【常識は非常識】こうあるべき論が失敗を招く!?マーケターには「空気を読む力」が必要な理由

マーケティング


こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。

今回はマーケターにとって「空気を読む力は超重要」というお話をします。

最近、施策の仕込みはバッチリできているけど

ユーザー心理や市場の空気を読まず、ゲームやキャラクターを売り込みたいという「ビジネス観点」だけが先行した結果、ファンの反感を買ってしまう事例

を頻繁に見かけます。

これらの原因は、作り手による

「かつての成功体験に基づく、こうあるべき論」が先行した結果、引き起こされた事例です。

マーケティング戦略が作れていても、同様の事態は起こりうる可能性があります。つまりマーケターは常に世の中の「空気感」を読む力が必要なのです。

 

ゲーム事業はビジネスですから企業は利益を追求するのは当たり前のことです。ボランティアでゲームを作っているわけではないからです。

でも、ゲームはユーザーにとって夢と希望を与えてくれるエンタメなのです。ゲーム会社の一方的な都合とか、ビジネス的な側面が垣間見てしまうと、がっかりするものです。

 

つまり、いろいろわかっているけど

空気を読んでくれ!という話なのです。

ユーザー視点でみれば夢から醒めさせないでくれ!と言い換えても言い換えてもいいかもしれません。

 

「空気感」を読む力はマーケターとして基本的なスキルですが、

なぜか軽視される傾向にあったりします。今回はその原因と防止策についてお話します。

空気を読めないプロモーションの原因は「過去の成功体験による思い込み」です。

「ゲームをヒットさせるにはこうあるべきだ」
「キャラクター人気を獲得するにはこうあるべきだ」
「まずは成功の状態を考えて、そこから逆算して戦略や施策を考えよう」

といった人は結構いると思います。
これは半分正解であり、半分不正解です。

本人のセンスや情報感度が、時代の流れや、プロダクトのターゲットユーザーと完全一致して、その状態を維持できる限り、「成功を収めることができるかもしれません。

しかしその一方で次のような現場に何度も遭遇してきました。

「俺がこのゲームのペルソナユーザーであり、俺を満足させるゲームを俺が作れば売れる」

結果、全く売れなかったゲームは数え切れません。

なぜなら、

「俺」が世の中のターゲットユーザーと一致していない
「俺」のような人は世の中にはいるけど、ビジネスにならないほど少数派

だったりするからです。

でも、かつてはこのようなやり方でも単発的に成功を収めたケースもありました。

しかし、そういったHOW思考から生まれた「再現性が低い成功体験」は「単なる思い込み」であり、「こうあるべき論」の先行が、市場との大きなギャップを生んでしまうと、大きな問題を引き起こすのです。

具体的な例をあげてみましょう。

例えば下記のようなケースは過去の成功体験、成功実績に縛られて、「こうあるべき論」が先行した結果、引き起こされた分かりやすい事例です。

【目的】ネットで人気のキャラクターコンテンツでビジネス展開したい
【思い込み】そのコンテンツが最も盛り上がり、次の展開を告知するためのベストタイミングは最終回である。ここで次の展開を告知することはキャラクター展開の鉄板である
【目的】既に人気のキャラクターをもっと盛り上げたい
【思い込み】現状の殻を破って「限界突破」するには現状のキャラクターに対する否定から入って、さらにファンの期待値を遥かに超えるサプライズが必要である

それぞれの「目的」はそんなにおかしくありません。

(たぶん、この考え方でもうまくいったのかもしれません)

 

そして「思い込み」もかつては、それほどおかしい話ではなく、むしろ「成功の方程式のひとつ」として考えられてきた時代もありました。でもそれは過去の話です。

しかしここで疑問があります。

かつて、成功の方程式と思われていたものが、本当に成功の方程式だったのだろうか?

当時は結果がついてきたけど、それって成功だったのだろうか?成功と思われていた方法は失敗であり、もっと数字を獲得できる方法はなかったのだろうか?

疑問を突き詰めていくと、そもそも「成功の方程式」が存在していたのか怪しく思えてきませんか?

 

いずれにしても、過去において何が正しくて、何が間違いなのか、過去はどうだったのか、そんなことはどうでもいいのです。

重要なのは過去の実績ではなく、いま現在を知り、どうれば目的を達成できるか?という事です。

10年前には、今ほどTwitterを始めとしたSNSというものが影響力を持っていませんでしたが、2021年の現在はSNSが市場の空気感を支配し、その空気感はリアルタイムで変化し続ける「生き物」のようなものです。

あなたが常識と思っている過去の成功体験に基づいた常識が、いまを生きる人にとっては非常識になる可能性があります!

よって、現代のマーケターは日々、市場の流れや空気感を追いかける必要があります。

そして、それは特別な事ではなく2021年のいまを生きるマーケターとしてはごく自然に必要なスキルなのです。

そのような中で、かつての成功体験や「成功の方程式と思えたやり方(実は成功の方程式ではなかったかもしれなないもの)」を正解と認識し「こうあるべき論」が先行してしまうのは極めてリスクがあります。

常に現在の市場や、空気の変化を把握しながら、マーケターは自分自身を最新版にアップデートし続ける必要があります。

みなさんは常にアップデートしていますか?

下記について自問自答してみてください。

 

今やっているゲームマーケは1年前と同じことの繰り返しではないですか?
過去の成功体験が、「こうあるべきだ」として今を縛っていませんか?

ぜひ自問自答してみてください。

今の状態を責めているわけではありません。ただ、こから脱出できるかがマーケターとしての成長にかかっているのです。

これはマーケターだけでなく、クリエイターも同じですが、アップデートでいない人は過去の成功体験や、過去の知識を切り売りしながら今を生きていくことになります。

知識やスキルの切り売りでしか生きていけない人は現代では大きな結果を出すことができません。

「こうあるべき」ではなく「どう感じるのか?」という視点が必要

もう少し踏み込んで話をしていきましょう。

キャラクター展開で成功するには、こうあるべきだ!

ではなく

過去実績から推測するとこうあるべきと思うけど、それを実行したら市場やファンはどのような感情を抱き、反応や行動をするだろうか?

ここまで考える必要があります。

つまり 「こうあるべき」ではなく「どんな反応を示し、その結果どうなるのか」まで踏み込む必要があります。

言い換えるならば、マーケティング戦略やそれに基づいた施策によって

「どのような未来が想定されるのか、先回りして考えることが重要なのです」

でも「こうあるべき状態」を達成するために突き進む事は100%は悪いと言っているわけではありません。

むしろクリエイター視点では間違っていないですし、「こうあるべき状態」とは「新しいトレンドをつくる行為」でもあるので、イノベーションを起こすには必要です。

クリエイターの「こうあるべきだ!」が時代を切り開いてきた事実は疑う余地はないからです。

ただし「こうあるべき状態」を考えた上で、一歩引いてユーザー視点で客観的に見て欲しいのです。

それってユーザーにとってはどのように見えるのか?
どんな印象を持たれ、感情を生み、行動となるのか?
ユーザーが理解できない、10年先を進みすぎていないか?

こちらで書いた「マーケティング戦略のフレームワーク」でも解説していますがマーケティング戦略のフレームワークの「課題」というパートで必ず「想定される課題抽出」が行われますので、フレームワークに沿って適切にマーケティング戦略が作成されていれば、まず見落とすことはありません。

よって「思い込み」が先行してしまう原因は、そももも「マーケティング戦略」が適切に作られてない証拠でもあります。

マーケティング戦略作成が苦手で、適切な戦略が作れないマーケターが仮に存在していたとしても、ユーザー視点を常に持っていけば「なんかおかしいかも!?」という自分の中でのストッパーが効きます。

マーケターとして最低限失ってはいけないものは「ユーザー視点」です。

でも、そのストッパーが効かなかった理由は、「こうあるべき論」という、いわゆる「施策や施策によって実現する状態を優先にしたHOW思考」が先行しているのです。

当サイトでは以前に「HOW思考は絶対にダメ」という記事を書いていますが、「こうあるべき論の原因であるHOW思考」はマーケターを間違った「目的(=場所)に向かわせてしまうリスクが非常に高いのです。

ならば、論理的思考が圧倒的に強い「ロジカルドリブンの優秀なマーケター」なら問題ないのかとうと必ずしもそうではないので厄介なのです。

ロジカルドリブン思考の真面目なマーケターほど、ユーザー視点を見失いがちで「定量的なデータから判断しよう」としがちだからです。

先日、下記のTwitter投稿もしましたが

数字はあくまでも状態把握には適しているけど
数字の内側に隠れている人の感情まではわからないのです。

さらに付け替えるには、数字はただシンプルに過去に起こった結果に過ぎません。そこから再現性を高める施策を作ったり、未来を予測することはでいますが、あくまでも過去のリザルトに過ぎないのです。

ここ、とても重要な部分です。

KPIとか数字による定量的結果や、市場調査、ユーザーインタビューなどすべて、過去の結果に過ぎないのです。

だから数字に過剰依存していると、過去の成功を現在において「小さく再現」することはできるけど、未来を切り開く大ヒットは生まれないというわけです。

 

 

さらに、数字的には改善したように見えてもその数字からはユーザーの感情まではわかりません。そして、不満不平が溜まった状態でも数字は改善させられる(≒数字が改善したように作れる)のです。

よって、瞬間的にDAU、売上などの数字が改善しても長期的には失敗してしまう原因はここにあります。

とはいえロジカルドリブンを否定しているわけではないですよ。なぜなら論理的思考があれば、過去から学ぶことができ、未来を少しだけ予測できるので、致命的大失敗を回避することはできるからです。そして、成功確度もアップできます。

 

空気を読み、空気感を反映するためにやるべき7つののこと

そこで、実際にトロネコがやっている「こうあるべき論」に陥らず、市場の空気を読みながら、かつマーケターとして結果を残すためにやっていることをご紹介しましょう。

・過去の成功体験や固定概念は捨てる(新規タイトルのたびにリセットスタートがおすすめ)
・マーケティング戦略を徹底的に作る(HOW思考は絶対にダメ)
・戦略に基づいて施策設計をする(ロジカルとハートドリブンのミックスがおすすめ)
・数字だけでなくユーザー視点で市場の動向やトレンド、空気感の変化を常にウォッチする
・戦略や施策は実行する前に一歩引いてユーザー視点で俯瞰して観察する
・様々な人から客観的な意見を貰う(一般的な人、そのジャンルに詳しい人など多様性が必要)
・仕上げてとして設計している自分が楽しめて、確証が持てる状態まで昇華する

ちなみに6番目に挙げた「 様々な人に観てもらい客観的な意見を貰う 」は「周囲の意見を取り込んで反映しよう」という事ではないので誤解しないようにしてください。

むしろ、「周囲の意見を取り込んでみんなが想像するプロダクトや施策」を作ると間違いなく失敗します。

なぜなら誰もが想像できる世界とは、過去体験の集合体だからです。

そして、そこから生まれた世界からは、過去体験を超えられない(=期待値を超えられない)プロダクトが生まれるからです。

ゲーム会社の仲間や、ユーザーインタビューの結果「そのゲームいいね!」と言ってくれるゲームがあるとしますよね。

でも、その「いいね!」基準は、彼らの過去のゲーム体験に依存しているケースがほとんどなのです。

だから、むしろ、

こんなゲーム売れない!だって過去にヒットした実績がないんだから。

と猛反対されるゲーム企画をゲームクリエイターが無理やり通した結果、大ヒットする事の方がトロネコの記憶では多かったかもしれません。

なぜなら、猛反対する人の多くは過去に縛られているし

こうあるべきだ!という彼らの常識の世界で生きているし

現在のリアルなユーザーの空気感も知らないし、知ろうとしないからです。

 

一見、こういう人って頭の固い人のイメージがあるので年配の人かな?と思うかもしれませんが、あまり年齢は関係ないんですよね。

過去のゲーム体験、人生体験が邪魔をするので、体験密度が低い人や、過去に強烈な成功体験、失敗体験があって、それに縛られている人ほど世の中の空気感を読むことができないのです。

だからこそ

マーケターは常に冷静で客観的でありながらも、既存の枠に収まらずに最後は「決める力」も必要です。

周囲に猛反対されても、もしそこに確信があるなら、曲げずに突っ走る勇気も必要なのです。

すごく難易度の高い話に聞こえるかもしれませんが、これを読んでいる、皆さんには、ぜひここを目指して欲しいのです。

まとめ

今回、マーケターにとって「空気を読む力」は必須スキルであり「こうあるべき論」が先行すると失敗します!という話をしました。

これは非常に重要なことで避けて通れないのですが、軽視している(=見落としがち)ケースが多く、戦略や施策はバッチリ作れているのに、いまいち成功打率があがらないのは、ここに原因があったりもします。ぜひ忘れずに実行するようにしてくださいね。

というわけで、今日はここまで!