ゲーム事業を失敗させないための企画・開発判断マニュアル|開発側と経営側の合意基準

事業判断・意思決定
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  1. ゲーム事業を失敗させないための企画・開発判断マニュアル|開発側と経営側の合意基準
    1. このマニュアル(記事)の目的
    2. ゲーム事業が失敗する核心は、やめるべき企画を止められないこと
    3. やる判断より、やめる判断を先に決めるべき理由
    4. このマニュアルで最も重要な2つのゲート
      1. 企画ゲート
      2. プロトタイプゲート
    5. 企画判断で最も重く見るべきなのはコアゲーム体験
    6. 企画ゲートで確認する判断基準
      1. ① 市場があるか
      2. ② 誰に売るか明確か
      3. ③ 競合タイトルに対して勝機はあるか
      4. ④ 自社の予算・開発体制で成立するか
      5. ⑤ 会社が求める回収ライン(事業規模)に届く可能性があるか
      6. ⑥ コアゲーム体験が明確になっているか
      7. ⑦ ゼロからゲームの面白さを発明するような企画ではないか?
      8. ⑧ オリジナリティがあるか?
    7. プロトタイプゲートで確認する判断基準
      1. ① コアゲーム体験を確認できるか
      2. ② プロトタイプ版の確認事項が定義されているか
      3. ③ 現実的に開発できるか?
      4. ④ 本開発に進めるだけの根拠があるか
    8. よくある失敗|プロトタイプ版の後にゲームコア体験を作り直す
    9. GO・REWORK・STOPの判断基準
      1. GO
      2. REWORK
      3. STOP
    10. プロトタイプで止められる会社は強い
    11. なぜゲーム会社は企画を厳選しきれないのか
    12. トロネコが入る価値
    13. 決裁会議で使える企画判断シート
      1. ゲーム企画判断シート(決裁会議用)
        1. 企画概要
        2. 市場性
        3. ターゲット
      2. 競合・勝ち筋
        1. 自社の予算・開発体制との整合性
        2. 事業性
        3. コアゲーム体験【最重要】
        4. オリジナリティ
        5. 総合判断
        6. コメント欄
    14. まとめ

ゲーム事業を失敗させないための企画・開発判断マニュアル|開発側と経営側の合意基準

ゲーム事業が失敗する理由は、「面白い企画」が作れないことだけではありません。

本当の原因は

「何を基準にプロジェクトの進行を判断して、どの段階で止めるべきかが曖昧なまま開発が進むこと」

これが最大の原因です。

特に危険なのは

「コアゲーム体験をプロトタイプ版で見極めないまま先へ進むこと」

なのです。

この状態で開発を続けると、開発中盤以降になってコアゲーム体験(=このゲームのベースとなるゲームシステム)を作り直す必要が出てきて時間もお金も失います。

そして、このように後になってコアゲーム体験を作り直すようなケースの場合は、コアゲーム体験が曖昧なままゲームが完成してしまい、ゲーム事業としてうまくいきません。

多くのゲーム会社は、実際にこのような経験があり
プロトタイプ版で判断するべき「コアゲーム体験」の重要性を理解していますが現実的には途中でプロジェクトを止める判断ができません。

なぜなら

「社内の発言力、事業計画、責任回避、波風を立てたくない空気感が、判断を鈍らせるからです」

この記事は、そうした失敗を減らすために
企画段階とプロトタイプ段階で何を確認し、どう判断するべきかをまとめた実務マニュアルです。

そしてこのマニュアルは個人開発、インディーズ、中小ゲーム会社、大手ゲーム会社など、開発規模に関係なく使える考え方です。

 

このマニュアル(記事)の目的

このマニュアル(記事)は、ゲーム企画のアイデアや発想法をまとめたものではありません。

ゲーム企画と開発をこのまま進めてよいか判断するための基準をまとめたものです。

そしてゲーム開発側、経営側にとってそれぞれメリットがあります。

開発側にとっては、企画を通すための判断軸になる
経営側にとっては、ゲーム事業を失敗させないための判断軸になる

そして、このマニュアルの目的はひとつです。

開発側と経営側が同じ基準でゲーム企画・プロトタイプ版を確認し
合意できたプロジェクトだけを進める判断ができることです。

 

ゲーム事業が失敗する核心は、やめるべき企画を止められないこと

ゲーム事業の失敗は、企画力、開発力不足だけで起きるわけではありません。

よくあるのは、企画を通す基準が曖昧で、プロジェクトをやめる基準はさらに曖昧なまま進んでしまうことです。

 

 

その結果、「ゲーム企画の面白さ」ではなく、社内事情や発言力で進むことがあります。

コアゲーム体験を早い段階で確認できていないまま、本開発まで進んでしまうこともあります。

ゲーム開発は、工程が進むほど出費が増えます。
プロジェクトを止めにくくなります。

そして、見込みが弱いまま発売・配信まで進んでしまうことで、時間、お金、信用、開発リソースを失います。

本来、やめるべき企画を止められないこと。
ここが、ゲーム事業が失敗する核心です。

 

やる判断より、やめる判断を先に決めるべき理由

多くのゲーム会社は、物事をやる判断(=開発する判断)を重視します。
しかし実際には、やめる判断のほうが重要なのです。

理由は単純です。
開発が進むほど会社の損失は大きくなるからです。

ここまで開発してしまったことは、その後も開発し続ける理由にはなりません。
それはここまでかけたコストを回収したい・勿体無いという感情であって
適切な事業判断ではないのです。

そこでポイントになるのがプロトタイプ版です。

コアゲーム体験(ゲームの面白さ)を確認できるプロトタイプ版でプロジェクトを止められれば会社の損失を大きく抑えることができます。
完成直前、マスター版近くまで進んでから止めるのとは、損失は雲泥の差です。

しかも、早い段階でプロジェクトを止めることは決して守りではありません。むしろ攻めの判断です。
なぜなら、この段階でプロジェクトを止めることで

・損失を最小限に抑えられる
・次の企画にリソースをまわせる
・新しい企画を考えるチャレンジを増やせる

その結果、膨大なゲーム企画の中から成功する可能性がある企画を探し出すことができます。

 

このマニュアルで最も重要な2つのゲート

このマニュアルで最も重要なのは、「企画ゲート」と「プロトタイプゲート」です。プロトタイプ版以降の工程ももちろん大事ですが、事業としてのポテンシャルはこの2つでほぼ決まります。

企画ゲート

最初のゲーム企画段階で、事業としてのポテンシャルはほぼ決まります。
市場、競合、ターゲット、コアゲーム体験、事業としての見込みをここで確認します。

この段階で精度が低い企画はゲーム開発後に広告、ゲーム運営、課金で立て直そうとしても、ゲームのベースとなる面白さが弱いため改善は苦しいままです。

プロトタイプゲート

紙の企画でポテンシャルがあると判断されたものを、実際に動かして「コアゲーム体験」を確認するのがプロトタイプ版です。

プロトタイプ版は、「コアゲームの面白さ」を確認するための審査材料です。

よって、プロトタイプ版では何を確認するのか定義しておかないと、判断ができません。

プロトタイプ版の審査でよくあるものとして

「プロトタイプではコアゲーム体験を十分に盛り込めなかった」「次のα版で見て判断してほしい」

ということがあり、プロジェクトの判断が先送りされるケースが見られます。

でも、このようなケースの多くは「後々、誤りだった」と後悔することが多いのです。

なぜなら

「プロトタイプ版すら作りきれない企画や開発チームは、本開発も作りきれない」
「最終的にコアゲーム体験が曖昧なまま製品版が完成してしまう」

といった事が現場では多く見られるからです。

だからこそ、経営側はプロトタイプ版を厳しく判断し
そしてこのプロジェクトをリジェクトしなければなりません。

 

企画判断で最も重く見るべきなのはコアゲーム体験

ここでいうコアゲーム体験とは、このゲームでユーザーが繰り返し遊びたくなる中心の遊びのことです。いわば、そのゲームの面白さを支える中核部分です。

企画判断で最も重く見るべきなのは、コアゲーム体験です。

なぜなら、コアゲーム体験とは「このゲームの面白さの骨子」であり
何度も繰り返して遊びたくなる「継続モチベーション」の基礎を作るものだからです。

つまりコアゲーム体験は最終的に

・継続率につながる
・DAUにつながる
・このゲームをプレイする動機になる

という大切な部分だからです。
逆を言えばコアゲーム体験がなければ、このゲームをプレイする、プレイし続ける理由が弱くなります。

もちろん「ゲーム運営」や「課金マネタイズ」も重要です。
しかし、これらに対する判断軸としての優先順位はコアゲーム体験より下になります。

なぜなら、運営や課金は、後から調整しやすい領域だからです。
再現性のある「仕組み」が存在しており、プロトタイプ版を超えてからも調整できる余地があります。

しかし、コアゲーム体験は違います。

コアゲーム体験はこのゲームの面白さの根っこを支えるものであり、コアゲーム体験をベースにその他のアセットは作られていきます。
コアゲーム体験が弱いまま開発が進んだ結果、開発中盤から作り直すようなケースも見られますがお金と時間をロスするだけでなく、一貫性がなく、まとまりがないゲームが完成してしまいます。

だから、プロトタイプ版で厳しく慎重に判断する必要があるのです。

 

企画ゲートで確認する判断基準

企画ゲートは、この企画に事業として進める価値があるかを判断するフェーズです。

企画ゲートでは複数の項目を確認しますが、その中でも最も重く見るべきなのはコアゲーム体験です。
市場性や競合分析が良くても、コアゲーム体験が弱ければゲーム事業として厳しくなります。

ゲーム企画段階で確認する判断基準について解説します。
新しいゲーム企画が出てきたら、ここを見て「進めるか」「止めるか」判断します。

① 市場があるか

そのジャンル、そのコンセプトで狙える市場があるかを確認します。

・プレイしてくれるユーザーはどのくらい存在するか?
・ビジネスとして成立する市場規模か?
・そもそも市場規模が小さすぎないか?
・今から参入しても勝機があるか?
・やる意味があるか?

ゲームジャンル×ゲームコンセプト

この組み合わせで、市場規模は算出できます。
その市場はビジネスとして成立するのか?冷静に判断する必要があります。
もちろん市場がないなら先に進めません。でも、市場があっても競争が激しすぎるなら再考が必要です。

② 誰に売るか明確か

このゲーム企画を必要としている人、遊んでくれる人、遊んでくれそうな人
このようなターゲットを明確に言語化できているか?
ターゲットユーザーは実在して、イメージできるか?
という点を判断します。

・ターゲットユーザーは誰か?
・その人はこのゲーム企画のどこに興味を示すのか?
・このゲームの何を魅力に感じてプレイしてくれるのか?

市場は存在しても、ターゲットユーザーが曖昧だったり
ターゲットユーザーを考慮したゲーム内容になっていなければうまくいきません。

③ 競合タイトルに対して勝機はあるか

ゲーム事業は熟成しているため、新しい領域を開拓することではなく
限られたゲームユーザーの奪い合いです。

よって、皆さんの新作ゲームがヒットすれば、その代わり
他のゲームをプレイしているユーザーの可処分時間と可処分所得を奪います。

だから、
「競合タイトルに対して勝機はあるか」
これは非常に重要です。

尚、競合タイトルの定義は、あなたの新作ゲーム企画と同じ属性を持つユーザーを奪い合う相手です。
よってゲームジャンル、ゲームコンセプト、ターゲットユーザーが重複するゲームが競合タイトルになります。

・売れている競合タイトルは何か?
・競合タイトルの「ゲームの面白さ」で評価されているものは何か?
・競合タイトルと比べた場合に自社タイトルが選ばれる理由を説明できるか?

ゲーム事業は、限られたゲームユーザーの奪い合いです。
よって、競合タイトルの研究が薄いままでは進めません。

④ 自社の予算・開発体制で成立するか

どんなに魅力があって、競合タイトルにも勝機があるゲーム企画でも
それを開発、運用できなければ机上の空論に過ぎません。

実は多くのゲーム会社では、この部分が抜け落ちた状態でプロジェクト判断してしまうことが見られます。

・予算、開発リソース的に実際に作り切れるか?
・自社の開発チームで品質を出せるか?(強みを活かせるゲームジャンルか?)
・開発だけでなくゲーム運営まで含めて遂行できるか?

面白そうなゲーム企画であっても、自社の環境に合わないなら事業として進めるのは危険です。
つまり、
「作りたいものではなく、作り切れるものか」
「その上でビジネスとして投資する価値があるか」
といった部分を確認します。

⑤ 会社が求める回収ライン(事業規模)に届く可能性があるか

あくまでもビジネスなので、ゲーム企画段階でも事業投資視点でのポテンシャルを判断しておく必要があります。

「ゲーム企画段階にはビジネス視点は不要、とにかく面白い企画を出す事が目的である」

という声もゲーム会社によっては聞かれますが

このフェーズが「ゲーム企画のアイデアだし」になってしまうと
後からそれを事業レベルまで引き上げる必要が出てきます。
その結果、事業性が低いゲーム企画が本開発、配信に進んでしまう現場も多くみられるのでお勧めできません

・会社が期待するリターンに届く可能性があるか?
・投資リスクはどのくらいあるか?許容できる範囲か?
・このゲーム企画を他より優先する理由があるか?

面白そうなゲーム企画であっても、事業として成立しないなら進められません。
あくまでも事業として成立するかどうかを基準に判断する必要があります。
ここは感情ではなく、冷静に事業条件で判断を行います。

⑥ コアゲーム体験が明確になっているか

ゲーム企画段階で重要なのは
世界観、キャラクター、やり込み要素、演出、細かい機能ではなく「コアゲーム体験」です。

・格闘ゲームならバトルシステムにおけるコアゲーム体験
・パズルゲームならピースを合わせることでのコアゲーム体験
・アクションゲームならキャラを操作するコアゲーム体験

コアゲーム体験はゲーム企画によって様々なものが定義できますが
一言でいうなら
「このゲームでユーザーが繰り返しプレイする基礎エンジン」です。
何回プレイしても飽きずに楽しめる「基本的な遊び方」です。

・このゲームのコアゲーム体験(面白さ)を一言で説明できるか?
・コアゲーム体験には飽きずに繰り返しプレイしたくなる継続モチベーションを支えるものがあるか?

ここを確認します。

コアゲーム体験が詰められておらず、曖昧であるために
世界観、キャラクター、各種機能などでゲームを魅力的に見せようとするゲーム企画も見られますが冷静に判断する必要があります。

⑦ ゼロからゲームの面白さを発明するような企画ではないか?

ここはよくあるゲーム企画がうまくいかない原因の一つです。

「ゲームの面白さをゼロから発明しようとしている」

今までになかった全く新しいゲームを発明するのは現代において奇跡に近いところがあります。

「多くのヒットしているゲームは何かしら既存のゲームをベースにしており
完全新規で発明したようなゲーム企画は存在しないといっていいでしょう」

むしろ今までになかったゲームを発明したとしても
ユーザーの理解が追いつかないので、ゲームビジネスとしてうまくいきません。

ユーザーの理解が追いつかないゲームは
ユーザーにとって理解しにくいゲームは、遊んでもらいにくいからです。

既存でヒットしているゲームや、競合タイトルのゲームを深く研究して
良いところと、弱いところを理解して自分のゲーム企画に反映する事が重要です。

⑧ オリジナリティがあるか?

しかし、既存のゲームを真似するだけではうまくいきません。
なぜなら、既視感があるゲームはユーザーのプレイモチベーションを喚起しにくいからです。

よってここで重要なのは

「ゲームの面白さをゼロから発明せず」
「既存でヒットしているゲームや、競合タイトルのゲームを深く研究して」
「ユーザーの理解が及ぶ範囲で面白いコアゲーム体験があるゲーム企画をつくる」

その上で

「自分のゲームならではのオリジナル要素をコアゲーム体験に1つ、多くても2つ加える」
「それによって既視感あるゲームを払拭し、競合タイトルに対して差別化する」

つまり

このゲームならではのオリジナリティがゲーム企画にあるのか?
ここを冷静にチェックします。

 

プロトタイプゲートで確認する判断基準

プロトタイプゲートは、コアゲーム体験と開発遂行力を実物で確認するフェーズです。

ゲーム企画が通ったら、次にプロトタイプ版を開発します。
プロトタイプ版の定義は

ゲーム企画にある「コアゲーム体験」を実際に動かして面白さを確認する作業です。

紙の資料では面白そうに見えても、実際に動かしてみたら、面白いか?は別だからです。

プロトタイプ版で確認するポイントは次の通りです。

① コアゲーム体験を確認できるか

・ゲームの面白さを動くビルドで確認できるか
・その結果、繰り返しプレイしたくなるか?

プロトタイプ版で、ここが確認できないなら、本開発に進めることはできません。

コアゲーム体験は最終的に

・継続率につながる
・DAUにつながる
・このゲームをプレイする動機になる

という大切な部分だからです。
逆を言えばコアゲーム体験が確認できなければ、このゲームをプレイする、プレイし続ける理由が弱くなります。その結果、配信後のプレイモチベーションに影響します。

② プロトタイプ版の確認事項が定義されているか

プロトタイプ版でコアゲーム体験を確認する場合、確認事項が定義されていないと
感覚で判断してしまいます。よって、確認事項を定義した上で判断する必要があります。

・面白さ
・操作感
・プロセス
・プレイサイクル
・テンポ感
・クリア、勝利した時の気持ちよさ
・継続モチベーション

例えばプロトタイプ版はこのような項目で評価します。
確認事項の定義が曖昧な場合は、評価も曖昧になります。
そのような状態でGOを出してはいけません。

③ 現実的に開発できるか?

出来上がってきたプロトタイプ版にはコアゲーム体験が実装されており
面白く満足できる内容だったとしても、次の点を冷静になって判断する必要はあります。

・最後まで作り切れる開発力(資金、技術、人員)があるか?
・完成したゲームを運用できるリソースはあるか?
・ビジネスとして会社はそれを許容できるか?
・事業としてリターンが見込めるか?

この点を改めて冷静に判断します。
プロトタイプ版を作ることが目的ではなく、最終的に事業として成功する事が目的です。
プロトタイプ版を超えると、会社の出費も大きく増えるため、プロトタイプ版、企画だけでなくチームの遂行力や事業収益性も確認します。

④ 本開発に進めるだけの根拠があるか

プロトタイプ版でよくあるのが

「プロトタイプ版ではゲームのコアゲーム体験は完全に盛り込めなかった」「次のα版で見て判断してほしい」

 

というようなケースです。
つまり、プロトタイプ版の要件を満たしていないけど、プロトタイプ版を通してしまうようなケースです。

ここでの重要なポイントは2つあります

・プロトタイプ版でコアゲーム体験を確認できていない
・プロトタイプ版も作りきれないような開発体制への信頼性

実際の現場では、会社都合もあって、ここを通してしまうケースも多くみられますが
実際のところ

「プロトタイプ版すら作りきれない企画や開発チームは、本開発も作りきれない」
「最終的にコアゲーム体験が曖昧なまま製品版が完成してしまう」

といったことが現場では多く見られます。
その結果、ゲーム事業はうまくいかず失敗します。

だからこそ、経営側はプロトタイプ版を厳しく判断し
プロトタイプ版をやり直し、またはプロジェクト自体をリジェクトする必要があります。

プロトタイプ版は本開発に進めるだけの根拠が本当にあるかを確認する場所なのです。

 

よくある失敗|プロトタイプ版の後にゲームコア体験を作り直す

よくある失敗としては、プロトタイプ版でコアゲーム体験を確認できていないのに開発を先へ進めることです。

その結果、後になってゲームコア体験の設計や、それを支えるゲームの中核部分を作り直すことになります。
これによって

・ゲーム全体の仕様が崩れる(一貫性がなくなる)
・コストが増え、スケジュールが伸びる
・最終的にゲームとしての面白さが破綻したものが出来上がってしまうリスクが高まる

といったものがあります。

ゲーム開発は、コアゲーム体験を起点にして、世界観、キャラクター、ストーリー、演出、各種アセット、ゲーム運営を組み立てていきます。ベースになるコアゲーム体験の仕様が変わることで、それ以外のパーツが噛み合わなくなります。

よって、プロトタイプ版でコアゲーム体験を確認できないなら、その時点でGOを出してはいけません。
ここを曖昧にしてしまうと、後の工程で取り返しにくくなります。

 

GO・REWORK・STOPの判断基準

GO・REWORK・STOPとは、ゲーム企画や開発をそのまま進めるか、見直して再提出するか、ここで止めるかを判断するための3つの区分です。

ゲーム企画、プロトタイプ版の両方で使えます。
ここではこれらの判断基準について解説します。

GO

・主要条件を満たしている。
・開発側と経営側で合意できている。
・事業として進める理由が説明できる。
・コアゲーム体験を確認できている。

この状態ならGOです。

REWORK

・方向性はあっている
・可能性はある
・ただし「市場」「競合」「差分」「体制」「収益性」「プロトタイプの精度」など、どこかで課題がある。

リジェクトするレベルではない
ゲームとしての可能性はあるが、このまま進めるには課題があると判断した場合、修正して再提出するようにします。

STOP

・合意できない。
・修正しても見込みがない。
・事業として進める理由がない。

この場合はSTOPをかけます。
実はSTOPをかけることはネガティブなことではありません。
むしろ、ここで止めることで、次の企画に資源をまわせるため健全な事業判断です。

これは経営側、開発側の両方にとってポジティブな判断なのです。
なぜなら

見込みがない、失敗する可能性が高いゲーム開発ほど
会社はお金と時間を失い
開発側は無駄な時間をそこに費やしてしまうからです。

例えば3年かけて開発したゲームが配信後、1年でサービス終了になったら
失うお金と時間は大きなものになります。

特にお金は稼げば取り戻せますが、時間は取り戻せません。

 

プロトタイプで止められる会社は強い

プロトタイプ版で止めれば、損失を小さく抑えられます。
一方でマスター版の近くで止めると損失は甚大です

つまり
・いかにプロトタイプ版でゲーム企画を止められるか?
・プロトタイプ版で成功する可能性が高いゲーム企画を見つけられるか?

ここがゲーム事業における失敗しないポイントです。
そして、プロトタイプ版で止めることで、別のゲーム企画を試す事ができます。

いかに事業としての可能性があるゲーム企画を探し出せるか?
これが重要なのです。

 

なぜゲーム会社は企画を厳選しきれないのか

多くの会社では100個のゲーム企画の中から選び抜かれたゲーム企画を開発しているわけではありません。

つまり

「ゲーム企画、プロトタイプ版におけるGO・REWORK・STOPが圧倒的に少ないのです。」

・たまたま出した企画をそのまま開発しているケース
・発言力の強い人の企画が通りやすいケース
・他にゲーム企画がないからというケース

様々なケースがあります。

そして何よりも

経営陣は事業の目利きはできても、ゲームの目利きとは限りません。

そして、開発側には、会社が儲かることより、ゲームを作ることが目的になっていることもあります。

ここでのポイントは

「誰かが悪いという話ではなく、それぞれの見ている基準が違うのです。」

だからこそ、共通の判断ガイドラインが必要です。

 

トロネコが入る価値

トロネコは、経営側の味方でも、開発側の味方でもありません。
社内政治や人間関係に縛られず判断できる第三者になります。

・リスクが高いゲーム企画を止めるお手伝いもできますし
・一方で本当に価値があるゲーム企画を、「目利き不足」でリジェクトされることを防ぐアドバイスもできます。

つまりそのゲーム会社に関わる全ての人たちが幸せになる判断ができるサポートを目指しています。

たとえば
企画会議前の判断基準整理、プロトタイプ審査項目の設計、決裁会議で使う1枚シートの調整まで支援できます。

 

決裁会議で使える企画判断シート

最後にここまでの内容を踏まえて決裁会議で使える判断シートのたたき台をまとめました。
たたき台なので、皆さんの状況やタイトル特性に合わせた調整が必要です。

会社の規模、得意ジャンル、予算、求める回収ライン、許容できるリスク、プロトタイプで確認したい内容は、それぞれ違います。
同じ項目でも、重みは会社ごとに変わるため、本当に使えるガイドラインにするには、自社向けの再設計が必要です。

ゲーム企画判断シート(決裁会議用)

企画概要

・企画名
・想定ジャンル
・想定プラットフォーム
・想定ターゲット
・開発規模
・想定リリース時期

市場性

・プレイしてくれるユーザーはどのくらい存在するか?
・ビジネスとして成立する市場規模か?
・そもそも市場規模が小さすぎないか?
・今から参入しても勝機があるか?
・やる意味があるか?
評価:GO / REWORK / STOP

ターゲット

・ターゲットユーザーは誰か?
・その人はこのゲーム企画のどこに興味を示すのか?
・このゲームの何を魅力に感じてプレイしてくれるのか?
評価:GO / REWORK / STOP

競合・勝ち筋

・売れている競合タイトルは何か?
・競合タイトルの「ゲームの面白さ」で評価されているものは何か?
・競合タイトルと比べた場合に自社タイトルが選ばれる理由を説明できるか?
評価:GO / REWORK / STOP

自社の予算・開発体制との整合性

・予算、開発リソース的に実際に作り切れるか?
・自社の開発チームで品質を出せるか?(強みを活かせるゲームジャンルか?)
・開発だけでなくゲーム運営まで含めて遂行できるか?
評価:GO / REWORK / STOP

事業性

・会社が期待するリターンに届く可能性があるか?
・投資リスクはどのくらいあるか?許容できる範囲か?
・このゲーム企画を他より優先する理由があるか?
評価:GO / REWORK / STOP

コアゲーム体験【最重要】

・このゲームのコアゲーム体験(面白さ)を一言で説明できるか?
・コアゲーム体験には飽きずに繰り返しプレイしたくなる継続モチベーションを支えるものがあるか?
評価:GO / REWORK / STOP

オリジナリティ

・既視感はないか?
・価値ある差別化が1つ、多くても2つあるか?
評価:GO / REWORK / STOP

総合判断

・総合評価:GO / REWORK / STOP
・主な理由
・見直しポイント
・再提出期限
・次回判断日

コメント欄

・開発側コメント
・事業責任者コメント
・経営側コメント

 

表にしてみました。

項目 確認内容 評価
企画概要 企画名想定

ジャンル想定

プラットフォーム想定

ターゲット開発規模

想定リリース時期

市場性 プレイしてくれるユーザーはどのくらい存在するか?ビジネスとして成立する市場規模か?

そもそも市場規模が小さすぎないか?今から参入しても勝機があるか?やる意味があるか?

GO / REWORK / STOP
ターゲット ターゲットユーザーは誰か?

その人はこのゲーム企画のどこに興味を示すのか?

このゲームの何を魅力に感じてプレイしてくれるのか?

GO / REWORK / STOP
競合・勝ち筋 売れている競合タイトルは何か?

競合タイトルの「ゲームの面白さ」で評価されているものは何か?

競合タイトルと比べた場合に自社タイトルが選ばれる理由を説明できるか?

GO / REWORK / STOP
自社の予算・開発体制との整合性 予算、開発リソース的に実際に作り切れるか?

自社の開発チームで品質を出せるか?

開発だけでなくゲーム運営まで含めて遂行できるか?

GO / REWORK / STOP
事業性 会社が期待するリターンに届く可能性があるか?

投資リスクはどのくらいあるか?

このゲーム企画を他より優先する理由があるか?

GO / REWORK / STOP
コアゲーム体験【最重要】 このゲームのコアゲーム体験(面白さ)を一言で説明できるか?

コアゲーム体験には飽きずに繰り返しプレイしたくなる継続モチベーションを支えるものがあるか?

GO / REWORK / STOP
オリジナリティ 既視感はないか?

価値ある差別化が1つ、多くても2つあるか?

GO / REWORK / STOP
総合判断 総合評価

主な理由

見直しポイント

再提出期限

次回判断日

GO / REWORK / STOP
コメント欄 開発側コメント

事業責任者コメント

経営側コメント

 

まとめ

ゲーム事業で大事なのは、やる判断だけではありません。
企画ゲートとプロトタイプゲートで厳しく見極めることが重要です。

特にコアゲーム体験は、最重要の判断軸です。
ここをプロトタイプ版で確認できていないなら、先へ進めるべきではありません。

そのためには
どの段階で何を確認し、どの水準なら進めて、どの水準なら止めるのかを、自社の基準として定義する必要があります。

同じゲーム会社でも、求める回収ライン、許容できるリスク、プロトタイプで確認したい内容は違います。
そのため、判断ガイドラインや判断シートは、そのまま当てはめるだけでは機能しません。

トロネコでは、企画審査基準、プロトタイプ審査基準、決裁会議で使う判断シートを、会社の状況やタイトル特性に合わせて調整し、実務で使える形に落とし込みます。

興味がありましたらお気軽にご相談ください。