ゲームアプリ事業における運用型広告の仕組みをわかりやすく解説(上級者向け効果を高めるテクニックも紹介)

マーケティング

こんにちは

トロネコです。

今回はゲームアプリ事業における運用型広告の仕組みをわかりやすく紹介しつつ

運用型広告に対する誤解と

あまり語られていない運用型広告の成果を高める方法までご紹介します。

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ゲームアプリ事業で使われている運用型広告とは?

そもそもゲームアプリ事業で使われている運用型広告とは何か?

Web広告には大きく分けて2種類があります。

ひとつは、ただバナーを貼るだけのインプレッション広告があります。これは一般的に純広告と呼ばれているものです。

バナー広告の表示回数と、それをクリックした回数はわかりますが、そこからインストール、ゲーム起動した数はわからず、さらに、ただバナーが表示されるだけの広告です。

イメージとしては屋外看板に近いものがあります。

場所を決めて、その場所にクリエイティブ掲出するわけです。

 

もう一つは運用型広告と呼ばれるものです。今回解説するのはこちらになります。

ただバナーを掲載するだけの純広告と違って運用広告は3つのことができます。

 

・入札ができる

クリック単価、インプレッション単価、アクション単価などを任意に、もしくは上限を決めて自動入札することで露出を調整できます。

・ターゲティング

ユーザーの行動やデモグラ情報をもとに特定のユーザーに広告を当てることができます。

・クリエイティブ

テキスト、画像、動画などの各種クリエイティブを用意して、改善しながら当たりクリエイティブを探してユーザー獲得効率をアップさせます。

 

このように運用型広告とは、運用型という名前の通り、広告出稿主が運用することで、広告によるユーザー獲得を最大限に高めることができます。

 

ゲームアプリでも頻繁に使われている運用型広告の主なプラットフォームとしては次のようなものがあります。

運用型広告例 内訳
検索 Google/yahoo リスティング広告
ディスプレイ Google/yahoo ディスプレイ広告
ソーシャル Facebook/LINE/Twitterなど
動画 YouTube
アプリストア GooglePlay/AppStore

これは一部であり、他にも様々なプラットフォームがあります。でも、大体のケースでLINE、Googleアプリキャンペーン(旧:UAC Universal App Campaigns)、 ASA(Apple Search Ads)などや、ゲームアプリの属性によってはYahooインフィード、グノシー、スマートニュース、各種漫画アプリなども使う場合があります。

ゲームではほとんどないのですが、一般的なサービスならAmazonのプラットフォーム広告を使う場合もあります。

運用型広告のメリットとデメリット

運用型広告には次のようなメリットがあります。

・各媒体ごとにユーザー属性に特徴があるため、ゲームタイトルにあった媒体を探しやすい

・運用型広告によって、例えばYahooインフィーどで自社ゲームのインストールが効率的に獲得できる「当たりクリエイティブ」を広告運用の中で発掘できたら、その当たりクリエイティブを持って、その媒体にいる自社ゲームと相性の良い見込みユーザー刈り取ることができます。

つまり、媒体選定と、当たりクリエイティブを見つけることができたら、簡単にまとまったユーザーが獲得できるというわけです。

金脈を探し当てて掘っているようなイメージかもしれません

 

ただし運用型広告には次のようなデメリットがあります。

・当たりクリエイティブでその媒体のユーザーを全部刈り取ったらユーザーが獲得できなくなる

・相性の良い新しい媒体と、最適な当たりクリエイティブを見つけるのは結構大変。外し続ける場合もある

・掘り下げる媒体が無くなったり、お金がなくなったらそこで終わってしまう(打ち手がなくなる

 

運用型広告とは、テクニックや経験値に依存している部分が大きいため、「マーケティング」というものとはちょっと違うのです。

運用型広告に染まってしまうと、金脈が尽きてしまった時、当たりクリエイティブが作り出せない時は行き詰まりますし、そこから脱出する方法を見つけることができない思考停止状態に陥りやすいのです。

運用型広告でまだ、一般的に語られていないこと

一般的なweb広告や、Web施策と比べても

ゲーム配信初期(1ヶ月から半年くらい)は、お金とノウハウがあれば運用型広告は結構、楽にユーザー獲得ができます。前のパートでお話をした通り、媒体と当たりクリエイティブを見つけることができれば、まとまったユーザーを獲得しやすい広告手法なのです。

広告を掲出したら、すぐにインストール数が獲得できるような錯覚に堕ちってしまうのですが、実はここに大きな見落としがあります。

ゲームアプリ事業における運用広告の間違い

ゲームアプリにおける運用型広告をやっていると次のような勘違いをしてしまう場合が多いのです。

・ユーザーはアプリインストールした瞬間にゲーム起動するだろう

・ユーザーは運用広告を踏んでインストールしたから、運用広告の効果でゲーム起動もするだろう

実際にまとまったユーザー数を獲得できるので、このように思っている人が多いかもしれません。でも、実態はちょっと違うのです。

 

ユーザーのプレイ行動を図でまとめてみました

まず1つ目は運用型広告はあくまでもアプリストアに誘導するための手段にすぎません。つまり40代男性の歴史系戦略シミュレーションゲームファンを獲得したいから、相性の良いyahooインフィードに広告掲出して、当たりクリエイティブを見つけても、アプリストアに飛ばすことになります。

あとはアプリストアのASO(App Search Optimization)がアプリインストールに大きな影響を与えます。誘導したユーザーのうち実際にインストールするユーザーはゲームによって変動しますが平均で10%と言われています。

この10%を上げるのか?下げるのか?これがASOというわけです。

(当サイトのASOに関する記事リストはこちら)

 

わかりやすい例を挙げると「今なら100連ガチャ無料」という運用型広告のクリエイティブでユーザーの興味を獲得したとしましょう。その結果、アプリストアにやってきたけど、「100連ガチャ無料」という情報がアプリストアに書かれてなければ、ユーザーはインストールしようと思った手を止めるかもしれません。

つまり、運用型広告とASOは連携しないと効果が最大化できず、取りこぼしてしまうことになります。でも多くのケースでASOを考えて運用型広告をまわすデジタル広告担当はいません。

運用型広告とASOとの情報一致はインストール効率を上げる上で重要なのです。

また、別の例としてゲーム内容と全く異なる運用型広告クリエイティブでユーザーを釣ってアプリインストールしているようなケースも見られますが、その場合はインストールできて、ゲーム起動させられても、その直後のゲーム継続率が一般平均の半分以下になってしまいます。

運用型広告とゲーム内容の不一致を生じさせると、インストールさせられても、ゲーム起動ご、即離脱しますのでゲーム事業に対するインパクトを与えることができないのです。

続いてこちらの図をご覧ください。

もう一つは、運用型広告をまわすと瞬時にまとまったユーザーが獲得できてしまうと思ってしまうゆえに、ユーザーの行動プロセスを見逃しているケースです。

ASOの効果もあってアプリインストールを獲得できたとしても、すぐにユーザーがゲーム起動するというわけではありません。

これはアプリインストール、ゲーム起動するにはユーザーの可処分時間が大きくかかってきます。アプリインストールは放置していてもインストールできますが、例えば通勤電車の中でアプリインストールしても、その直後に戦略シミュレーション大作ゲームを起動して遊ぶことは難しいでしょう。

これはユーザーの可処分時間が影響しています。

つまり、運用型広告でインストールさせられても、100%ゲームを起動するわけではなく、起動せずに終わってしまうゲームも多いのです。

実はインストールしたことも忘れているユーザーも多く、インストールしたアプリを起動しようという行動を起こすのは、運用型広告の影響だけでなく、SNSでの口コミやTVCM、その他広告など、様々な情報のリーチがゲーム起動の後ろ盾になっているのです。

ですから単発の運用型広告では獲得ユーザーに限界はあるけど

youtuber施策、TVCM、SNSキャンペーンなどとクリエイティブも統一しながら複合的に実施することで、実は運用型広告におけるインストール後のゲーム起動率もアップします。

多く現場では運用型広告を単体の施策として、「一本釣り」しようと考えがちですが、実は一本釣りは効率が悪く、複数の施策を複合設計して情報のタッチポイントを多数用意することで、「定置網漁」をする方が効率的なプロモーションができます。

でも、実際のところ運用型広告の担当者はいつも単体で動いており、その他のチームと連携をすることが少ないのではないでしょうか?

それでも数字が取れてしまうのが原因かもしれませんが、実は本来持っているポテンシャルを使いきれていないのです。

運用型広告の成果を高める方法

最後に運用型広告の成果を高める方法について少しだけお話をします。

次の3つを行うだけで大きく成果を高めることができます。

 

・インストールだけでなく初回起動アクションにつながるモチーフとクリエイティブ

・ユーザーの可処分時間を考慮した運用広告のマネジメント

・運用広告単体ではなく、その他複合施策による施策設計

 

3つの項目について深くは説明しませんので、興味がある方はトロネコまでご相談ください。

重要なのは

「運用型広告を単体で行わず、その他の施策と複合的に設計すること」

「そのためには点ではなく線によるマーケティングを行うこと」

「現場担当者では点を線にすることができないならマーケティング担当がその役割を担うこと」

これに尽きます。

まとめ

最後に運用型広告ですが、ちょっとしたヒントだけお伝えして今回の記事は終わりにしたいと思います。

・運用型広告を行うとオーガニックユーザー獲得(自然流入ユーザー)も定常時に比べて10%以上増加する

・運用広告を他のプロモーションとクリエイティブや役割を考えながら複合設計することで試作全体のCPI(Cost Per Install)も下げることができる

・運用型広告はターゲティングによる獲得ができるため、平均的なユーザーのLTV(Life Time Value)と比べても何倍もの価値がある。よってゲーム内が万全の状態になってから本来実施しないと事業に対するインパクトが減ってしまい勿体ない

この3つのことを聞いて、何をすべきかわかったら、ぜひ、それを施策に取り込んでみてください。というわけで今回はここまで!