こんにちはトロネコです。
ゲーム業界でマーケティングの仕事をしている人
ゲーム業界に限らずIT業界、その他エンタメ業界でマーケターをしている人
年齢、経験、スキルに関係なくきっと
「マーケティングスペシャリストになりたい」と思っているはずです。
※マーケティングスペシャリスト=マーケティングの専門家、プロのこと
しかし、同時に「なれない自分」に苦悩し、もどかしさを感じているかもしれません。
なぜ、マーケティングスペシャリストになれないのか?
例えば次のような理由があげられるでしょう
・わからないことが多すぎる
・わからないことを気軽に聞ける環境がない
・わからないことを教えてもらえる環境がない
・ググっても、人に聞いても答えがみつからない
・知識ではわかっていても、経験、実践する場所や機会がない
・そもそも「何がわからないのか?」がわからない
これ以外にも様々な理由があるかもしれません。
このような状況を作ってしまったのは、これまでのゲーム業界を創ってきた我々の責任であり、本当に申し訳なく思っています。
このサイトを通して少しでも解決できるお手伝いができれば幸いです。
しかしながら、こういった「知識」「経験」「環境」といった要素以上に
「マーケティングスペシャリストになるためには重要なことがある」
ということを20年以上のマーケターキャリアを持ってトロネコは知っています。
もしこの記事を読んでいる皆さんが、本気でマーケティングスペシャリストを目指すなら、やるべき10個のことをお話します。
10個全部できればパーフェクトですが、今回の記事を読んで共感できる項目が、もし1個みつかったなら、それだけでも価値があります。
ぜひ、共感できる項目1つでいいので、明日から実践してみてください。
きっとマーケティングスペシャリストへの道が開けるはずです。
マーケティングスペシャリストを目指すならやるべき10のこと
①「そんな気がする」思考を止める
「それってダメな気がする」
「それって上手くいかない気がする」
「やっても無駄な気がする」
このような「気がする思考」は、過去の経験をもとに判断をしがちです。
「過去うまくいかなかったから、今回もうまくいかないかもしれない」
という動物的本能のような感覚で下された判断は、必ずしも悪いことではありません。しかし、ここでの問題は「そんな気がする」という明確な裏付けがない判断なのです。
「気がする思考」で結論を出してしまうのではなく
「気がするのだけど、本当にそうなのだろうか」
「なぜ、そんな気がするのか?その原因や理由は何か?」
といった思考が必要です。
気がするなら、必ずその明確な理由をセットに提示すること
理由が提示できないなら、なぜ提示できないのか?そこに踏み込んで議論すること
ここが重要です。
「気がする」だけで物事が決められてしまうということは、過去の経験や常識の中で物事が判断されている状態です。
そして、「気がする思考」はマーケティングスペシャリストとしての成長を阻害する「思考停止」に繋がっていきます。思考停止については⑥で解説します。
②「常識」にギモンを持つ
ログインボーナスって本当に必要なの?
当たり前のことを疑ってみる、常識に疑問を持つことはマーケターとして重要です。
③「なぜ、なぜ、なぜ」を繰り返す
常識に疑問を持つことは重要だという話をしました。
しかし、常識に疑問を持っても、そこれ終わってしまっている人がほとんどなのです。
なぜログインボーナスは必要なのだろうか?
ログインボーナスに対する常識を疑ったとしましょう。(あくまでもログインボーナスは仮の話ですよ)
しかし、ここで重要なのは
・ログインボーナスによる効果があった時代もあった(今はどうかわからない)
・今はログインボーナスの効果が薄れてきている(今後はどうなるかわからない)
という点です。
つまり、ログインボーナスの必要性については、常に変化しており、1度決めたら、それが永久に常識として使えるわけではないのです。
ゲームの遊びや、面白さ、ユーザーが求めるニーズも常に変化しています。この変化に対して我々は常に合わせていく必要があるのです。
変化に対して追いつくことができなくなった瞬間に、時代とのギャップが生まれ、マーケターとして使えなくなってしまうからです。
ならば、そのためにはどうするべきか?
これは非常にシンプルです。
「なぜ、なぜ、なぜ」という物事に対する疑問や問いをやめないということです。
例えばこんな感じです。
今回の新規ゲームのジャンルはシューティングゲームに決まりました
なぜ、シューティングゲームなのですか?
新作ゲームの初月売上目標はMAU100万、売り上げ5億に決まりました
なぜ、MAU100万、売り上げ5億なのですか?
この、「なぜ」に対して的確に答えられないなら、そのゲーム事業はやるべきではないですし、答えられない人はもちろん、「なぜ」という感情を出せない人もマーケターとしては失格です。
「なぜ、なぜ、なぜ」を意識して繰り返すくらいがマーケターとして成長する上ではおすすめです。
うるさいな、もう決まったんだ。以上!
といった感じで、押し通してしまうようなゲーム会社が存在するなら会社としては末期ですし、実際に結果もでていないのではないでしょうか。
④「決断と、妥協と、諦めは背中合わせ」であると知る
決断、妥協、諦め
という言葉あります。
簡単に整理してみましょう。
決断 | 議論をし尽くした上で、新規タイトルのゲームジャンルは「シューティングゲーム」にすることにしました |
妥協 | 最近、市場的にシューティングゲームが流行っているので、新規タイトルのジャンルは「シューティングゲーム」にすることにした。 |
諦め | 開発費もかけられないし、高度なゲーム開発ができる技術力もないので、新規タイトルのジャンルgは「シューティングゲーム」にした。 |
3つの判断とも結果としては「シューティングゲーム」を選んだことになります。そして、その決断に至るプロセスは一見、バラバラのように見えます。
「諦め」<「妥協」<「決断」
こんな感じで「決断」が一番良さそうな気がしますよね。多分、判断した皆さんも気持ちよく判断していると思います。
しかし、3つとも最終判断は「シューティングゲーム」であり、そこに違いはありません。つまり判断は同じなのです。
決断 | 議論をし尽くした上で、新規タイトルのゲームジャンルは「シューティングゲーム」にすることにしました |
「決断」を選んだ場合、議論し尽くしたようになっているかもしれません。
会議を重ね、データを付き合わせて、議論尽くしたわけです。
でも本当にそうなのでしょうか?
会議を重ね、データを付き合わせて、議論尽くしたと自分たちに言い聞かせて、納得したいだけではないのですか?
ちょっと厳しい言い方に聞こえるかもしれませんが、ここがとても重要です。
なぜなら、「決断」の多くは、「妥協」「諦め」と同じ場合が実際の現場ではみられるからです。
「決断と、妥協と、諦めは背中合わせである」
これは事実であり、怖い話であり、誰も直視したくないことです。
ゲーム事業においては「決断」をしなければならない場面に何度も出会います。その時に立ち止まってちょっとだけ考えてみてください。
今から「決断」をしようとしているけど、この「決断」は「妥協」「諦め」と同じではないだろうか?
本当に「決断」できる状態で「決断」しているのだろうか?
ここに対して、少しでもいいので、頭の中を遮ることができるとマーケターとして成長できます。
「決断と、妥協と、諦めは背中合わせである」
ここを頭のどこかに置いておきましょう。
⑤「何事もジブンゴト化」する
ゲームの仕事をしているとこんな場面に何度も遭遇します。
これ、俺の仕事ではないので。
私の役務はこれです。だから、これしかやりません。
かつて、「役務」という言葉を使ってきたゲームプロデューサーがいましたが、役務という言葉には次のような意味があるそうです。
・公的な仕事。また、他の人のために行う労働。
・銀行やレストラン、運送業など、サービス業で取り扱うサービスなど。
つまり、自分の仕事だけを事故なく完璧にやればいい。
他の人の仕事はどうでもいい。
という考え方がここに含まれています。
もし1ヶ月の給料を30万円もらっているなら、30万円分の仕事しかしないし
隣のチームで問題が発生して燃えていても、それは自分の仕事ではないので関係ない。
という割り切った考え方です。
これは被雇用者という立場から見ると「正しいこと」「健全なこと」かもしれません。しかし、ゲーム事業は、様々なメンバーが協力しないと結果が出せない共同作業です。
自分の領域だけでなく、もう少し俯瞰的に全体を見ながら、何が問題として起こっていて、どうすれば解決できて、自分はどうやってそれに貢献できるのか?
あらゆることに対して「ジブンゴト化」できるかがマーケターとしての成長には欠かせません。
特にマーケターの場合は貢献できる領域が広く、ゲーム開発、プロモーション、ゲーム運営などあらゆるフェーズでできることがあります。
マーケティング100リストでも書いていますが、できることは膨大にあるのです。
マーケティングの役務は新規ユーザーを獲得して100万DAUを達成することである
こういったことをゲームプロデューサー、ゲーム事業責任者、マーケティング部門責任者、それぞれが考えている会社もありますが、
「マーケターの仕事はDAUを作ること」
という限られた役務に染まっている状況です。これは結構ヤバイ状況です。
あれ!?ゲーム事業の目的ってDAUを作ることでしたっけ?
もしDAUを作ることがマーケターの役務だとするならば、いくらでもDAUという数字を瞬間的に作ることは可能です。しかし、すぐにユーザーは辞めてしまいますし、売上も利益もあがらず、そのゲームタイトルは失敗に終わるでしょう。
もし、あなたがマーケティングスペシャリストなら、むしろ、こういうかもしれません。
新規ユーザー獲得をやめて、今遊んでいるユーザーの中で事業を継続して利益を出していく方法を考えるべきだ。
一緒に、その方法について考えよう!
こういった言葉が発せられる状態は「ジブンゴト化」できている証拠です。
⑥「思考停止すること」に対して極度に恐れる
マーケティングスペシャリストを目指す上で一番恐ろしいことが「思考停止状態に陥ること」です。
思考停止とは下記の記事でも書いていますが「考えることをやめた状態」となります。
⑦「できない自分」を認める
ゲーム業界に限らず、会社で働いていると自己承認欲求の高い人に出会うことがあります。
自己承認欲求が強い人の多くが
「自分はできる」「自分は正しい」
「この成果は自分の貢献によるものだ」
と考えがちです。
しかし、実際のところ
「自分はできる」「自分は正しい」
「この成果は自分の貢献によるものだ」
という考えは正しくありません。経験やスキルに関係なく人間は失敗しますし、どんなにヒットしたゲームでも、一人でヒットを作り出すことは不可能だからです。
特にゲーム事業は一人ではできず、多くの人との共同作業が重要なのですが、
「自分はできる」「自分は正しい」
「この成果は自分の貢献によるものだ」
という意識が強くなりすぎると、たまたま1本目のゲームがヒットしても、2本目、3本目のヒットを生み出すことができず、永遠に1本目にヒットしたゲームで生きていくしかないわけです。
ゲーム業界においては
・たまたま担当していたゲームがヒットしてしまったような運の要素がある
・ヒットタイトルを作った人が、本当にヒットを生み出したのか怪しい場合がある
という事実を知っておく必要があります。
運は絶好のチャンスです。運を掴むことができたら、それを次に活かせるかが重要です。そのためには「できない自分、未熟な自分、運でたまたまヒットした自分」をいかに受け入れられるかが重要なのです。
「できない自分、未熟な自分、運でたまたまヒットした自分」をいかに受け入れられるかが、その後の人生を左右します。
そして、受け入れられなかった人の多くは、過去の栄光に縋って、生きていかなければならなくなったり、2本目のヒットを生み出せずに終わったり、
1本目でヒットしたやり方にこだわって、ただ同じことを繰り返しているだけだったりします。
長年、ゲームの仕事をしていると、この状態に陥る人は多いのですが、ここを脱出してさらに上を目指すには
「できない自分を認めること」なのです。
⑧「常にアップデート」する
どんなに年齢をとって、スキルや経験を積み重ねても、マーケティングスペシャリストでありたいなら、常に自分自身をアップデートし続ける必要があります。
アップデートすることをやめた瞬間に、あなたは古く、過去のものになり、マーケターとして使えなくなります。
ならばアップデートするということは、どういうことなのか?
毎日の仕事を頑張っているだけではアップデートすることはできません。むしろ、同じことの繰り返しばかり、かもしれません。
ニュースサイトを見たり、本を読んだり、周囲の人と話をして情報を仕入れたりすることも、アップデートする一つの方法ですが、こういった情報は、あくまでも情報にすぎず、使える戦力として皆さんの脳の中にアップデートされません。
そして、何よりもゲーム事業は常に変化しますので1年前の情報が、今使えるのか?というと怪しい部分はありますし、今までやってきたことが必ずしも正しいことなのか?というと、それも怪しいのです。
つまり情報は常に変化して、しかも100%の正解は存在しない世界なのです
ならばどうすればいいのか?
答えは簡単です。
「小さくていいので、仮説→実行→検証→反映を繰り返しましょう」
ニュースサイトを見たり、本を読んだり、周囲の人と話をして仕入れた情報はただの情報であり、仮説に過ぎません。実際に自分でその情報をもとに実行して検証しないと、その情報が使える情報なのか?不明です。
仮説→実行→検証→反映というプロセスを持って、あなた自身もアップデートされていきます。
毎日の仕事の中で小さくても構いません。このプロセスを小さく実行してみましょう。仕事の中ではなくても実行はできます。
私、トロネコが今、記事を書いているようにアウトプットという実行を持って、「なぜ、なぜ、なぜ」を繰り返す作業もアップデートに有効です。
1万円のお小遣いをかけられるなら、小さく広告運用をしてみるのも仮説→実行→検証→反映というプロセスを実行する方法としておすすめです。
毎日の仕事を頑張っているだけではアップデートすることはできません。
そして、ニュースサイトを見たり、本を読んだり、周囲の人と話をして仕入れた情報でアップデートした気分に浸っても、実はそれ自体はあまり意味がないのです。
ちなみにこのサイトのように、知識を言葉にしてアウトプットすることは、情報が知識として定着するだけでなく、言語化して人に伝えられるようになるので、様々な面においてアップデートできるのでおすすめです。
読者の皆さんならお気づきかもしれませんが、初期に書いた記事よりも、最新の記事の方が読みやすくなっているはずです。
⑨「他人との比較」をやめる
会社勤めをしていると、どうしても他の人と比較しがちです。
「比較するのをやめよう」
と思っても、会社組織に所属している以上、人事評価、給料、職位などで必ず比較されます。ただ、この他人との比較は、
「マーケティングスペシャリストとして成長する上では大きな阻害になる」
と思っています。
なぜなら、マーケティングとは、常に変化して、自分をアップデートしていかなければできない仕事なので、他人と比較することはあまり意味を持たないからです。
他人との比較を意識すると、会社における評価も意識しなければならなくなり、結果的に、会社に評価しやすい人材に軌道修正されていきます。
会社員としては、これは普通の話かもしれませんが、マーケティングスペシャリストを目指す上では、成長を阻害する要因になるからです。
マーケティングスペシャリストとは
物事を事故なく実行できるだけでなく
自ら顕在ニーズと潜在ニーズを理解して、「モノが売れる仕組み作り」というマーケティングの定義を塗り替えて生み出していく人ですから、むしろ一般常識とか、企業における「あるべき論」と戦っていく必要があります。
だから、他人と比較するのは意味がなく、むしろマイナスになります。
もし、会社内におけるあなたの評価が低くても、あなたが無能かというとそうではありません。むしろ、あなたの発信するマーケティング理論を上司や周囲が理解できないだけだったりする場合もあるのです。
⑩「マーケティング」を仕事ではなく楽しむ
最後にマーケティングスペシャリストとして必要なことをお話しましょう。
実はこれが最も重要です。
「マーケティングを楽しむ」「仕事を超えて楽しむ」ということです。
仕事を超えて楽しめるかが、あらゆる成長において影響を与えます。仕事として見れないようであれば、あらゆることが辛いことであり、成長を阻害します。
・KPIを見ている時間が楽しい
・戦略を考えるのが楽しい
・マーケティング議論が楽しい
そう思えるなら、マーケティングスペシャリストの素質があります。
一方で「辛い、苦しい、でも頑張ろう」と思いながら、今の仕事を続けているなら、マーケティングスペシャリストとしての成長速度は鈍化しますし、そもそも仕事を変えるのもアリだと思います。
仕事を超えて楽しめるかが重要です。
でも、仕事を超えて楽しめないことを否定しているわけではありません。
もし、マーケターの仕事が楽しくない、あくまでも仕事としてやっているなら、本気で楽しめる別のことを探しに行く方が人生において良いと思うのです。