ゲームアプリ事前登録媒体の賢い選び方(Appストア・googlePlayストア事前登録をおすすめしない理由)
こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。
さて、今回のテーマはみんな気になるゲームアプリの事前登録プロモーションの話です。
実は事前登録の媒体選択によって、ゲームアプリ配信後のゲーム運営において大きな差がつきます。これについて、全然理解せずに事前登録を実施すると非常に勿体ないという話です。
最初に結論をお話しすると
「Appストア・googlePlayストア事前登録はあまりおすすめしません」
使ってはいけない!という意味ではなく、「使い所を考えよう」という話です。その他、様々な事前登録媒体がありますが、特性やメリット、デメリットを踏まえてお話していきましょう。
ゲームアプリでよく使われる事前登録媒体の特性まとめ
まずは事前登録プロモーションで頻繁に使われている、または使われたことがある媒体について、特徴を含めてまとめてみましょう。たぶん、これでほとんど網羅できていると思います。
※○×△は相性の良さを示しています。
ざっくりまとめるとどんな媒体? | 事前登録の集めやすさ | インストール転換力 | アプリサービス開始後の運用性 | おすすめ度 | |
LINE | 例えるなら開封率が極めて高いメルマガ。ユーザーのアクションを起こせるのでDAUに効果あり。多くのゲーム会社が活用しており、数年前と比べるとその効果は薄れつつある | ◎ | ◎ | ⚪︎ | ⚪︎ |
Twitterの特性上、投稿が流れてしまうので情報伝達力はLINEに劣るものの、拡散性が期待できる唯一のSNS媒体。サービス開始以降の運用フェーズにおける新規ユーザー獲得に威力を発揮 | ◎ | ⚪︎ | ◎ | ◎ | |
実名登録制のため、事前登録にあたってやや抵抗ある人も多いらしいか。ただし使い方次第でリアルな人間関係に紐づいたアプリインストールの後押しとなる可能性も!? | △ | ⚪︎ | △ | △ | |
メール | 重複アカウント、メール開封率の低さなど、課題は多いものの、使い方次第ではアプリ配信後にメルマガ配信でDAU回復効果をつくれる可能性あり。ただし開封率の低さを考えるとアプリマーケティングでは過度な期待はできない | ⚪︎ | × | △ | △ |
Youtubeチャンネル | 事前登録媒体としてはあまり使われていないけど、動画を絡めたプロモーションでは価値を発揮できるかも!?事前登録媒体としてはまだまだ研究が不足しているニッチメディア | △ | △ | △ | △ |
Apple/GooglePlayストア事前登録 | アプリストア上で登録するだけなので、多くのユーザーの目に止まり、多くの事前登録ユーザー獲得効果あり。ただしアプリ配信後の資産活用が不可能。いわゆる使い捨て事前登録媒体 | ◎ | ◎ | × | △ |
予約トップ10など有料事前登録媒体 | 数は稼げないけどゲームをよくプレイするユーザーを一本釣りできる媒体。アプリ配信後の課金率も高め。ただしアプリ配信後の資産活用が不可能 | ⚪︎ | △ | × | △ |
一般的な事前登録媒体の選定基準として考えられているのは
・みんな使っているから登録しやすい(事前登録を集めやすい)
・ターゲットユーザーとの親和性が高い ・インストール転換しやすい |
といった点がありますが、トロネコはこれより重視している点があります。それは何かというと・・・・

事前登録で集めたユーザーを、アプリサービス開始後にゲーム運用資産として活用できるか否かという点です。

事前登録ユーザーって配信後にも使えるの?
そんな声が聞こえてきそうですが、事前登録媒体って、LINEや ツイッター等がメジャーですが、ここにプールしたユーザーはゲーム配信後に「ゲーム運用資産」として活用できます。
なぜなら、これらユーザーを活用することで
DAUを改善したり、新しいユーザーを獲得できたりするからです。
例えば、LINEを使えば「LINEプッシュ通知」で「既存ユーザー」「短期離脱ユーザー」に情報伝達することでDAUを回復することもできます。
下記でも書いていますが、DAUは「新規ユーザー」「既存ユーザー」「離脱ユーザー」から構成されており、LINEに事前にユーザーをプールできれば「既存ユーザー」「離脱ユーザー」に対する連絡網として使えるからです。
Twitterも「既存ユーザー」「離脱ユーザー」がフォローしていれば、彼らに対する情報の連絡網として使えるのでDAU改善にも効果はあります。
ただし、Twitterの場合はLINEと違ってゲーム外に届く媒体で、かつ拡散力があります。よって、「既存ユーザー」「離脱ユーザー」向けというよりは「新規ユーザー予備軍」に情報をリーチさせるための無償のプロモーションツールとして使えます。

事前登録プロモーションの時に、集客したユーザーをゲーム配信後にどのように活用するかまで設計できているのと、いないのでは大きな差がでます。
特に配信直後、こちらのイノベーター理論で説明しているところの「キャズム」を超えて大ヒットを狙いたいなら、事前登録プロモーションからの設計も非常に重要です。
そして、ここで頑張っておくと、2年後、3年後の長期運営時における強力な資産として活用できますので、中長期的なゲーム運営に大きな影響を与えます。
よって、もう答えをお伝えすると資産活用しやすい、Twitter、LINEがオススメ事前登録媒体となります。
そして、特にTwitterに事前登録は寄せるべきです。なぜならTwitterに寄せて発信媒体力をつけておけば、その後、「新規ユーザー」獲得に役立つからです。
LINEでもいいのですが、LINEは「既存ユーザー」「離脱ユーザー」を維持する媒体です。

ゲーム配信後の資産運用においては
・Twitter=攻めのメディア
・LINE=現状維持のメディア
とも表現できますね
もちろん、それ以外の媒体も「無し」ではないですが、デメリットが多くおすすめできません。ストア事前登録媒体として「数」は取れますし、インストール転換率も高いのですが
・アプリ配信後の資産活用ができないのと
・実はインストール転換率は高くても、その後の定着率が悪い
という事実があります。これについては後ほど説明しますね。
これからの事前登録媒体はTwitterへの集約がおすすめ

これからの事前登録プロモーションは、Twitterに寄せて、アプリ配信後「攻めの運用」ができるように準備しましょう
これをトロネコはおすすめします!

LINEでもよくないですか?
という質問をいただくかもしれません。
LINEは開封率、伝達率が非常に高いメルマガのようなもので、非常に高いインストール転換率と、アプリ運営後にはDAUを維持する運用資産としても使える素敵な媒体です。
それゆえに、多くのゲーム会社が事前登録媒体として活用していますが、トロネコの意見としては究極的にはLINEでの事前登録はやめてTwitterに振り切った方が良いです。
その理由については、既に一部お話しちゃっていますが下記になります。
・DAUを維持する現状維持のメディアである
・以前と比べるとDAU維持効果は減った(理由は多くの会社が使っているため、LINEプッシュによるリーチ効果が減ったという点があります) ・有料になった(以前のように好きなだけ送ることができなくなりました) |
2、3年前はDAUを維持するツールとしてかなり使えたのですが、以前よりも効果がでにくく、使いにくくなったというのが現状なのです。

LINEには拡散性がないので、守りのツールとしては使えても、じわじわDAUは下がっていくのを完全に止められるわけではないので、ならばTwitterの方が良いという考え方になります。
一方でTwitterはフォロワーが多ければ多いほど、その拡散力(=媒体力)がアップする性質を持っていますので、もし、あなたのゲームで仮に事前登録が1万人しか集まらないなら、LINE、Twitterやその他で1万人を分散登録させるのではなく、Twitterに寄せて媒体力を一点集中させるべきです。
その方がゲーム運用後の資産活用がしやすくなるというわけです。
いちばんやってはいけない事前登録は多くの事前登録先を用意すること
Twitter、LINE、メール、ストア事前登録など、複数の事前登録媒体を用意して事前登録プロモーションをするゲーム会社を度々見かけます。
「いろいろな媒体を用意して登録しやすくしました」
という考え方なのだと思いますが、これは事前登録からアプリ配信直後のインストール転換率のアップとかつアプリ運用後の資産活用を考えるならば絶対にやってはいけない事前登録プロモーションです。
まず、事前登録からのアプリ配信時におけるインストール転換率を考えると
(低い)メール < Twitter < LINE < ストア事前登録(高い)
というパワーバランスになります。
これがインストール後のユーザーの質で並び替えると下記のように逆転します。なぜなら、ストア事前登録の方が「無意識にポチっと登録してしまう」からです。一方で、それ以外の媒体は「ゲームの内容をある程度理解して、さらに情報収集して理解を深めた上でインストールするからです」
(低い)ストア事前登録 < LINE <メール or Twitter(高い)
最後にアプリ配信後の資産運用を考えると次のようになります。
(低い)メール < LINE < Twitter(高い)
ストアは使い捨ての事前登録媒体ですから資産活用ができません。

事前登録媒体によってメリット、デメリットがあるのですが、総合的に見るとTwitterがおすすめというわけです。
アプリ配信後の資産活用を考えるとそのゲームに興味を持っているユーザーが10万人いたとするならば、その10万のファンを複数の媒体に分散させてしまい、媒体力を弱体化させてしまうという事にもなります。
ですから理想としてはTwitterにすべての事前登録ユーザーを寄せるべき、それが無理なら、できる限り寄せるべき
という点をマーケターは考える必要があります。

10万人の事前登録をTwitter5万、LINE5万で分散させるよりも論理的にはTwitter10万に振り切った方が、メディアパワーとしては全然違いますよね
できれば避けたいApp/googlePlayストア事前登録
Apple/Google Playストア事前登録は数が取れますし、なんといってもアプリ配信後、自動的にインストールされるため理論上のインストール転換率はNo1といえます。
多くのゲーム会社が最近は必ず実施する媒体でもあるのですがトロネコはあまりオススメしません。
なぜなら、先ほども説明したように、Apple/Google Playストア事前登録はサービス開始後にゲーム運営で使える資産にならないからです。いわば、使い捨ての事前登録というわけです。
だから、トロネコとしては、Apple/Google Playストア事前登録を獲得するよりも、資産活用できるTwitterか、LINEで事前登録を集めたいのです。

Apple/Google Playストア事前登録は(見た目の)ダウンロード数は取れるけど、サービス開始後で資産活用できないからゲーム運営のフェーズで苦戦する可能性があります。
さらに、最近わかってきたのはApple/Google Playストア事前登録経由で獲得したユーザーのゲームへの定着率がちょっと悪いんじゃないかという点があります。
これには理由がありましてたとえばTwitterで事前登録獲したユーザーは、
そのゲームを何しらで知って、ある程度理解した上で事前登録した(事前理解) |
さらに、事前登録後に流れてきたTwitter投稿をみて、さらに理解が深まった(もっと理解) |
という、同じ事前登録ユーザーでも、そのゲームタイトルに対する理解度を深めるプロセスを踏んでゲームをインストールしています。このアプリ配信前の情報理解はアプリ配信後の定着率に大きく影響するのです。
でも、Apple/Google Playストア事前登録の場合は、ストア上の事前登録ボタンをポチっと押すだけで事前登録が完了してしまいます。
つまりゲームを理解せずに事前登録ボタンを押して終了
というケースが多いのです。
さらに事前登録完了後もApple/Google Playストアで事前登録したユーザーに対して、連絡手段がないため追加情報のインプットも困難です。そのままアプリ配信当日を迎え自動インストールされてしまうため、その後のゲーム定着率が低くなるのも仕方ないのかもしれません。

Twitter経由よりも、Apple/Google Playストア経由の事前登録ユーザーの方が、そのゲームに対する理解や関心、熱量が落ちるのではないか?という考え方です。
とはいえトロネコはApple/Google Playストア事前登録を完全に否定しているわけではありません。
(ここ重要ですよ!!)
なぜなら、どんなに事前登録プロモーションをしても、すべてのターゲットユーザーに情報を伝え、事前登録させることは不可能だからです。
例えば世界に100人のターゲットユーザーがいたら、100人に完璧に情報伝達できるプロモーションなんて存在しません。

よって、最初はTwitterやLINEで事前登録を獲得し、どうしても獲得しきれない情報感度の低いユーザーを事前登録期間の後半にApple/Google Playストア事前登録で獲得するという媒体ごとの特性や目的を明確にした使い分けがオススメです
よって事前登録開始直後は
・Twitterで事前登録を開始する
・やや遅れてLINEも追加する
・コアユーザーを取りきってから配信1ヶ月前くらいになってApple/Google Playストア事前登録を行う
こんな事前登録媒体の使い方ができると無駄がありません。
まとめ
最後に今回のまとめです。
多くのゲームアプリでは事前登録媒体といえばTwitter、LINE、ストア事前登録でしょ!みたいに簡単に決めてしまいがちですが、
事前登録媒体もその特性や活用方法を考える事で、さまざまな選択肢があるという事を理解しましょう。
というわけで今日ここまで!