- 【家庭用ゲームマーケティングの教科書】PS5・Switch2・Steam時代のパッケージ販売・ダウンロード販売マニュアル
- 家庭用ゲームはパッケージ販売とダウンロード販売で流通が違う
- パッケージ販売の本質はセルインとセルスルーにある
- パッケージ販売で追うべきKPI
- パッケージ販売の施策はタイトル発表から発売後までつながっている
- パッケージ販売では生産数と在庫判断もマーケティングに関係する
- ダウンロード販売は欠品がない。だから戦い方が変わる
- 家庭用ゲームのダウンロード販売にはASO的な考え方が必要になる
- オンライン広告はどこに誘導するかで効果が変わる
- インフルエンサー施策は発売前と発売後で役割が違う
- Steam展開は家庭用ゲーム会社にも必要なマーケティング領域
- パッケージ販売とダウンロード販売では同じユーザーでも購入行動が違う
- AmazonなどのECはパッケージ販売とダウンロード販売の中間にある
- 収益モデルによって家庭用ゲームマーケティングは変わる
- ターゲットによってパッケージ販売とダウンロード販売の比重は変わる
- 現代版の家庭用ゲームマーケティングKPI
- 施策から始めると家庭用ゲームマーケティングは弱くなる
- トロネコ式・家庭用ゲームマーケティングの作り方
- まとめ|家庭用ゲームマーケティングは現代版に作り直す必要がある
【家庭用ゲームマーケティングの教科書】PS5・Switch2・Steam時代のパッケージ販売・ダウンロード販売マニュアル

こんにちはトロネコです。
今回は家庭用ゲームにおけるマーケティングの話です。
トロネコは10年以上にわたって、家庭用ゲームのマーケティングをやってきました。
そこで気になっているのは
「家庭用ゲームマーケティングは、昔はシンプルだったけど、最近はかなり複雑になっているということ」
以前は、パッケージ販売を中心に戦略と施策を考えれば良かったので、大変だったけど、考え方はシンプルでした。
・予約を集める
・流通に発注してもらう
・発売日に店頭へ商品を届ける
・初動で売る
・消化率を上げる。
・追加発注につなげる
この販売構造を押さえていれば、家庭用ゲームのマーケティングは作れました。
しかし、今は違います。
リアル店舗の比重は下がり、AmazonなどのECサイト、PlayStation Store、ニンテンドーeショップ、Steam、DLC、セール、サブスク、オンライン機能、施策はSNS、YouTube、インフルエンサーまで領域は広がっています。

つまり、家庭用ゲームの世界は非常に細分化、多様化しています。
それにもかかわらず、家庭用ゲーム業界の悪い部分として現場では施策から考えてしまうケースが多く、マーケティング戦略やKPI設定が弱いという点です。
特にKPIに対する考え方はスマホゲームと比べると圧倒的に弱いです。だから施策ありきで現場は進んでいることが多いのは事実としてあります。
・PVを公開する
・Xキャンペーンを行う
・インフルエンサー施策を行う
・店舗別特典を用意する
・YouTube広告を出す
・Instagram広告を出す
施策ありきで始めると、マーケティングの目的が曖昧になります。そして施策を実行しても、本来の目的を達成することができません。
つまり現代の家庭用ゲームマーケティングで先に決めるべきなのは、施策ではなく「戦略」です。
元々戦略は重要でしたが、それがさらに重要度がアップしているわけです。
・どこで売るのか
・誰に買ってもらうのか
・いつ買ってもらうのか
・パッケージ販売で売るのか
・ダウンロード販売で売るのか
・Steamでも売るのか
・発売後もDLCやセールで売り続けるのか
この前提を決めた上で、施策とKPIを決める必要があります。
家庭用ゲームはパッケージ販売とダウンロード販売で流通が違う

家庭用ゲームでは、同じゲームを売っていても、パッケージ販売とダウンロード販売では流通が違います。
流通が違えば、売り方も変わります。
売り方が変われば、KPIも施策も変わります。
| 販売形態 | 主な売場 | 売上に関係する要素 |
|---|---|---|
| パッケージ販売 | 流通、販売店、量販店、EC、Amazon、公式ストア | 予約、発注、初動販売、消化率、追加発注、在庫 |
| ECパッケージ販売 | Amazon、楽天、家電量販店EC、メーカー公式ストア | 商品ページ、ランキング、レビュー、在庫、限定版、特典 |
| ダウンロード販売 | PlayStation Store、ニンテンドーeショップ | ストアページ、検索、動画、画像、説明文、セール、レビュー |
| Steam販売 | Steamストア | ウィッシュリスト、タグ、デモ、レビュー、セール、コミュニティ |
家庭用ゲームのマーケティングでは、パッケージ販売とダウンロード販売を同じものとして扱ってはいけません。
パッケージ販売には、パッケージ販売の売場があります。
ダウンロード販売には、ダウンロード販売の売場があります。
Steamには、Steam独自の売場があります。
同じゲームでも、販売接点が変われば、ユーザーが購入を決める情報も変わります。
パッケージ販売の本質はセルインとセルスルーにある
パッケージ販売の基本は、セルインとセルスルーです。
| 用語 | 意味 | マーケティング上のポイント |
|---|---|---|
| セルイン | 流通・販売店に商品が発注されること | バイヤーが発注したくなる材料を作る |
| セルスルー | 店頭・ECでユーザーに売れること | 発売日にユーザーが買う理由を作る |
| 消化率 | 出荷された商品がどれだけ売れたか | 追加発注の判断材料になる |
| 追加発注 | 初回出荷後に流通から再び発注されること | 発売後の販売継続に直結する |
パッケージ販売では、ゲーム会社がユーザーだけを考えていても不十分です。
ユーザーに買ってもらう必要があります。
同時に、流通やバイヤーにも「このタイトルは売れる」と判断してもらう必要があります。
つまり、パッケージ販売のマーケティングは、次の販売サイクルを作ることです。
予約を集める。
流通から発注してもらう。
発売日に売る。
初動のセルスルーを作る。
消化率を上げる。
追加発注につなげる。
セルインを増やす。
このサイクルが弱いと、パッケージ販売は失速します。
パッケージ販売で追うべきKPI
パッケージ販売では、予約数だけを追っても不十分です。
予約数、発注数、初動セルスルー、消化率、追加発注までつなげて確認する必要があります。
| KPI | 意味 | 影響する施策 |
|---|---|---|
| 予約数 | ユーザーが発売前に購入意思を示した数 | 発表、PV、特典、公式サイト、SNS、店頭予約、EC予約 |
| 発注数 | 流通・販売店が仕入れる数 | 商談資料、予約実績、広告計画、話題性、過去実績 |
| 初4日セルスルー | 木曜発売から日曜までの初動販売 | 発売週プロモーション、店頭露出、ECランキング、SNS、動画施策 |
| 消化率 | 出荷数に対してどれだけ売れたか | 初回出荷数、予約精度、発売週の販売施策 |
| 追加発注数 | 発売後に流通が追加で発注する数 | 初動販売、消化率、在庫状況、口コミ、追加露出 |
| 在庫数 | ゲーム会社側・流通側に残る商品数 | 生産数判断、欠品防止、値崩れリスク管理 |
パッケージ販売では、初動が重要です。
特に木曜発売から日曜までの初4日は、流通やバイヤーがその後の追加発注を判断する材料になります。
初動でセルスルーが弱いと、追加発注につながりません。
追加発注が止まると、セルインも増えません。
セルインが増えなければ、パッケージ販売の売上はそこで頭打ちになります。
だから、パッケージ販売では発売前だけでなく、発売初週までを一体で考える必要があります。
パッケージ販売の施策はタイトル発表から発売後までつながっている
パッケージ販売の施策は、発売直前だけ行えばよいものではありません。
タイトル発表から発売後まで、各タイミングで役割が変わります。
| 時期 | 目的 | 主な施策 |
|---|---|---|
| タイトル発表 | 市場に存在を知らせる | ティザー、公式サイト、PV、プレスリリース、SNS |
| 発売日発表 | 予約開始につなげる | 発売日告知、予約開始、特典発表、EC商品ページ公開 |
| 予約期間 | ユーザー予約と流通発注を増やす | PV、ゲーム紹介、試遊、メディア露出、店頭販促、EC訴求 |
| 発売直前 | 初動販売を作る | カウントダウン、レビュー解禁、動画施策、店頭告知 |
| 発売初週 | 初4日セルスルーを作る | 発売日投稿、SNS、動画露出、ECランキング、在庫確認 |
| 発売後 | 追加発注につなげる | 口コミ訴求、アップデート告知、販売実績共有、追加露出 |
ここで重要な、その施策がどのKPIに効くのかです。
例えばPVを公開する場合でも、目的によって作り方は変わります。
予約を増やすためのPVなのか。
流通発注を後押しするためのPVなのか。
発売直前に購入を決めてもらうためのPVなのか。
発売後に追加発注につなげるためのPVなのか。
同じPVでも、目的が違えば、伝える内容も出すタイミングも変わります。
パッケージ販売では生産数と在庫判断もマーケティングに関係する

パッケージ販売では、広告やプロモーションだけでなく、生産数と在庫判断も重要です。
オンラインダウンロード販売と違い、パッケージ販売には品切れがあります。
売れるのに商品がなければ、販売機会を失います。
逆に、作りすぎれば在庫リスクになります。
そのため、パッケージ販売では次の項目も確認する必要があります。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 初回生産数 | 最初にどれだけ商品を作るか |
| 初回出荷数 | 流通・販売店にどれだけ出すか |
| 自社在庫 | 追加発注に対応できる在庫を持つか |
| 追加生産 | 再生産できるか、どれくらい時間がかかるか |
| 欠品リスク | 売れるタイミングで商品が足りなくならないか |
| 値崩れリスク | 作りすぎて価格下落を招かないか |
パッケージ販売は
販売店が発注したくなる材料を作る。
ユーザーが予約したくなる理由を作る。
発売日に売れる状態を作る。
追加発注に対応できる在庫を準備する。
ここまで含めて、パッケージ販売のマーケティングです。
ダウンロード販売は欠品がない。だから戦い方が変わる
ダウンロード販売には、パッケージ販売のような品切れがありません。
ユーザーは24時間いつでも購入できます。
在庫切れもありません。
店頭に商品を置く必要もありません。
しかし、品切れがないから売れるわけではありません。
ダウンロード販売では、ユーザーがストア上でそのゲームを発見し、内容を理解し、購入を決めるまでの設計が重要になります。
パッケージ販売では、予約、流通発注、店頭、EC、特典、在庫が売上に関係します。
一方で、ダウンロード販売では次の要素が売上に関係します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ストアページ | 購入前にユーザーが確認する販売ページ |
| 検索 | タイトル名やジャンル名で発見される接点 |
| メイン画像 | 初見でジャンルや魅力を伝える素材 |
| 動画 | 実際のゲーム内容を伝える素材 |
| スクリーンショット | プレイ内容や世界観を伝える素材 |
| 説明文 | 何を楽しむゲームか伝えるテキスト |
| エディション構成 | 通常版、豪華版、DLCの違い |
| セール | 発売後の再販売機会 |
| レビュー | 購入判断に影響する評価 |
| DLC | 本体購入後の追加収益 |
ダウンロード販売では、ストアページが売場です。
売場である以上、ストアページは常に改善対象として考えなければなりません。
家庭用ゲームのダウンロード販売にはASO的な考え方が必要になる
スマホゲームには、ASOという考え方があります。
ASOとはアプリストア上でどう発見され、どう内容を理解してもらい、どうインストールしてもらうかを考えます。
家庭用ゲームでも、同じような考え方が必要です。
PlayStation Store、ニンテンドーeショップ、Steamは、単なる商品を登録しておく場所ではありません。そこは販売ページなのです。
しかし、家庭用ゲームでは、ストアページを販売ページとして改善する意識がまだ弱いケースが多くみられます。
素材を置く。
PVを置く。
スクリーンショットを置く。
説明文を入れる。
発売日になったら公開する。
これだけで終わると、ダウンロード販売の売場としては弱くなります。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| タイトル名 | 検索される名前になっているか |
| メイン画像 | ジャンルと魅力が一瞬で伝わるか |
| 動画 | 実際のゲーム内容が伝わるか |
| スクリーンショット | 世界観だけでなく、プレイ内容が伝わるか |
| 説明文 | 誰が、何を楽しめるゲームか伝わるか |
| エディション構成 | 通常版、豪華版、DLCの違いが伝わるか |
| 予約特典 | 発売日前に買う理由になっているか |
| セール | 値引き以外の購入理由が残っているか |
| レビュー | 購入判断への影響を確認しているか |
家庭用ゲームのダウンロード販売では、ストアページを単なる商品の登録ページではなく、ストアページは売場です。
売場である以上、ユーザーが買う理由を作る必要があります。
オンライン広告はどこに誘導するかで効果が変わる

家庭用ゲームでも、Google広告、YouTube広告、Instagram広告、X広告などを使う会社は増えています。
しかし、問題は広告を出すこと、そのものではなく、どこに誘導するかです。
家庭用ゲームでは、なんとなく公式サイトに誘導しているケースが多くみられます。
公式サイトは必要です。
ゲーム内容、世界観、キャラクター、商品情報、プラットフォーム情報を伝えるハブになります。
ただし、公式サイトに誘導しただけでは、予約や購入にどれだけつながったのか判断しにくいのです。
つまり、オンライン広告を出すなら、目的ごとに誘導先とKPIを変える必要があります。
| 広告の目的 | 主な誘導先 | KPI |
|---|---|---|
| ゲーム内容を理解してもらう | 公式サイト、紹介ページ、PVページ | ページ閲覧、動画再生、滞在時間、ストア遷移 |
| 予約を増やす | Amazon、各EC、公式ストア、PS Store、ニンテンドーeショップ | 予約数、商品ページ遷移、ストア遷移、購入ボタン押下 |
| ダウンロード購入を増やす | PS Store、ニンテンドーeショップ、Steam | ストアページ遷移、予約購入、ウィッシュリスト、購入数 |
| Steamで発売前の期待を作る | Steamストアページ | ウィッシュリスト、デモDL、フォロー、ページ閲覧 |
| 発売後に購入を増やす | ストアページ、Amazon、Steam、セールページ | 販売数、レビュー、セール期間中の購入数 |
| DLCやアップデートで再販売する | DLCページ、アップデート紹介ページ、ストアページ | DLC購入、再購入、既存ユーザー反応 |
公式サイトは重要です。
しかし、公式サイトはゴールではありません。
公式サイトに集めたユーザーを、予約、購入、ウィッシュリスト、ストアページ、Amazon、DLC、セールへどう送るのか。
そこまで設計しないと、広告の成果は把握できません。
オンライン広告では、
広告をどこに出したのか。
どこへ誘導したか。
何をKPIにしたか。
そのKPIが予約・購入・売上にどう関係するか。
ここまで決める必要があります。
インフルエンサー施策は発売前と発売後で役割が違う
家庭用ゲーム会社は、発売前にインフルエンサーやYouTuber施策を行うことがあります。
ただし、発売前のインフルエンサー施策は効果測定が難しい施策です。
認知は増えたのか。
予約に影響したのか。
Amazonの商品ページに人が来たのか。
PlayStation Storeやニンテンドーeショップの予約に影響したのか。
Steamのウィッシュリストが増えたのか。
ここが分からないと、施策の評価が曖昧になります。
一方で、発売後のインフルエンサー施策にも難しさがあります。
発売後はすでにゲームが購入できる状態です。
そのため、短期的な購入促進には使えます。
ただし、費用や提供コストに対して、どれだけ販売に影響したのかを判断できなければ、次回以降の施策判断に使えません。
| 時期 | インフルエンサー施策の役割 | KPI |
|---|---|---|
| 発売前 | 認知、期待形成、予約、ウィッシュリスト | 動画再生、指名検索、予約数、ストア遷移、ウィッシュリスト |
| 発売直前 | 購入判断の後押し | 予約数、Amazonランキング、ストア遷移、SNS反応 |
| 発売直後 | 実際のプレイ内容を伝える | 販売数、レビュー、動画再生、検索流入、購入導線 |
| 発売後 | 長期販売、セール、DLC、アップデート訴求 | セール販売、DLC購入、レビュー改善、再生数、ストア遷移 |
インフルエンサー施策は、再生数、エンゲージメントだけで判断してはいけません。
その動画が、予約に効いたのか。
ストア遷移に効いたのか。
Amazonのランキングに影響したのか。
Steamのウィッシュリストに影響したのか。
発売後の購入判断に効いたのか。
ここまで確認する必要があります。
Steam展開は家庭用ゲーム会社にも必要なマーケティング領域
近年は、PS5、Nintendo Switch 2、Steamでマルチ展開するタイトルも増えています。
SteamはPCゲーム市場ですが、売り切り型ゲームを販売するという意味では、家庭用ゲームマーケティングと共通する部分があります。
ただし、SteamにはSteam独自の売り方があります。
| Steamで重要な要素 | 内容 |
|---|---|
| ウィッシュリスト | 発売前の購入見込みユーザーを集める |
| タグ | 発見性に関係する |
| ストアページ | 画像、動画、説明文、価格、レビューが購入判断に関わる |
| デモ | 発売前に体験してもらう手段になる |
| レビュー | 発売後の購入判断に大きく関わる |
| セール | 長期販売の重要な機会になる |
| コミュニティ | アップデート告知や長期接点になる |
家庭用ゲーム会社がSteam展開する場合、従来のパッケージプロモーションだけでは不十分です。
Steamでは、発売前のウィッシュリスト、ストアページ、デモ、レビュー、セールまで含めた設計が必要です。
PS5、Switch2、Steamでマルチ展開するなら、プラットフォームごとに売り方を変える必要があります。
パッケージ販売とダウンロード販売では同じユーザーでも購入行動が違う
同じゲームを買うユーザーなので、趣味嗜好は近い場合があります。
しかし、パッケージ版を買うユーザーとダウンロード版を買うユーザーでは、購入行動が違います。
| 購入形態 | 起きる購入行動 |
|---|---|
| 店頭パッケージ | 店頭で知る、特典で予約する、親が子どもに買う、限定版を手元に残す |
| ECパッケージ | Amazonで予約する、レビューを確認する、ランキングで知る、特典で選ぶ |
| ダウンロード版 | ストアで探す、セールで買う、すぐ遊びたいから買う、DLCと一緒に買う |
| Steam | ウィッシュリストに入れる、デモを遊ぶ、レビューを確認する、セールで買う |
同じゲームでも、購入場所が変わると、購入を決める情報が変わります。
よって、同じPV、同じ公式サイト、同じSNS投稿だけで全販売接点をカバーするのは難しいのです。
AmazonなどのECはパッケージ販売とダウンロード販売の中間にある
現在のパッケージ販売では、リアル店舗の比重が下がり、AmazonなどのECサイトの存在感が大きくなっています。
Amazonでの販売はパッケージ販売です。
しかし、ユーザー接点としてはオンライン販売に近い部分があります。
そのため、Amazonでは次の項目が重要になります。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 商品名 | 検索で探せるか |
| 商品画像 | 通常版、限定版、特典内容が伝わるか |
| 商品説明 | ゲーム内容と特典内容が伝わるか |
| レビュー | 購入判断に悪影響が出ていないか |
| ランキング | 発売前後の露出に関係する |
| 在庫 | 予約・発売初週に欠品していないか |
| 限定版 | 価格に見合う価値が伝わるか |
Amazonは、単なるパッケージ販売の告知場所ではありません。
オンライン上の販売ページであり、売り場です。
その意味では、ダウンロード販売のストアページ改善と共通する部分があります。
収益モデルによって家庭用ゲームマーケティングは変わる

家庭用ゲームでも、タイトルによって収益モデルは違います。
| 収益モデル | マーケティングで確認すること |
|---|---|
| 本体売り切り | 発売初動、予約、セール、長期販売 |
| DLC販売 | 本体購入後の追加収益、アップデート告知、再販売 |
| オンライン機能 | 継続利用、コミュニティ、アップデート |
| サブスク対応 | 単体販売以外の収益評価 |
| 限定版・特典版 | 単価アップ、ファン向け購入理由 |
| マルチ展開 | PS5、Switch2、Steamで売上配分を判断する |
会社として重要なのは、特定の販売形態だけでなく、タイトル全体で売上と利益を作ることです。
たとえば、Switch2のパッケージ販売だけを考えると不要に感じる施策でも、Steamやダウンロード販売、DLC販売まで含めると必要になる場合があります。
逆に、Steamでは効果があっても、Switch2のファミリー向けパッケージ販売には合わない施策もあります。
だから、家庭用ゲームマーケティングでは、販売形態ごとに施策を分けつつ、タイトル全体の収益で判断する必要があります。
ターゲットによってパッケージ販売とダウンロード販売の比重は変わる
家庭用ゲームでは、ターゲットによって購入行動が変わります。
| ターゲット | 起きる購入行動 |
|---|---|
| 子ども・ファミリー向け | パッケージ、店頭、EC、ギフト需要あり |
| コアゲーマー向け | ダウンロード版、Steam、早期購入、レビュー確認が重要 |
| 女性向け・キャラIP向け | 限定版、特典、EC予約、ファン向け商品が重要 |
| 長期運営型タイトル | DLC、アップデート、セール、コミュニティが重要 |
| インディー・中小規模タイトル | Steam、ダウンロード販売、動画、SNS、レビューが重要 |
家庭用ゲームのマーケティングでは、最初にこのタイトルがどこで買われる可能性が高いのかを判断する必要があります。
パッケージ中心なのか。
EC中心なのか。
ダウンロード中心なのか。
Steam中心なのか。
複数の販売接点を同時に狙うのか。
それによって、施策の優先順位は変わります。
現代版の家庭用ゲームマーケティングKPI
現代の家庭用ゲームマーケティングでは、KPIを販売接点ごとに分ける必要があります。
| 領域 | KPI |
|---|---|
| 認知 | PV再生数、公式Xインプレッション、YouTube再生数、メディア掲載、検索数 |
| 期待形成 | 公式Xフォロワー、YouTube登録者、投稿エンゲージメント、動画視聴維持、コメント |
| パッケージ販売 | 予約数、発注数、初4日セルスルー、消化率、追加発注、在庫 |
| EC販売 | Amazonランキング、商品ページ閲覧、予約数、レビュー、在庫、限定版販売数 |
| ダウンロード販売 | ストアページ閲覧、予約購入、DL販売数、セール販売数、レビュー |
| Steam | ウィッシュリスト、デモDL、レビュー数、好評率、セール販売、コミュニティ反応 |
| 発売後 | DLC購入、アップデート反応、セール時販売、レビュー改善、継続接点 |
公式Xフォロワー数やYouTubeチャンネル登録者数もKPIにできます。
ただし、ただの登録者数、フォロワー数という数字ではなく、予約、ストア遷移、購入、発売後の再販売にどう関係するのかまで確認する必要があります。
フォロワーが増えた。
再生数が増えた。
インプレッションが増えた。
それだけで評価はできません。
その数字が、予約、発注、初動セルスルー、ダウンロード販売、Steamウィッシュリスト、DLC購入にどう関係したのか。
そこまで確認して、初めてマーケティング判断に使えます。
施策から始めると家庭用ゲームマーケティングは弱くなる
家庭用ゲームマーケティングでよくある失敗は、施策から始めることです。
・公式サイトを作る
・PVを公開する
・Xキャンペーンを行う
・インフルエンサー施策を行う
・店頭POPを作る
・店舗別特典を用意する
・Amazon商品ページを作る
・ストアページを登録する
・YouTube広告を出す
これらはすべて必要になる場合があります。
しかし、先に決めるべきなのは施策ではありません。
どの販売形態で売るのか。
どのユーザーに売るのか。
どの時点で買ってもらうのか。
予約で買ってもらうのか。
発売日に買ってもらうのか。
セールで買ってもらうのか。
DLCまで買ってもらうのか。
Steamでも売るのか。
Amazon比率が高いタイトルなのか。
パッケージ販売よりダウンロード販売が強いタイトルなのか。
ここを決めた上で、施策を選ぶ必要があります。
トロネコ式・家庭用ゲームマーケティングの作り方

トロネコ式家庭用ゲームマーケティングは、施策案から入りません。
先に確認するのは、次の項目です。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 販売形態 | パッケージ、EC、ダウンロード、Steamのどこで売るのか |
| 売上構造 | 本体売り切り、DLC、オンライン機能、サブスク、長期販売のどれを重視するのか |
| ターゲット | 子ども、ファミリー、女性向け、コアゲーマー、既存ファン、新規ユーザー |
| 購入タイミング | 予約、発売日、発売初週、セール、DLC発売時 |
| KPI | 予約数、発注数、セルスルー、消化率、DL販売、レビュー、ウィッシュリスト |
| 施策 | 公式サイト、PV、SNS、広告、インフルエンサー、店頭、EC、ストアページ改善 |
| ROI | その施策がどの売上に効くのか、費用に見合うのか |
あくまでも施策は手段であり、それ以前に、そのゲームがどのような戦略のもと、どのように売れるのかを分析する必要があります。そして現代の家庭用ゲームマーケティングでは、オンラインとオフラインの両方を理解していないと抜け漏れが出ます。
つまり
パッケージ販売だけ知っていても不十分
ダウンロード販売だけ知っていても不十分
Steamだけ知っていても、家庭用ゲーム全体の販売設計は作れない
PS5、Switch2、Steam時代の家庭用ゲームマーケティングでは、販売形態ごとの戦い方を分けた上で、タイトル全体の収益として判断する必要があります。
まとめ|家庭用ゲームマーケティングは現代版に作り直す必要がある

家庭用ゲームのマーケティングは、昔より難しくなっています。
現代の家庭用ゲームマーケティングは、パッケージ販売だけでも、ダウンロード販売だけでも成立しません。
複合的に、総合的に考える必要があり、かつ、重要なのは、施策ではなく
どこで売るのか。
誰に売るのか。
いつ買ってもらうのか。
どの収益で利益を作るのか。
そのために、どのKPIを追い、どの施策を行うのか。
ここまで決める必要があります。
以前の家庭用ゲームマーケティングは、パッケージ販売を中心に考えれば成立しました。
しかし、PS5、Nintendo Switch 2、Steam、EC、ダウンロード販売など多岐にわたって販売チャネルが存在する現在は、販売接点ごとに戦略と施策を作る必要があります。
パッケージ販売、EC、ダウンロード販売、Steam、DLC、セール、SNS、動画、広告、インフルエンサー施策を、タイトル全体の売上と利益にどうつなげるのか。
そこまで考えることが、現代版の家庭用ゲームマーケティングなのです。


