【全公開】ゲームアプリにおける「リテンションマーケティング」の教科書|離脱率を下げ継続率RRを上げる方法
こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。
今回はスマホゲームアプリにおけるユーザー離脱を防ぎ、継続率を上げる
リテンションマーケティングについて解説します。
リテンションマーケティングについて
かなり核心まで踏み込んだ深い内容になっていますので、ゲーム会社でゲームクリエイター、ゲーム開発、宣伝マーケティングをしている方はぜひ最後までご覧頂き、理解することをおすすめします。
なぜなら、今回の内容は本当に重要でして
これらを理解して実行できるかで、運用型ゲームアプリやPCオンラインゲームにおける事業の成功に大きく影響するからです。
なお、同じ内容についてyoutubeチャンネルでも動画として公開しています。まずは当記事を読んでいただいて、その後に動画をご覧頂くことで、理解が深まりますので、両方をセットでご活用いただければと思います。
スマホゲームはインストールした瞬間に離脱する
大前提としてスマホゲームについてはインストールした瞬間からユーザーは離脱します。
これは、誰でも無料でダウンロードして遊べる「基本プレイ無料ゲーム」という特性による部分が大きく
無料ゆえにインストールしやすく
無料ゆえにゲームを辞めやすい
というわけです。
ここで重要なのは
「スマホゲームは離脱する前提で事前から対策を練っておく必要がある」ということです。
つまり離脱しないためにできる準備をどこまでできているかが
スマホゲーム事業で成功するための第一歩となります。
スマホゲーム業界ではユーザー離脱は仕方ないと考えている
「スマホゲームはインストールした瞬間から離脱するものである」
「だから、ある程度、離脱するのは仕方ない」
このようにゲーム業界では考えられている風潮があります。
実際にそこまで考えられているというよりも
「ある程度なら離脱してもなんにも感じない、深く落ち込まない」
という感覚がゲーム事業の現場では存在するのは事実です。
実際にアプリ配信初日にインストールしたユーザーの50%は翌日に離脱します。この数字はごく平均的で、むしろ数字としては及第点だったりするので
50%残ってくれたら、まずまずだし、合格点だな。
と考えてしまうわけです。
でも冷静になってみてください。
100人獲得したユーザーのうち半分が翌日に辞めてしまうわけですね。
これは、普通に考えれば「異常事態」です。
基本プレイ無料のゲームで合っても、自発的にゲームをインストールしたり
もしくは広告で獲得しているのに翌日に半分のユーザーが辞めるのは異常です。
でもこの状態を「普通のこと」と現場では考えているわけです。
そして50%のユーザーが辞めることについて、危機感はあまり感じていません。
これについて冷静に「おかしいよね」と思えるかが
実はゲーム事業を改善して成功するための第一歩です。
だって、明らかに半分辞めるのは異常だからです。
平均的なスマホゲームアプリの継続率
インストールからの時間経過でどのくらいのユーザーが辞めていくのか?
ユーザーがプレイ継続することをゲーム業界では「継続率(RR/Retention rateまたはReturn Rate)と読んでいます。
RR(アールアール)と呼ぶ場合もありますし、
このRRの中身をRetention rate(リテンションレート)またはReturn Rate(リターンレート)と呼ぶ場合もあります。
これはゲーム会社によってバラバラなのですが
言葉の意図する部分はいずれも同じなので、どれかが間違っているというものではありません。
このRetention rateという部分からリテンションマーケティングという言葉が生まれたと推測できますが、一方で別のゲーム会社に行くとReturn Rate(リターンレート)と呼ばれたりするのですが、あまり深く考えないで結構です。
これら継続率はおおよその平均値と、ゲームジャンルによって変動します。
ゲームジャンル | 1day | 3day | 7day | 14day | 30day |
一般平均 | 50% | 40% | 30% | 17% | 15% |
パズル | 70% | 60% | 50% | 40% | 30% |
シミュレーション | 40% | 30% | 20% | 15% | 10% |
RPG | 50% | 40% | 30% | 15% | 10% |
厳密にはゲームジャンルによって変動しているのではなく、そのゲームジャンルが好きなユーザー属性によって変動します。
例えばパズルゲームが好きな人の多くはゲームはあまりしないライトユーザーが多く、かつ女性が多かったりしますし
一方でシミュレーションゲームはガチゲーマーの男性が多いゲームジャンルだったりします。
このようにゲームジャンルによってそのゲームが好きなユーザー属性が異なり
ユーザー属性の違いによって、そのユーザーの過去のゲーム体験やゲームに対する知識や理解力、耐久力が異なるため、それが継続率に影響を与えるのです。
この辺りは下記の記事でも詳しく書いています。
ゲームジャンルだけでなく、厳密にはゲームコンセプトや版権ゲームかオリジナルゲームか、などの要素も影響します。
つまり、裏返すと、今開発中のゲームは、最初の企画書の時点でおおよその見込み継続率は決まっているともいえます。
なぜなら、ゲーム自体がユーザー属性に強い影響を受けた嗜好性の高い商材だからです。
リテンション(継続率)に影響を与える要因
では実際にリテンションに影響を与える要因として何があるのでしょうか?
「ゲームジャンル、ゲームコンセプト=ユーザー属性」
については説明した通り、大きな影響を与えますが
これに掛け合わせて考えるものとして
「時間経過による離脱要因の変化」
があります。
最初に答えをお話しすると
配信初日と1週間後、1ヶ月後においてユーザーが辞める離脱要因はどんどん変化していくのです。
なぜなら
配信初日と1週間後、1ヶ月後では
ユーザーの状態も変化します(ゲームに対する理解とか感情とかですね)
そして世の中も変化します(競合タイトルの動きとか、トレンドとかですね)
さらに
ゲーム本体の中身も変化します(ゲームイベントとかゲームの進行度とか、コンテンツ供給不足とか、マンネリ感とか)
この3つの要素が複雑に絡み合って
時間の経過と共にユーザーはゲームを辞めるのです。
だからこそ、我々がやるべきことは
これら変動要素を事前に推測して、それに対する打ち手を事前に講じておくことなのです。
そのためには
時間経過とともにユーザーが離脱する主な原因を知る必要があります。
実はこれ、トロネコにもゲーム会社様から頻繁に相談いただくことなのですが、離脱要因は事前にある程度リストアップすることができます。
つまり予測がつくのです。
事前にわかっているなら、それに対策を講じないのは怠慢だと思います。
ユーザーが辞める原因をフェーズごとで分析
ここからはユーザーが辞める原因を時系列で整理してみましょう。
今回は短期、中期、長期という切り口でまとめてみました。
day1(短期)
アプリ配信翌日にユーザーが離脱する要因としては様々なものがありますが、その中でも下記が大きな離脱要因となります。
・Usability
・当たり前機能と当たり前品質の実装
・ゲーム理解・わかりにくさの解決
・ゲームの楽しさ(UX/User experience)
・ゲーム耐性(ターゲットユーザーと難易度設定が一致しているか)
もう何を言っているかわからないかもしれませんが
各項目についてはyoutubeの動画でトロネコが解説していますので、参考にしてください。
day7(中期)
アプリ配信から1週間くらい経過すると別の離脱要因が問題になってきます。
こちらも様々なものがありますが、その中でも下記が大きな離脱要因となります。
・今までプレイしてきた既存タイトルとの比較
・このゲームに対して課金するべきか潜在意識の中での判断
各項目についてはyoutubeの動画でトロネコが解説していますので、参考にしてください。
day30(長期)
アプリ配信から1ヶ月くらい経過すると別の離脱要因が問題になってきます。
こちらも様々なものがありますが、その中でも下記が大きな離脱要因となります。
・これからもこのゲームを続けるべきか
・このゲームに対する将来の展望
・現時点でのコンテンツに対する充足感
各項目についてはyoutubeの動画でトロネコが解説していますので、参考にしてください。
ユーザーが辞める原因は事前にリスト化でき対策を打てる
ゲームジャンルやコンセプトによって変動するユーザー属性によるブレはありますが
大体のゲームは今回ピップアップしたような離脱要因が共通事項として存在します。
つまりユーザーが辞める原因はゲーム開発段階、ゲーム配信前に全て予測できるのです。
離脱要因が予測できるということは、その離脱に対して事前に対策を講じることができるということです。
この対策方法としては、経験豊かな開発チームのノウハウや自社で複数タイトルを運営しているなら、そういった蓄積されたデータを活用することもできますが
実は多くのケースで
そういったデータはあまり役に立たないし、活かせる状態になっていないケースが多いのです。
むしろ
経験上、こうだったから、こうすればいいんだ
という思い込みが間違った判断をする場合の方が多かったりします。
なぜなら
世の中はどんどん変化していますし、ゲーム開発をしている側が世の中をそもそも知らない、知った気になっているケースが多いからです。
だからこそ、ここで必要なのは、このゲームのターゲットユーザーによる事前テストです。
開発段階から事前テストを行うことで
・ユーザーが離脱するポイント
・課金するポイント
・ゲームを続けたくなるポイント
これら知りたいことが大体予測することができるようになります。
ここでのポイントはCBT、OBTではなくてチューニングテストを実施する必要があるという点です。
多くのゲーム会社の現場では離脱ポイントを見つけるためにCBT、OBTで対応しようとしますが、実はCBT、OBTでは見つけることは困難です。
なぜならCBT、OBTではテストユーザーに対して深く掘り下げて分析することが困難であると共に、CBT、OBT参加者=ターゲットユーザーとはならないためデータにバイアスがかかりまくるからです。
だからこそ事前テストは実施しましょう。
このテストを成功させるためには、それなりの緻密な設計とテストの実行運営が必要になりますが、この辺りはトロネコが強力に支援いたします。
下記の記事でも書いていますので参考にしてみてください。
アプリ配信から1週間でそのゲームタイトルの成功失敗はほぼ決まる
そういえばこんな人がいました。
我が社は取りあえずゲーム配信して、あとは運営の中で改善しながら成功させるのが得意なんです。
これは、かなり前の時代なら上手くいったケースもあります。
厳密には「うまくいったように感じることができた」というのが正確な表現かもしれませんが・・・・。
しかし現代においては、走りながら改善するというやり方は、あまりにも強豪が多すぎるゲーム事業では取るべき策ではありません。
しっかり開発をして、しっかりマーケティングをして
アプリ配信1週間が勝負になります。
なぜなら継続率の話をしましたが、アプリ配信1週間こそが継続率が大きく変動するフェーズであり、そして結果的に
アプリ配信初動で遊んでくれたユーザーが、その後、このゲームが5年、6年と続いて行くなら、6年後のゲーム運営を支える優良顧客になるからです。
よって極論として
「ゲームアプリ配信1週間でそのゲームの運命が決まる」
と言っても過言ではありません。
実際に現在はそのような状況であるのは事実で、ゲーム配信初動で失敗したタイトルに復活のチャンスは限りなく低くなっています。
(その昔は復活のチャンスはあったのですけどね・・・)
だからこそ、今回、お話したような離脱要因をゲーム開発段階から予測して解決できるかが、今後ますますゲームアプリ事業では重要になります。
まとめ
今回の内容については多くのゲーム会社でできていません。
しかし、多くのゲーム会社ではその重要性を理解し始めており、なんとかしたいと思っています。
よってトロネコにも頻繁にお問い合わせをいただくわけですが、その多くのケースではゲーム開発とマーケティングセクションが分断されていたりします。
ユーザーが離脱する原因のほとんどはゲーム内にあります。そしてその原因を究明して解決するためにはゲーム開発とマーケティングセクションの共同作業が必要になります。
この両者を繋ぎゲーム事業をギャンブルではなく
戦える状態に仕上げていくのがトロネコの役割でもあります。
もし興味を持たれましたら、ぜひトロネコまでご相談ください。
トロネコ相談メール contact_us@gamemarketinglab.com
というわけで最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回の記事の内容はyoutubeでもご覧いただけますので、合わせてご覧いただくことでいっそう理解が深まると思います。