【マーケ責任者向け】スマホゲーム広告KPI一覧|CPI・CPA・ROAS・LTVの見方と使い分け
スマホゲームの広告運用では、さまざまなKPIが使われます。
この記事では、スマホゲーム広告で使うKPIを一覧でまとめた上で、CPI・CPA・ROAS・LTVの違いと使い分けを解説します。

一方で、KPIを増やすほど判断は複雑になり、遅くなります。
大事なのは、指標を増やすことではなく、確認する順番を決めることです。
この記事では、広告KPIが広告運用だけで完結せず、ゲーム企画・開発・運営・事業判断までつながっているという前提まで整理します。
広告KPIはこの順番で確認する
広告KPIは、基本的に次の順番で確認します。
①十分な配信量が出ているか
・Spend
・Impressions
・Reach
②広告に関心を持たれているか
・CTR
・動画視聴指標(動画広告の場合)
③成果地点まで獲得できているか
・CVR
・CPI
・CPA
④広告費を回収できているか
・ROAS
・LTV
・回収期間
この順番で見ると、問題が配信量なのか、広告素材なのか、獲得なのか、回収なのかを分けて確認できます。
広告KPIは3つに分けて理解する

広告KPIは、大きく次の3つに分けて考えると理解しやすくなります。
①配信・反応
広告を届けられているか、関心を持たれているかを見る指標です。
②獲得
インストールや中間成果まで取れているかを見る指標です。
③回収
広告費を回収できているかを見る指標です。
この3つに分けるだけでも、会話のズレはかなり減ります。
①配信・反応を分析するKPI一覧
Spend(消化金額)
使った広告費
Impressions(表示回数)
広告が表示された回数。配信量を見る基本指標
Reach(リーチ)
広告に接触したユニークユーザー数
Frequency(フリークエンシー)
1人あたりの平均表示回数
Clicks(クリック数)
広告がクリックされた回数
CTR(Click Through Rate/クリック率)
表示回数に対してクリックされた割合
計算式:CTR = Clicks / Impressions
※CTRが落ちたときは、広告素材だけでなく配信先や表示回数も確認する
CPC(Cost Per Click/クリック単価)
1クリックあたりの費用
計算式:CPC = Spend / Clicks
CPM(Cost Per Mille/表示単価)
表示1,000回あたりの費用
計算式:CPM = Spend / (Impressions / 1000)
※競合が強い時期は上がりやすくなる
動画広告を分析する主なKPI一覧
・視聴数
・VTR(動画視聴率 ※媒体定義に従う)
・視聴完了率
・CPV(Cost Per View/視聴単価)
動画広告は、最初の数秒で離脱されるかどうかが重要
素材比較は、同じ配信条件で行う
②獲得を分析するKPI一覧
Installs(インストール数)
インストール数です。獲得量を見る基本指標
CVR(Conversion Rate/コンバージョン率)
ここでは、クリックからインストールに至った割合を指します。
計算式:CVR = Installs / Clicks
CVRが低い場合は、広告だけでなくストア側の要因も確認します。
CPI(Cost Per Install/インストール単価)
1インストールを獲得するための費用
計算式:CPI = Spend / Installs
※CPIはよく使われる指標ですが、悪化したときはCTRとCVRに分けて確認する。
CPA(Cost Per Action または Cost Per Acquisition/成果単価)
ゲーム内で設定した成果地点を1件獲得するための費用
例:
チュートリアル完了
会員登録
初回課金
特定機能の解放
計算式:CPA = Spend / Conversions
※CPAは、何を成果地点に置くかで意味が変わるため、成果地点を必ず明確にする
CTI(Click to Install)
クリックからインストールに至った割合
実務ではCVRとほぼ同じ意味で使われることがある
イベントCVR
インストール後の中間成果までの到達率
例:
Install → Tutorial Complete
Install → Register
インストールは取れているのに、その後が弱いときに確認する
③回収を分析するKPI一覧
Revenue(広告経由売上)
広告経由ユーザーから発生した売上
ROAS(Return On Ad Spend/広告費回収率)
広告費に対して、どれだけ売上を回収できたかを見る指標
計算式:ROAS = Revenue / Spend
※D1、D7、D30のように、期間も合わせて確認する。期間が違うと比較できない
LTV(Lifetime Value/顧客生涯価値)
ユーザーが一定期間で生む売上、または利益
例:
D30 LTV = D30 Revenue / Installs
または
D30 Revenue / Users
※分母と売上範囲をそろえて使う
※IAPのみか、広告収益込みかでも数字は変わる
※IAPはIn-App Purchaseの略、アプリ内課金のこと。ゲームによって、IAPのみで見る場合と、アプリ内広告収益を含めて見る場合がある。
Payback Period(回収期間)
広告費を回収するまでに何日かかるかを見る考え方
※回収が遅いタイトルでは、短期ROASだけで判断すると判断を誤ることがあります。
クリエイティブ評価で確認する指標
広告運用では、素材ごとの差が結果に直結しやすいため、素材単位でも確認します。
主に確認する指標
・クリエイティブ別CTR
・クリエイティブ別CVR
・3秒視聴率などの冒頭視聴指標
・視聴完了率
あわせて、次のような変化も見ます。
・Frequencyの上昇
・CTRの低下
・CPMの上昇
この組み合わせは、広告素材の効果を分析するための材料になります。
ここまでがKPI一覧です。
ここから先は、その数字をどう使うか、間違えやすい点も解説します。
CPI・CPA・ROAS・LTVの使い分け
CPIは獲得の入口を見る
CPIは新しい媒体や新しい広告素材の初期判断で使います。
ただし、CPIが良くても費用が回収できていなければ意味がありません。
CPAは成果の質を分析する
CPAはインストールは取れても、その後に進まない、課金しないという問題を見つけるときに使います。
チュートリアル完了のような中間成果を置くと判断できます。
ROASは費用の回収を分析する
ROASは予算の増減判断で中心になりやすい指標です。
D7なのかD30なのか、比較する期間をそろえて見ます。
LTVは許容CPI・許容CPAの前提になる
LTVが変われば、取れる広告単価の上限も変わります。
ROAS判断の背景になる指標です。
ROASとLTVは役割が違う
ROASを成果指標の中心に置くのは便利ですが、ゲーム事業全体の判断軸としては判断を間違える場合があります。
ROASは、広告費をどの期間でどれだけ回収したかを見る指標です。
一方で、ゲーム事業は、特に運営型タイトルでは、ユーザーが長く遊ぶことを前提に時間をかけて回収する設計になっています。
そのため、現場では次のようなズレが起きます。
・開発、運営側はD180 LTVやその先で成立させたい
・事業側は最終的に利益で見たい
ROAS、LTV、ROIの違い|3層に分けて使いこなす必要がある

ROAS、LTV、ROIといったKPI指標はそれぞれ使い分ける必要があります。
①ROASは広告運用の管理指標
ROASは、媒体、予算、クリエイティブの判断に必要です。
ただし、広告費回収の途中経過を分析する指標なので、これだけを最終成果にすると短期回収になりがちです。
②LTVはタイトル設計の指標
LTVは、継続率、課金タイミング、回収構造など、ゲームそのものの力を見る指標です。
ゲーム事業の本質には近いですが、長期になるほど予測数値になりがちで精度に課題があるため、日々の広告運用には使いにくいKPIです。
③ROIと利益は事業の最終指標
ROI(Return On Investment/投資利益率)は、投下した費用に対して最終的にどれだけ利益を出せたかを見る考え方です。
最終的に会社が事業として知りたいのは、儲かるのか、損するのか、今期利益にどう貢献するかという点です。
ROIは最終判断として重要ですが、日々の広告運用にはそのまま使いにくいKPIです。
ROASとLTVにおけるよくある間違い
よくある間違いとして多いのは、短期ROASで長期LTV型タイトルを評価することです。
初月は弱くても、継続率が高く、90日、180日で費用を回収していくタイトルは普通に存在します。
このようなゲームをD30 ROASだけで広告運用を停止すると、タイトルの収益構造に合った獲得ができない場合があります。
一方で、長期LTVを過度に意識しすぎて、広告費の回収を無視するのもリスクがあります。
KPIは現場に合わせて役割を使い分ける
実際の現場では、1つの指標だけで全部を決めない方が安全です。
次のようにレイヤーごとにKPIを使い分けます。
広告運用レイヤー
CPI
CPA
D7、D30 ROAS
タイトル評価レイヤー
D90、D180 LTV
継続率
課金率
ARPPU
広告費の回収期間
事業判断レイヤー
ROI
粗利
広告費の回収総額
今期着地への影響
ポイント
ROASは運用管理に必要
LTVはタイトル設計に必要
しかし、最終判断はROIや利益で判断する
この分け方にすると、判断を分けて行えます。
広告のゴールKPIは広告部門だけで決めない(重要)
ここまで様々な広告KPIを紹介しましたが、実際のゴールKPIは広告視点だけで決めてはいけません。
理由は、ROASやLTVが広告だけで決まる数字ではなく、ゲームの設計やユーザー属性で大きく変わるからです。
たとえば、
・女性向けゲームと男性向けゲームでは、課金モチベーションや継続モチベーションが違う
・コアゲーマー向けとライトユーザー向けでは、許容できる費用の回収期間も違う
これらゲームの中身によるKPIの特徴や違いを無視して、広告側だけでD7 ROASやD30 ROASをゴールに置くと、タイトルに合った獲得ができなくなります。
よって、広告KPIは、広告部門だけで決めず、開発、運営、事業側と前提を揃えて決めることが重要です。
・どこでゲーム内課金がされるのか
・どんな期間で広告費を回収するゲーム設計なのか
・何をもって「良いユーザー獲得」とするのか
ここを整理して共通認識を持ってはじめて、CPI、CPA、ROAS、LTVの定義と置き方が決まります。
よくある間違い
①CPIが良い(CPI単価が低く獲得できている)=広告が良いと決めてしまう
CPIはインストール単価です。
安く取れていても、ゲームをプレイしない、起動しない、チュートリアルをクリアしない、課金しない、継続プレイしないなら、良い獲得とは言えません。
CPIはユーザー獲得を判断する指標ですが、これだけで判断はできません。
②CPAの成果地点が曖昧
CPAは便利ですが、何を成果地点にするかで意味が変わります。
会員登録CPA、チュートリアル完了CPA、初回課金CPAなど、設定によって様々なCPA指標が定義できます。
よって、成果地点を整理せずにCPAというだけで比較すると判断を誤ります。
③ROASとLTVの違いが曖昧
ROASは、広告費に対してどれだけ売上を回収できたかを見る指標です。
LTVは、1ユーザーが一定期間でどれだけ売上を生むかを見る指標です。
ROASは費用の回収判断向けであり、LTVは許容CPIや許容CPAを考える前提になります。
④ROASだけで早く止める
広告費の回収に時間がかかるゲームなのに、D3やD7だけで広告を停止すると、D7以降でゲーム内課金するユーザーの獲得をとりきれないことがあります。
ROASは、そのゲームごとの課金モチベーションと課金地点における広告費の回収速度に合った期間設定で判断する必要があります。
⑤LTVを万能指標として扱う
LTVは重要な指標ですが、D30なのかD90なのか、IAPのみか広告収益込みか、分母がInstallsかUsersかで数字が変わります。期間、分母、売上範囲をそろえて使う必要があります。
⑥CTRが低い=素材が悪いと決めてしまう
CTR低下の原因は素材だけではありません。
配信先のずれ、フリークエンシーの上昇、入札環境の変化、クリエイティブ素材の鮮度低下でも変動します。
CTRが落ちたら、素材と配信面をセットで確認しましょう。
⑦CVRが低いのに広告だけ修正する
クリックは取れているのにインストールされないなら、原因はストア側にあることも多いものです。
ストアのスクリーンショットで内容が伝わらない、評価レビューが低い、ゲーム内容の訴求軸やずれているといったケースが考えられます。この場合、広告だけ直しても状況は改善しません。
⑧指標ごとの役割を混同する
CPIはユーザー獲得の入り口
CPAは成果地点まで進む質
ROASは広告費の回収
LTVは1ユーザーあたりの売上を見る指標です。
一見似ていても見ている場所や判断軸が違います。
広告KPIはゲームの企画開発段階から決まる

ここからはさらに本質に踏み込んだ話をしていきたいと思います。
事実として
広告KPIは広告運用の現場だけで決まるものではありません。
どんな課金構造か
どのくらいの期間で広告費を回収する設計か
こうした前提は、企画段階や開発段階から始まっているのです。
つまり、広告KPIは広告部門だけの管理指標ではなく、ゲーム設計の結果でもあります。
たとえば、三国志ゲームとパズルゲームでは、ユーザー属性、課金タイミング、広告の回収期間も異なります。
さらに、女性向け、男性向け、コア向け、ライト向けユーザーでも違います。
つまり本質的には
企画 → 開発 → マーケ → 広告運用
これらがつながった状態でKPIを定義する必要があります。
企画段階でコンセプトが決まれば、ターゲットユーザーもかなり絞られます。
その時点で、許容できる獲得単価や、見るべき回収期間の目安もある程度決まってきます。
しかし、実際は
・マーケは訴求を考えるだけ
・広告運用は目先の数字を見るだけ
といったように各セクションは分断されています。
広告で、ただ短期的にユーザー獲得を目指しているだけの現場も多く、その結果、事業としての売上や利益につながっていないことも多いのです。
広告担当が広告運用を始める前に、勝敗の前提がかなり決まっていることも多いのです。
広告KPIを分析する上で最低限そろえること
広告KPIを分析する上で、最低限、次はそろえるようにしましょう
クリック起因か、ビュー起因か
クリックして入った成果なのか、広告を見ただけで後から入った成果なのかで、数字の見え方が変わります。
計測範囲と期間
たとえば、クリック7日、ビュー1日など、どの期間まで成果を広告に紐づけるかの設定が重要です。
ここが違うと、同じ媒体でも数字が変わります。
計測制約(SKAdNetwork)
SKAdNetworkは、Appleが用意している広告計測の仕組みです。
通常の計測より制約が多く、見えるデータの粒度や速度が変わります。
MMP上のイベント定義
MMPは、AppsFlyerやAdjustなどの計測ツールです。
その中で、何を成果イベントとして計測するかを決めます。
たとえば、チュートリアル完了をCPAの成果にするのか、初回課金を成果にするのかで、数字の意味が変わります。
これらの前提がそろっていないと、CPI、CPA、ROASは比較できません。
まとめ
ここまで、スマホゲーム広告で使うKPIを、配信・反応、獲得、回収の3つに分けて解説してきました。
この考え方はゲーム事業だけのものではありません。
ユーザー獲得を行うアプリ、Webサービス、SaaS、サブスク型サービスなど、広告運用を行う事業であれば同じように使えます。
一方で、ゲーム事業では特に、広告KPIを広告部門だけで決めていることが多く、ゲーム事業全体から見るとズレが生じるケースがあります。
なぜなら
どのくらい遊ばれる設計か
どこで課金される設計か
どのくらいの期間で投資を回収できるか
これらはゲームの企画や開発の段階から広告運用まで1本の線でつながっているからです。
つまり本来必要なのは、
ただ広告の数字を見るだけではなく、
ゲーム企画、開発、運営、事業判断と連動して広告KPIを設計、運用することです。
多くのゲーム会社では、ここが組織や役割ごとに分かれてしまっています。
なので、広告運用でユーザー獲得はできているのに売上や利益への貢献が見えにくいのです。
この断絶を埋めて
・どのユーザーを取るべきか
・どこを成果地点に置くべきか
・D7、D30、D180のどこで判断すべきか
・広告、運営、事業の数字をどうつなぐか
これら全体設計を含めて考えるのが、私、トロネコの役割です。
・自社の広告KPIが多すぎて判断が遅い
・CPI、CPA、ROAS、LTVのどれを軸にするべきか決めきれない
・成果地点の設計が合っているか分からない
・マーケと運営、事業側で見ている数字が噛み合っていない
・ゲーム企画、開発、広告運用が分かれていて意思決定が合わない
といった課題がある場合はご相談ください。
壁打ちや相談相手としてはもちろん、KPI設計、広告運用の見直し、判断基準の確認まで含めてサポートします。興味がありましたら以下よりご相談ください。

