プラットフォームの違いを理解すればゲームアプリマーケティングはもっと進化できる!
こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。
今回はよく聞かれる質問を元に記事を書いてみました。
その質問とは
「iPhoneユーザーとAndroidユーザーってどうちがうの?」
「ゲーム事業やマーケティングをするときに注意する点はあるの?」
というものです。
こんな質問を頂く一方で
iPhoneやAndroidといった端末の違いって、あまり気にする必要ないよね!
といった意見を頂いたりもします
実際のところ、スマホゲーム事業を行うにあたって、端末の違いなんてあまり気にしないマーケターやゲーム開発者がほとんどではないでしょうか?
しかし、iPhoneとAndroidではスマホ端末としての特性や価格が違うのはもちろん、購入するユーザーの年齢層、性別、可処分所得みたいなものも違うのです。
普段、スマホゲーム事業をやっていると、あまり意識していないかもしれませんが次のように例えると、イメージしやすくなるかもしれません。
PS4とニンテンドースイッチはユーザー属性は異なりますよね。
iPhoneとAndroidはPS4とニンテンドースイッチのようなものなのです。
今回は、あまり踏み込みきれていなかった
スマホのプラットフォームによるユーザーの特徴や属性について
解説してみたいと思います。
最近は少なくなりましたが、もし、これを読んでいる方が
iPhone、Android限定でアプリ配信を考えているならば、両プラットフォームの違いに踏み込んで考えることは非常に重要になります。
ちなみに、今回の情報はトロネコが長年、スマホゲームのKPIを分析する中で導き出したものです。よって、かなりざっくり全体像を把握する数字感で表現していますのでご了承ください。
しかし、全体を把握する上ではかなり使えると思います。
最終的にこのようなユーザー属性を各ゲームタイトルの戦略に落とし込んで活用する必要があります。
もっと詳しい話を聞きたい!
という方はトロネコのカベウチまで気軽にご相談ください!
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iPhoneとAndroid端末普及比率比較
まず最初にiPhoneとAndroidのOS普及率を把握しておきましょう。
MMD研究所の2019年12月の調査によると国内におけるiPhone普及率は42.8%、androidは57.2%となっています。
※出典:MMD研究所
つまりandroid端末の方が多いというわけです。
実際のところ海外ではAndroid端末が多く、近年では新興国での普及が加速しており、ハイパーカジュアル市場においても、新興国におけるandroidプラットフォームが無視できない状況になりつつあります。
【関連記事】【保存版】ハイパーカジュアルゲームのマーケティング教科書(プロセスとKPI)
ということは、スマホゲームユーザーもAndroidユーザーが多いんだよね?
こんな質問を頂いてしまいそうですが、実はそうではないのです。
・スマホ端末はゲーム機ではないですし、様々な用途があります
・所有しているユーザーの年齢層によって使い方はバラバラです
つまり、スマホ普及台数=ゲームユーザー数とはなりません。
ここ重要です。
スマホを持っている人=ゲームをプレイするだろう!
と考えると間違った判断をしてしまう場合があります。
純粋なゲーム機である
PS4、ニンテンドースイッチの普及台数=ゲームユーザー数
とは大きな違いがあります
似たようなケースとして
有名アニメ視聴者=その有名アニメを使ったゲームのターゲットユーザー
とならないのと同じです。
アニメ視聴者は必ずしも全員がゲームのターゲットユーザーになりません。
え!?そうなの?
はい、そうなんです
アニメ版権をゲーム化する際のマーケティング戦略に
「アニメ視聴者=メインターゲット」
と書かれているものをみるたびに、トロネコはツッコミを入れています。
アニメ視聴者は必ずしもメインターゲットにならないからです。
その理由については下記の記事で深く書いていますので時間があるときに読んでみてください。
iPhoneとAndroid端末におけるゲームユーザー比率
先ほどのデータからみると普及台数ではiPhone42.8%、androidは57.2%とiPhoneよりも多いAndroidですが
ゲームユーザーだけを抽出すれば、スマホゲームにおけるOS別ユーザー比率は次のようなイメージになります。
iPhone 対 Android
6 4
実際にゲームをプレイしているスマホユーザーの6割はなんとiPhoneユーザーになります。
(ゲームタイトルとかで比率は違うのであくまでも全体の傾向としてご覧くださいね)
iPhoneとAndroid端末におけるゲームダウンロード数の比率
ユーザー比率と連動して、実際のゲームのダウンロード数も次のようになります。
iPhone 対 Android
6 4
これは当然の結果ですよね。
ただし、ゲームタイトルの中身や、そのゲームの運用フェーズによっては、
iPhone 対 Android
7 3
といったように、iPhoneの比率がさらにあがるケースも多々あります。
つまりiPhone端末を購入する人の方がゲームユーザー属性が高いユーザーというわけです。
iPhoneとAndroid端末におけるゲーム売上比率
続いてiPhoneとAndroid端末における売り上げ比率を見てみましょう。
架空のゲームですが
「トロネコダンジョン」というRPGがあったとしましょう。
そして、iPhoneとAndroidのダウンロード数の比率が6:4だとしましょう。
この場合、「トロネコダンジョン」の売上全体に占めるiPhoneとAndroidのシェアは
iPhone 対 Android
7 3
となります。
ダウンロード数では6:4なのに、売上では7:3というわけです。
もちろん、ゲーム内容やタイトルのフェーズによってその比率はかわりますが、ここで押さえておくべき重要なポイントは
Androidよりも、iPhoneユーザーのLTVの方が高いという点です
これはどういうことかというと
同じ1ユーザーを獲得するにしても、AndroidよりもiPhoneユーザーの方が、そのゲームに対する売上への貢献度が大きいというわけですね。
実は以前なら売上比率もダウンロード比率と同じ6対4だったのですが
近年、iPhoneの売上比率が高くなりつつあります。
この理由は様々な原因が考えられますが
次のような仮説が考えられます。
スマホゲームの市場が成熟して、
ライトユーザーが離れ、ゲームコアファンだけが残った
その結果もあり、よりゲーム性が高いゲームファン向けのコンテンツが増えた(または生き残ったともいえる)
その結果、元来、ゲームユーザー属性の高いプラットフォームであったiPhoneに売上が偏り始めた。
実際のところ、新作ゲームは以前のようにヒットさせにくく、ダウンロード数も獲得しにくくなっています。
そして、それまでコアなゲーマーではなかった女性ユーザーが離れつつあります。
実際のところ女性ユーザーに人気だったパズルゲームはスマホ市場では大きくシェアを下げています。一時期、3マッチパズルとか凄く人気でしたよね。
ここから、スマホゲーム市場が家庭用ゲーム市場に近づきつつあるということが言えそうです。
スマホ端末をゲームプラットフォームを考えた場合、これは不思議なことではなく、あるべき姿に近づきつつあるといえます。
以前にニンテンドーDSで脳トレ系ゲームが大ブームになったり、Wiiで健康系、カジュアル系ゲームが人気になりましたが、普段ゲームをやらない人が、ゲームを遊んだわけです。
でも、基本的にゲーマーではないのでブームが過ぎ去ると、ゲームから離れてしまいました。
かつてのニンテンドーDSの社会現象が、数年前のスマホゲーム市場だとするなら、現在はPS4のような「THE GAME」といったゲーム機にスマホ市場がなりつつあるわけです。
もう少し踏み込んだ話をしましょう。
今後、スマホゲーム市場はどうなるのか?
既に現時点でそんな状況になっているのですが、きっと下記のような状況がさらに加速します。
・iPhoneユーザーのLTVはこれからさらに上がる
・AndroidユーザーのLTVはこれからもっと下がる
・LTVと継続率は比例するから、よりiPhoneユーザーを意識した広告出稿や施策は必要になる
これらが加速すると、iPhoneユーザーを意識した広告出稿とか重要になってくると思います。特定タイトルではどんなにAndroidユーザーをかくとくしてもLTVがあわないので、例えばiPhone、Android端末指定で広告出稿もできるTwitter広告は再注目されるかもしれません。
実際のところCPI広告、CPA広告では、iPhoneとAndroidの広告予算を調整して、iPhoneに寄せつつあります。
iPhoneの方がLTVが高いのでAndroidよりも高いCPIが提示できるというわけです。
例えば同じゲームタイトルでも
iPhoneはCPI 1,000円だけど、AndroidはCPI 700円しか出せない、とか
iPhoneはCPI 1,000円だけど、AndroidはそもそもCPA広告を出さない、とか
そんな状況が増えつつあります。
これらはスマホゲームが、よりゲーム機化しつつある現象のひとつだと思っています。
そう考えると、もう中途半端にゲーム事業とかできず、本気じゃないと戦いにならなくなりつつあるというわけです。
iPhoneとAndroid端末からユーザーペルソナを考えてみる
最後にiPone、Android端末の種類からユーザーペルソナを考えてみましょう。
例えばこんな感じでペルソナを考えていきましょう。
・男女問わず40代を超えてくるとAndroid端末の一般的なシェアは高い。
・その結果、40代が好きなゲーム内容(特定IP使用やゲームコンセプト)や、ゲームジャンルはAndroid端末で売上が多くなる
こんな感じで考察してみてください
もし自分の担当が
340代に人気の「アニメ版権」だったり、「ゲームコンセプト」ならばAndroid端末の所有率が一般と比べても高いかもしれません。
(実際に40代以上の世代にヒットした、ファンが多いIP版権はAndroidの売上比率が高かったりしませんか?)
このようにデバイス端末からもユーザー属性を推測することで
ペルソナ分析のヒントとして使う事もできますし、
その結果、戦略立案のヒントにも使えます。
Androidユーザー比率が高そうなゲームなら、出稿する広告媒体も検討が必要な気がしてきますよね。
またAppStoreのASOも重要だけど、GooglePlayのASOはAppStoreと全く同じというわけではなさそうですよね・・。
こんな感じでさらに、考察していきましょう。
30代、40代に人気の「アニメ版権」だったり、「ゲームコンセプト」を使用したゲームを開発するならばandroid端末の対応機種もある程度、低スペックまで考慮しないと、ターゲットユーザーが遊べない環境を作ってしまうこともありそうです。
なぜなら、ターゲットユーザーはiPhoneよりもAndroidを所有している比率が高そうだからです。
でも40歳を超えてくると何本もゲームをするわけにはいかないので、皆さんの新作ゲームを1度遊んでもらえれば、ずっとそれだけを遊び続けてくれる可能性もありそうですね。
(実際に40代以上のAndroidユーザーは他のユーザーに比べると継続率が高かったりしませんか?)
こんな感じで掘り下げていくと「戦い方」のイメージが積み上がっていきます。イメージを積み上げることで自分の中で仮説と検証が進み、精度の高いマーケティング戦略とかプロモーション施策もイメージできます。
この仮説と検証はマーケティングスキルを高める上で非常に重要なのです。
ちなみに、もちろん、前のパートでお話をした通り、一般的にiPhoneの方がゲームユーザー比率は高く、LTVも高くなります。
これらを踏まえてどのような戦略を立てるのか
いろいろなことが考えられそうですよね!
まとめ
PS4とニンテンドースイッチではユーザー属性も遊び方も異なる
という事は家庭用ゲーム業界出身のマーケターなら常識だったりします。
しかし、スマホゲーム業界において
「スマホの端末を深く掘り下げてマーケティングに活かす」
というのは、あまりできていないのが現実です。
しかし、ここまで踏み込むと、さらに緻密で勝機あるマーケティング戦略とプロモーション施策が設計できます。
もし、今回の記事を読んで頂いて気になったら
いま運営中のタイトルについて
端末シェアと、端末に紐づいたKPI分析を一度やってみることをおすすめします。
新しい発見があるかも!?
というわけで今回はここまで!