立って戦える状態に近づく
でも、成功が保証されているわけではない
という点です。
でも多くの現場ではこのような状況をわかっていて、改善が必要だと思っていても、改善せずに、自分たちで学びながら、時間をかけて改善しながら、事業を成功させようと思っているケースが多いです。
でも、ゲーム事業って
ゲーム配信前で大方、成功と失敗が決まり
ゲーム配信初週で、7割から8割は勝負が決まり
ゲーム配信初月でほぼ、未来が決まります。
そんな状況になってから挽回して、V字回復することは不可能ではないですが、限りなく不可能に近く困難な道を歩くことになります。
うちの会社は、運営しながら1年かけて改善して、成功を目指すので、初動の失敗はそこまで重要とは考えていません
という現場担当に出会うこともありますが、それって、何年前の話でしょうか?
2024年現在において、それは限りなく困難であることは、ゲーム事業をやってきた人なら、説明せずともわかるはずです。
なので
わかっているなら、何かに遠慮せず、面倒臭がらず、諦めず
今回、ピックアップしている7つの項目からまず改善対応するようにしましょう
そうすれば、100%成功するとは断言しませんが、失敗確率99%のグループからは脱出することができます。
まとめ
ところで、ゲームマーケターは、この道を進むと未来はどうなるか?ある程度、予測することができます。
成功率を100%にすることは不可能ですが
失敗確率99%は軽減することはできます。
なぜなら、事前にやるべきこと、想定されるリスクや問題がわかっているからです。
なので宣伝、プロモーションだけでなく、開発、ゲーム運営までわかっているゲームマーケターを開発チームに参加させるメリットは高いです。確実に失敗確率を下げてくれるので、ぜひ開発段階からjoinさせることをお勧めします。
今回の内容はyoutubeでも公開していますので合わせてご覧いただくと理解がより深まると思います!