ゲームのDAUは増えているのに売上が伸びない原因|課金率・ARPU・ユーザー構成から分解

こんにちはトロネコです。
ゲームのDAUが増えている。
マーケティング施策もうまくいっている。
新規ユーザーも獲得できている。
それなのに、売上はほとんど増えていない。
ゲーム運営では、このような状態が起きることがあります。

DAUが増えれば売上も増えそうに見えますが、実際には、DAUが増えることと売上が増えることは同じではありません。
重要なのは、
「DAUが何人増えたか」
だけではなく、
「どんなユーザーが増えたのか」
を見ることです。
DAUが増えているのに売上が伸びない場合は
- 新規ユーザーが増えたのか
- 既存ユーザーが増えたのか
- 復帰ユーザーが増えたのか
- 課金ユーザーは増えたのか
- 課金率は変わったのか
- ARPUは下がっていないか
- ARPPUは変わっていないか
まで分解する必要があります。
そこで今回はDAUが増えているのに売上が伸びないときに、どの数字をどの順番で確認すればいいのか解説します。
KPIそのものの意味や読み方については、こちらの記事で一覧にしています。
DAUが増えれば売上も増えるとは限らない
ゲーム売上を単純化すると、課金売上については次のように分解できます。
売上 = DAU × 課金率 × ARPPU
つまり売上は、DAUだけで決まるわけではありません。
DAUが増えていても、課金率が下がる
または、
ARPPUが下がることで、売上が変わらないケースがあります。
たとえば次のようなゲームがあったとします。
| KPI | 改善前 | 改善後 |
|---|---|---|
| DAU | 100,000 | 125,000 |
| 課金率 | 5% | 4% |
| 課金ユーザー数 | 5,000 | 5,000 |
| ARPPU | 2,000円 | 2,000円 |
| 売上 | 1,000万円 | 1,000万円 |
DAUは25%増えています。
しかし課金率が5%から4%に下がったため、課金ユーザー数は増えていません。
結果として売上も1,000万円のままです。
数字だけを見ると、

DAUが25%も増えた‼️
という良い結果に見えます。
しかし事業として見ると、

増えた25,000人が売上につながっていない💦
という別の状態が見えてきます。
DAUが増えたときほど、その中身を見る必要があります。
最初にARPUが下がっていないか確認する

DAUが増えているのに売上が伸びていない場合、最初に確認しやすいのがARPUです。
ARPUは、Average Revenue Per Userの略で、ユーザー1人あたりの平均売上を示します。
売上をDAUで見る場合は、
売上 ÷ DAU
で、1人あたりの収益力がどのように変化しているか確認できます。
たとえば、
売上:1,000万円 → 1,000万円
なら、DAUは増えていますが1ユーザーあたりの売上は下がっています。
つまり、DAUを増やすことには成功している
一方で、
DAUを売上へ変換する力が弱くなっている
ということです。
ただし、ARPUが下がっていることがわかっても、それだけでは原因はわかりません。
次に、課金率とARPPUへ分解します。
ARPUは課金率とARPPUに分けて見る
ARPUが低下した場合、
「課金が弱くなった」
だけで終わらせてはいけません。
同じARPU低下でも原因は違います。
大きく分けると
- 課金する人が減った
- 課金する人の購入額が減った
- 両方が起きている
という3つがあります。
そのため、
課金率
ARPPU
を分けて確認します。
課金率が下がっている場合

DAUは増えているのに課金率が下がっているなら、
増えたユーザーが課金まで到達していない可能性があります。
たとえば、
↓
DAUは増えた
↓
まだゲーム序盤なので課金していない
↓
課金率が低下
↓
売上は増えない
という状態です。
この場合、DAU増加自体が失敗だったとは限りません。

新規ユーザーがその後、継続プレイして、ゲームを進め、将来課金する可能性もあるからです。
重要なのは、「DAUが増えたから成功」でも、
「売上が増えないから失敗」でもなく、
獲得したユーザーが今後どのように動くのかを見ることです。
ARPPUが下がっている場合
課金率は変わっていないのに売上が伸びない場合、ARPPUが低下している可能性があります。
たとえば、
高額商品を購入するユーザーが減った
既存の高課金ユーザーが離脱した
購入頻度が下がった
といったケースです。
この場合は、
課金ユーザー数だけではなく、
誰が課金しているか
何を買っているか
何回買っているか
まで確認する必要があります。
ゲーム運営で見る課金KPIについては、こちらでも詳しく整理しています。
DAUは新規・既存・復帰ユーザーに分ける
DAUが増えた原因を確認するときに重要なのが、ユーザー構成です。
DAUは大きく分けると、
- 新規ユーザー
- 既存ユーザー
- 復帰ユーザー
から構成されています。

同じDAU10万人でも、新規ユーザーが増えたDAUと、既存ユーザーが増えたDAUでは意味が違います。
DAUを構成するユーザーについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
新規ユーザーが増えてDAUが伸びているケース
広告やストア露出、IPコラボなどによって新規ユーザーが増えると、DAUは大きく上がることがあります。
しかし、新規ユーザーがすぐ課金するとは限りません。
ゲーム開始直後では、
まだ商品価値を理解していない
課金ポイントまで到達していない
ゲームを続けるか判断している途中
というユーザーも存在します。
そのため、新規ユーザーが大量に増えることで、
DAUは増える
↓
無課金ユーザーの割合も増える
↓
全体の課金率やARPUは下がる
という現象が起こることがあります。
この状態で重要なのは、新規ユーザーがその後残るかです。
D1、D7、D30などの継続率まで確認します。
新規ユーザーが増えても、すぐ離脱しているのであれば、DAU増加は一時的なものになります。
継続率についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
復帰ユーザーが増えてDAUが伸びているケース
周年イベント、大型アップデート、コラボ、復帰キャンペーンなどによって、休眠ユーザーが戻ることがあります。
これもDAUを大きく押し上げる要因になります。
しかし、復帰したユーザーと再び課金するユーザーは同じではありません。
無料アイテムを受け取りに戻った。
久しぶりにゲームの様子を見に来た。
このような復帰ユーザーもDAUに含まれます。
そのため、
復帰ユーザー数
復帰後の継続率
復帰ユーザーの課金率
復帰ユーザーのARPPU
まで確認する必要があります。
復帰ユーザーが大量に戻ったことで一時的にDAUが上がっても、数日後に再び離脱すれば、長期的な売上改善にはつながりません。
既存ユーザーが減っているのに新規ユーザーでDAUを埋めている場合がある
特に注意したいのがこのケースです。
全体DAUだけを見ると増えている。
しかし内訳を見ると、
新規ユーザー:大幅増加
という状態です。
たとえば、
| ユーザー | 以前 | 現在 |
|---|---|---|
| 新規 | 10,000 | 40,000 |
| 既存 | 80,000 | 65,000 |
| 復帰 | 10,000 | 15,000 |
| DAU合計 | 100,000 | 120,000 |
全体DAUは10万人から12万人へ増えています。
しかし既存ユーザーは8万人から6万5,000人へ減っています。
もし既存ユーザーの方が、
長くゲームを遊んでいる
課金経験がある
課金率が高い
のであれば、
DAUは増えているのに売上が伸びないという現象が起きる可能性があります。

つまり、増えたユーザーだけを見るのではなく、その裏側で誰が減っているのかを見ることも重要です。
課金ユーザー数が増えているか確認する
DAUが増えたら、次に課金ユーザー数を確認します。
DAUが、10万人 → 12万人へ増えていても、
課金ユーザーが、5,000人 → 5,000人
のままなら、増えた2万人は課金ユーザー増加につながっていません。
一方で5,000人 → 6,000人へ増えているなら、DAU増加が課金ユーザー増加につながっています。
ただし、これでもまだ売上が増えない場合があります。
その場合は、ARPPUを確認します。
課金ユーザー数が増えていても、1人あたりの購入額が下がっていれば、売上が変わらない場合があるからです。
DAU増加と売上の状態を4パターンに分ける
DAUが増えているのに売上が伸びない場合は、次のように整理すると原因を見つけやすくなります。
| 状態 | 考えられること |
|---|---|
| DAU↑ 課金率↓ ARPPU→ |
増えたユーザーが課金していない |
| DAU↑ 課金率→ ARPPU↓ |
課金者は増えているが1人あたり購入額が低下 |
| DAU↑ 課金率↓ ARPPU↑ |
少数の高課金ユーザーへの依存が強まっている可能性 |
| DAU↑ 課金率→ ARPPU→ |
基本的には売上も増えるため、集計期間や売上構成などを確認 |
特に注意したいのが、
DAU↑
課金率↓
ARPPU↑
です。
一見すると、
DAUが増えた
ARPPUも増えた
ので良い状態に見えます。
しかし実際には、課金するユーザーが減り、一部の高課金ユーザーが売上を支えている可能性があります。
売上が維持できていたとしても、将来的なリスクが高くなっている場合があります。
高課金ユーザーが減っていないか確認する
DAUが増えているのに売上が伸びない場合、新しく増えたユーザーだけでなく、既存の高価値ユーザーが減っていないかも確認します。
たとえば、
新規ユーザーを3万人獲得できたとしても、その期間に長期継続していた課金ユーザーが減少していれば、売上へのプラス効果が相殺される可能性があります。
確認したいのは
- 課金経験者数
- 継続課金者数
- 課金ユーザーの離脱
- 購入頻度
- 商品別売上
- ユーザー層別売上
などです。
売上総額だけを見ていると、この変化を見落とすことがあります。
広告で増えたユーザーの質も確認する
DAU増加が広告によるものであれば、広告施策ごとのユーザーも分けて確認します。
CPIが安く、大量のユーザーを獲得できたとしても、
継続率が低い
課金率が低い
LTVが低い
のであれば、DAUは増えても売上に貢献しにくくなります。
この場合、
「CPIが安かったから広告成功」
とは判断できません。
ユーザー獲得では、何人取れたかだけでなく、
どんなユーザーを取れたかを見る必要があります。
広告KPIについてはこちらの記事で整理しています。
DAU増加直後に売上が増えないこと自体は問題とは限らない
ここで重要なポイントです。DAUが増えているのに売上が伸びないからといって、すぐに失敗と判断する必要はありません。
特に新規ユーザーの場合、
↓
継続
↓
ゲーム進行
↓
商品価値を理解
↓
課金
という順番で動くことがあります。
獲得した当日に課金しなくても、その後の継続によってLTVが積み上がる可能性があります。
そのため、DAU増加当日の売上だけではなく、獲得コホートごとの
D1
D7
D30
課金率
ARPU
LTV
まで追う必要があります。
短期間だけで判断すると、将来価値の高いユーザーまで「売上につながらないユーザー」と誤認する可能性があります。
逆にDAU増加を過大評価してはいけない
逆に、

今は売上になっていないけど、そのうち課金するはず
と考え続けるのも危険です。
新規ユーザーが増えても、
D1で大量に離脱する
D7まで残らない
課金ポイントまで到達しない
復帰しない
のであれば、DAU増加が一時的な数字で終わる可能性があります。

重要なのは、将来課金するはずという期待ではなく、実際のコホートデータで確認することです。
DAUが増えて売上が伸びないときに確認すること
実際に問題を分析するときは、次の順番で見ると整理しやすくなります。
1.DAUが本当に増えているか
まず週次・月次など一定期間で確認します。
単日のキャンペーンやイベントによる一時的な上昇ではないか確認します。
2.DAUを新規・既存・復帰に分ける
誰が増えたのか確認します。
全体DAUだけでは判断しません。
3.それぞれの継続率を見る
増えたユーザーが残っているか確認します。
4.課金ユーザー数を見る
DAU増加が課金者増加につながっているか確認します。
5.課金率を見る
ユーザー数の増加に対して、課金ユーザーが同じ割合で増えているか確認します。
6.ARPPUを見る
課金ユーザー1人あたりの購入額が変化していないか確認します。
7.ARPUを見る
最終的にユーザー1人あたりの売上がどう変化しているか確認します。
8.ユーザーセグメント別に比較する
新規
既存
復帰
広告経由
オーガニック
課金経験者
無課金
などに分けます。
9.売上構成を見る
どの商品、イベント、ユーザー層が売上を作っているのか確認します。
10.LTVまで確認する
短期売上だけでなく、獲得したユーザーが一定期間でどれだけ価値を生み出したか確認します。
DAUが増えたから課金圧を上げる、は危険

DAUは増えた。でも売上は増えない・・・・・・
そこで、
もっと高額商品を出そう
課金導線を増やそう
限定商品を連発しよう
と考えることがあります。
しかし、原因を確認せずに課金施策だけ強化するのは危険です。
問題が、新規ユーザーの継続率にあるなら、課金施策を増やしても根本解決にはなりません。
問題が、既存ユーザーの離脱なら、課金商品を追加することでさらに離脱を進める可能性もあります。
問題が、広告で獲得しているユーザー属性なら、ゲーム内課金を変えるより広告ターゲティングやクリエイティブを見直す方が先かもしれません。
まず原因を分解してから施策を決めます。
「DAUを増やすこと」が目的になっていないか確認する
マーケティング施策では、
DAUを○万人増やすという目標を設定することがあります。
しかし、ゲーム事業の目的はDAUという数字そのものを増やすことではありません。
ユーザーにゲームを長く遊んでもらい、事業として成立させることです。
DAUを増やすことは、そのための重要な要素のひとつです。
そのため、DAUが増えただけで施策を評価するのではなく、
継続したのか
課金したのか
LTVはどうだったのか
獲得コストを回収できたのか
までつなげて見る必要があります。
事業責任者が見るべきKPIについてはこちらの記事で整理しています。
DAUと売上は「ユーザー数×ユーザーの質」で考える
DAUが増えているのに売上が伸びない場合、
「DAUが増えたのになぜ?」
と考えるのではなく、
DAUの中身を分解します。
重要なのは、ユーザー数だけではありません。
継続率
課金率
ARPU
ARPPU
LTV
まで見ることで、DAU増加がどのような意味を持っているのかが見えてきます。
DAUが増えていても、
既存ユーザーが減っている
課金率が下がっている
高課金ユーザーが離れている
ARPUが下がっている
のであれば、タイトル内部では別の問題が進行している可能性があります。
逆に、現在の売上がまだ増えていなくても、
新規ユーザーが継続している
課金ユーザーが増えている
将来LTVが積み上がっている
のであれば、DAU増加が後から売上につながる可能性があります。

だからこそ、DAUと売上だけを並べて判断するのではなく、誰が増えて、誰が減って、そのユーザーがどう行動しているのかまで見ることが重要です。
DAU・課金率・売上が悪化している既存タイトルを改善するには
DAUが増えているのに売上が伸びない問題は、既存タイトル全体の改善課題の一部にすぎません。
実際には、
継続率
DAU
課金率
ARPPU
ユーザー構成
ゲーム進行
イベント
広告
などが相互に影響しています。
運営中タイトル全体をどのように分析し、どこから改善するかについてはこちらの記事で解説しています。
ゲームKPIの分析・既存タイトル改善を支援しています

トロネコでは、
- DAU構造の分析
- 新規・既存・復帰ユーザーの整理
- 継続率分析
- 課金率・ARPU・ARPPU分析
- 広告獲得ユーザーの評価
- 売上構造の整理
- 既存タイトル改善
- ゲーム事業全体のKPI設計
など、ゲーム事業・マーケティングの意思決定を支援しています。
「DAUは増えているのに売上につながらない」
「広告でユーザーは取れているが、事業が改善している実感がない」
「KPIは毎週見ているが、どこに問題があるのかわからない」
といった場合は、ただ数字を増やす施策だけでなく、
KPI同士のつながりとユーザー構成を分解するところから
まずはお気軽にご相談ください。


