圧倒的な成長をしたいならスマホゲーム会社への転職はおすすめ
こんにちは
トロネコです。
ゲーム業界20年以上、家庭用ゲームとスマホゲームの両方で経験があります。
現在は「株式会社トロネコマーケティング」の代表としてマーケティング支援を行っています。
20年以上におけるのゲーム業界でのキャリアはすべてマーケターなのですが、並行してゲーム開発の経験もスマホ、家庭用ゲーム両方であります。
家庭用ゲーム会社でも多くの事を学びましたが、それ以上にスマホゲーム会社では多くの学びがありました。
そこで今回はトロネコが家庭用ゲーム会社からスマホゲーム会社に転職した際に学んだ5つのことについてお話したいと思います。
先に結論をお伝えすると
「もし、あなたがスマホゲームに興味がなく、ずっと家庭用ゲーム業界で働きたいと思っても、
一度はスマホゲーム会社で働くべきです。
なぜなら、そこで学んだことは家庭用ゲームにも役立つだけでなく、人生を通して使えるビジネススキルが身につくからです」
無理にスマホゲーム会社に転職しなくても、いま働いているゲーム会社内でスマホゲーム事業部門があるなら社内異動で働いてみるのも良いかもしれません。
きっと価値ある経験になるはずです。
ちなみにこれからお話するスマホゲーム会社で学んだ5つのことは、必ずしもすべてのスマホゲーム会社に当てはまるものではありません。
スマホゲーム会社によっても「バラツキ」はあるので、あくまでも参考としてお聞きください。
家庭用ゲーム会社からスマホゲーム会社に転職して学んだ5つのこと
家庭用ゲーム会社で長年働いた後に、スマホゲーム会社に転職をしましたが、そこで5つのことを学びました。
この5つの学びは家庭用ゲーム会社で働き続けたら、100%習得できない人生において価値があるものでした。
①「論理的思考力」が鍛えられる
最初にお伝えすると、ゲームマーケティング、ゲーム開発においては「論理的思考」は必ずプラスにならない場合もあります
(むしろ、論理的思考力がゲーム開発を邪魔してしまい、つまらないゲームを作ってしまう場合もあります)
なぜなら、ゲームとは人間の心を動かすエンターテイメントだからです。
論理的思考が得意な人は、洗練されたゲームシステムを構築できるかもしれませんが、必ずしもそれが「面白いゲーム」とは限らないからです。
とはいえ、「論理的思考力」は人生において大きな武器になります。
なぜなら「論理的思考力」を身につけると
圧倒的に失敗する確率を下げることができるからです。
致命的なミスをとることがなくなります。これはビジネスにおいて大きなメリットです。
(ビジネスに限った話ではなく、論理的思考力は様々な領域で応用が効きますし、失敗しにくくなるのです)
トロネコも長年、家庭用ゲーム業界で働いてきましたが、家庭用ゲーム業界では「論理的思考力」が身ににつきにくい環境にあると思います。
なぜなら家庭用ゲームとは、仮説に対する実行が「ゲームの発売日」にほぼ集約される商材であるからです。家庭用ゲームの場合は発売日を迎えることが目的になりがちです。
一方で、スマホゲームは「ゲームの配信日」はあくまでもスタートに過ぎず、それ以降、毎日、仮説に対する実行を繰り返すことができるからです。
スマホゲームの場合は毎日が仮説に対する検証の繰り返しです。
一方で家庭用ゲームは発売日をもって仮説が検証されるだけなので基本的に
1タイトルに対して1回しか仮説検証サイクルができません。
仮説に対する実行
実行による結果からの反省からの、新たな仮説
新たな仮説に対する実行
・
・
・
といったトライ&エラーの繰り返しによって「論理的思考力」は鍛えられます。
家庭用ゲームに比べて、圧倒的にPDCAサイクルが早く、かつ繰り返し行うスマホゲーム会社で働くと「論理的思考力」が徹底的に鍛えられるのです。
1年でたった1回しか仮説検証ができない家庭用ゲームと、毎日仮説検証ができるスマホゲームでは、どっちが論理的思考が鍛えられ、成長できるかは比較するまでもないですよね
スマホゲームというビジネスの特性がPDCAサイクルを鍛えやすい環境というわけです。
家庭用ゲームで働いていると、全てがそうとが断言しませんが
「なんとなくいいかな、と思ったのでその施策を実行した」
といった事が現場ではよくみられます。
いわゆる施策ありき、過去の経験ありき、HOW思考に依存しがちです。
これは仕方ない話かもしれません。なぜなら
圧倒的に仮説と検証の機会が少ないので、施策ありき、過去の経験ありき、HOW思考に依存するしかないからです。
でも、実際のところ、この考え方は全然ダメなのです。
「なぜ、そう思ったのか、その理由は何か?」
という「論理的思考力」がここには必要なのですが、この「論理的思考力」がスマホゲーム業界では徹底的に鍛えられます。(もちろんゲーム会社によってバラツキはあります)
スマホゲーム事業の場合は、運営型事業なので
実行した施策が仮に間違っていても、「なぜそう思ったのか」が重要で理由なき思いつきの行動はダメであることを学ぶことができるのです。
そして、論理的思考力が鍛えられた後は 「なぜそう思ったのか」では終わらずアウトプットの質についても求められるようになります。
家庭用ゲーム業界でも「論理的思考力」が全くないわけではありません。
でも仮説検証の機会も少なく、スピードも遅いので
掘り下げる深さが家庭用ゲームとスマホゲーム会社では圧倒的に違います。
だからこそ、家庭用ゲーム会社からスマホゲーム会社に転職してきた多くの人が、最初にこの「論理的思考力」という
これまで体験したことがない環境に強いカルチャーショックを受けます。
しかし、ここを突破できると、その後の人生における財産になる「論理的思考力」を得ることができます。
もちろんゲームとは
数字やロジックだけで語れない、人間の感情を動かし共感によって支えられるプロダクトです。よって、必ずしも「論理的思考力」が絶対的な武器になりえるとは断言できません。
(むしろ過剰な論理的思考はゲーム事業の成功を遠ざける原因にもなるので、使い方を間違えずコントロールする必要があります)
ただし、持っているとマーケター、ゲーム開発者ともに視野が圧倒的に広がるのは間違いありません。
そして、論理的思考が身につくと、致命的な失敗を回避できる能力も同時に身につくため、ゲーム事業における「打率」が大きくアップします。
実は多くのゲーム事業って、最初から失敗が約束されているような状態で事業を進めてしまうことの方が多いのです。
論理的思考力を鍛えれば必ずしも成功するとは断言しませんが、致命的な失敗は回避できます。
②数字に強くなる
家庭用ゲームで数字周りの計算をする場面って
「ゲーム開発なら開発費とか、予算取り」「マーケターなら施策ごとの予算管理」程度かもしれません。
かけたコストに対して、どれだけの効果があって、かけたコストが適切だったのか、といった「振り返り」を家庭用ゲーム発売後に行う場合もありますが、スマホゲームに比べると、家庭用ゲームの場合は圧倒的に数字に対する接触機会が少ないのです。
・家庭用ゲームは発売前と発売後に数字と向き合う機会がありますが
・スマホゲームは配信前から配信直後、運営フェーズまで永遠に数字と向き合います。
特に配信後は毎日数字との戦いが待っています。
理由は家庭用ゲームが「売り切り型」の商品であることに対して、スマホゲームは「運用型」の商品だからです。
スマホゲーム会社の場合は「開発」も「マーケター」も、
始まりから終わりまで毎日数字と向き合う生活が続くので、数字から解放される瞬間がありません。
さらに、スマホゲームの場合は会社の事業計画の元になる数字を、開発とマーケターがゼロから論理的に組み立てて作らなければならず、
さらに作った数字に対して理由も並べて論理的に説明できる必要があります。
スマホゲームには当たり前に存在するKPI指標も、家庭用ゲーム業界ではほぼ使われません。
よって家庭用ゲーム会社からスマホゲーム会社に転職してきた多くのマーケター、ゲーム開発者はまず最初に「数字」に苦しみます。
KPIとか、その意味を知ればいいだけでなく、理解した上で実際に使えなければならないのです。
しかも、多くのゲーム会社では社内で丁寧にKPIを教えてくれるところはないし、もし、教えてもらえる環境があっても
実運用できるくらいまで、KPIの本質に踏み込んだ教育はしてくれません。
しかし、スマホゲーム会社で働くことで結果的に数字に強くなれます。
なぜなら、全く分からない状態で入社しても、毎日、数字と付き合っていくわけですから、その中で自然と数字を読み解く論理的思考が鍛えられるからです
どのくらい強くなれるかというと
「ゲームジャンルは?」「ターゲットユーザーは?」「ゲームのプレイサイクルは?」
といった情報を入手しただけで、そのゲームのKPIがイメージできるようになります。
③ゲーム開発チームとの距離が近く、ゲーム事業の本質に踏み込める
家庭用ゲームの場合は「ゲーム開発部門が作ったゲームをマーケティング部門が何も言わず黙々と売る」といったようにゲーム開発と売る現場が分断されているケースがまだ多く残っています。
つまり、トロネコが提唱している「つくるマーケティング」ができていないケースが多いのです。
この状況はなんとかしてトロネコが変えていかなければならないと思っています
一方で、スマホゲーム会社の場合は、今日やった「ゲーム開発」「プロモ施策」が明日の売上やDAUといったKPIで即時可視化されます。
結果がすぐに出てしまうゆえに、家庭用ゲームよりも、スマホゲームの方が自然と開発とマーケターの距離は非常に近く、マーケターはゲーム開発に踏み込んだ仕事を求められます。
(全てのスマホゲーム事業を行う会社がゲーム開発とマーケの距離が近いわけではなく、分断されているケースも多いですが、家庭用ゲーム会社と比べれば距離感は近いといえるでしょう)
もちろん、距離が近くても実際にゲーム開発に踏み込めるかはゲーム会社によりますし、個人のスキルや行動力、経験にも依存します。
しかし、家庭用ゲーム会社ではあまりなかった、ゲーム開発、運営に踏み込んだ経験をスマホゲーム会社ではできますので、そこから多くのことを学ぶことができます。
なぜなら、ゲームマーケティングの本質は「つくるマーケティング」に踏み込めるか?にかかっており
ゲーム事業の成功失敗の80%以上は「つくるマーケティング」ができるか?で決まるからです。
つくるマーケティングとは、下記の「開発フェーズ」における部分であり、ゲームマーケターはここに踏み込む必要があります。
下記でマーケティング100リストを公開していますが、リストにあるようにマーケターはここまで開発領域に踏み込む必要があります。
開発領域に踏み込む!?
それってゲーム開発の仕事であって、マーケターの仕事じゃないよ
という考えを持つ人もいますが、そういう環境ではビジネスパーソンとして成長は望めませんし、そもそもそういう考え方を持つゲーム会社は苦戦しているのも事実です。
できている会社と、できていない会社のギャップは大きく
限られた人生という時間を、どこで過ごすのか?働くのか?
それによって年齢を重ねれば重ねるほど大きなギャップが開いてしまいます。
④スマホゲームは家庭用ゲームとは事業スピードが全く違う
家庭用ゲームは、ゲーム発売日まで勝負であり、ゲーム発売日に向けて何年もかけて積み上げていきます。
つまりゲームの発売日がその事業における
とりあえずのゴールというわけですね
一方でスマホゲームは、アプリ配信後が本番で毎日、配信日から終わらない戦いが始まります。
しかも家庭用ゲームと違って、ゲーム開発、マーケティングでやったことが即日数字で結果が可視化されます。
結果として圧倒的に事業としてのスピードが違います。
家庭用ゲーム会社からスマホゲーム会社に転職してくると、まずこのスピード感に面を食らう人が多いのです。
ちょっと大袈裟に聞こえるかもしれませんが
例えるなら家庭用ゲーム会社では40キロ制限の一般道路を走っていたのに、スマホゲーム会社に転職してくると、いきなりサーキットで走るくらいのギャップがあります。
このスピード感に慣れるとスキル的な成長もできますが、何よりも「ストレス耐性」「対応能力」があがります。
いろいろなトラブルや問題が発生するけど、悩んで立ち止まっている時間はなく、すぐに判断して解決策を考えなければならないのがスマホゲームの世界です。
よって、どんな事にも対処できる「ストレス耐性」や「対応力」が鍛えらるというわけです。
(このストレス耐性の程度はスマホゲーム会社によって異なるので全てが今回お話したような状況ではありませんが、家庭用ゲームよりもスマホゲーム業界の方がストレス耐性が鍛えられると傾向にあります)
正直なところ、家庭用ゲームからスマホゲーム会社に転職してきたばかりの人は、入った直後は、この「ストレス耐性」が結構しんどいかもしれません。
とはいえ、スマホゲーム会社のスピード感も結局は「慣れの問題」なので慣れちゃえばどうでもなく感じるかもしれません。
しかし、ここに慣れず耐えられずに辞めていく人が多い業界でもあります。
結果的に「慣れた状態」って
自分自身が成長した証拠だったりもするんですよね
⑤PDCAが高速でまわせて急速に成長できる
ゲーム業界20年のキャリアの中でトロネコは家庭用ゲーム会社と、スマホゲーム会社の両方を経験してきましたが
家庭用ゲーム会社における1年は、スマホゲーム会社なら3か月くらいの感覚です。(これは大袈裟ではなく本当です)
理由は事業の結果ができるスピードが違うので、結果をもとにPDCAを高速でまわせるため、それだけの学びや経験ができ圧倒的高速で成長できるというわけです
※PDCA(P:Plan D:Do C:Check A:Action)
これはスマホゲーム業界だけでなく、IT系でも言えることですね。
家庭用ゲームは例えば2年かけてゲームを開発したとしても発売日を迎えるまで結果が出ません。つまり発売日のタイミングでPlan Doが完了するわけです。
(そもそも、家庭用ゲームの場合はPlan Doで終わっていて、Check Actionが存在しない可能性もあるのですが・・・)
しかしスマホゲームは仮に2年かけて開発して発売日で既にPDCAがまわっている場合もあります。そして配信日以降、毎日PDCAを回し続けていくことになります。
それをサービスが終わるまで永遠に繰り返していくため、PDCAの回数が家庭用ゲームよりも圧倒的に多いのです。
まとめ
今回、トロネコが実際に学んだ「家庭用ゲーム会社からスマホゲーム会社に転職して学んだ5つのこと」についてお話しました。
もし、これを読んでいる皆さんがスマホゲームに全く興味がなくてもスマホゲーム会社で働く事には大きなメリットがあります。
別に転職しなくても、自社内にスマホゲーム事業部があるならそこで少しだけ仕事をしてみるだけの価値はあります。
(転職、異動しなくても家庭用とスマホゲームの両方を並行してやらせてもらえるなら、それでも圧倒的に成長します)
でも長い間、家庭用ゲームの仕事をしていると、そこからスマホゲーム業界に異動するのは
つくりたいゲームが作れなくなる
やりたい仕事ができなくなるような気がするので
気が進まないなぁ・・・
こんな感じがするかもしれません
これは、私もそう感じた瞬間がありました。
でも、家庭用ゲームの話に限ったことではなく、同じ環境で同じことの繰り返しをしていると成長スピードが鈍化します。これは間違いありません。
そして家庭用ゲーム会社からスマホゲーム会社への転職は正直なところ、人によって向き不向きがあります。
でも、トロネコは実際にスマホゲームも経験したことで、こうやってメディアを通して情報のアウトプットができるようになりました。これは、経験や知識を言語化して伝えられる「論理的思考力」がスマホゲーム会社での経験を通して鍛え抜かれたからです。
だからこそ、年齢を重ねても成長をし続けたいと思うならば
家庭用ゲーム、スマホゲームの両方を経験することをおすすめします。