【保存版】ゲームプロモーションにおけるOOHの役割と効果検証方法【屋外広告は使い方次第】
こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。
今回はゲームプロモーションにおけるOOH(Out Of Home Media)についてお話します。
OOH(オーオーエイチと呼びます。)とは屋外看板、屋外ビジョン、電車内広告、デジタルサイネージなど屋外にある広告の総称であり、デジタル、看板など指します。
そんなOOHですがゲームのプロモーションにおいても頻繁に使われていますが、広告出稿による効果検証が困難であるため
・OOHはやらない |
・とりあえず目立つからやっている |
・何も考えずにOOHをやっている |
・あらゆる施策をやり切って最後のお金を使う手段としてOOHを実施する |
というゲーム会社が多かったりします。つまりOOHとしての「目的」「役割」「効果検証」ができていないケースが多いのです。
なぜなら、OOH自体が効果検証しにくいリアルな媒体のため、考えること、検証することを半ば諦めているケースも見られるのですが今回はそんなOOHについて踏み込んだ話をします。
【目次】 ・OOHの広告効果と役割 ・効果的なOOHの使い方 ・OOH広告出稿による効果測定の方法 ・まとめ |
OOHの広告効果と役割
ここで質問です。渋谷スクランブル交差点に巨大広告看板を出すとしましょう。ゲーム内KPIに影響はあると思いますか?
答えは全く影響ありません。無風です。
つまり、OOH単体はKPIに対するプラス影響を見込むことはできません。
これ事実なのです。
ではなぜ単体、単発のOOHは効果がないのでしょうか?
それはOOHの特性による部分が大きいのです。
・地域が限られている |
・デジタル広告に比べるとターゲットを絞ることができない |
・ターゲットユーザーの目にとまるかわからない |
・複数クリエイティブを試せない事がほとんどなので一発勝負 |
・天候、時間、季節などによって影響を受ける |
つまり単体広告としてユーザー獲得する上では非常に効率が悪いということになります。
ただし一方で、上記の制限はあるものの現実世界に埋め込まれた情景として
伝え方次第では
「記憶の断片として印象深くリーチを稼ぐことができます」
また特定地域に特化した広告ですから
「そのエリアに通勤や遊びなどで繰り返し足を運ぶ人にとっては繰り返しリーチを稼げます」
よって、
OOHはそれ自体がゲームインストール等の後押しの決め手にはなりにくいのですが商品やサービスを想起させるための「きっかけ」としては使えるのです。
「きっかけ」としては「役割」を果たしますので、ここで注目して欲しいのは、それ単品ではなく「複合施策のパーツ」としては役割を果たせるということなのです。
効果的なOOHの使い方
前のパートでOOHは「きっかけ」に使えるという話をしました。
実は広告全般的に言える話ですが、その商品、サービスを認知し、使うか購入するかアクションをさせるためには4~5回のリーチ(=フリークエンシー)が必要といわれています。
4~5回という「回数」だけでなく、どう伝えて、どう伝わるのか、その「質」も 重要なのですが、「回数」「伝え方の質」の両方でOOHは役割を果たすことができます。
つまりOOHの効果的な使い方は
TVCM
雑誌
SNS
Web施策
PR
リアルイベント
・
・
・
といった様々な施策とセットで組み合わせて使うことで価値を出せます。
さらにOOHは地域を限定した広告ですから、その地域性と商品のターゲットユーザーが一致し、そこで「クチコミきっかけ」を作れるならば、さらにOOHとしての価値はあがります。
というように考えていくと
TVCM
雑誌
SNS
Web施策
PR
リアルイベント
OOH
・
・
・
といった施策全体をどのように設計して、その中でOOHはどんな役割を持たせるのかという戦略が重要になります。ここに踏み込めて初めてOOHを施策として活かすことができます。
OOH広告出稿による効果測定の方法
デジタル広告、TVCMと違ってOOHは広告検証をすることが難しい媒体です。それでいないがら結構な広告コストがかかります。
しかし、OOH広告出稿による効果測定は可能です。
ここは、どんなゲーム会社も踏み込めていない、踏み込めていてもちゃんと測定していない分野ですので、ぜひ今回、この記事で考え方を押さえておきましょう。
広告でゲームアプリの新規ユーザーを獲得しようと思った場合、以下のように「計測できる広告」、「計測できない広告」の2種類に分けることができます。
・計測できる広告
デジタル広告
TVCM
SNS、Webキャンペーン等のオンライン施策
・計測しにくい広告
雑誌広告
OOH
リアルイベント
さらに新規ユーザー獲得の内訳について分解してみましょう。すると次のように分解できます。
①広告で獲得したユーザー(Ad流入)※計測できる広告経由での流入 |
②自然に流入するユーザー(オーガニック流入) |
何もプロモーションをしなくても毎日、自然に獲得が見込める「②オーガニック流入」の内訳は、ストア上での検索であったり、ランキング経由であったり、さまざまな流入の集合体なのですが、実は「計測しにくい広告」もここに含まれるのです。
(厳密には計測できないから、ここに含まれるという話です)
つまり、
計測しにくい広告(雑誌広告、OOH、リアルイベント)が効果を発揮した結果、何が起こるかというと
「②オーガニック流入」のベースがあがります。
つまり、
雑誌広告
OOH
リアルイベント
といった「あまりKPIに貢献できなさそう」といわれている施策は
KPI計測で見えないだけで、オーガニック流入という区分で下支えしているだけであって、効果はかならず発生しているのです。
ただし、冒頭でお話した通り、それ単体ではゲームインストールの「決め手」にならないので、単体施策では「KPIに対して無風」なのですが、他施策と複合的に設計することで「無風」ではなくなるという考え方です。
実際には不可能ですが次のように広告計画を立てて実施するとOOHなど「計測しにくく」かつ「それ単体ではインストールの決め手にならない」施策の効果を見ることはできます。
パターンA | TVCMとデジタル広告のみ |
パターンB | TVCM、デジタル広告、OOHなど複合施策 |
成功するとパターンBの方がパターンAよりも、1インストール当たりのユーザー獲得単価が10~30%くらいの振れ幅で改善します。
なぜなら、TVCMで稼いでいた「フリークエンシー」をより質の高い状態でOOHが稼いでくれるからです。
実際にはパターンA、パターンBを同時期に、同じクリエイティブでテストすることはできませんが、これは実際にマーケティングを繰り返しやってくると、OOHがインストールの獲得単価を下げる効果があることに気づきます。
もちろんOOHを複合的に設計すれば数字がでるというわけではなく
冒頭にお話した通り、「OOHとしての役割を果たす設計」が必要です。それができなければ結局のところ無風で終わってしまうリスクもあり、マーケターとしての腕の見せ所になります。
まとめ
今回、ゲームプロモーションにおけるOOHの話をしました。
スマホゲームなら無料インストールができるので、オーガニックユーザーの増減でOOHの効果について推測ができるのですが
PS4やニンテンドースイッチなどのお金を支払って購入するパッケージ買い切り型商材の場合は、OOHの効果を売上で可視化するのは難しいです。
その場合、OOHの役割を「KPIなどの売上目的」ではなく「ブランドの浸透」に振り切って、目先の売上ではなく、10年、20年単位でコストを回収していくという「未来への投資」という考え方でも設計は可能です。
「ブランディングに対する投資」として振り切るならば、こちらでお話した「IP展開」もセットで設計する必要があります。
というわけで、今回はここまで!