10個の失敗原因を事前に解決できれば日本市場での成功確度はあがります
こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。
最近、日本でも中国のゲーム会社が続々と日本国内でゲームアプリを配信しています。成功を収めるタイトルもあれば、実際のところ多くが失敗している現実があります。
なぜ、日本市場で成功を収められないのか?
さまざまな原因がありますが、その中でも特に代表的な10個の原因について絞ってご紹介します。
この10個の失敗原因を事前に防ぐことができれば日本市場での成功確率は高まります。これから日本市場でゲームアプリの展開を考えている中国のゲーム会社や、中国のゲームを日本で展開したい日本のゲーム会社がいましたら、ぜひ参考にしてください。
今回紹介する10個のケースは以下になります
・ゲームのローカライズ
・ゲームジャンル ・ゲームコンセプト ・インストール直後のコンバージョン ・カルチャライズ ・広告クリエイティブとゲーム内容の乖離 ・プロモーションクリエイティブ全般 ・マーケティング戦略なきHow思考先行 ・広告代理店選定 ・過度なパワープロモーションの依存 |
ゲームのローカライズ
中国向けに開発されたゲームを日本で配信する際に翻訳(ローカライズ)が必要になります。
ローカライズには原則として3つのプロセスがあり、いずれもスキップすることができません。
1次翻訳 | 中国語を日本語に直接翻訳する。いわゆる意訳であり、日本語として意味は伝わるけど違和感はある状態 |
2次翻訳 | 1次翻訳したものを日本語として自然に違和感なく、ゲームの場面にあった日本語に訳されている状態。多くのゲームはここで翻訳を終了している |
3次翻訳 | 2次翻訳をそのゲームの世界観にマッチするようにチューニングしながら翻訳する作業。キャラクター版権物ならそのキャラクターの言葉や世界観を踏まえての翻訳が必要。ユーザーに言葉を理解させるための翻訳ではなく、言葉を通してそのゲームの世界観やストーリー、背景を伝える翻訳 |
多くのゲーム会社が2次翻訳で翻訳作業を終了してしまいます。
中には1次翻訳のままゲーム配信してしまう会社もいますが、その場合、多くの日本人のユーザーからは「日本語がおかしくてプレイできない」という評価をもらうわけです。
そしてゲームとして成功を目指すなら3次翻訳は必須です。
例えば主人公キャラ、女性キャラ、キャラクターの設定の基づいた独特な言葉の言い回しが存在するわけで、それを踏まえて翻訳できないと日本のユーザーがプレイした際に違和感を覚えてしまうからです。
ゲームに没頭できない違和感はゲームの離脱につながります
しかし、多くの中国ゲームの移植にあたって3次翻訳までできているゲームは限られています。その理由は
「ゲームに必要な翻訳は一般的な翻訳と異なるため、ゲームを理解した翻訳者が必要だけど、実際に翻訳している人はゲームをよく理解していない」
といったことが大きな原因なのです。
また、3次翻訳において、キャラクターや世界観まで踏み込んだ翻訳をする場合、そのキャラクターに近いキャラクターが日本ではどのような言葉の言い回しをしているのか?
日本のアニメ、ゲーム、漫画に精通していないと違和感ない翻訳ができません。これは結構ハードルの高い翻訳業務になります。
ゲームジャンル
中国で開発されたゲームが日本で配信される場合に、とにかく同じゲームジャンルが多いことに気がつきます。これは中国で開発されたゲームゆえに、中国ユーザーの人気ジャンルが反映されてた結果と言えるでしょう。
・ストラテジー
・シミュレーション
・放置系ゲーム
など似たようなゲームジャンルが非常に多いのです。ゲームは嗜好性の高い商品であり、ゲームジャンルとは嗜好性そのものです。
ストラテジーゲームが好きな人は、ストラテジーゲームを好みます。積極的にパズルゲームは好まないのです。
となると、同じようなゲームジャンルが続々と配信されることで、それぞれのゲームの違いも区別できないので新作ゲームの存在も伝えにくくなりますし、ゲームジャンルは嗜好性そのものですから限られたユーザーをみんなで取り合っている状況になります。
ゲームコンセプト
中国で開発され日本で配信されるゲームは
とにかく三国志、美少女、擬人化といったコンセプトが多いことに気がつきます。三国志、美少女というコンセプトに限らずとも、ゲームコンセプトが非常に近いタイトルが多い傾向にあります。
ゲームジャンルに続き、ゲームコンセプトまで似てしまうと、先行タイトルは問題なくても後発タイトルは、先行タイトルとの違いを打ち出しにくく、ユーザーを振り向かせることが難しくなります。
インストール直後のコンバージョン
日本開発のゲームアプリでは少ないのですが、海外開発の一部のゲームの中にはゲームインストール直後に、ユーザー登録が必須なゲームが存在します。
すでにそのゲーム会社の会員登録をしている人ならまだしも
初めてインストールしたユーザーからすると、タイトル画面でユーザー登録をしなければならない瞬間にゲームから離脱します。
タイトル画面でユーザー登録をする時間をかけてもプレイしたいと思わせるゲームなら離脱しないかもしれませんが、多くのケースは日本市場においては完全新規タイトルであるため、ここを突破することができないのです。
その結果、アプリ起動率(=1day継続率)は高くても、ユーザー登録をしてタイトル画面を突破できないわけですから2day継続率が著しく下がります。
カルチャライズ
ローカライズをカルチャライズと勘違いしている人も多いのですが、配信する市場のユーザーのカルチャーにあわせたゲーム開発は必要です。
・ゲーム内における表現
・ゲームの使いやすさ
・グラフィックのトンマナ
といったゲームの基本的な部分に関わるものだけでなく、ゲームアプリ運営におけるイベント設計にもカルチャライズは必要です。
日本のゲームユーザーの多くは家庭用ゲームに慣れたユーザーであり、使いやすく、みやすいユーザーインターフェイスや、一定レベルを超えたゲームのグラフィックなどは
「あたりまえに、あるべきクオリティ」であり
そこから落ちるゲームは減点評価されてしまいます。
本気で日本市場で成功を収めたいのであれば、最低限の日本市場におけるカルチャライズは必要です。
広告クリエイティブとゲーム内容の乖離
日本のゲーム会社ではほぼ皆無ですが
一部の海外のゲーム会社の広告は、広告クリエイティブとゲーム内容が一致していないケースを度々見かけます。
これは単純に、その広告クリエイティブだとユーザーを獲得できるため実施しているわけですが、実際のところユーザーを獲得できても、広告クリエイティブとゲーム内容が一致せず、ユーザーの期待値を裏切ってしまうとユーザーはすぐに離脱してしまうため継続率が低く、コストをかけて広告で獲得した価値がなくなります。
これはユーザーを獲得することが目的になっており
ユーザーを獲得して事業を改善することが目的になっていない証拠です。
ゲーム内容と一致しない広告クリエイティブはすぐにやめるべきです。広告コストのROIの視点でも釣り合わないからです。
ゲームインストーリ後の平均的な継続率については下記の記事でも書いていますが1dayで50%程度離脱するのが平均値とされています。ゲームジャンルやコンセプトによっても変動しますが、50%を切ってくると何かしらゲーム内やユーザーの獲得方法に問題があるというわけです。
しかし、ゲーム内容と一致しない広告クリエイティブで獲得した場合は1dayが20%くらいまで落ちるケースがあります。50%と20%の差は
「インストールしたけど、広告で言っていた内容と全然違うじゃん」といったユーザーの落胆によるものと考えて問題ありません。
プロモーションクリエイティブ全般
仕事上、トロネコはさまざまなゲーム会社のWeb広告とかもチェックします。ここで言えるのは日本のゲーム会社に比べると、中国のゲーム会社のWebバナークリエイティブの品質が低い傾向にあるという点です。
すべての中国のゲーム会社のバナーデザインが低いというわけではありません。
ちゃんとできてる会社と、全くできていない会社のギャップが大き過ぎるという意味です。Web広告のクリエイティブ品質の差はSNS運用の画像クリエイティブにも見られます。
まずは、そのクリエイティブを許容して世の中に出してしまっている状況に問題があります。クリエイティブをチェックして問題ないレベルまで品質を引き上げる体制作りが必要です。
マーケティング戦略なきHow思考先行
中国のゲーム会社に限らず、ゲーム会社全般に言えることですが、マーケティング戦略がなく施策ありきのHow思考が先行してプロモーションをしているケースを多く見られます。
面白いアイディアは必要ですし、それ自体は否定しません。
でも、アイディア先行だけでは行き詰まってしまうのは紛れもない事実であり、ここを解決できるかが企業としての成長に影響してきます。
・そのコラボは面白そうだからやろう
・そのキャンペーンは楽しそうだからやろう
そういった「面白そう」「楽しそう」という考えだけで走ってしまうことはトロネコは嫌いではありません。でも必ず、そうやって走ってしまう側にストッパーとして、「なぜそれが必要なのか?」「どうすればもっと面白そうと思ってもらえるのか?」といった戦略思考で寄り添ってくれる人材がいるかどうかは非常に重要なのです。
広告代理店選定
中国のゲーム会社が最初に日本市場に参入するにあたって、日本市場のことを良く知らないため大手広告代理店に頼ってしまう、というのはよくある話です。
しかし、日本のゲーム業界で働いている人の多くはもう知っている通り
「インハウス(自社)で、マーケティングとかプロモーションとかやらないと結果がでない。外に丸投げしてもコストだけ出ていって結果にコミットしてくれない」
というのは紛れも無い事実です。
とはいえTVCMやメディアバイイングにおいて代理店は必要な存在です。問題なのは「適切な広告代理店の選定ができているのか?」「その選定を行うプロセスにおいてゲーム会社に目利き力はあるのか?」
というところです。
トロネコも様々な広告代理店とお付き合いをしてきましたが
・彼らが売りたい広告商材を売り込まれる
・ゲーム事業に対する圧倒的な知識とスキルが不足している
という事実は否めません。
日本のゲーム会社にはここを見極める目利き力がある人材が揃っていますが、ここを見極められないと、ただお金だけ使ってゲームは結果を出せずに終わってしまうケースが実に多いのです。
過度なパワープロモーションへの依存
物事がうまく行っている時は、失敗にも目を留めることなく
「どんどん、いけいけ状態」になりがちです。
その結果、うまく行っている時ほどパワープロモーションに依存しがちで、うまくいかなくなった瞬間に何も打ち手が取れなくなってしまいます。
かつて日本市場では、パワープロモーションだけで戦えた時代もありましたが、現在は市場状況からしても難しいですし、実際のところ結果がついてきません。
ただ、お金をかけても結果がついてこないという状況は日本のゲーム会社だけでなく、中国のゲーム会社も気づいています。
「別にお金をかけるな!」と言いたいわけではありません。どうやって、どこにお金をかけるのか、戦略に基づいた選択と集中ができているかは重要なのです。
まとめ
今回ご紹介した内容について、もっと詳しく相談したい!という方はLINEチャットで気軽に無料相談できる「トロネコのカベウチ」、もしくはメールにてご連絡ください。
というわけで今回はここまで!
みなさまのお役に立てればトロネコ幸せです。