ゲームジャンル別ゲームアプリユーザー課金額ARPU・ARPPUとDAUの関係分析
こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。
今回はゲームジャンル選びが、そのゲームの売上、ユーザー課金額に影響するというシンプルなテーマになります。
シミュレーションゲームと
パズルゲームでは1人のユーザーあたりの平均課金額が異なるわけですが
これは想像しやすい話だと思います。
一方でパズルゲームとシミュレーションゲームではDAUのボリューム感も大きく異なります。
ゲームジャンルにおける課金額とDAUのバランスについてお話しするとともに
実際のところパズルゲームって課金額はどのくらい?
といった踏み込んだ話もしたいと思います。
ゲームジャンルにおけるDAUと課金額のバランス
ゲームのDAUと課金額はゲームジャンルだけでなく、IP版権やゲームコンセプト、ゲームの中身によっても変動するので一概にゲームジャンルだけで決められないのですが、大きな傾向を整理するなら次のようになります。
ゲームジャンル | DAU | 課金額 |
パズル | 高 | 低 |
シミュレーション | 低 | 高 |
RPG | 中 | 中 |
音ゲー | 高 | 低 |
麻雀 | 高 | 低 |
課金額の低さをカバーするために高いDAUが必要であり
低いDAUをカバーするためには高い課金額が必要という関係になるわけです。その中でもRPGは課金額とDAUのバランスは取れている傾向にあります。
またDAUが低いシミュレーションの弱点を補うために、RPGとかけあわせて「シミュレーションRPG」の企画をつくる場合もあります。
ARPUとARPPUの違い
ARPUとARPPUという言葉を聞いたことはありませんか?
ゲームアプリ事業におけるKPIとして使われている言葉ですが、次のような意味になります。
ARPU(Average Revenue Per Users)
DAU全体に対する平均課金額のことであり、無課金のユーザーも含めたDAUに対する平均課金額になります。
ARPPU(Average Revenue Per Paid Users)
課金ユーザーの中での平均課金額であり、無課金のユーザーは含まれません。
ARPPUはそのゲームのコアヘビーユーザーの状態によって大きく変動するため、ゲームジャンル別の課金額の傾向を把握する上では使いにくいので、今回はARPUを使いながら実際の課金額についてお話します。
ゲームジャンルにおけるDAUと課金額の参考金額
先ほどの表をDAUとARPUで実際の想定数値を入れてみました。DAUは全くの仮ですが、各ジャンルとの差分がわかりやすいように入れています。
ARPUは特定タイトルを指しているわけではなく、このゲームジャンルを選んだ時点で、おおよそこのDAUに対する平均課金額になります。
もちろん、KPIはIP版権やゲームコンセプト、ゲームの中身によっても変動するので一概にゲームジャンルだけで決められないのですが、下記の数字は普通にうまくいっている健全なゲームなら
DAUについては仮としても、ゲームジャンルごとのARPUはこのレンジに収まることを前提で設計して問題ありません。
このレンジのARPUを大きく超えている場合は課金が強すぎるため、今後、長期運営に何かしら影響が出てくる可能性はあるでしょう。一方で、このレンジのARPUに大きく未達の場合は、ゲーム内の課金システムやエコノミーサイクルに大きな欠陥がありそうです。
ゲームジャンル | DAU | ARPU(DAU平均課金額) | 想定デイリー売上 |
パズル | 30万 | 5〜10円 | 150〜300万円 |
シミュレーション | 5万 | 100〜300円 | 500万円〜1500万円 |
RPG | 20万 | 100円 | 2000万円 |
音ゲー | 30万 | 10円以下 | 300万円 |
麻雀 | 50万 | 10〜20円 | 500〜1000万円 |
DAUに対するARPUなので、売上は1日分の売上想定になります。月単位で売上見込みを算出したい場合は30倍をかけてください。
パズル、音ゲー、麻雀がいかにARPUが低く、DAUに依存しているかがわかる表になっています。またこの3つのジャンルはARPUをこれ以上あげるのは困難なジャンルなのでDAUが下がってしまうとゲーム運営が厳しくなってしまいます。
一方でシミュレーションはDAUをもっと下げても、ARPUをあげていくは可能です。DAU1万以下でも、売上を維持することが可能なのです。
上記数字はあくまでもわかりやすく説明するための目安の数値になります。ゲームがここにあてはまらないゲームも存在すると思います。
ただし「目安」を理解しておけば、のちほど説明する「ジャンル選定」の判断軸に使えるので便利です。
DAUと課金額のバランスの違いはゲームジャンルによるユーザー属性の違い
以前、下記のような記事を書きました。
【参考記事】ゲームジャンル選びで売上、市場規模、マーケティング戦略の大部分は決まります
改めて記事中の表を抜粋しておきましょう。
ゲームジャンルはそのジャンルを好むユーザーによって支えられていることになります。つまりゲームジャンルがDAUやARPUを作るのではなく、そのゲームジャンルを好むユーザー特性がDAUやARPUを作るのです。
ジャンル | ターゲット性別 | ゲーム層 | 市場規模 |
シューティング | 男性 | コアゲーマー | 小 |
シミュレーション | 男性 | コアゲーマー | 中 |
レース | 男性 | ゲームユーザー | 中 |
ロールプレイングゲーム(RPG) | 全方位(男女) | ゲームユーザー | 大 |
アクション | やや男性 | ゲームユーザー | 大 |
音ゲー(リズムゲーム) | 男女半々 | ライトユーザー | 大 |
パズル | 女性多め | カジュアルユーザー | 特大 |
男性に好まれるゲームジャンルはARPUが高くなる傾向にありますが、女性に好まれるゲームジャンルはARPUが低くなるというわけです。
つまりゲームジャンルを選んだ時点で、そのジャンルを好むユーザー属性が決まりますので、ターゲットユーザーも自然と決まってくることになります。
もちろんゲーム事業におけるKPIはIP版権やゲームコンセプト、ゲームの中身によっても変動しますので、ゲームジャンル選択だけでターゲットユーザーが完全に決まることはありませんが、
IP版権やゲームコンセプト、ゲームの中身 < ゲームジャンル
といったパワーバランスが存在しているため、どんなにIP版権やゲームコンセプト、ゲームの中身を女性向けに用意しても、ゲームジャンルがガチシミュレーションゲームであるならば男性向けのゲームに寄ってしまうのです。
DAU30万のゲームの利益が、DAU5万のゲームに負けるという現実
ゲームジャンル | DAU | ARPU(DAU平均課金額) | 想定デイリー売上 |
パズル | 30万 | 5〜10円 | 150〜300万円 |
シミュレーション | 5万 | 100〜300円 | 500万円〜1500万円 |
先ほどの表をもう一度引用しましょう。
この表の通りのゲームが存在するならばパズルゲームはDAU30万も存在するのに、DAU5万のシミュレーションゲームにゲーム事業としては完敗です。
シミュレーションゲームに比べると、パズルゲームは開発費も安く、運営費も安いかもしれません。ただしDAU30万人を支えるサーバーとカスタマーサポートが必要になりますので、単純に運営費が安いとは断言できません。
ここで注目して欲しいのはゲームアプリ事業において必ずしも「たくさん遊ばれている状況(=DAU)」が正義ではないということです。
極端な例をあげればDAU1万以下でも、DAU30万のパズルゲームを大きく超える売上と利益を出すことは可能なのです。
数よりも質、中身が重要というわけです。
そう考えていくと、ただ漠然とユーザーを獲得し続けてDAUを積み上げれば良いという考え方は正しくありません。少ないDAUの中でも遊んで頂いているお客様をいかに大切にできるかが、ゲーム事業においては重要なのです。
まとめ:ゲームジャンル選びはゲーム事業において超重要です
ここまで読んで頂けたら、もうお気づきかと思います。
ゲーム事業は最初のゲームの企画書における「ゲームジャンル選び」の時点でゲーム事業の構造や、規模感が決まります。
パズルゲームと、シミュレーションゲームではゲーム事業の作り方が大きく異なるのです。
当サイトでも「マーケティング100リスト」というゲーム事業全体においてマーケターが関わるべき項目をまとめたリストを公開しています。
この100リストの3番目に「ジャンル選定」という項目を入れていますが、ここの「ジャンル選定」でこのゲームタイトルの未来は大きく決まります。
「ジャンル選定」をの判断をするために、「市場調査」「コンセプト調査」を行うというプロセスを100リストの1番目と2番目に入れています。
もし、なんとなく、ゲームジャンルを決めているならば、いますぐ改善しましょう。
ジャンルごとのARPU、ARPPUについて、興味がございましたらメール、またはLINEチャットで気軽にご相談できる「トロネコのカベウチ」でご連絡ください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。