こんにちはトロネコです。
トロネコが実際に使っているゲームアプリのプロモーション施策の設計シートについて解説します。
このシートを活用することで次のようなメリットがあります。
プロモーション設計に必要なことを網羅でき、抜け漏れを防げるため
精度の高い宣伝活動ができ、事業に貢献できる
ゲームアプリのプロモーション設計は各担当者によって千差万別で、精度が安定しません。
トロネコは長年、ゲームマーケティングをやってきましたが、今回公開するシートには、ゲームアプリプロモーション設計に必要十分な内容を全てカバーしました。
今回のシートは、必要かつ十分、これを網羅すれば
精度の高いゲームプロモーション設計ができます。
もちろん、ただ穴埋めをすれば結果がついてくるというわけでなく、中身の精度も必要です。しかし、
穴埋めが必要な項目=検討が必要でスルーできない項目
がわかるだけでも、御社のプロモーション設計は大きく前進します。
ぜひ、参考にしていただければ幸いです。
シートの内容について、できるだけ細かく当記事でも解説しますが、内容がプロ仕様なのでよくわからない部分もあると思います。
「そもそも自分で作れない」という方もいると思いますので、その場合はトロネコまでお仕事としてご相談ください。
ちなみに、今回のシートは運用型ゲームアプリを意識した内容になりますが、PCオンラインゲームや、売り切り型家庭用ゲーム、及びWebサービスにも転用できます。
転用のためのカスタマイズが必要でしたらトロネコまでご相談ください。
プロモーション設計をする前にマーケティング戦略を作成しよう
プロモーション設計をする前に、まずマーケティング戦略を作成しましょう。
マーケティング戦略なき状態ではプロモーション設計はできません。
マーケティング戦略とは
・誰と
・どのように
戦うことで、事業としての成功率を上げるか
これを明確にすることです。
つまり、この事業を成功させるための「戦いの方針」を決めることです。
「方針」を決めずに戦うと間違った戦い方をしてしまい時間もお金もロスしてしまいます。
マーケティング戦略の作り方については下記の記事で詳しく解説していますので合わせて読んでください。
アプリプロモーション施策設計シート1.00の構成について
最初にトロネコが実際に使っているアプリプロモーション設計シートの全てをご紹介します。
3つのパートから構成されます。
多くの人はパワーポイントでこれらに該当するものを資料として作成しがちですが、膨大なページになりがちですし、資料作成が目的になりがち(=自己満足の世界に陥りがち)ですから、パワーポイントでの資料作成は非推奨です。
トロネコもパワポ人間でしたが、そこに本質はないと気づき、最近はシートで網羅するようにしています。
もしプレゼンでパワポが必要なら、必要な場所だけ抜き出して資料化するのが時間の節約につながりますし、資料としてのわかりやすさ、本質をついた価値につながりますのでおすすめです。
①プロモーション施策設計シート
最初にプロモーション施策設計シートを作成します。
赤いセルの部分「マーケティング戦略」は「マーケティング戦略フォーマット1.00」が作られていれば秒速で埋められます。
アプリプロモーション施策は何かしら特定の目的において作成する場合がほとんどです。(例えば夏休みキャンペーンとか年末年始施策とか・・・・)
よって「マーケティング戦略フォーマット1.00」と完全イコールの内容ではなく、特定の目的に合わせたチューニングができるとさらにGOODです。
なんかすげー、項目多くない?
よくわからない項目も多いし、何を記入すればいいかわからない
そもそも、たかが施策設計をするだけに、こんな項目を埋める必要あるの?
と思われるかもしれません。
でも、これだけは認識してください。
「成功したいならこの粒度でプロモーション設計が必要です」
「このレベルでやっているゲーム会社が存在する一方で、できていない状態なら戦いになりません」
KPI実績
続いて、KPI実績を入力します。
継続率(RR/ReturnRate)とは、ゲームをプレイ開始してから日数経過によるユーザーのプレイ継続率になります。
これは自社のゲームアプリにおける「新規ユーザー」「離脱からの復帰ユーザー」が、ゲーム開始、ゲーム再開からの経過日数です。継続率については下記で解説しています。まずは新規ユーザー、復帰ユーザーの自社アプリの実績KPIをまとめてください。
※係数という項目がありますが、こちらは新規ユーザーと復帰ユーザーではユーザー属性が異なるためKPIに対する係数が異なるためです。新規ユーザーを1とした場合、復帰ユーザーは0.3程度が平均とされていますが、これは
ゲームジャンル×コンセプト×アプリの運営期間×離脱から復帰までの時間
などによって変動します。
このデータが、今回のプロモーション施策で獲得するユーザーに対して見込める継続率になります。
もう少し深くお話をすると
今回の施策で獲得したユーザーがday14、day30、day180後にどのくらい残存しているか、今回の施策によって獲得したユーザーのDAU積み上げ貢献度を表します。
今回の施策がDAUに対してどれだけのインパクトを与えるか算出するために必要になります。
もし、自社アプリの実績継続率データがわからないなら、わかるように改善しましょう。
完全新規タイトルで算出できない場合は、ゲームジャンル×コンセプトから推測することもできますし、他社競合タイトルから推測することもできますので、トロネコまでご相談ください。
続いて実績のLTVを記入します。
これも既存タイトルなら実績データがすぐに出てくると思います。
獲得した新規ユーザー、離脱から復帰したユーザーがゲーム開始再開後の日数経過でどれだけのゲーム内課金をしたのかLTV(Life Time Value)を記入します。
day30、day60、day90、day180のLTVを実績データを記入してください。わかる範囲で結構ですし、まだゲーム開始から180dayに到達していないアプリなら、実績値から推測できる180dayのLTVで結構です。
実績LTVを整理することで、今回獲得したユーザーがその日数経過後におけるゲームの売り上げ貢献の金額がわかります。
ちなみに、「新規ユーザー」「復帰ユーザー」以外に「既存ユーザー」も存在します。既存ユーザーは「すでに獲得したユーザーなので、ゲーム内アプリの運用にて維持していく」という方針のもと、新たにお金をかけて獲得する「アプリプロモーション施策の対象者としない」という考え方が一般的なので、今回のシートには記載していません。
ただし、そこに当てはまらない考え方もあって、既存ユーザーのアクティビティ、課金をプロモーション施策によって活性化する方法もあります。こちらは今回のシートでは触れると資料が複雑化するので触れていませんが、興味がある場合はトロネコまで個別でご相談ください。
目標獲得件数
続いて、目標獲得件数を記入します。
マーケティング戦略がすでに記入されており、マーケティング戦略の中には、このプロモーション施策で獲得が必要な目標’(定性/定量)が記入されていますので、その数字を分解したものがここに入ります。
アプリプロモーションの場合、期限が設定されています。
例えば「トロネコアプリ夏のワクワクキャンペーン」という施策を8月1日から8月16日まで実施したとすれば、キャンペーン期間は16日間になります。
この16日間で獲得したい目標獲得ユーザー数を記入します。
マーケティング戦略で設定した、このプロモーションによる目標数が例えば、
・売上1億円獲得
・DAU1万アップ
とした場合、過去実績の継続率、LTVを組み合わせて計算することで、このプロモーション施策で獲得が必要なユーザー数を算出できます。
よって、ただ獲得したいと思っているユーザー数ではなく、目標をブレイクダウンした数字をシミュレーションして記入します。
DAUのシミュレーションは計算式が必要ですが、トロネコでは下記の記事にあるロジックをまとめた計算シミュレーターを持って、ここの部分を算出してクライアント様にご提案しています。
目標と施策効果
最後にこれまでの過去実績データと、今回のプロモーション施策で立てた目標から算出した
この施策によって得られる「売上貢献」「DAU積み上げ貢献」をまとめます。
こちらのシートは自動計算されるようになっています。
これをday30、day60、day90、day180といった時間経過における見込み貢献度として算出します。
また、プロモーションコストもこの時点で決まっているなら、1ユーザー獲得にかかったCPIも判明します。
CPIがわかると、LTVとの対比によってROI(Return On Investment)も算出できます。
投資に対するリターンがわかるので、この時点で今回のプロモーション施策による費用対効果がわかるわけです。
ただなんとなく、予算をかけてプロモーションをして、ユーザーがなんとなく取れて・・・・
といった状態ではなく
ゲーム内と連携して、論理的で投資判断ミスのない施策設計ができファーストステップがここまでで作れるようになります。
ここまでの時点で、すでに感じているかと思いますが
これらができているゲーム会社と、できていないゲーム会社には極めて大きな差ができてしまいます。
最低限、今回のレベルはできるようにしましょう。
②プロモーション施策シート
前のパートで数字的な整理ができたら、もう施策設計は80%は完成したようなものです。
ここのパートでは、それら数字目標を達成するための具体的な施策の中身と、その施策を実行するためのディレクションに関わる部分を詰めていきます。
下記がこのパートの資料の全容になります。細かく説明していきましょう。
施策設計
ここでは今回の施策をまとめます。
施策のフローやキャンペーン内容など、クリエイティブな部分をまとめます。セルは小さいので大きくして図やフローを入れて結構です。
Webデザイナーや、制作担当と一緒に作り込んでいきます。
ここで重要なのは
必ず前のパートの数字目標や戦略を達成する施策であることです。ここを意識して、施策アイディアありきにならないようにコントロールしながら進めてください。
また具体的な施策を作るにあたって
「想定される課題」「課題に対する対策」「施策効果の測定方法」も必ずセットで考えながら施策を作っていきます。
なぜならほとんどのプロモーション施策において、施策が終了した後、必ず次のような反省が繰り返し行われ、改善されていないからです。
想定される課題 | 想定外のことが発生してプロモーション施策がうまくいかないことも多い。それゆえに、施策設計段階に想定される課題をどこまで洗い出しておくかが、結果的にプロモーションが成功し、目標達成するためには重要である |
課題に対する対策 | 課題を洗い出すことができたら、それに対する対策もセットで考え、施策設計段階で事前に用意しておくことで、何かが起こった場合に迅速な対応でき成功確率を高めることができる |
施策効果の測定方法 | 施策を実施したけど、計測方法を考えておらず、施策がどれだけKPIにインパクトがあったのか不明で終わるケースも多い。必ず施策設計と効果測定方法はセットで考える |
タスク管理
具体的な施策設計ができたら、それらを実施するためのタスクを洗い出します。
誰が、何を、いつまでにやるのか?
現状のステータスはどうなのか?
これらタスクを明確にして実行していきましょう。
タスクが不明確な状態でプロモーション施策を実行すると、期限までにプロモーション施策が作りきれなかったり、作られた内容が不十分だったり、責任の所在が不明だったり、さまざまな問題が生じます。
設計と制作はセットで管理する必要があります。
タイムライン
設計も、制作もバッチリだったけど、肝心の本番で事故が起きてうまくいかなかった・・・というケースも多く見られます。
例えばWebプロモーションキャンペーンの場合は、実際に製作したWebサイトを公開して、キャンペーン終了後にはクローズするといった一連のタイムラインが存在します。
それらタイムラインを全て洗い出し、
「誰が、いつ、何をするのか」
適切に管理しましょう。
ちゃんと管理され、実行できて初めてプロモーション施策の効果が発揮できます。
③プロモーション施策シート
プロモーションが終了したら、必ずプロモーション結果をもとに「施策の反省、振り返り」を実施してください。
実はこれができているゲーム会社は非常に少なく
実施できているゲーム会社でも、その精度に問題があり、「施策振り返り」の価値を最大限に発揮できていません。
下記が振り返りシートの全容になります。
※獲得したユーザーの実績継続率によるDAU積み上げ効果については別途「DAU試算シミュレーター」を用いて作成します。
振り返りをすることで、次のようなメリットがあります。
・成功したら成功した要因がわかり、次に活かせる(成功率が上がる)
・失敗したら失敗の原因がわかる、次に活かせる(失敗率が下がる)
・担当者本人だけでなく、それ以外のメンバーにも共有できる(組織力が上がる)
今後、同じようなプロモーション施策を実施しようと思った場合、今回の施策設計から振り返りシートまでまとまっていれば、非常に参考になりますし
同じような失敗を回避することができますので、ゲーム会社としてのパフォーマンスも上がります。
しかし、多くのゲーム会社では「施策の振り返り」はもちろん、適切な施策設計ができておらず、その都度、ゼロベースで担当者がフルスクラッチで施策を作っている状態です。
これは非効率ですし、同じような失敗を何度も繰り返します。
そして何よりも、担当者本人のスキルアップや成長にも影響します。
仕事を通しうて成長実感が感じられないんだよねーー。
といった人をゲーム業界ではよく見かけますが、
今回のプロモーション施策設計シートを使えば、かなりの確率で解決できるのです。
あとは、ゲームアプリプロモーションなんて、同じような施策を何度も繰り返すケースが多いので、誰かが過去にやった同じような施策の焼き回しをしたいなら、過去に社内で誰かが作った施策設計シートをそのまま拝借すればいいのです。
何も、ゼロからスクラッチで作る必要なんてありません。
時間の大幅な節約につながります。
まとめ
時間もお金も有限です。
使えるものはそのまま使って時間もお金も節約して、成功率をあげていきましょう。
そして、
本当に時間を使うべきところに時間をかけてください。
今回のフォーマットを活用することで、きっとみなさんのゲーム事業は大きく改善できます。
今回のシートについては下記の動画でも詳しく解説しています。
自社のプロモーション施策設計をなんとかしたい!
事業の成功率を上げたい!
と考えている企業様がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽にトロネコまでご相談ください。
というわけで今回はここまで