ゲームプロモーションにおけるリアルイベント施策は無駄?効果なし?
こんにちはトロネコです
今回はゲームマーケティングにおけるリアルイベントの必要性と役割についてお話します。
ズバリ、こんな悩みや疑問はありませんか?
・ゲーム事業に対するリアルイベントの効果や役割がわからない
・売上に貢献しているかわからない ・でもリアルイベントをやらなければならない(やるしか手段がない) ・リアルイベントプロモーションに対する費用対効果を会社から求められている ・リアルイベント担当として会社から評価されない |
まぁ、色々ありますよね。
でも、今回の記事をご覧いただければ、ゲーム事業に対するリアルイベントプロモーションがすっきり解決します。
ちなみにトロネコは東京ゲームショウやネット番組などゲーム事業における様々なリアルイベントに関わってきました。その経験も踏まえて詳しく解説します。
ゲーム会社のリアルイベントに対する4つの役割の考え方
20年以上、家庭用ゲーム、スマホゲーム会社でゲームマーケティングをやってきた後、現在、起業してマーケティング支援会社をやっていますが、
ゲーム会社のリアルイベントプロモーションに対する姿勢は次の4つでほぼ集約されます。
ちなみに、ここでのリアルイベントとは必ずしも場所を借りたリアルなイベント(ファンミーティング、体験イベント、ステージイベント、展示会、発表会)だけでなく、オンライン上のイベント(ネット番組)なども含まれます。
①(思考停止状態)リアイベをやることが慣例になっている
典型的な例を挙げると次のようなものがあります。
「このリアルイベントは毎年やっているから今年もやる」
「XX周年、とかXXXX発売記念とか、お祝いの時にはリアルイベントをやることになっている」
「リアルイベントをやれ!と上司から言われたからやる」
誰かが決めたことに対して疑問を持たずに、やり続けている施策って実は多いものです。
②(プロモーションの限界)他にやることがないからリアルイベントをやる
ゲームがヒットすると、かけられる宣伝費も増えますよね
宣伝費が増えたらオンライン広告、インフルエンサー施策、TVCM、OOH(屋外広告)などもやりますよね
そして、それらをやり切ってしまいプロモーション手段がなくなったからリアルイベントをやる
というケースは実際に多いのです。
これも①に近い「思考停止状態」の一種になります。
③(短期視点)短期的に売上を上げるためにリアルイベントをやる
マーケティング意識の高いゲーム会社だと、リアルイベントに対して売上アップを期待する場合もあります。
1500万円の売上(利益)を獲得するために、1000万円のリアルイベントを実施する
という事業投資的な考え方です。
この考えは別に間違っていないのですが、でも、多くの現場で実際にリアルイベントによる売上貢献はできていません。
それは短期的に売上貢献するという目的にマッチしたリアルイベント設計と実行ができていないからです。その方法については後ほど解説します。
④(長期視点)今後のゲームを支えるファンを作り、結果的に未来の売上貢献を狙う
さらにマーケティング意識の高いゲーム会社だと、目先の売り上げではなく、将来に向けたファン醸成のためにリアルイベントを実施する
その結果、未来における売り上げ貢献を期待するという場合もあります。
ただし、これはスマホゲームアプリの会社ではなかなか踏み込めない思考です。なぜならスマホゲームアプリの場合は
今月、四半期、上期下期、今期といった短期的な視点で売上や利益を追求しがちなので未来に対する投資は頭でわかっていても踏み込めない会社が多いからです。
これら4つののうち
①②は無計画な思考であり、リアルイベントによる事業貢献は困難です。
③④は計画的な思考ですが、一方で、実際に事業貢献できるリアルイベントの設計に悩んでいる人は多いと思います。
なぜなら、ぶっちゃけの話ですが
ゲーム会社で働いていても誰も事業に貢献するリアルイベント設計方法を教えてくれないし、そもそも知らないし、知ろうとしない(諦めている)からです。
もし、①②のような無計画な思考に基づいたリアルイベントが実行されているなら、それはやめた方が良いです。
なぜなら、後ほどお話ますが、それって
ただの自己満足によるリアルイベントに過ぎないから
リアルイベントを実行すれば仕事をやったような達成感が味わえるのは紛れもない事実です。でも、①②の思考によるリアルイベントは、ゲーム事業に貢献しにくいので、自己満足は満たされるけど、ゲーム事業が全然改善しません。
ここからは③④に絞って、実際にゲーム事業に売上貢献できるリアルイベント設計の考え方について解説します。
ゲーム事業に貢献できるリアルイベントの設計方法
まず、最初に重要なのはリアルイベント実施による効果を可視化することです。
リアルイベントは効果を可視化しにくいので効果検証、事業貢献の検証がしにくいという考え方が一般的です。
これは正しくもあり、間違っています。
ここで重要なのは「可視化しやすいもの」を適切な方法で可視化するということにあります。
家庭用ゲーム | スマホゲーム | |
可視化しにくいもの | 短期的な売上(パッケージ版、ダウンロード版) | 予算が多く施策も豊富な大規模タイトルに対するKPI貢献 |
可視化しやすいもの | 予約数、受注数、SNSフォロワー数、長期的視点でみたシリーズタイトルの販売数 | 中小規模タイトルにおけるKPI貢献 |
家庭用ゲームの現場の多くは、リアルイベント施策が売上にどのように貢献できるのかわからないと考えているので、可視化することを諦めている現場が多いです。
確かに売上貢献の可視化は家庭用ゲームの場合はスマホゲームに比べると難しいのですが、売上に繋がるKPI(予約数、受注数、SNSフォロワー数、長期的視点でみたシリーズタイトルの販売数)の可視化は可能です。
一方で、スマホゲームの場合は家庭用ゲームに比べるとリアルベント施策の効果は可視化しやすくなります。ただし、予算が多く施策も豊富な大規模タイトルに対するリアルイベントによる貢献は見えにくく、中小規模タイトルにおけるKPI貢献は見えやすいという特性があります。
なぜなら、基本的にオンラインで完結するスマホゲームの場合は、リアルイベントにおける効果が局地的になりがちだからです。大型ゲームアプリの場合も局地的な効果はあるのですが、それが全体のKPIに埋もれて拾いきれないという弱点があります。
とはいえ、家庭用ゲーム、スマホゲームのいずれにおいても、リアルイベントによる事業貢献ができる施策設計は可能です。
今回はスマホゲームに限定した設計のヒントについて解説していきます。
スマホゲーム事業に貢献するリアルイベントの設計方法
この記事を読んでいる人の多くはゲームアプリ会社の方が多いと思いますので、ここからはゲームアプリ事業に貢献するリアルイベントの設計方法について解説します。
家庭用ゲーム事業における方法もありますが、ここでは割愛しますので、興味がある方は個別でトロネコまでご相談ください。
スマホゲーム事業におけるリアルイベントの目的整理
まずは、リアルイベントの目的を整理しましょう。
スマホゲーム事業におけるリアルイベントを実施する上での目的設定は次の3つになります。
①コアファン(≒課金ユーザー)の維持
そもそもリアルイベントに来る人の多くは、そのゲームに興味があります。
全く興味がない人を無理やり集客させる方法もありますが、無理やり集客させてもゲーム内KPIへのインパクトは期待できません。
つまり、リアルイベントとは
そのゲームを支えているコアファン=課金ユーザー向けの施策
という運命からはどうしても逃れられないという事実を理解してください。
となると多くの人は次のように考えるわけです。
既に売上を獲得しているコアファン向けのイベントって無駄じゃね?リアルイベントに投資した1000万を回収するほどの売上の積み上げできないし・・・・
この時点で完全にマーケターとしてはアウトです。
なぜなら
今の売り上げを支えているユーザーこそが、何よりも大切だからです
ゲームアプリの場合、現場のゲーム会社で働いていると毎日、毎週、毎月といった短期的な売り上げと利益しか意識が向かなくなってしまうものです。
しかし、会社経営視点から見ると、そのゲームアプリが3年、5年、10年とサービスが続いていくことこそが重要になります。
そして、そんな長期的売り上げを支えているのが、今の売り上げを支えてくれるユーザーなのです。
ここに気づくことができれば
リアルイベントはそのゲームアプリの売り上げを支えてくれているコアファン向けの施策であり
リアルイベントの成功がそのゲームアプリが3年、5年、10年と続いていく売り上げを作る
という目的設定ができます。
例えば100人しか収容しないイベントホールで、100万円をかけた小規模なファンミーティングイベントを実施したとしても、そこに参加する人は今の売り上げを支えている最重要顧客になります。
売上を上げるためではなく、新規ユーザーを獲得するためでもなく
現状を維持するためのリアルイベント設計という考え方もあることを忘れないでください。
ちなみにコアファンを満足させるための方法は、リアルイベント当日だけに限りません。
リアルイベント実施前、イベントに招待するタイミングや、イベントが終わった後のタイミングにも存在することを理解できているとさらに効果はアップします。
②コアファン(≒課金ユーザー)の単価アップ
とはいえ、こんな考え方を持っている人もいると思います。
現状維持も重要だけど、やっぱりリアルイベントに投資するからには、短期的に売上の積み上げも必要だよ。売上アップにつながるリアルイベントを開催したいよね
この考え方も間違っていません。十分理解できます。
でもリアルイベント自体が基本的にコアユーザー向けのイベントになってしまいがちという運命にあるので、新しいユーザーを獲得して新しい売り上げを積み上げるのはハードルが高いのです。
そこでおすすめの方法は
コアユーザーの客単価をアップさせるという方法です。
基本的にリアルイベントに参加するユーザーは課金ユーザーが多いのですが、そのユーザーの今後3ヶ月以内の課金単価を上げることは可能です。
・リアルイベントで満足度をあげ、もっとファンになってもらう
リアルイベントで来場者をとことん満足してもらい、もっとファンになってもらいましょう。
来場者にアンケートをとってゲームIDを控えて、その後の3ヶ月の課金額推移を分析したところ、アンケートで満足度が高いユーザーほど課金額の上昇が見られたというデータもあります。
・リアルイベントを通じて即時的に課金に繋がる体験や情報を伝える
リアルイベントで課金に繋がる新しいゲームの情報を発表する、新しいアプリの機能を体験できるなど、即時的に課金に繋がる情報を提供することで、イベント参加直後の課金アップも狙えます。
③新規ユーザーの獲得、離脱ユーザーの復帰
大規模なリアルイベントの場合、新規ユーザーの獲得、離脱ユーザーの復帰を狙える施策設計も可能です。
ただし、新規ユーザーの獲得、離脱ユーザーの復帰を狙うためには次のポイントを踏まえたリアルイベント設計が必要になります。
こららが抜けていると新規ユーザーの獲得、離脱ユーザーの復帰の効果は低くなります。なぜなら基本的にリアルイベントは既存ユーザー向けにならざるを得ない特性があるからです。
・既存ユーザーが新規ユーザー予備軍、離脱ユーザーを連れてくる仕掛け
既存ユーザーが一人で参加することを前提としたようなリアルイベントに、新規ユーザー、離脱ユーザーの獲得は見込めません。
既存ユーザーが友達を誘うための「きっかけ」「動機」と
誘われた「新規ユーザー」「離脱ユーザー」も誘いに乗ってくれる「決め手」を
イベント設計に盛り込みましょう
・来場した新規ユーザーと離脱ユーザーがゲームをプレイする動機付け
多くのリアルイベントの設計において「新規ユーザー」「離脱ユーザー」を来場させることには注力はするのですが
来場させたらそれでゲームを遊んでくれるという楽観的な現場も多いものです。
来場した新規ユーザーと離脱ユーザーは何かしらの「ゲームをプレイする(復帰する)動機付け」がセットで必要であることを忘れないでください。
「動機付け」がなければゲームアプリのKPIへのインパクトは期待できません。
ゲーム会社におけるリアルイベントが失敗する理由
トロネコも実際にゲーム会社で20年以上にわたってマーケティングをやってきましたが、うまく行かないリアルイベントには共通点があります。
・やることが目的になっている(目的整理がされていない)
・慣例による施策の中身ありきでイベントを設計してしまう
・リアルイベント担当がリアルイベント経験がない
・リアルイベント担当はリアルイベント経験があるがゲーム事業に対する知識も経験もない
・リアルイベント担当者とゲームアプリ開発、運営との距離が遠い、連携が取れていない
・リアルイベント制作会社がゲームに対して理解がない
失敗にはいろんな原因がありますが、次のようなことで簡単に解決できることもトロネコは知っています。
ゲーム開発、マーケティング、イベント、投資効果設計を全部理解したまとめ役がいればうまくいく
さらに
ゲームを理解しているイベント制作会社を組めれば、スムーズにことがすすみます
どれだけの現場で、マーケティングができて、ゲーム開発がわかって
そのリアルイベントの効果や設計ができて、リアルイベントを設計実行できているでしょうか
外部のイベント制作会社がどこまでそのイベントの目的や費用対効果を明確に提示できるでしょうか?
まとめ
今回ご紹介したように、リアルイベントがうまくいかないのには明確な理由があります。
でも、わかっていても、なかなか修正できないゲーム会社も多いものです。
なぜなら長年やってきたイベント担当のやり方を否定する事になりかねないし、社内で衝突することを恐れる人も多いからです。
でも、それってゲーム事業としての本来の目的から目を逸らしている、逃げているだけなんですよね
衝突が怖いよね・・・・そんな方は、まず下記がおすすめです。
目的と目標(ゴール)を明確にする
これだけでリアルイベントの価値は大きく変わるからです。
何のためにそのイベントをやって(目的)
どのような効果を求めるのか(目標)
まずはこれを整理するところから始めてみてはいかがでしょうか?
なお、現在、ゲーム業界で経験豊かなリアルイベント会社と提携して、ゲーム会社様のサポートも行っています。座組みとしてはこんな感じです。
トロネコ:リアルイベントのマーケティング戦略策定、効果設定
提経験豊かなプロのイベント会社:リアルイベントの設計、手配から実行まで |
マーケティング的な視点で効果的なリアルイベントの設計から実行まで行えるのは、国内でもレアケースだと思います。
なぜなら、リアルイベント施策を決める際にマーケのプロが参加して実施することは残念ながらゲーム業界ではまだまだ少ないからです。
トロネコはゲーム開発分野におけるマーケティング領域もカバーしていますのでゲーム開発と連携したゲームの売上に貢献するリアルイベントの実施が可能です。
トロネコが参加せず、ただリアルイベント会社を紹介するだけ、ということもできますので、お困りの場合はぜひご相談ください。
というわけで今回はここまで!