こんにちはトロネコです。
今回はオンラインゲームのマーケティングにおいて重要なこと
離脱ユーザーを復帰させるべきか?
そこに開発運営、マーケティングのリソース(お金/人材)を割くべきか?
というお話をします。
「離脱ユーザーを復帰させることは必要」
という意見もありますが、一方で
「離脱ユーザーを復帰させる価値はない」
という視点もあります。
相反する視点ではありますが、いずれも正しく、間違いではありません。
これは各ゲームタイトルによって、現在置かれた環境によって異なるのですが、判断をする上で、
「離脱ユーザーとは何者なのか?どんな特徴があるのか?」
「離脱ユーザーと向き合う上で重要なことは何か?」
ここを理解して意おく必要があります。
離脱ユーザーの定義
まず最初に離脱ユーザーの特徴を理解しておきましょう。
オンラインゲームにおける「離脱ユーザー」とは下記の位置に存在します。
新規ユーザー→既存ユーザー→離脱ユーザー→復帰ユーザー
つまり、既存ユーザーから離脱したのが離脱ユーザーです。
そのユーザーがゲームに戻ってきたのが復帰ユーザーになります。
離脱ユーザーの定義はさまざまなものがあります。
一般的には2週間ゲームにログインしなかったユーザーを離脱ユーザーと定義することが多いです。
まぁ2週間、ゲームを遊んでいなかったら、もうゲームを辞めちゃっている状態だよね、と考えるわけです。
この2週間という期間はゲームタイトルや、ゲーム会社の考え方によってばらつきがあります。
離脱しにくいゲームジャンル、ゲーム内容の場合は1週間を超えたら離脱ユーザーとする場合もありますし、DAUとMAUの乖離が大きく、辞めても月に1、2回は戻ってくるようなゲームの場合は3週間から4週間を超えた時点で離脱ユーザー判定するものもあります。
離脱ユーザーと復帰ユーザーの特徴
一度、ゲームを辞めてしまった離脱ユーザーと
そこからゲームに戻ってきた復帰ユーザーの特徴としては次のようなものがあります。
離脱ユーザー
・何かしらの原因でゲームを辞めた、遊ばなくなった
・離脱した原因としてはゲーム内、ゲーム外の両方があり、ユーザー属性によって変動する
離脱する原因はさまざまです。
よって、そのゲームタイトルにおける離脱要因を洗い出し、理解する必要があります。
復帰ユーザー
・離脱したユーザーが、何かしらをきっかけにゲームに戻ってきた
・離脱した原因が改善されていなければ短期で再離脱する
離脱ユーザーを復帰させても、離脱要因が解決されていなければ短期で再離脱します。
よってKPI上では一時的にDAUが改善したように見えても、すぐにDAUは元に戻ります。
また復帰ユーザーには、一般的に次のような特徴があります。
・新規ユーザーと比べると継続率が低い(70-50%程度)
・新規ユーザーと比べるとLTVが低い(50-30%程度)
・離脱ユーザーを一度復帰させた上で、再離脱させてしまうと、今後、再再復帰させるハードルは上がる
離脱ユーザーとは一度、「辞める」という経験をしたユーザーです。
プレイしようと思ってインストールしたけど、一度、辞めてしまうという経験をさせてしまうと
その時点で、なんとか復帰させたとしても
辞めやすい属性に変化する
プレイしようという意識が低下するので課金意欲も低下する
となります。
辞めるという決断をさせて、離脱させたら、その時点でゲーム事業としては「敗北」です。
なので、大前提として
辞めさせないようにする、離脱ユーザーを作らないようにする
というのが重要になります。
既存ユーザーを離脱させないことが最優先
オンラインゲーム事業の成功において重要なことは
既存ユーザーを辞めさせない、離脱させないことです。
辞めても戻せばいいし、ゲームが未完成な状態で配信してもゲーム運営をしながら時間をかけて改善していけばいい
という考え方を持つ現場もありますが、これは100%間違いです。
辞めさせてしまい離脱ユーザーになった時点で、なんとか復帰させても
ユーザーとしてのコンディションは完全に戻らないからです。
「辞めても戻せばいいし、ゲームが未完成な状態で配信してもゲーム運営をしながら時間をかけて改善していけばいい」
という考えのもと、ゲーム事業がうまくいっているように感じている現場もあるかもしれませんが
それは
本来目指せた場所があるのに、そこに届かない低い場所での結果を「うまくいった」と誤解しているだけに過ぎません。
なので
・未完成な状態でゲームをリリースしない
・ユーザーが離脱することを許容しない
・完全離脱する前に何かしらの対応をゲーム内外で継続実施する
という思考回路が必要なのですが、実際のところ、離脱要因を把握せず、改善しない状態でゲーム配信をしてしまうケースも多いですし
KPIが数字として出ていれば、それが見せかけで作られたものであっても、OKとしてしまう現場も多いのです。
この状態には物事の本質が抜けているので
今、この瞬間はなんかうまくいっているように見えても、数ヶ月後、半年後には厳しい状況に陥ってしまいます。
長期運営によって強い既存ユーザー(=ファン)に支えられているゲームならまだしも
新規タイトルは強い既存ユーザーが育っていない状況なので、近年、新作ゲームが短期でサービス終了してしまう理由がここにあります。
離脱ユーザーを復帰させる意味はあるのか
離脱ユーザーを復帰させてもLTV、継続率は低いし、売り上げ貢献もすくさそうだし
復帰させても、すぐに離脱するならコスパも悪そうだし・・・
ここまでの話で
そんな印象を持ったかもしれません。
ならば離脱ユーザーを復帰させる意味はあまりないよね
と思う人もいるでしょう。
「離脱ユーザーを復帰させる意味はあるのか」という問いに対する回答としては
「意味があるケースと、意味がないケースがある」
と言えます。
離脱ユーザーを復帰させる意味があるケース
・ターゲットユーザーの残市場が限られており新規ユーザー獲得が難しい
・ゲーム配信初動で価値あるユーザーを大量に離脱させてしまった
・離脱した原因を解決できており、復帰させることで継続プレイモチベーションを維持できる状態が用意できる
離脱ユーザーを復帰させる意味がないケース
・離脱ユーザーが離脱した原因を解決できていない
・過去に離脱ユーザーを復帰させたが、何度も再離脱させてしまった
離脱ユーザーを復帰させる意味がない理由を挙げていますが、それでも離脱ユーザーを復帰させたいと思うかもしれません。
そして、実際に復帰させられるし、KPIが一時的に改善できるかもしれません。
でも、実際のところ100%、短期で離脱します。
なので、復帰のために費やした労力や、お金は無駄になります。
そればかりではなく、復帰させて離脱させてしまうことで、ユーザーの心象はさらに悪化します。
目先の数字ばかり追わず、必ず離脱要因を改善して、継続モチベーションを維持できる状態で
復帰させるようにしましょう。
離脱したユーザーを復帰させる上で注意するべきこと
多くの「ユーザー復帰施策」は、離脱ユーザーをゲームにとりあえず戻すことが目的になっています。
とりあえずゲームに誘導して、ゲームを起動させればそれでOK
という思考が働きがちです。
その結果、一時的にKPI(DAU)は改善しますが、再離脱してしまい、すぐに元に戻ります。
離脱ユーザーを復帰させるにあたって、必ず次の要素をゲーム内外で用意するようにしましょう。
①復帰させるきっかけ(プレイモチベーション)× ②復帰させた後の遊び(継続モチベーション)
この2つをセットで考えて対策を行なってください。
実際のところ①しか、考えていない現場も多いのですが、くりかえしますが、100%再離脱します。
離脱させることは、ユーザーの期待を裏切る行為です。
そして、再離脱を繰り返すことで、そのゲームタイトルは、ただ苦しくなっていきます。
まとめ
今回の記事で重要なことをまとめてみました。
・離脱ユーザーと復帰ユーザーの特徴を理解する
・既存ユーザーを離脱させないことが最優先である
・自社タイトルにおいて離脱ユーザーを復帰させる意味があるのか考える
・見せかけではなく、離脱したユーザーを復帰させるために必要なことに踏み込む
復帰ユーザーを獲得することでDAU、MAUは改善できます。
しかし、見せかけの数字ばかりをおい続けることで、無駄なコストやリソースを割いてしまい
ゲーム事業の本質が見えなくなっているケースは多いので注意しましょう。