【ゲームアプリ周年施策の設計方法】1周年プロモーションの作り方を全部教えます

宣伝・プロモーション

こんにちは

マーケティングスペシャリストのトロネコです。

今回はゲームアプリとして最も盛り上がりが期待できる「周年施策の設計方法」について解説します。

ズバリ、ユーザーは「1周年」「2周年」といったワードに敏感です。

X周年といわれると

普段とは違って、特別でお得な出来事がゲーム内で体験できるという期待感を無意識に抱くからです。その結果、ゲーム運営の1年を通しても盛り上がりを作れます。

しかし、「適切な周年施策の作り方」って、ほとんど話されてきていないので、この機会に本当の意味での周年施策の設計方法についてお話したいと思います。

周年施策の目的って何?

ここで質問です!周年施策の目的って何だと思いますか?

多くの人が

「周年期間におけるユーザー獲得によるDAUの底上げ」と「売上獲得」

と答えるのではないでしょうか

これは一見、正しいのですが、実は周年施策の目的としては不十分です。

周年施策=周年期間だけの盛り上がり

と考えるのはちょっと勿体無いのと

もし、そう考えてしまうならばマーケティングを「線」ではなく「点」で考えている証拠です。つまり、その場しのぎのマーケティングをやっていることになります。

こちらの記事でも詳しく書いていますが、「線」ではなく「点」で考えてしまうとマーケターとしては失格なのです。

なぜならスマホゲームに場合、

数年単位で継続運営をした結果、開発費、宣伝費を回収し利益を獲得するという長期回収型のビジネスモデルだからです。

つまりスマホゲームやオンラインゲームの場合は自然と長期視点でビジネスを考えなければなりませんので、必然的に「点」ではなく「線」で連続性を持ってマーケティングを考えなければならないのです。

周年施策を「線」で考えられるようになると目的が見えてきます。

1年でもっとも盛り上がり、新規ユーザーを獲得して、離脱ユーザーの復帰も期待できる周年施策は、その後の1年のゲーム運営を食い繋いでいくための貯金をすること、これが周年施策の目的です。

つまり、ここで貯金をしておけば、これからの1年のゲーム運営が楽になりますし、貯金ができなければジリ貧のゲーム運営が待っているというわけです。

周年施策の設計方法を整理してみよう

周年施策がこれからのゲーム運営の「貯金」と考えられると周年施策の設計方法が全然変わってきます。

× 周年施策の期間だけ盛り上げて売上とDAUを稼げばいい

○ 周年施策が終わった後にDAUがどうなっているのか、翌月のDAUと売上が重要

このような発想に切り替わります。これ凄く重要なんです。

この発想に切り替わると、次のような設計方法が考えられます。

つまり、周年施策開始前、周年当日、周年施策の後半から最終日

このポイントでいかに「点」ではなく「線」でつなげた連続性があるゲーム内施策、ゲーム外施策が設計できるかが重要というわけです。

なぜなら重要なのは周年施策期間中だけでなく、周年施策期間が終わった後にこのゲームがどのような状態まで改善して、これから1年を運営していく貯金ができているかが勝敗の分かれ目になるからです。

ちなみに誤解して欲しくないのは、周年施策でDAUなどの貯金ができていれば、その貯金をその後、食いつぶしていけばいい、という事ではありません。

周年施策でDAUが改善できれば、高い場所からさらに翌月からも戦うことができます。つまり周年施策をリブートのきっかけに使い、さらにゲーム運営を加速させることができるので、もっと高いゴールや目標設定ができるようになります。

最近よく目にするハーフアニバーサリーは訴求力が低いので工夫が必要

ところで、1周年、2周年施策って1年に1回しかまわってきません。

でも、これらは効果があるので、1年の中に別の周年施策を作ろう!という考えが近年においては一般化しつつあります。

代表的な周年施策としては「ハーフアニバーサリー」「1.5周年」「2.5周年」といったように周年施策の中間を埋めるような施策が見られるようになりました。

しかし結論から言うと、これら「ハーフアニバーサリー」「1.5周年」「2.5周年」は圧倒的に1周年、2周年といった本家の周年施策には敵いません。そこそこ盛り上がるけど、1周年、2周年ほどの盛り上がりは期待できないのです。

これは実際に「ハーフアニバーサリー」をやったマーケターなら体験済みでしょう。

その原因は「ハーフアニバーサリー」ではユーザーの期待値をあげるパワーとして弱いからです。

しかし、世の中、どこを見渡しても「ハーフアニバーサリー」と言う名称で多くのゲームは施策設計しています。でもこれはあまりおすすめできる施策ではないのです。

なぜ「ハーフアニバーサリー」ではそれほどユーザーの期待感が上がらないのか!?それは「ハーフアニバーサリー」という訴求軸に特別感が存在しないからです。多くのゲームアプリは「ハーフアニバーサリー」という

一般化された普通のワードで施策設計をしがちですが、これではこのゲームならではの特別な期待感を醸成しよう、というのが無理な話なのです。

ならばどうすればいいのか?

これについてはのちほどお話しますね。

周年施策でありがちな反省ケース

ところで、マーケターなら施策をした後に必ず「施策効果の振り返り」をします。

周年施策は1年間の中でも特に大きな施策になりがちなので、「施策の振り返り」をした人も多いと思います。

なぜ振り返りをするのか、それは施策設計、実行を通しての失敗は成功体験を振り返ることで今後の施策にフィードバックし、マーケターとして会社組織としてさらに成長を目指すことにあります。

この「振り返り」自体は非常に重要であり、もしゲーム会社として、マーケターとしてやっていないならば、絶対にやってください。

(やらないのはナシです)

もし「振り返り」をサボるならば、そのゲーム会社、マーケターであるあなた自身は永遠に成長できません。

ところで、トロネコはこれまで様々な「周年施策の振り返りのプレゼン」を何度と聞いてきましたが、共通して感じることがあります。

それは、同じような失敗が何度も繰り返えされているという点です。

多くの人は施策振り返りの結果、最後にこう言います

今回の反省をもとに次回に活かそう

でも実際に活かされる事はほぼなく、また周年施策で同じような失敗が繰り返されます。なぜなら1年後の周年施策の時なんて、今回の失敗はもう忘れているかもしれませんし、タイトル担当が退職したり異動したり・・・。

凄く確信をついた話をすると

結局のところ、多くの人が「振り返り」を重要と思っていないし、それを今後の生かそうとか、会社に貢献しようとか思っていません。(残念ですがそうなんです)

多くのマーケターは忙しさを理由に「振り返り」に対して手を抜きますし、むしろしたくないですし、その場がしのげて、結果、会社から短期的に評価されれば良いと思っています。

よって、何年経っても同じような失敗が何度と繰り返され、同じような「振り返りによる反省」がされるわけです。

いま、この記事を読んでいる人にはそうなって欲しくないので、今回、トロネコがこれまで感じた何度も繰り返されている代表的な「周年施策における失敗事例」をここで全部お話します。

1周年、2周年施策における代表的な「振り返りによる失敗事例」

①周年施策初動でユーザー獲得できたけど維持できなかった

②前半は周年施策が盛り上がったけど、後半でダレてしまった

③周年施策の初動ばかりに注目がいってしまい、それ以外の施策が用意できなかった

④ゲーム内外で連携した施策設計ができず、ユーザーを獲得したけどゲーム内で定着できなかった

⑤周年当日に多くのユーザーを獲得できたけど翌日にはDAUが元に戻ってしまった

⑥周年期間終了後、周年施策開始前のDAU、売上に戻ってしまった

 

どうでしょうか

ほとんど、こんな「振り返り」をされているのではないでしょうか?

でも、ポイントは

このような「振り返りと言う反省の未来」はトロネコがいま書き出せている時点で、既に予測できている未来なのです。

予測できる未来なのに、それに対する事前対策や設計がされずに周年施策が実行されているわけです。ちょっと滑稽な感じがしますよね。

未来が予想できるならば、事前にそれに対する打ち手を用意するべきであり、それができず、「今回の反省をもとに次回に活かそう」という「振り返り」で逃げるのはただの怠慢です。

 

繰り返しますが

「周年施策は初動で成功してもその後ダレるので全体設計が重要です」

「周年施策は施策期間内で意識して盛り上がりを作る必要があります」

「周年施策で最も大切なのは開始前と終了後です」

これらを事前に想定した上でゲーム内外で準備時間をかけて戦略と施策設計をしてください。

1年に1回しかない周年施策ですから準備期間は十分あるはずです。準備期間不足を理由にするのもマーケターとしては怠慢以外の何者でもないのです。

トロネコが考える1周年施策のフレームワーク

この図を踏まえて周年施策は設計します。

①周年施策の開始前の盛り上げ

②周年施策開始直後の盛り上げ

③周年当日の盛り上げ

④周年施策後半の維持

⑤周年施策終了後の状態

最低限これら5つのポイントを踏まえた上で、各ポイント同士をシームレスに繋いで獲得したユーザーが定着して遊び続けてもらえる状態を作らなければなりません。

そして、「獲得したユーザーが定着して遊び続けてもらえる状態」がもっとも重要であることに気づいた時点で

ただユーザーを外部から獲得するだけでなく、獲得したユーザーの状態にあわせてゲーム内で維持定着するための連動設計が必要になります。

つまり周年施策はゲーム内外で緻密に連動した設計が必要なのです。

しかし、多くのケースで周年施策で行われていることは「外部からユーザーを獲得すること」だったり、「いま遊んでいる既存ユーザーを維持すること」だったりします。

 

これらはどういう状態かというと

 

「外部からユーザーを獲得すること」

→プロモーションしか見えていない状態

 

「いま遊んでいる既存ユーザーを維持すること」

→ゲーム運営しか見えていない状態

 

というように、「ただのその場しのぎ」の単発施策をやっているようなものなのです。これではせっかくの周年機会をモノにすることができません。

かならずゲーム内外で連携して周年施策の設計をするようにしてください。

 

もちろん、1周年を迎える上で、現状のゲーム運営における課題(離脱要因、課金が回らない要因など)を理解して、その原因を突き止め、どのような対応が想定されるのか洗い出しておく必要があります。

そうしないと適切な周年施策の設計はそもそも困難です。

(こんな話をして勘がいい人は気づいたと思いますが、時間をかけて準備が必要ですよね。まして1ヶ月、2ヶ月でゲーム内連携をした本質に踏み込んだ設計なんてできるわけはありません。本気でゲーム内連動するならば)

トロネコが考えるハーフアニバーサリー施策のフレームワーク

ところで前のパートで「ハーフアニバーサリー」は多くのゲーム会社で使い古された一般ワードに成り下がってしまったこともあり、ユーザーの期待感を煽るには力不足という話をしました。

そこでトロネコなら次のように考えます。

ハーフアニバーサリーという訴求軸をメインに持ってくることはやめよう(各ゲーム会社で使っている訴求軸なので独自性が出せないし)

今後1.5周年、2.5周年、3.5周年と毎年やることを踏まえると、「ハーフアニバーサリー」というその場しのぎの施策ではなく、毎年、この時期には「トロネコフェス」というお祭りを定番化して繰り返し訴求していこう!

 

 

つまり周年施策の間を埋める新しい施策を作ってしまい、毎年、繰り返し訴求し続けることで、「半年後とにすごいことがある」という期待感を既存ユーザーの中に刷り込んで行こうという考え方です。

 

トロネコフェス2020(ハーフアニバーサリー)

トロネコフェス2021(1.5周年)

トロネコフェス2021(2.5周年)

というように「トロネコフェス」というそのタイトル独自の訴求軸(=いわゆるお祭り)を作ってしまい、毎年、繰り返し継続実施した方が、施策のブランディング的にも有効です。

一方で

ハーフアニバーサリー

1.5周年

2.5周年

というようにその場しのぎの施策を繰り返してしまうと、その都度、「ハーフアニバーサリー」「1.5周年」「2.5周年」を訴求しなければなりません。

でも「トロネコフェス」なら、毎年訴求することで既存ユーザーに対する認知も積み上がっていくというメリットがあります。

まとめ

今回、周年施策の設計について解説してみました。

記事の中ではすべて書ききれない部分もあるので、説明不足な点がありましたら申し訳ございません。

少しでも皆さまの今後の施策設計の参考になれたら幸いです。

というわけで今回はここまで!