こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。
いきなりですが質問です。
御社のスマホゲームマーケティングってうまくいっていますか?
例えばこんな感じではありませんか?
・行き当たりばったり、その場しのぎの施策ありき賑やかしプロモーションばかりである
・ゲーム開発とマーケティング部門が分断されている
・KPI、ROASに過度に依存した本質的マーケ課題からの逃避
・マーケターの個人商店化による組織成長への悩み
・信頼を持って発注できるゲームに強い社外マーケティング代理店の不在
もう、あるあるですよね・・・・。
これらはあくまでもごく一部の悩みを挙げたに過ぎません。
たぶん他にも膨大な悩みが、皆さんの中にはあるでしょう。
課題と悩みを挙げたらキリがないですよね・・・・。
さらに、この記事を読んでいるゲーム会社の管理職の方の中には
もっと初歩的な課題で頭を悩ましている人もいると思います。
(それ以前の問題が散在しているんですよ・・・)
そして、そんな悩みを解決するために、様々な手を打ってきたけど一向に改善の見込みなし。そんな声も聞こえてきそうです
でも安心してください。
日本を代表するゲームマーケティングのトップ企業の多くも同じ悩みをずっと持ち、いまだに改善できていません。
トロネコも20年間、ゲーム業界でマーケターをやってきましたが
いままでのやり方に「限界」を感じたからこそ、もっと広くマーケティングについて知ってもらうために、当サイト「トロネコのゲームマーケティング大学」を始めたという経緯があります。
つまり、いまのスマホアプリマーケティングのやり方では状況を大きく変えられません。
ならばどうすればいいのか?
スマホゲームマーケティングには「限界突破」が必要だとトロネコは考えます。
「限界突破」って何?どういうこと?
そこで、今回はスマホゲームマーケティングの「限界突破」に必要な5つのことをお話したいと思います。
今回の話はちょっとばかり劇薬かもしれません。
でも、このくらいやれないなら、たぶんこれからも御社のマーケティング部門は変わらないでしょう。
もし、いまストアセールスランキング上位にランクインして結果を出し、事業として成功していたとしても
その資産を緩やかに食いつぶし、数年後には窮地に立たされるかもしれません。
変えるなら「いま」です。
【限界突破①】ゲーム開発に踏み込む
「マーケティングの仕事は完成したゲームを売ること」
いまだにこのように考えているマーケターが多いことに驚きます。
「マーケティングの仕事は完成したゲームを売ってくること」
このように考えているゲームプロデューサーが多いことにも驚きます。
いずれの場合も「マーケティング」の意味を理解していないため、ゲーム事業としての成功確率はあまり高くありません。
(いままでは、これでもなんとかやってこれましたが、これからの時代は無理です)
もちろん、ゲーム開発部門に圧倒的なマーケティングセンスとクリエイティブ力があれば、うまく行くケースもありあす。
ただし、ゲーム開発部門のマーケティングセンスとクリエイティブが時代に合致している瞬間に限られます
例えるならば90年代を席巻した音楽プロデューサーが
2000年代に入ると時代の流れと合致しなくなり、まったく売れなくなったのに近いイメージです。
つまり合致しなくなった(ズレが出てきた)瞬間で成功確率が下がります。
ゲーム業界でも過去にヒットを出した人が
現在もヒットを出し続けられるかというと疑問です。
これを解消するにはマーケターがゲーム開発に踏み込む必要があります。
とはいっても「マーケターがゲーム開発をしましょう!」
というわけではなく、ゲームの開発フェーズにもマーケターとして関わりを持ち貢献するという意味です。
しかし、以前、遠r猫がこのような話をマーケティング部門の責任者にしたところ、次のような回答がありました。
マーケターが開発フェーズに踏み込むことの重要性は十分理解できている。しかし、それができる人が存在するだろうか。理想と現実は違うんだ
これはサラリーマンとして、管理職としては正論かもしれませんが
ただの逃げであり、怠慢に過ぎません。
これでは何も変わりません。
「できないから踏み込まない」
のではなく
「踏み込まないとゲーム事業では生き残れないなら踏み込むしかない」
これが本質です。
ならば最初の一歩はどうやって踏み込めばいいのでしょうか?
それは簡単です。
ゲームの企画が立ち上がった段階でマーケティングの担当をプロジェクトチーム(開発チーム)にアサインするだけです。
スキルが不足していてもアサインをしましょう。
まずは、アサインして悩んで苦しみ、経験を重ねないと「限界突破」の入り口に立つことはできません。
すでに開発に踏み込めるマーケターが存在するなら
彼を軸にして踏み込んでもかまいません。
踏み込まずに、ただ現状をまわしているだけのマーケティング部門はもう必要ありません。貪欲に「限界突破」しようとするマーケターだけが生き残れます。
ちなみに「限界突破」というスローガンを上げるだけなら誰でもできます。
口ではなく行動することが重要です。
【限界突破②】運用タイトルと新規タイトルを同時に担当する
トロネコは「家庭用ゲーム」「スマホゲーム」のマーケターをやってきましたが両者には大きな違いがあります。
家庭用ゲームは発売日を迎えると終わりである「売り切り型」ですが
スマホゲームは発売日を迎え、その後もゲーム運用が続く「売り切り型」と「運用型」が混在した商品です。
つまり家庭用ゲームでマーケティング担当をしていると永遠に「売り切り型」のマーケティングだけをやっていることになります。
でも「売り切り型」でもマーケターとしてやっていけるのは事実です。
しかしスマホゲームの場合は「配信前」の事前登録プロモーションと、「配信後」の運用プロモーションでは求めらるスキルと経験がガラっと変わります。
つまりスマホゲームの場合は
「配信前」「配信後」の両方を経験しないとマーケターとしてのスキルは蓄積しません。
でも、スマホアプリの場合、配信前からタイトル担当をしていると、配信後も引き続き担当は続きますので「終わりがない」んですよね・・・・。
配信後に他の担当に引き継ぐ事もありますが
スマホアプリゲームはこのような状況なので
・新規タイトル、運営タイトルを同時並行で担当しにくい
・運営タイトルしか経験しないマーケ担当が存在する
といった特性があります。
もちろん中小ゲーム会社ならタイトル数がそもそも限られている場合もあるので、複数タイトルが存在せず、永遠に運営タイトルしか経験でいない人もいます。
でも、マーケターとして限界突破するには
「新規タイトル」「運営タイトル」の両方を経験し
かつ出来る限り現在進行形で両方経験する必要があります。
そうしないとゲーム事業として必要な知識が身につかないからです。
マーケターは新規タイトル、既存タイトルの両方を経験させましょう!
ただそれだけでマーケターとして「限界突破」の道が開けます。
そんなのは無理と否定して、その機会を与えないのは
繰り返しになりますが、ただの逃げであり、怠慢に過ぎません。
【限界突破③】数字だけでなく、感性に強い人材を育てる
スマホアプリゲーム業界で働くマーケターは数字と論理的思考ばかりこだわる人が多いことに気づきます。
スマホアプリゲームは運用フェーズがあるためKPIといった数字や論理的思考に強くないとマーケターとしてやっていけないのは事実であり、会社としてもそういう人材を評価する傾向が強いです。
一方で家庭用ゲーム業界では数字よりも、感性に強いマーケターが多い傾向にあります。むしろ数字に弱かったりします。
数字に強いマーケターは大きな失敗はしないけど、ゲームエンタメにおけるイノベーションを起こせない
これは疑いようのない事実です。
なぜなら「Webサービス」は数字で語れるけど、「ゲーム」は必ずしも数字では語れない人間の感情や体験に訴えかける「エンタメ」だからです。
よってマーケターの「限界突破」としては
数字だけでなく感性も強い人を育てる必要があります。
そのためにはどうすればいいのか?
スマホゲームだけでなく、家庭用ゲーム、アーケードゲーム、PCゲーム、映画、小説、漫画、その他様々な「エンタメ」に触れるべきです。
残念ながらスマホアプリゲーム業界のマーケターをやっている人は
ゲームにこだわりがなく、ゲーム以外の業界に転職すればゲームを一切やらないような「ビジネスマーケター」が多いのです。
実際にゲームクリエイターと比較すると圧倒的にゲームをやっていません。
ビジネス上、しかたなくスマホゲームをやっていますが、そこにはユーザー目線でのゲームを楽しんでいる自分は存在しないケースがほとんどです。
「ゲーム好き」が優秀なゲームマーケターになるとは断言しませんが
優秀なゲームマーケターは「ゲーム好き」でなければ本当の意味で「限界突破」はできないのです。
【限界突破④】ゲームが好きな人をマーケターに起用する
「限界突破③」でお話した内容に少し重複するのですが
「ゲーム業界はゲーム好きな人をマーケターに起用する、もしくはマーケターとして育成するべきです」
なぜならゲームが好きでないと、いくら数字に強く論理的思考を持っていてもゲーム事業をまわすことができないからです。
実際のところ特にスマホゲーム業界においてはKPIなど数字に強い人材を求めすぎた結果
・良い大学を出た頭が良い人が、たまたまゲーム業界で働く
・非ゲーム業界からゲーム業界への転職
といったケースが目立ちます。
残念ながら非ゲーム系の大手マーケティング会社、代理店から転職してきた人がゲーム会社のマーケティング部門の責任者になったりする現実があります。
マーケティングとはユーザー視点で物事を考えてゲーム作りから、その魅力を届けるところまで理解できる人材が必要です。
しかしゲームをわかっていない、ゲームが好きでないマーケターは、「マーケティング=広告運用、プロモーション」という誤解をしてしまいます。これはマーケティングではありません。
結果、多くのマーケティングを担う人からROASとかKPIの話しか出てこないわけですが、
KPIは「数字で取得できる過去の結果」に過ぎず
数字からは「実際のユーザーが笑っているのか、泣いているのかわからない」のです。
数字だけでなく、ユーザー視点にたって状況把握するのがマーケティングです。
実際に多くの現場では、マーケターとユーザーとの目線のギャップが生じています。マーケターがユーザー視点に立ってゲーム運営ができないのです。
ならば、ゲームが好きで好きで仕方ない人材を、マーケター育成した方が時間はかかるかもしれませんが、現状から「限界突破」するにはアリなのです。
【限界突破⑤】既存のマーケティング部門を見直す
現状に課題があるなら、荒療治ですが
既存のマーケティング部門を見直すのも「限界突破」をするための手段としてあります。
別にマーケティング部門のメンバーをクビにしようという話ではありません。これまでお話してきた「限界突破」ができる組織編成に組み替えようという話です。
そのためには
・マーケティング部門の責任者、マネージャーを見直す
・外部からゲーム業界のスペシャリストを招聘する
・開発部門からマーケティング部門にゲーム好きなメンバーを異動する
・自社のマーケティング部門を諦めて外部にアウトソーシングしてしまい、それを管理する部門として特化する
といった方法が考えられます。
もちろん、様々なハレーションが起こるでしょうし、苦難の道が待っている事は間違いありません。
しかし、「限界突破」を目指すならそこまでする必要があります。
まとめ
今回の記事を読んでみて
「限界突破なんて不要だし、これまで通りで問題無し」
と感じたなら、そのままでも良いと思います。
実際のところ大手ゲーム会社なら十分な内部留保がありますし、いま事業が厳しくなりつつあっても、すぐに窮地に立たされることはありません。
しかし、これだけは覚悟しておいてください。
「現状を変えなければ、緩やかに事業は死んでいくだけだし、そんな未来について皆さんは既にわかっているはずです」
ただ目をそらして、何かあれば今の会社を辞めればいいし・・・
みたいなビジネスライクな考え方を持っている人が多く存在しているのもトロネコは知っています。でも、ひとりのマーケターとして考えてみてください。
そんな、甘えで働いていて「マーケター」を名乗れますか?
自分に対して誤魔化して逃げるのはやめましょう。
だって1度切りの人生ですし、もしこれを読んでいる皆さんがゲーム好きで、ゲーム業界を変えたい!と思うなら・・・。
というわけで今日はここまで!