ClubHouse(クラブハウス)のゲームプロモーション活用とマネタイズの可能性

マーケティング
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いま話題の招待制・音声SNSアプリ「クラブハウス」のマーケティング活用方法と今後の可能性

こんにちは

マーケティングスペシャリストのトロネコです。

今回は最近話題の音声SNSアプリ「クラブハウス」についてお話します。

マーケターとして気になるのは「プロモーション利用の可能性」です。

まだ進化途中のサービスですが、現状から見える可能性についてトロネコの視点で独自考察します。

今後、クラブハウスの進化によって状況は変わる可能性は大きいのですが、あくまでも現時点における考察としてご覧ください。

ClubHouse(クラブハウス)とは

「クラブハウスはTwitterの音声版」という意見もネットでは聞かれますが、それは正しい表現ではありません。

なぜなら

・Twitterと違ってクラブハウスは現時点で招待制のSNS

・Googleなどの検索エンジンで検索してもヒットしない。あくまでもクラブハウスという閉ざされた世界のSNS

・アーカイブとして残らないため拡散性がない

といった点が挙げられるからです。

Twitterはいまを伝えるツールですが、

誰でも参加できますし、投稿は残り続けますし、それが拡散されることで情報のリーチと伝達が期待できる「拡散性があるSNS」と言えます。それゆえに投稿を削除するという概念も存在します。

しかし、クラブハウスには不特定多数への拡散性はなく、クラブハウス内で話された内容は記録されませんのでTwitterとは全く別物なのです。

Twitterとクラブハウスの唯一の共通点は「いま、この瞬間を語るツール」という点なので、そこからクラブハウスを音声版のTwitterという表現がされたと思うのですが、これは正しい表現ではないと思います。

そもそも「いま」を伝える目的として生まれたTwitterも、必ずしも「いま」を伝えるツールではない方法として活用されつつあります。

(ゲームプロモーションで言えばTwitterのRTキャンペーンとかありますが、必ずしも今を伝える用途ではなくなってきています)

まとめると次のようになります。

Twitter クラブハウス
アカウント取得 登録制 招待制
拡散力 あり なし
アーカイブ・検索エンジンのヒット あり なし

 

クラブハウスの概要をまとめると次のようになります。規約はこちらを元にしています。随時変更されているので2021.2.4時点での内容になります。

・音声、会話のみのSNSサービス

・規約により録音、録画、書き起こし不可。その場で見聞きした瞬間の体験のみ(スクリーンショットは明確に規約でNGとはありませんが、スクショを使った行為次第ではNGとなる場合があり)

※ただしルーム中で問題になる会話が発生して、ユーザーからインシデント報告があった場合に限り録音が残ります。つまりバックグラウンドで録音はされているようです。問題なくルームが終了した場合は録音はアーカイブとして残りません。(なんか、ドライブレコーダーみたいな感じですね)

※規約に違反した場合はアカウント停止となります。

※ルーム関係者全員の書面による承諾なしに録音することはNGとあります。(これは、書面承諾があればOKとも読み取れます)

※ルーム内の内容が「オフレコ」と明確に提示されていながら他の場所で共有するのはNGです(他言無用ということですね)

・クラブハウスの中でフォローする、フォローされることで広がる

・Googleなどの検索エンジンで検索してもヒットしない。あくまでもクラブハウスという閉ざされた世界のSNS

・参加するには誰かに招待してもらう必要がある

初期のmixiのような招待制SNSのような感じがありますが、規約により録音、書き起こし不可、その場で見聞きした瞬間の体験のみというのは、まさに「クラブハウス」といった名前から想像できる、限られた人のための会員制サロン、みたいな感じです。

ちなみに、こちらの規約では「未承諾の宣伝広告活動はNG」とあります。ということはクラブハウス運営と参加者の両方に許可を得れば企業が宣伝ができるという解釈もできます。

でも個人的に気になるのは招待制の部分です。

ClubHouse(クラブハウス)は招待した人の繋がりが残る

クラブハウスは誰から、いつ招待されたのか名前がアプリ上に記録されます。

そして招待された人がフォローしているアカウントが、新規登録時に「おすすめユーザー」として表示されます。よって非常に実名上でのつながりを意識したSNSと言えるでしょう。

招待には電話番号が必要ですし、一つの電話番号で複数アカウントは持てません。

招待制SNSゆえに、変な人は招待できないようにすることでクラブハウス内の秩序を維持しようとしていると推測できます。もし、あたなが招待した人がクラブハウス内で問題を起こした場合はどうなるのでしょうか?

すでに、好ましくない様々な人がクラブハウスには登場しており、招待する側の責任も今後、問われる可能性はありそうです。

ClubHouseの課題と制約

SNSサービスの運命は

どれだけの人が使ってくれるかにかかっていると言ってもいいのですが、現在、クラブハウスを熱心に使っている人は一般層からかけ離れた熱量が高いイノベーター層です。

トロネコもクラブハウスのアカウントを先日作成しましたが、一般層とはかけ離れているイノベーター層であることは間違いありません。

SNS運営側としては多くのユーザーを獲得したいという思いはごく自然なことでしょう。

でもイノベーター層からすると、場所を荒らしてノイズになるユーザーは好まないものです。

つまり運営側とイノベーター層が求めるものは必ずしも合致しなくなるのが

新しいSNSの初期段階では起こり得ます。

 

そもそもクラブハウスはボランティアではなく、ビジネス目的で運営しているわけですからある程度の規模のユーザー数が必要です。言い換えるならば

・価値ある会話を提供してくれる側と

・その会話に価値を感じお金を払ってもいいと思ってくれる側

この両方を期待してビジネスをしているわけです。

もちろん現在は投資フェーズなので、すぐにマネタイズをしないかもしれませんが、どこかで投資回収しなけれなりません。

そのためには現在のイノベーターも維持しながら

クラブハウスの秩序を維持しながら

マネタイズをどうやっていくのかが重要になります。

結果的にイノベーター層に

クラブハウスよりも、YouTubeやインスタの方が良いという判断をされたら、そこで終わるからです。

 

企業のプロモーションにおける可能性

現時点では公式の規約によると、未承諾の宣伝広告活動はNGとあります。

ということはクラブハウス運営と参加者の両方に許可を得れば一般企業が宣伝ができるという解釈もできます。この規約はスパム的だったり、違法性が高い商業活動を制約するための一文だと思われます。普通に考えればクラブハウス側からすると、大手企業の宣伝活動はマネタイズにおいては必須だからです。

よって大手企業であれば、クラブハウス側に直接申請をすることで企業のプロモーションとして利用できる可能性は今後ありそうです。もちろん、そのイベント(トーク)に参加する側も事前に許諾を得る必要はあるかもしれません。

そこでクラブハウス側と参加者の許諾を得られたということを前提で考えられるプロモーション利用の可能性についてマーケター視点から考えてみましょう。

ただし、ここで制約となりそうなのは

クラブハウスの絶対的なポリシーである

「規約により録音、録画、書き起こし不可。その場で見聞きした瞬間の体験のみ」

といった点です。なぜなら、ここを崩してしまったらクラブハウスの存在意義がなくなってしまうからです。

つまり、この絶対的ポリシーに準拠する上でプロモーション利用を考えるならば、その場に参加した人に、他ではできないような体験をさせて帰ってもらい、その体験がその後の参加者の行動を変えていく

といったストーリー設計をベースにプロモーションの可能性について考えてみましょう。

ゲームプロモーションにおける可能性

トロネコはゲームマーケターなので

具体的にゲームプロモーションを例にアイディアを考てみましょう。

 

まずはクラブハウスの制約をまとめると次のようになります。

・参加者はクラブハウスのアカウントが必要である

・現時点では招待制であるため参加できない人が出てくるため広く参加者を集めることはできない

・つまり、不特定多数のゲームファンを相手にするプロモーションは難しい

(不特定対数を相手にするならyoutubeliveを選ぶべきですね)

つまり、ファンミーティングとかに使いたくても、アカウントがない人は参加できないというわけです。さらに音声だけなので、視覚的な訴求が必要な「ゲーム内容の訴求」とは相性が悪いという点もあります。

 

現時点でクラブハウスはクローズドな招待制SNSですから、不特定多数のゲームファンに向けたプロモーション利用は難しそうです。

ならば業界向け(BtoB)に向けてみましょう。

トロネコがクラブハウスが他のSNSと違うと感じたのは、

会話への参加障壁への低さと、映像がないゆえに会話に対する参加者の注意関心力の高さでした。

ウェビナーを開催しても登壇者が一方的に話をしていて盛り上がり感が少ない場合も多いですし、ジブンゴト感が低く、ただ惰性で参加している人も多いものです。でもクラブハウスの場合は、少なくても現時点においては、「参加障壁の低さ」に強みがあると思います。

・インフルエンサー会

開発プロデューサーとネット上のインフルエンサーが集まってゲーム開発の裏側などを直接聞ける会です。そこで聞いたことを踏まえて記事を書いたり、youtube動画制作をするイメージです。開発者から直接話が聞けるので紙資料では見えない部分に踏み込ます。

・メディアインタビュー会

最近は減りましたが、ゲームの場合、以前はゲームメディアのライターさんを会社に招待して合同で新作ゲームの体験会などを開催していました。最近はゲームアプリならビルドを送るだけでもいいのですが、体験会のメリットはゲームクリエイターから直接話を聞けるという点があります。よってビルドは事前に送るとしても、ゲーム開発における想いや注目して欲しい部分などをクラブハウス上でのクローズドなインタビュー会で対応することはできそうです。

・企業ウェビナー

企業によるウェビナーの多くは、ウェビナーでありながら司会進行側の一方的なトークになりがちです。ここをクラブハウスが解決できる可能性はありそうです。

そもそもウェビナーに映像が必要なのか?投影しているスライドにどれだけの価値があるのか?スライドはウェビナー終了後にもらえればいいのではないか?といったこともあります。

・企業就職セミナー

OB、OG訪問、人事部との相談などクラブハウスでの会話を通して、応募先の会社をもっと深く知ることはできそうです。企業側も顔を出さなくていいですし、クラブハウスの規約上、録音も禁止されているため、深く踏み込んだ話ができる可能性もあります。

 

こんな感じで、BtoBなら他にもいろいろ考えられそうですね。

 

ちなみに一般ユーザー相手にクラブハウスをどうしても活用したい!という場合は、クラブハウスを事前登録媒体の一つとして採用する考え方はありそうです。

 

企業アカウントというものが認められるならば、クラブハウスを新作ゲームアプリの事前登録媒体として使ってフォローしてもらう

フォローするとクラブハウス経由での事前登録の特典として毎週開発プロデューサーとのトークができる、といった感じでも良いでしょう。

招待制SNSですから、事前登録としての「数」は期待できないとしても、そのゲームにおけるイノベータ層を囲い込むことで、そのゲームの運営における売り上げやDAUを支えてくれる重要なユーザーを囲い込み、維持することはできそうですね、

ゲームの事前登録で重要なのは「数」ではなく、そのゲームの本当のお客様になってくれるであろうユーザーの「質」なのですから。

クラブハウスのマネタイズの可能性

ここからは今後、クラブハウスにはどのようなマネタイズの可能性があるのか?

マーケター視点で考えられることを書いてみたいと思います。クラブハウスのマネタイズの可能性を探ることで、そこにプロモーション活用のヒントが見つかるかもしれません。

 

・視聴者に対する課金

例えばトークをするたびに膨大な視聴者を得られるユーザーがいるならば、自分のトークを聴くことができる課金もできるでしょう。ちょっとしたオンラインサロン、会員制ラジオみたいな感じです。

・聞くだけでなく参加できる権利に課金する

「100万円で有名起業家とランチミーティングができる権」みたいなものがオークションにかけられたりしますが、著名人と会話ができる権利もマネタイズとして考えられそうです。自宅にいながら著名人とランチミーティングができる、とかいいかもしれません。

・聴く体験を売る

クラブハウス上での演奏会、漫才、落語、英会話レッスン。音声コンテンツに限って言えば、いろいろ考えられます。でもこれってyoutubeLiveで投げ銭でもできますので、クラブハウスならではとは言えないかもしれません。

・一般的な広告

youtubeやラジオみたいにルームに入った時に1回、広告を入れたり、アプリ上で関連バナーを表示するなど一般的な広告手法も考えられますが、招待制のクラブハウスを今後も突き通すなら、既存ユーザーからの反感は買うかもしれません。

 

他にもいろいろなことが考えられそうですが、ポイントは

「その瞬間でしか聴けない、得られない音声による体験」

をどうやってマネタイズしているか、だと思います。

ClubHouseが目指しているゴールは永遠のイノベーター専用SNSなのかも!?

先日、ネットでこんなクチコミを見ました。

クラブハウスの勢いがすごい!

これならキャズムを超えるかも!?

こちらの記事でも書いていますが

キャズムを超えるということは、アーリーマジョリティに踏み込むということです。

そしてアーリーマジョリティは、まさにテレビでトレンドとして紹介され、TVCMが放映され多くの人が購入している状態になります。

でも、現時点(2021年2月初週)でのクラブハウスは間違いなく、イノベーター層を刈り取っている状態と言えます。なぜなら招待制というお金をかけずにユーザーを獲得できている状態はイノベーター層の特徴だからです。

「誰よりも早く購入したい、手に入れたい」

だからこそ招待してほしいと願いのが典型的なイノベーター層だからです。

イノベーター(革新者)2.5% 誰よりも早く購入する。新しいもの好き、誰よりも先に手に入れたい
アーリーアダプター(初期採用者)13.5% 情報に敏感、自ら情報収集、良いとおもったら購入
アーリーマジョリティー(前期追随者)34% 既に話題になっている商品を購入。クチコミに影響を受けやすい
レイトマジョリティー(後期記追随者)34% 流行には懐疑的だが周囲の半分以上が支持している「これは間違いない!」状態になると安心して行動する
ラガード(遅滞者)16% 保守層。新しい物に興味がない人
話を元すと気になったのはこちらの発言です。

クラブハウスの勢いがすごい!

これならキャズムを超えるかも!?

多くのサービスはヒットの条件としてキャズムを超えて、マジョリティ層に広げるべきと考えています。でも、一見、常識に思えるこの考え方は、果たして2021年の新しいサービスにおいて常識なのでしょうか?

「マジョリティ層に踏み込んだらClubHouseの存在意義がなくなる」

「永遠のイノベーター専用SNSであることがClubHouseの存在価値である」

という考え方もできなくないのです。

どこまでクラブハウス側がここを理解して運営しているかは分かりませんが、マジョリティに踏み込んだら、メリットもあるけど弊害も出てくる。そして既に世の中にはマジョリティに踏み込んだ強大なSNSが多数存在している状況なのです。

マジョリティに踏み込むということは、独自性が薄れ

既存の巨大なSNSと直接ユーザーを奪い合う戦いをしなければならない

ということでもあります。

Youtube、Twitter、Facebookはどう出るか?

Tiktokやインスタが流行ったら、類似機能をYouTubeやFacebookが実装したように、クラブハウスで使われている技術は大手のSNSサービスなら秒速で実現できるかもしれません。

大手が手を出せない(出すことによって大手が運営している自社のサービスにとってマイナスである)

その隙間をどうやってコントロールしながら、クラブハウスは成長していくのか、そこにかかっていると思います。

ClubHouseを今、語るには時期早尚かも!?

現状のClubHouseをみると招待機能、ルーム作成機能(個人、フォロワー向け、オープン)くらいしか実装されていません。

それでも、いままでにない新しい体験は楽しいのですが、実は、クラブハウスはまだ未完成の状態であり、クラブハウスが実現したい状況はまだ先なのかもしれません。

1年後には今とはまったく違う状況になっているのかも!?

そう考えると現時点で語るには時期早尚かもしれませんね・・。

最後に

今回、クラブハウスについて

プロモーション利用の可能性、今後のマネタイズについて考察してみました。

ところで、なぜ、トロネコはマーケティングの記事を書くのか

それはトロネコが持っているスキルや経験を自分の中に留めず共有することで、誰でも検索して探せて使えるようにしたいからです。それがゲームマーケティングの発展につながると思うから。

「ネットを検索したら欲しいゲームマーケティングの情報が手に入る」

これこそ、今後のゲーム業界を担っていく若者に対して我々がやるべきミッションです。価値ある情報は個人の中や、限られた人だけに共有されるべきではなく、オープンにするべきだと思うのです。

一方で「クラブハウス」は録音、書き起こし不可、その場に居合わせた人だけが体験できるといったサービスです。

この制約こそが「クラブハウス」のサービスとしての魅力であり、クラブハウスの存在意義であることは間違いありません。

でもマーケターとしては、やっぱり価値ある情報はオープンにするべきだなぁと思うのです。

というわけで今回はここまで!