こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。
今回はASO(App Store Optimization:アプリストア最適化)についてお話します。
・ASOとは何か?
・適切なASOができるとどんな効果があるのか?
ASOにおける基礎知識から、適切なASOを行うための具体的なテクニックまでお話します。
ちなみにASOにはお金があまりかかりません。開発予算やゲーム会社の規模感に関係なく、誰でもASO対策は可能です。ちょっとした対策でユーザー獲得数が変わってきますので、絶対にやるべきです。
ASO(App Store Optimization:アプリストア最適化)の意味
あらゆるゲームアプリはアプリストア(googlePlay/AppStore)を経由してダウンロードされます。
ゲームアプリだけでなくPS4ならPSストア、ニンテンドースイッチならマイニンテンドーストアからゲームをダウンロードしますよね?

つまり、ゲームやアプリをダウンロードをする上でストアに掲載された画像やテキストが「最適化」されているかで、ダウンロード数が大きく変動するというわけです。
よって、ストア上の画像や説明テキストはダウンロードをしようと思うユーザーの判断を邪魔するものであってはいけません。
画像や書かれているテキストがユーザーのダウンロードを阻害するモノではいけないという意味です。
しかしその逆を言えば、ストア上の画像むしろダウンロードを促進することも可能です。
このようにダウンロードに対してストアを最適化することを
ASO(App Store Optimization:アプリストア最適化)といいます。
※ASOとは「エイエスオー」と発音します。
ストア上で適切なASOがされているゲームやの場合、ストア上のその個別タイトルのページに来訪したユーザーのインストール率がアップします。
つまり、ユーザー来訪数(impressin)に対する
CVR(ConVersion Rate)があがり
その結果、インストール数がアップし
そのゲームのユーザー数がアップするというわけです。
PS4やニンテンドースイッチのストアにおいては、ゲーム会社が自由にASO対策をとることができません。よって家庭用ゲームではあまりASOという概念ありません。(厳密には存在しますが、ASO対策をやってもスマホアプリストアほど明確な効果がでにくいという意味です)
家庭用ゲームにおけるストアからのゲームダウンロードの多くは「ゲームのダウンロード購入」になります。一方でスマホゲームの場合は無料ダウンロードした上でのゲーム内課金となります。ダウンロードに対するハードルが低いこともあり、スマホゲームのアプリストアにおけるASO対策は非常に重要になります。
買い切りゲームが多い「家庭用ゲーム」に対して、基本プレイ無料のスマホアプリは明確なASOの効果が出やすいというわけです。
繰り返しますが、
スマホゲームは必ずGooglePlayやAppStoreを経由してダウンロードしますので、適切なASO対策がでいているか否かで本来獲得できるダウンロード数を大きく逃してしまったり、その逆でダウンロード数を大きく伸ばすこともできるのです。

しかし、スマホゲーム業界はまだまだASOの研究が十分といえません。やっているゲーム会社もいますが、ASOを専門に研究しているチームがない会社の方が多いのです。
でも、ASOをちゃんとやるか、あまり考えずにやるか
短期的には大きな違いはなくても、チリも積もれば大きな違いになります。
今回はスマホゲーム業界ではあまり語れていない本格的なASOについてお話します。
ASOの基本的な仕組み
冒頭の内容と重複してしまうかもしれませんが、今一度、ASOの基本的な仕組みを整理しておきましょう。
まず、大前提としてスマホゲームにおいて

あらゆるスマホゲームユーザーはアプリストアを経由します
(もう、くどい話ですね・・でも重要なことなのです)
例えば「トロネコパズル」という架空のゲームをアプリストアで配信しているとしましょう。
様々なプロモーションや、きっかけで「トロネコパズル」を知ったユーザーがトロネコパズルのアプリストアのページにやってきます。
ユーザーの流入経路を大きく分けると
「①ストア外からの認知による流入」と「②ストア内からの流入」
この2つに分類できます。
図にすると以下のようになります。
ここで気づいて欲しいことがひとつあります。
「ストア外」「ストア内」という切り分け方をしていますが、その内訳もさらに細かく分かれます。(クチコミ、広告、ランキングなど様々ですね)
つまり、トロネコパズルのページに来訪したユーザーが100人いるとすると、そのユーザーの流入経路は多種多様なのです。

ということは、100人の来訪ユーザーの「状態」も、ある程度グループで分類できますが、それでも全く同じ人はいません。基本的にバラバラというわけです。
なぜなら流入経路によってユーザーが持っている「情報」が違いますし、その結果ユーザーの「状態」も異なるからです。
ここポイントです。
そうすると次のような「ユーザーの状態」を踏まえたASOを検討する必要があります。
①ストア外からの流入
ストア外からやってきたユーザーどうやって「トロネコパズル」ページでCV(コンバージョン)させゲームをインストールしてもらうか、それに最適化したASOが必要です。
しかし、TVCM、広告、クチコミ、事前登録などストア外からの流入経路はバラバラですから、ユーザーの「トロネコパズル」に対する理解度、興味関心度もバラバラです。
ポイントは、どこから流入してきたユーザーを意識したASO対策をするかという点です。
②ストア内からの流入
ストア内からやってきたユーザーをどうやって「トロネコパズル」ページ上でCV(コンバージョン)させゲームをインストールしてもらうか、それに最適化したASOが必要です。
ストア内からの誘導は「ストア内での検索」「ランキング経由」や、最近は「ストア内での広告誘導」「ストア内バナー経由」「ストア内記事経由」といったようにバリエーションが豊富です。
こちらもどこから流入してきたユーザーを意識したASO対策をするかという点です。
多くのASOは流入ユーザーの中身まで踏み込んでいない
「トロネコパズル」のページへの来訪ユーザーは様々な「状態の違い」が想定されます。
2種類の流入経路からやってきたユーザーは見た目は同じ1ユーザーですが、各流入経路のユーザーの中身は同じではありません。
ここにまず注目する必要があります。
しかし、多くのASO対策においては、これら流入ユーザーの違いに踏み込まず、すべての流入ユーザーを「状態がかわらない同じユーザー」と無意識に考えた上でASO対策を行なっているのです。
結果「流入ユーザーの全体になんとなく効く施策」という、ターゲットが広すぎて、曖昧な対応に留まっています。
でも、ちょっと想像してみてください。

「TVCMを大量投下したタイミング」「youtuber施策を実施したタイミング」「アプリ配信直後のタイミング」
これら施策によって流入してくるユーザーの状態は必ずしも同一ではないですよね?
TVCMきっかけでアプリストアを訪問するユーザーは
TVCMで得た情報をきっかけで興味を持ってアプリストアに来訪しているわけですから、TVCMきっかけの「状態」を踏まえた ASO対策がCVRを上げるような気がしませんか?
もちろん、適切なマーケティング戦略が策定できており、さらにイノベーター理論における、プロダクトフェーズにおけるユーザー属性の変化も掛け合わせていくと
といった計算式が作れるというわけです。
この計算式を構成する要素は、もっと細かく分類することができます。ゲームジャンルや競合タイトルの状況など、マーケターは様々な要素を考慮した上で、その瞬間に効くASO対策を設計します。

これが効果あるASO対策を実行する上での入り口なのです
でも、まだ入り口に立っただけです。
基本的なASO対策と効果
まず、ASO対策として効果がある方法について解説していきましょう。
これから話をする内容は「一般的にASO対策の効果がある」とされている項目です。
もちろん、これだけしっかりやればかなりのASO効果が見込めます。
【インストールのCVRがあがるもの】
・アイコンデザイン
アイコンのイラストを変更したり、色を変更したり、「1周年」「コラボ中」という文字を入れたりすることでユーザーの興味を引きます。
・アプリタイトル名
「トロネコパズル」というタイトル名をつけると「パズル」というワードでジャンル訴求ができますし、「トロネコパズル〜脳トレ〜」という表記にすれば「脳トレ」効果があるゲームということも伝わります。さらにアプリタイトル名はストア内での検索キーワード対象にもなります。
・レビュー数、レビュースコア
レビュー数が多く、スコアが高いゲームはユーザー評価が高いと認識されるのでインストールされやすくなります。
・ゲーム画面スクリーンショット(または動画)
ストアにはゲーム内容を説明する画像を5枚程度掲載できます。1枚目を動画にすることもできます。スクリーンショットは左にあるほどライトユーザー向けの訴求軸がCVRに効果があります。右に行くほどユーザーが任意でスライドしなければならないのでコアユーザー向けの訴求軸が効果的です。
例)左のスライドはライトユーザー向け「かんたん爽快訴求」
右に行くほどコアユーザー向け「PvP訴求、コミュニティ訴求」といった感じです。
・ディスクリプション(説明テキスト)による商品訴求
ディスクリプションとはストア上の説明テキストです。すべてのテキストが読まれるわけでなく、最初の数行しか直感的にユーザーの視界には入ってきません。よって最初の数行にキャッチーな訴求軸を盛り込み、かつゲーム画面スクリーンショットの左側に近い内容と複合訴求をする前提で設計します。

他にもありますが今回は説明しきれないので、ざっくりこんな感じです。もっと知りたい場合はトロネコまでご相談くださいね。
【ストア内から該当ページへの誘導効果があるもの】
・ストア内ランキング
売上、ダウンロード数に応じたストア内でのランキング表示、または露出
・ストア内によるキーワード検索による上位表示
AppStoreの場合はストアにアプリ登録する際に行うキーワード登録、AppStore、googlePlay共通ではディスクリプション(説明テキスト)におけるキーワード盛り込み、タイトル名によるSEO的な効果
他にもいろいろありますが、ここ辺りがネットで検索すると出てくる基本的なASOによる概念です。でも、実はまだ不足しているのです。

今回の記事はここからがが本番です。
ターゲットユーザー属性によるASO対策の調整
前のパートで以下のような話をしました。
つまり、

ターゲットユーザーによって考慮すべき基本的なASO対策の内容が変化します。
ディスクリプション(説明テキスト)の最初の2行とか、アプリアイコン、スクリーンショットの訴求軸や、動画内容も考慮が必要です。
さらに踏み込むとターゲットユーザーの性別次第でもASO対策をさらに考慮する必要があります。
例えば男性と女性では効果あるASO対策がちょっと違うのです。
ここを抑えておかないとCVRに影響がある項目を見逃してしまい

まだまだできるASO対策があったのにチョーもったいないことをしてしまった!!
となる場合があります。
いや、そこまで悔しがる意味がわからないという声も聞こえてきそうですが、例えば大規模なTVCMを投下した結果、ASOの詰めがあまかった結果、数万人単位でユーザーを獲得し損ねたとしたら、そのTVCMのROIは見合わずTVCM自体が失敗とジャッジされるかもしれません。

実はそのTVCMが失敗したのではなく、ストアのASO対策がTVCM用にチューニングされていなかったASO担当の怠慢が原因かも・・・だとしたら、こわいですよね・・・。
TVCMを設計から制作するにあたってASOもセットで設計している人が国内のゲームマーケターでどのくらいいるでしょうか?
でもあらゆるゲームアプリはアプリストアを必ず経由しなければなりません。
ここが理解しているならTVCMを作りっぱなしで、TVCM経由での流入ユーザーの「状態」にあわせたASO対策をしていないのはマーケターとしては失格なのです。
話を進めましょう。

男性と女性ではアプリストアで見ている部分が違います。これは一般論であり、かつ調査からも裏付けされているのです。
男性ユーザーの傾向
・視覚に影響される(画像とか動画とか)
・自分でインストール可否を決める傾向がある(レビューの低さは影響を受けにくい)
・ストアに来訪した瞬間で「これは自分が好きなゲームだ」「自分が好きなゲームではない」というものを瞬時に感じ判断している(直感に左右されやすいfirst impression重視)
女性ユーザーの傾向
・レビュー数、レビューの内容などでインストールに大きな影響を与える(誰かの評価は重要)
・視覚だけでなく、文字や内容を読み込むことで得られる情報も重視する(そこまで読んでくれる)
これらの要素はあくまでも一般的な傾向であり、例外もあります。
ただし、性別による傾向の違いまで踏み込んだ上で
これら要素に掛け合わせれば、さらに精度の高いASO対策が設計できるというわけです。
トロネコの場合は、さらにターゲットの年代、ゲームジャンルによる嗜好性等、ターゲットユーザーのペルソナまで踏み込んで考えます。

なぜなら、それだけ時間をかけて踏み込むだけの価値がASOにはあるからです。だってお金をかけて「TVCM」や「Web広告」さらには「1周年記念施策」を投下するわけですからね
さらに「ゲーム外」「ゲーム内」の各施策と連携した形でアプリストア到達時の「ユーザーの情報量」「ユーザーの状態」を想定した上でアプリストア上のASO対策を設計します。
つまりストア外、ストア内、アプリストア上をトータル的に踏まえた上でのASO設計が必要になります。ただアプリストア上で画像を入れ替えたり、テキストを書き直して、いろいろ試してみることだけがASOではないのです。
当たり前の話ですがASO対策を考える上でも、そのゲームアプリのターゲットユーザーが細かく掘り下げられていこと、マーケティング戦略が策定されていることは大前提の話となります。
まとめ
今回はASOについて踏み込んだ話をしました。
ちなみに余談ですが、最近、AppStoreとGooglePlayではストアのスクショの構成が変わっていることにご存じですか?
AppStoreの方はストアのルール上、できるだけゲーム画面のスクショそのままを使用しなければならなくなってきました。

つまりゲーム画面は加工なし、無修正、素顔そのままので勝負しなければならないのです。
下記の記事でも書きましたが「美味しそうに見えるラーメン」ができないと、ストア上でも映えないのでASO的にはマイナスです。
だって、つまらないゲーム画面でも加工することで勝負できる時代もありましたが、「無修正」「加工なし」「素顔のまま」で勝負しなければならないわけですから、「美味しそうに見えるラーメン=面白そうに見えるゲーム画面」が、ASO的にもさらに重要となるわけです。
「美味しそうに見えるラーメン」 をつくるには「つくるマーケティング」が必要です。
実際に遊んだら面白いけど
面白そうに見えないゲームは、ASOでも苦戦します。
なぜなら、面白そうに見えないゲームはどんなにアプリストアにユーザーを誘導しても、最後の最後でストア上のCVRが落ちるからです。

なぜ皆さんのゲームタイトルのユーザーが増えないのか、ユーザーの誘導はバッチリだけど、実はASO対策ができていないのが理由かもしれません
ASO対策についてのご相談
今回お話をしたASO対策は基本的な部分であり、かつゲームアプリのフェーズによって随時修正を加えていく必要があります。
ASO対策はストア上における画像やテキストの修正になりますので、それほどお金がかかりません。お困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひトロネコまでご相談ください。