TVCMやWeb広告はインストールとアプリ起動のタイミングが重要な理由(スマホゲームマーケティング)

スマホゲーム

こんにちは

ゲームマーケターのトロネコです。

突然ですが皆さんはTVCMやWeb広告を実施するにあたって、曜日とか時間とかのタイミングは意識していますか?

定常的にTVCM、Web広告出稿しているので、あまり意識していません

という人なら、今回の記事はあまり価値がないかもしれません。

しかし、多くのゲーム会社は定常的に広告出稿できるわけではなく、ユーザーを獲得して、売上をあげたいタイミングを狙ってTVCMやWeb広告を出稿しているはずです。

広告については多くの人が次のように考えがちです。

・広告を出稿するとすぐにユーザーが獲得できる

・広告を出稿するとユーザーはアプリをインストールした後、ゲームも遊んでくれる

実際に広告出稿するとKPIも変動するので、これは間違いではないのですが、実は必ずしも正しくはないのです。

そればかりか、タイミングを間違えると広告によるユーザー獲得効果を発揮できないばかりか、ユーザーを獲得できても売上に貢献できない場合があります。

これはTVCM、Web広告、その他あらゆる広告プロモーション活動において言えます。

今回は、あまり深く掘り下げてこなかった広告によるユーザーのゲームプレイに対するアクションと、広告における売上貢献との関係性についてお話します。

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ゲームアプリ広告に対する3つの基礎知識

まずはゲームアプリ広告において知っておきたい3つの基礎知識について解説します。基礎知識といいながらも、あまり理解していない人も多いので、この機会にチェックしておきましょう。

広告を見た瞬間にゲームインストールさせる必要がある

広告の効果を出すためには、ターゲットユーザーが広告を見た瞬間に、心が動かされてゲームをインストールする必要があります。

ユーザーに広告がリーチする回数のことをフリークエンシーといいますが、4回リーチさせると商品への理解と興味が高まりゲームをインストールするといわれています。

(実際のところ1回でインストールする人もいれば10回当ててもインストールしない人もいますので、4回というのはあくまでも目安です)

TVCMやWeb広告、その他広告やプロモーションを組み合わせて4回でも構いません。

ゲームアプリの場合は広告がリーチさせた後に、ユーザーはゲームインストールする必要があります。広告がリーチしてから時間が経過することで記憶も薄れてきて、「インストールしよう!」と高まったテンションもさがってくるわけです。

と考えると、

4回にわたって広告でリーチさせた時に、ユーザーはゲームアプリをインストールできる「タイミング」「環境」が揃っていないとインストールしてくれないのです。

今朝、TVCMで流れていた新作ゲームアプリを

会社から帰宅後に夜インストールする人もいるかもしれませんが

これは結構レアなケースといえます

たとえばドラクエのCMなら、ドラクエというゲームを知っている故に、今朝、みたTVCMの記憶も帰宅後であっても残っているかもしれません。

しかし、完全新規のゲームだったら、よほどの事がなければ夜まで記憶は残っていないため、TVCMにリーチした瞬間にインストールしてもらえるかが重要になります。

広告出稿→インストール→アプリ起動までタイムラグがある

広告出稿を行い、ユーザーはゲームをインストールしたとしましょう。インストールした直後にすぐに遊べるかどうかは、インストールしたユーザーを取り巻く環境に影響します。

そのゲームに対して、よほどの熱狂的なファンだったりしない限り、インストールした直後にゲームアプリを起動しません。

熱狂的なファンなら、そもそも広告出稿で獲得するのではなく

事前登録施策など、非広告によるプロモーションで獲得できてしまうという点もあります

実際にゲームをインストールしてから、起動するまでにはタイムラグが生じます。

例えば次のような感じです。

・今朝、Web広告やTVCMを見てアプリをインストールしたけど、ゲームを起動できるのは帰宅後である

・今朝、Web広告やTVCMを見てアプリをインストールしたけど、ゲームを起動できるのは週末か土日くらいである

いずれの場合もアプリインストールから、アプリ起動までラグが生じます。

いや、何いってんの?

TVCMやWeb広告を出稿した瞬間から新規ユーザーを続々と獲得できているよ

ゲーム内KPIでも数字を確認できるし

という意見もあるかもしれませんが、それはその通りです。

 

でもポイントは、KPIで確認できるユーザーはインストールしたユーザーのうちでも一部であり、広告経由で獲得したユーザーの全てが、広告出稿からインストールして、すぐにゲームアプリを起動するわけではなく、むしろ、そういうユーザーは少ないかもしれません。

デジタルマーケティングをやっていて次のような事はありませんか?

今日は広告のクリック数が多いけど、ゲーム起動によるコンバージョン数が少ないなぁ

今日は広告のクリック数が少ないけど、ゲーム起動によるコンバージョンが多いなぁ

いずれも、ゲームインストールから、ゲーム起動までのタイムラグによる影響だと考えられます。

 

ユーザー属性によってゲームを遊べる可処分時間が異なる

一般的にゲームをプレイできるタイミングは、そのユーザーの可処分時間と比例します。

「明日は休みなので遅くまで起きていても問題ない金曜日」

「使える時間が豊富な土日祝日」

「夏休み、年末年始、ゴールデンウィーク」

などもゲームをプレイしやすいタイミングといえます。

 

でも、これはあくまでも一般論であって、すべてのユーザーにとって共通ではありません。

みなさんが担当しているゲームのターゲットユーザーは誰ですか?

・20代会社員と30代会社員

・10代学生と20代大学生

・20代主婦と30代主婦

これらはあくまでも例として挙げていますが、可処分時間は完全一致ではなく、みなさん何かしら異なるはずです。

未婚の20代会社員なら土日を使えても、家族がある30代会社員は土日をまるまる使えるわけではありません。

つまり各ゲームにおけるターゲットユーザーの属性に基づいた可処分時間を考慮した上で広告出稿をする必要があります。

 

・広告出稿した瞬間にインストールできるか

・広告出稿からゲーム起動までのタイムラグをどう計算するか

・ユーザー属性における上記の変動をどう考慮するか

この3つの掛け算が必要であることを、ゲームアプリの広告出稿では基礎的な知識として押さえた上で設計する必要があります。

 

「3つの基礎知識なんて知らないです!」

という人がいたら、この機会に知っておきましょう。

これからの広告設計の視点が変わりますよ。

ゲームアプリ広告の効果を最大限発揮させるための3つのヒント

ゲームアプリ広告の基礎を理解したところで、続いてはゲームアプリ広告の効果を最大化するための3つのヒントについてご紹介します。

これから紹介する3つの項目を、みなさんの担当するゲームアプリに当てはめて検討することで、広告効果を最大化することができます。

広告で獲得したいユーザーの属性を理解する

前のパートで話をしてしまいましたが、

ゲームタイトルごとに、ゲームジャンルやコンセプトは異なります。その結果、マーケティング戦略は異なるのでターゲットユーザーも異なります。

それらターゲットユーザーの属性をペルソナ分析などで可視化することで、広告で獲得したいユーザーに対して

・もっともリーチしやすい広告媒体と広告手法

・もっともインストールしやすいタイミング

・インストールした後にゲームを起動できるタイミング

などを明確にしましょう。

それによってTVCM、Web広告に限らず、あらゆるプロモーション活動における設計を決めるようにしましょう。

DAUや売上をアップさせたいタイミングから逆算して広告出稿する

そもそも広告出稿は

ユーザーを獲得してDAUをアップさせて、ゲーム内で売上をあげるために行います。つまり、ゲーム運営サイドやゲーム事業視点からユーザーを獲得したいタイミングが存在するわけです。

具体的には次のようなタイミングがゲーム内に存在するはずです。

・新規機能実装によって遊びの幅が広がるタイミング

・年末年始、ゴールデンウィーク、1周年タイミングなどの商戦期

・ゲーム会社都合でどうしても売上を上げなければならないタイミング(会社の期末決算前とか)

 

ゲーム内のイベントと連携するなら、イベントがもっとも盛り上がり、もっとも売上が期待できるタイミングにゲームを遊んでもらう必要があります。

 

前のパートでゲームインストールから起動までラグがあるという話をしました。例えば今週日曜日に売上を上げたいなら、日曜日にTVCMを開始するのは時間的なズレが存在するので、間に合わないという事になります。

日曜日に売上を上げたいなら、ユーザーの可処分時間も考慮した上で金曜日の夕方から土曜日にかけて厚めに広告投下をする

といったように逆算した設計が必要になります。

ゲームアプリをインストールする意欲と起動する意欲は別物である

ここまでは、多くのマーケターが理解している内容ですが、最後にひとつだけ踏み込んだインプットをしたいと思います。

 

ユーザーにとって

ゲームアプリをインストールするモチベーションと

ゲームアプリを起動するモチベーションは必ずしも同じではない

ということです。

 

何を言っているのか?わからないかもしれませんが、これは事実です。

多くの広告はゲームアプリをインストールする事に注力しがちです。

・ゲームの魅力を伝えたり

・いまインストールして始めるとメリットがある事を伝えたり

・いま流行っているゲームであることを伝えたり

します。

 

とりあえず、スマホゲームはインストールさせないことには何も始まりません。しかし、インストールするモチベーションと、インストールしたゲームアプリを起動するモチベーションについては

同じモチベーションで動く人もいるけど、違うモチベーションが必要な人も存在するのです。

下記の表は「イノベーター理論」の記事で使った表になりますが

ゲームアプリは時間経過と共に獲得できるユーザーの属性が変わります。ゲームアプリ配信時におけるマーケティング戦略で設定したターゲットユーザーが、変わっていくのです。

広告の役割は「イノベーター理論」における「イノベーター層」を獲得することではありません。どちらかというと「アーリーマジョリティ層」以降を獲得することが本来の目的なのです。

しかし、多くの現場ではアプリ配信以降から、ずっと「イノベーター層」に向けた広告出稿、クリエイティブを使っている会社もあります。

 

繰り返しますがユーザーにとって

ゲームアプリをインストールするモチベーションと

ゲームアプリを起動するモチベーションは必ずしも同じではない

のです。

もしTVCMや、Web広告でインストールさせることに成功させても、ゲーム起動までのタイムラグは生じるため、ここのタイムラグの時間で、SNSやその他施策でゲームを起動するモチベーションを喚起できるかは、最終的なDAUへの貢献に大きく影響するのです。

プロモーション施策は単発ではく、点ではなく線で設計しよう

とトロネコが伝えているのは

 

線で複合的に設計することで

各施策にゲームインストール→ゲーム起動→ゲームプレイといった役割を俯瞰的に設計することができるからです。

多くの現場では、ゲームをインストールさせることだけで終わっています。

それでもKPI上では数字が取れているようにみえるかもしれませんが、そこには無駄が生じており、広告コストに対する効果を最大化できていません。

ゲームを起動させて、ゲームをプレイさせるまで点ではなく線で複合的に設計することができれば、広告効果の押し上げることができます。

もし、広告効果に行き詰まっている人がいたら、

各施策にゲームインストール→ゲーム起動→ゲームプレイといった役割を俯瞰的に設計する意識を持って取り組んでみてください。

「点とか線とかよく分からない」

という人は下記の記事で詳しく書いていますので参考にしてください。