ゲーム会社のマーケティング部門が結果を残せない・評価されにくい5つの原因

マーケティング


こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。

今回はちょっと踏み込んだ話です。

「ゲーム会社のマーケティング部門が結果を残せない5つの原因」
というテーマでお話しをしたいと思います。

とはいえ誤解がないように最初にお伝えしておきたいのですが
決してゲーム会社のマーケティング部門をディスっているわけではありません。

むしろマーケティング部門の責任者はなんとかしたい!と強い課題感を持っています。

そして会社の上層部はマーケティングでゲーム事業を変えてくれることを強く期待しています(これ本当ですよ)

しかし、現実的には様々な問題があって簡単には変えられていません。

そこで今回はこれら「問題」を引き起こしている原因の中でも
ひとつでも、ふたつでも解決できれば、それだけで状況を変えられる「クリティカルな原因」に絞ってお話しましょう。

自社のマーケティング部門をなんとかしたい!
と思っている責任者の方は必見です。

①マーケティングとプロモーションの誤解

99%の原因は「マーケティング」と「プロモーション」が混同した状態で誤解しているケースです。

「プロモーション」という言葉は「テクニック」と置き換えても結構です。

こちらでも書いていますが、ゲームマーケティングは「ゲームが売れる仕組みづくり」であり

プロモーションは「ゲームが売れる仕組みづくり」の一部を担う「手段」に過ぎません。

よって「プロモーション」を「マーケティング」と誤解すると結果が出ません。

しかし世の中の多くの人が、この2つを誤解しています。

実際に混同すると次のような状況になります。

・やりたい施策ありきで考えてしまう
・できることだけで施策を考えてしまう
・「目的」や「目標」など現在の「居場所」がわからない
・「居場所」がわからないから施策として十分なのか不足しているのかわからない
・失敗から学びがなく、成功から成功原因を見つけられないので成長せず、成功打率が安定しない

他にもいろいろありますが、
ざっくりまとめると「本能の赴くまま」で仕事をしているような感じですよね。

これがさらに悪化すると、

「何か面白そうで目立つ企画を考えられるアイディアマン」こそが優秀なマーケティング担当という定義になっていきます。

いわゆる戦略なき、HOW思考によるマーケティング組織が出来上がってしまいます。

ちょっと極端な話に聞こえるかもしれませんが大なり小なり
これに近い状況が現場では起こっているわけです。

マーケティングとは、どんな「方針」で戦えば勝機があるのか?「戦い方を決める」ことです。

それが「マーケティング戦略」であり、その戦略を遂行するための「物が売れるための仕組み作り」がマーケティングの定義です。

誰かが使って捨てた足元に転がっている武器を拾い集めて全軍突撃で戦いに挑んでも

「イヴェルカーナ」には勝てません。

奴を倒すには「戦い方」が重要です。

そして「戦い方」を決めた上で、「その戦いに必要な武器」を用意するのが「プロモーション」というわけです。

両者には主従関係があるわけですね。

意外かもしれませんがHOW思考の組織を変えるのは、それほど大変ではありません。

HOW思考は「マーケティング的な考え方の欠如、不足」が原因ですから
インプットすることで解決できる余地があります。

一方で大変なのは

「自らはマーケティングができていると錯覚をしている組織を変えることです」

例えばKPIなどの数字や分析、市場調査、Web広告のテクニックなど、マーケティング担当というよりは、広告宣伝担当として優秀な人ほど、この錯覚の陥りがちです。

なぜなら、「お金を使って、数字を作る事をマーケティングの本質だと誤解しているからです」

実際のところ「お金を使っても売上はDAUなどの数字は作れますので、一見、結果を出し続けているようにも見えます」

しかし、繰り返しますが

ゲームマーケティングは「ゲームが売れる仕組みづくり」であり

お金を使って数字を作ることは「ゲームが売れる仕組みづくり」の一部を担う「手段」に過ぎません。

お金が尽きたら数字は作れなくなります。
それは、「ゲームが売れる仕組みづくり」の「仕組み」ではありません。

この状況を変えるには、日々、マーケティングの啓蒙活動をするリーダーを組織に置くしかありません。

マーケティングスキルに長けて、強い意志を持ったリーダーが必要です。

②経験とスキル不足

膨大な経験とスキルがあれば、それらを組み合わせることで、このゲームがうまく行くのか「おおよその未来が予測できる」ようになります。

完全予測できるわけではありませんが、何度も失敗した経験があれば、それを元に少なくとも失敗しない道を選ぶようになります。

経験とスキルは密に繋がっているのです。

人から聞いたり本で読んだ情報は、ただの情報に過ぎませんが、それが経験と密に繋がって自分の中で「仮説」と「検証」ができると強力なスキルになります。

よって圧倒的な成功と失敗経験を
ゲーム事業の最初から最後まで
何度も経験してきた人は最強です。

しかし、実際のところ、経験とスキルは年齢と比例します。

しかしスマホゲーム業界は平均年齢が低く
圧倒的に経験とスキル不足のメンバーが多いのは事実です。

さらに、最近はゲームタイトル数も減りましたし、
プロジェクトの大型化によってマーケティング領域も分業制が進んています。

つまり、圧倒的な経験とスキル不足がしにくい状況なのです。
ゲーム開発費も高騰しているため、タイトル数も絞られており、かつ失敗ができません。失敗体験がしにくい市場環境というわけです。

この状況を変えるには、経験豊富なシニアなマーケターのスキルと経験を言語化して多くの人に共有できる状況を作る事で解決できます。

この方がマーケティングの啓蒙活動もできるなら、セットで問題解決の道は見えてきます。

③ゲーム開発運営部門とマーケティング部門の距離感

「ゲーム事業の8割はゲーム本体で決まる」という話を以前にしました。
いわゆる「つくるマーケティング」が重要です。

「つくるマーケティング」ができている会社なら
ゲーム開発フェーズにマーケターが入り込んでいる状態なので
ゲーム開発とマーケティング部門の距離は非常に近いといえます。

距離が近いと

相互理解し、一緒に事業をまわしていくチームとしての一体感が生まれます。
その結果、信頼感が生まれます。

ゲーム開発とマーケターがワンチームで事業展開できるゲーム会社は強いです。

問題が発生してもセクショナリズムが存在せず、ワンチームとして課題解決に臨みますから、ゲーム事業としても結果がついてきます。

一方で「開発」と「マーケティング」で距離感がある場合

例えば「マーケティングとはお金を使ってユーザー獲得することが役務である」といったような

セクショナリズムが強い状態では
ゲーム開発運営部門とマーケティング部門に大きな距離感が生まれます。

・距離があると相手を深く知る事ができません
・知らないことは「不安」と「不信感」を生みがちです。
・「不信感」では相手を信用できませんから双方で信頼関係は生まれません

これではマーケティング部門として結果は出せないのは想像できそうですね。

おすすめの解決方法は「ゲーム開発フェーズ」から「つくるマーケティング」としてマーケティング担当をアサインすることです。

例えばゲーム開発は2年前から着手するなら、その段階からマーケティング担当をアサインしましょう。

これによって「仕組み」によって距離感は強制的に近くなります。

これですべてが解決できるわけではなく、むしろその後が重要なのですが、スマホゲーム業界では配信日から逆算したアサインになりがちなので、これだけでも状況は大きく変えられます。

④マーケティングを必要としていない

ゲームの売上など「結果」が出ていると、細かいところは気になくなります。
これはゲーム会社、人間のサガですね・・・・。

歴史を振り返っても会社の業績に大きなインパクトがある大ヒットが出ると、
組織的な課題とかは見えにくくなってしまうものです。

もし、プロダクト指向で結果を出し続けられるゲーム会社があるならば
マーケティングはそれほど必要としていないかもしれません。

そんな状況でマーケティング部門が価値を出すのは結構、ハードルの高い話です。

このような状況だと、仮にマーケティング要因で結果を出しても、
なかなか評価されにくいかもしれません。

この状況を変えるには

会社に対して強烈なマーケティングの価値を感じさせる必要があります。

「つくる」「とどける」「とどけつづけるマーケティング」に踏み込みながら
圧倒的な結果を出す必要があります。

その場合、次の3つを意識すると「マーケティングを必要としていない」状況を変えることができます。

・必ずしも今の結果が続くわけではない、必ずピンチは来る(永遠に好調続く会社は皆無です)
・有力IP版権ゲームよりも、完全新規自社IPゲームの時がマーケティングの価値を出しやすい
・好調と思われていた現在の結果は実は全然低く、もっと高い場所を目指せるはず

ここに視点が向くとマーケティング部門の価値を出しながら、マーケティングからゲーム事業を変えていくことができます。

⑤マーケティング部門がない

最後はマーケティング部門がないゲーム会社の話です。
実際にそういう会社は存在します。

マーケティング部門、またはマーケティング人材がいないわけですから
マーケティングで事業貢献することはできません。
当たり前の話ですね。

でも、マーケティング部門がない状態で結果を出しているゲーム会社があるならば、それは「お宝」が眠っているようなものです。

なぜならマーケティングで大きく状況を変えられる可能性があるからです。

他の会社では当たり前にできていることができていないのに結果が出ているとすれば
「当たり前のマーケティング」ができるだけで状況を激変させられる可能性を秘めています。

まとめ

今回、「ゲーム会社のマーケティング部門が評価されない結果を残せない5つの原因」というテーマでお話をしました。

実際のところ、ゲーム開発部門と違って、ゲームのマーケティング部門は普通にやっているだけでは結果を出しにくく、評価もされにくい傾向があります。

しかし、今回お話しをしたような対策をすることで
戦える、結果が出せる、評価されるマーケティング部門が作れます。

何か「気づき」がありましたら是非、参考にして頂き
強いマーケティング部門構築に役立てて頂けると幸いです。

というわけで今回はここまで!