【ゲーム市場規模の算出方法】ゲームアプリのマーケティング戦略作成で必要なこと

マーケティング

こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。

今回のテーマは「ゲームの市場規模の算出方法」です。

マーケターなら戦略を策定する上で必ずやらなければならない
基本中の基本ともいえる初期工程ですが
その算出方法についてあまり語られていないため
今回解説したいと思います。

なぜ市場規模を算出する必要があるのか

そもそも市場規模を知る必要があるのか?
知ったところで何ができるのか?

そう思う人もいるかもしれません。

しかし、市場規模を知るということは、現時点での適切な戦い方(=マーケティング戦略)を作る上で非常に重要です。

・どのくらいのビジネスが見込めるのか?
・どのくらいユーザーの獲得余地があるのか?
・もしくはユーザーの獲得余地はなく、限られたユーザーの中で戦わなければならないのか?

これらに加えて
さらにこちらでお話をしたイノベーター理論ペルソナ分析を重ねていくことで

・いまどのユーザーを獲得しなければならないのか(ターゲットの設定)
・そのユーザーは何人存在していて、どのようにすれば獲得できるのか?(ターゲットの攻略方法)

というように
より踏み込んだマーケティング戦略が作れるようになります。

「市場規模を知る」ということはマーケティング戦略を作る上での
「第一歩」であり「現状把握」であり

適切に市場規模を把握できるか否かでマーケティング戦略の精度に影響を与えます。

しかし、これを読んでいる皆さんも経験があると思いますが

市場調査では100万人のユーザーが存在するとされていたけど
実際には10万人しか存在しなかった(≒ユーザーが獲得できなかった)というケースも多々あります。

まぁ、これは極端な例かもしれませんが
多かれ少なかれ、このように市場規模を過剰に評価して算出してしまうケースは多々あります。

厳密には10万人しかユーザーが獲得できなかった原因が他にもあるかもしれませんが、そもそも10万人の市場しか、現状の世界に存在しないなら

そのゲームはそもそも開発すべきではなかったかもしれませんし
または発売中止にするべきだったかもしれません。

もしくは10万人の市場規模に合わせた開発をしたり、発売、配信のやり方を模索して、なんとかビジネスを成立させようとしたかもしれません。

つまり市場規模次第で「戦い方」が全然変わっていくわけです。

なぜ市場規模を見誤ってしまうのか

ところで、市場調査などで市場規模を見誤ってしまう原因ですが
ほとんどの場合は次のどれかに当てはまります。

・市場調査設計を誤ってしまった

市場規模は「市場調査設計」でいくらでも作れます。
つまり悪意あるマーケターが存在するとすれ、そのゲームの企画を通すために
市場調査で「架空の市場」を作り出すこともできるというわけです。

まともな調査会社に発注すれば、そこまで変な調査をすることはないのですが
問題は調査結果を踏まえてどのように判断するか、
判断する人の裁量、スキルで「市場規模」が変動します。

たとえば架空の新作ゲーム「トロネコの大冒険」について300人を対象に市場調査をしたとしましょう。
次のような調査結果になったとします。

【質問】「トロネコの大冒険」が配信されたら遊びますか?
・絶対に遊ぶ 100人 →TOPBox
・まぁまぁ遊ぶ 100人 →2ndBox
・遊ばない 100人 →その他

この調査結果から、みなさんは「トロネコの大冒険」の市場規模はどのくらいだと思いますか?

「絶対に遊ぶ」と答えたユーザーを一般的にTopBox(トップボックス)を呼んだりします。
「まぁまぁ遊ぶ」と答えたユーザーは2ndBox(セカンドボックス)と呼びます。

多くのマーケターは

TopBox+2ndBoxの合算値200人をこのゲームの市場規模と設定しがちです。

しかし、次のように深堀って考えると全然異なる景色が見えてきます。

「まぁまぁ遊ぶ」と答えた2ndBoxは「絶対に遊ぶ」と断言できなかった原因がありそうだよなー。
「絶対に遊ぶ」と答えたTopBoxは「あくまでも調査で答えたに過ぎないよなー」
つまり、実際にTopBoxの100人の全員が余すことなく「トロネコの大冒険」を遊ぶわけではないのです

このように考えると「トロネコの大冒険」は200人も遊んでくれないような気がしてきませんか?

ちなみにトロネコの場合は、これ以外のデータも加味した上で次のように市場規模の設定をします。

TopBoxの半分50人:自ら情報を取りにいくため、情報が伝わりやすく市場規模として最低限見込める

TopBoxの半分50人:情報が伝われば遊んでくれるが全員に伝えるのは不可能。過度な期待はできない

2ndBox100人:「絶対に遊ぶ」と断言できなかった原因を解決すれば獲得できる見込みはあるがハードルは決して低くない

よって「トロネコの大冒険」で確実に見込める市場規模は50人とするのが現実的です。

ゲーム内容、マーケティングで課題解決すれば、さらに50人を獲得できるとするならば、合計100人が市場の現時点での上限値となりますが、この50人は確実に取れる保証はありません。

200人と50人
200人と100人

このギャップが市場調査による市場規模と現実とのギャップを生むわけです。

・調査会社が提供しているデータを鵜呑みしてしまった

そもそも世の中に出ているデータのほとんどは正確ではありません。
例えば「トロネコの大冒険」とユーザーを奪い合うであろう競合タイトルとして他社から発売されている架空のゲームソフト「クロネコの大冒険」があるとしましょう。

調査会社のデータでは「クロネコの大冒険」は累計200万ダウンロードされているそうです。
しかし、実際には200万ダウンロードと大きな乖離が存在しているケースがほとんどなのです。

実数を知っているのは、そのゲーム会社内部だけで
外部からあらゆる手段をもって推測しても、それは推測に過ぎません。

よって
「調査会社が提供しているデータは参考にはするけど鵜呑みにするのはリスクが高くなる」

というわけです。

一般的にプレスリリースやニュースリリースで企業から発表されている数字も
リセマラ込みなのか、ダウンロード数なのか、ユーザーID数なのか
数字の定義によって判断が異なります。

さらに2018年と2020年では市況も異なりますから
100万ダウンロードの意味合いも変わってきます。

実際にはこのようなやり方は不可能ですが
もし、「トロネコの大冒険」を2018年と2020年にそれぞれ配信したら
同じように100万ダウンロード取れることはありません。
2020年の方が市況としては厳しくなっているので少ない数字になる可能性があります。

調査会社が提供している数字は過去から現在まで積み上げた数字です。

もし皆さんのゲームの競合タイトルについて配信時からのデータを調べるとした場合

ゲーム配信直後の過去の数字をそのまま鵜呑みにして
現在の市場規模算定のためそのまま使うと判断を見誤ってしまうリスクがあるのです。

タイトル市場規模の算出方法

なんか前置きが長くなってしまいましたが、
ここからは「市場規模」の算出方法についてお話をしていきましょう。

①自社タイトルの実績(おすすめ度:★★★★)

自社で多くのゲームを配信、販売しているなら
自社のデータで活用して市場規模を算出するのがおすすめです。

なぜなら自社のデータは噓偽りのない生のデータだからです。
ただし、前のパートでもお話した通り、市場は随時変化していますので
3年前に配信したアプリの市場データが、いまでも使えるのか?
というと疑問です。

でも自社データを持っている会社なら対応できます
3年前と最近配信したゲームとの配信からのユーザー数の減衰率の平均値を出すことで市場規模に対して係数をかけることで、より現在のリアルな市場規模算出に近づけるようになります。

②競合他社タイトルの実績(おすすめ度:★★★)

AppAniieなどの数値を参考にするのもおすすめです。
ただし、AppAniieは精度は高いものの「推測値」の領域はあるため実際の数字との乖離が存在します。

そこで自社のデータを持っている会社なら
実際に自社で配信したアプリの生データと、AppAniieのデータの「差分」を導き出すことでAppAniieに掲載されている他社タイトルの推測データを補正することができます。

複数タイトルをAppAniieと自社タイトルの生データで比較し、データ補正をかけていくことでより精度の高い市場規模の把握ができるようになります。

③市場調査(おすすめ度:★★★★)

市場調査による市場規模把握はもちろん有効です。

今までに存在しなかった完全新規のタイトルを立ち上げるチャレンジャーなプロジェクトなどは、市場調査に依存しなければなりません。
むしろ、多くのゲーム会社はこれを市場規模把握のメインの手段として使っています。

ただし適切な調査設計ができて、かつマーケティング的な分析能力を持っていることが前提です。

調査担当に丸投げ、外部調査会社に丸投げでは
調査をやる事が目的になってしまい、調査結果を活かせないだけでなく、間違った判断を下してしまう「調査設計」をしてしまう場合がありますので注意してください。

④上記の組み合わせ(おすすめ度:★★★★★)

トロネコとして一番のおすすめは、これまで紹介した①②③の方法を全部組み合わせて総合的に市場規模を割り出す方法です。
むしろ、マーケターとしては、これしか方法はないと思っています。

①②③のデータを突き合わせて、そこから市場規模を推測することで精度はぐっとあがります。

もちろんお金も時間もかかりますがそれだけの価値はあります。
しかし、実際のところ、①②③に対して時間をかけられていない現場が多いのは事実です。

冒頭でもお話しましたが「市場規模の把握」は
マーケターなら戦略を策定する上で必ずやらなければならない
基本中の基本ともいえる初期工程です。

ここをやらずに、データ精度が低い状況で、戦えるマーケテイング戦略は作れません。

まとめ

今回、「市場規模の出し方」についてお話しました。
最後にひとつだけお伝えして終わりにしたいと思います。

「市場規模は随時変化するから、随時チューニングが必要です」

2020年、いま算出した市場規模は「いまの市場規模」となります。
しかし、「トロネコの大冒険」を配信した結果、大ヒットするならば
遊んだ人のクチコミによって新たな市場を作り出すこともあります。

もしくは「トロネコの大冒険」が漫画連載、アニメ化されるなど
ゲーム以外でのIP的な展開も、市場規模に影響を与えます。

つまり

市場規模は一度算出したら終わりではなく、随時見直す必要があります

当たり前のことですが、実はゲーム事業のマーケティング現場ではできておらず3年前に算出した市場規模をずっと追いかけているようなケースが多いのです。

そして

市場規模が変われば、マーケテイング戦略も変わります

マーケテイング戦略も一度決めたらおしまい、ではなく
随時、チューニングしていく必要があるというわけですね。

というわけで、今回はここまで!

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