【全公開】マーケティング戦略フォーマット1.00|マーケティング戦略の作り方を解説します
こんにちはトロネコです。
家庭用ゲーム、PCオンラインゲーム、スマホゲーム問わず
ゲーム事業において大切な「マーケティング戦略の作り方」について解説します。
今回は誰でもマーケティング戦略が作れるように
実際にトロネコが使っている「マーケティング戦略フォーマット」を公開します。
これは20年以上にわたって、家庭用ゲーム、スマホゲームのマーケティングをやってきたトロネコが実際にマーケティング戦略を作るにあたって求められる要素を集約したフォーマットです。
これに基づいてマーケティング戦略を作成していただければ
ゲーム事業の戦略策定において無駄なく、必要かつ十分な内容をカバーできます。
マーケティング戦略の策定における課題
ゲーム会社に限らず、あらゆる事業会社で働いていると感じることがあります。
それは
マーケティング戦略のフォーマットが統一されていない
ということです。
担当者ごとに、それぞれ独自のオリジナリティ溢れるマーケティング戦略が作られるため
マネージャーや事業の決裁者は判断に困りますし、決裁会議において論点が明確になりません。
もちろん、ここに課題を感じて「マーケティング戦略フォーマット」を統一している企業もありますが、
そもそも、自社で作られた「マーケティング戦略フォーマット」が適切でなく戦略シートを作ることが目的になっているケースも多いのです。
なぜなら「マーケティング戦略フォーマット」を作成した人が
実際にマーケターとして実務を理解し、何が重要なのか?本質的なことを理解していないケースが多いからです。
「マーケティング戦略のフォーマットが統一されていない」ことによって
何が本質で、論点として、議論すべきか?
何をもとにジャッジすべきか、不明確であるため、事業として適切な判断ができないことも問題ですが
それ以上に問題なのは
マーケティング担当が自身の担当タイトル、商材のマーケィング戦略を作る上で
マーケティング戦略のフォーマットを暗中模索の中で作成することに時間がかかってしまい
肝心の戦略の中身が何も存在しないケースが多いのです。
マーケティング戦略資料の自分ながらのオリジナルフォーマットを作ることで時間がかかってしまっているマーケティング担当者は多いものです。
また、皆さんも経験があると思いますが
パワーポイントによる何十ページにおける資料を「マーケティング戦略」として説明されたところで
もはや、それは自己満足の資料作成行為以外の何物でもありません。
(1時間かけて何十ページのパワポを説明されても、何が何だかよくわかりませんよね)
このような状態を改善するために
トロネコは20年以上のマーケターとしての経験をもとに
必要かつ十分な内容として、実際にマーケティング戦略を作るにあたって求められる要素を集約したフォーマットを今回、公開し、使い方について解説します。
これに基づいてマーケティング戦略を作成していただければ
ゲーム事業の戦略策定において無駄なく、必要かつ十分な内容をカバーできます。
もう、マーケティング戦略のフォーマットをその都度作る必要はありません。
それって時間の無駄です。トロネコの資料を全部パクってしまってください。
なぜ、マーケテイング戦略が必要なのか?
「マーケティング戦略フォーマット」の使い方を解説する前に
なぜマーケティング戦略が必要なのか?
その理由について整理しておきましょう。
なぜなら、マーケティング戦略すら存在しない、マーケティング戦略を重視しない企業が世の中には存在するからです。
一方で、マーケティング戦略を重視して、そこに時間をかける企業も存在します。
両者の違いは説明する必要もありませんが
事業を成功させるためには「マーケティング戦略」なきでは話になりません。
その理由は以下に集約されます。
マーケティング戦略とは
・誰と
・どのように
戦うことで、事業としての成功率を上げるか
これを明確にすることです。
(マーケティング戦略はこれを明確にするために作ります)
これを明確にせず戦うことは、負け試合に戦いを挑むようなものです。
極端な例を挙げてみましょう。
戦略なき事業とは
あなたは今夜の夕食はマグロの刺身を食べたいのに、海にいかず、湖でルアー釣りをしているようなものです。
もしくは
南の島で休暇を過ごしたいのに、北海道行きの飛行機に乗っているようなものです。
「そんなことはあるわけない」
と思われるかもしれませんが、マーケティング戦略なき多くの事業において
全く的外れの場所で、間違った相手と、間違った戦い方をしています。
マーケティング戦略とは
・どこで
・誰と
・どのように
戦うことで、事業としての成功率を上げるか
これを明確にすることです。
ここを明確にすることで、勝率は上がりますし、致命的な失敗は確実に回避できます。
そして、
マーケティング戦略がしっかり作れても、この世界において100%の勝利は保証されませんが
しっかり作られたマーケティング戦略のもとで実行されたアクションによる結果から、多くのことを学ぶことができます。
そして、そこからの学びを活用することで
進んでいる道は限りなく「成功の道」に近づいていきます。
マーケティング戦略策定における典型的な間違い
トロネコもこれまで幾度となく「マーケティング戦略の作り方」というものを皆さんにレクチャーしてきました。
その中でよくある典型的な間違いは、ほぼ下記で集約されます。(これ本当です)
・マーケティング戦略を作ることが目的になっている
・誰かを説得、納得させるためのマーケティング資料作りになっている
そもそも、資料というものは
誰かを説得させるための手段だったり、または自己満足に陥りがちです。
しかし、イメージしてみてください。
もし、あなたが社員がいない、一人社長で
自分ひとりで戦略を決めて、事業の判断をしなければならないとしたら
マーケティング戦略とは資料というものは誰かを説得させるための手段だったり、
または自己満足として作成するものではないことに気付くはずです。
戦略を間違えれば、あなた一人しかいない会社は倒産してしまうかもしれません。
マーケティング戦略とは、あなたの事業を成功させるための、あなたのための「事業を成功させるための戦い方」なのです。
これはゲーム会社のような大企業においてもいえます。
あなたはマーケティング担当者として、マーケティング戦略を作るわけですが、それは
マーケティング戦略とは資料というものは誰かを説得させるための手段だったり、
または自己満足として作成するものではありません。
あなたの事業を成功させるための「戦い方」を決める行為です。
そう考えると
・マーケティング戦略シートを穴埋めすることが目的になっている
・マーケティング戦略を作ることが目的になっている
・誰かを説得、納得させるためのマーケティング資料作りになっている
といった状態は、ありえない話です。
ここに気づけるかが、マーケターとして結果が出せるかの分かれ道になります。
マーケティング戦略フォーマットv1.00公開
前置きが長くなってしまいましたが、ここからトロネコが実際に使っている
「マーケティング戦略フォーマットv1.00」の使い方について解説します。
全体概要
まずは「マーケティング戦略フォーマット1.00」の全容をご紹介しましょう。
下記がマーケティング戦略に必要な構成内容の全てです。
これをゲームタイトルやサービス、商品ごとに作るだけでマーケティング戦略は完成します。何十ページによるパワーポイントは無意味なのです。
この内容で必要なものは網羅しています。これ以外に必要だと感じたらな、それは別添資料として追加してください。
でも、この事業を成功させるための「論点」や「大切なこと」はこのシートに全部集約されています。
マーケティング戦略として、この内容で全て網羅でき、事業を成功させるための論点について検討するには充分です。
各項目を解説する前に重要なことは
この「マーケティング戦略フォーマットv1.00」は上から下に向かって順を追って作るということです。
「中盤や終盤を作ってから、上に戻って作る」
ということは絶対にしてはいけません。
必ず、上から下に向かって順番に作っていきます。
①事前整理
↓
②最重要検討事項
↓
③マーケティング戦略策定
↓
④プロモーション策定
④を作ってから、③→②→①を作っては行けません。逆流はNGです。
もし、あなたが①→②→③→④の順番で作ることができないなら、
その作業は結論ありきの行為であり
あなたの思考が「マーケティング戦略を作ることが目的になっている」証拠です。
そして穴埋め作業ではなく、考えてください。
順を追って作成するということは前後の項目が相互関係としてつながっていなければなりません。
いったん上から下に向かって一通り考えて、何度も見直してください。
また、作成したら誰かにプレゼンして、意見をもらうのは効果的です。
「マーケティング戦略フォーマット1.00」各パート解説
「マーケティング戦略フォーマット1.00」の4つのパートについて解説しましょう。
文章では解説しきれない部分もありますが、その場合はトロネコまでご相談ください。(当記事の最後にご相談の宛先について記載があります)
①事前整理
自社のゲームやサービスを成功させるためのマーケティング戦略や、その戦略に基づいたプロモーション施策を導き出す上で、必ずやらなければならないのは「①事前整理」です。
次のような観点で事前整理をします。
・市場把握
└市場規模:どのくらいのマーケットがあるか?どのくらい儲かるか?上限は?
└競合:マーケットの中で奪い合う直接競合となるゲームは?商品は何か?
└トレンド:世の中の流れはどのように変化しているか?
市場調査、ユーザーインタビュー、過去データなど、あらゆる手段を使って市場を把握します。
例えば、あなたが開発している新作ゲームのコンセプトが「RPG×放置×美少女」という組み合わせならば、そのコンセプトの中で「市場規模」「競合ゲーム」「今後のトレンド」を洗い出します。
ここで重要なのは、あなたの都合のいいように希望的観測で洗い出しては行けません。
右側のセルをご覧ください。
以下の時間軸で各項目を洗い出すのです。
過去 | 過去のデータ、アンケート、他社実績などから分析できるもの。過去に実際に起こった事実なので、分析の精度は極めて高くなります。 |
現在 | 過去に起こったことは置いておくとして、それを踏まえて「今、現在、何が起こっているのか」。過去(1年前)は競合ゲームだったけど、現在はどうなのか?今を整理します。 |
未来A | 実際にゲーム開発するには数年かかります。多くの人は「過去」と「現在」だけで状況把握しようとしますが、本当に大切なのはゲームが発売されるであろう「未来」を分析することです。「過去」と「現在」から推測される「ゲーム発売時点にありえるであろう未来」を整理します。 |
未来B | 分析は必ずしも100%正しいとは限りません。世の中は常に変化しています。「未来A」以外の別の未来である「未来B」という別の世界線も整理します。ここを事前整理できると、想定外の事態が発生した時の「プランB」を用意できる「④プロモーション策定」につながります。 |
「市場把握」が整理できたら、そこに売り込もうとしている自社の商品を整理します。
ゲームの場合は、想定される「市場」に対して、そのゲームを売り込むわけですが、「強み」「弱み」「機会」「脅威」という4つの項目で、自社の開発中のゲーム(もしくは発売済、またはオンラインゲームなら運営中のゲームでも構いません)
いわゆる自社の商品のSWOT分析をここで整理します。
・自社把握
└強み(Strengths):自社タイトルやリソースにおける強み、競合タイトルからユーザー獲得するための武器となり得るもの
└弱み(Weaknesses):自社タイトルやリソースにおける弱み、競合タイトルとの戦いにおける弱点
└機会(Opportunities):自社タイトルのヒットへの貢献が期待できる市場的要因
└脅威(Threats):自社ではコントロール不可、自社タイトルへ影響する想定される危機
ここまでの流れで
「市場把握」→「SWOT分析」を行なっています。
市場に対して自社の商品がマッチしているか、マッチしていないかもここで確認できますし、マッチしていないなら、どうすればいいのか?
ここまでで、このプロジェクトを成功させるために最も検討すべき重要事項が整理できます。
②最重要検討事項
「②最重要検討事項」とは、「①事前整理のまとめ」みたいなものです。
「①事前整理」がしっかりできていれば秒速で、「②最重要検討事項」は算出できます。もし秒速でまとまらないなら、「①事前整理」ができていない証拠です。
もう一度、「①事前整理」に戻って見直してみましょう。
③マーケティング戦略策定
ここから、いよいよ「③マーケティング戦略策定」に入っていきます。
「①事前整理」「②最重要検討事項」が導き出せていれば、「③マーケティング戦略策定」はそこまで難しいものではありません。
「③マーケティング戦略策定」では
目的
↓
目標
↓
課題
↓
戦略
といった順番で作成します。この作成の順番も固定であり、逆流して作ることはできません。
各項目は次の観点に基づいて作成します。
目的 | 最終的にこのゲームタイトルで達成したいこと。ゴール、または達成できた状態のイメージ | ||
目標
|
定量 | 目的を数字で表現したもの。売上、利益、それらを構成する各種KPIなど | |
定性 | 目的を状態で表現したもの。ユーザー感情、クチコミ、世の中へのインパクト | ||
課題 | 目標を達成する上でのハードルになるもの(ハードル=課題がクリアされれば目標→目的が達成される) | ||
戦略
|
Who_誰に
(≒ペルソナ) |
年齢/性別/職業 | 課題をクリアして、目標を達成するためのターゲットユーザーの属性 |
趣味/嗜好/行動特性(接触媒体) | |||
可処分所得/可処分時間 | |||
現在メインで遊んでいるゲーム | |||
What_何を | 課題をクリアして、目標を達成するためにターゲットユーザーに届けるもの(≒訴求軸/戦略方針/コミュニケーションメッセージ) | ||
How_どうやって | 課題をクリアして、目標を達成するための方針(≒戦い方/勝機をあげる方法) |
もし、これらが出てこない、思考が止まってしまうパートがあるなら、「①事前整理」における市場調査やデータ整理や、未来予測が不十分なのです。
これら項目は右のセルにあるように「配信前」「短期」「中期」「長期」といった時間軸でまとめます。
なぜなら、時間経過とともにターゲットユーザーも変化しますし、目的、目標、課題、戦略も変化するからです。
時間経過しても、全く同じということは100%ありません。
目的→目標→課題→戦略
という流れを考える上で「課題」に最も時間がかかります。課題をクリアのするために「戦略」が存在します。
間違った課題を洗い出してしまうと、この後の戦略が間違ってしまい、さらに「④プロモーション策定」も間違ったものを導き出してしまいます。
よって、とにかく「課題」の捻出に時間を割いてください。
トロネコの場合は「課題」の算出にかなりの時間を割いています。
④プロモーション策定
「③マーケティング策定」が作れれば、「④プロモーション策定」は簡単に作ることができます。
世の中にはアイディアマンみたいな人がいますが、そんなアイディアマンの能力を活用しましょう。
ただし、アイディア先行にならないように、「③マーケティング策定」に基づいた「④プロモーション策定」を作成します。
さらに
これら項目は右のセルにあるように「配信前」「短期」「中期」「長期」といった時間軸でまとめます。
時間経過とともに「戦略」も変化するという話をしましたが、「戦略」が変化すれば、それに基づいたプロモーションも変化するからです。
今回の「①事前整理」「②最重要検討事項」「③マーケティング戦略策定」「④プロモーション策定」といったプロセスを含む、ゲーム事業において必要な「マーケティングリスト」を「トロネコのゲームマーケティング100リスト」として公開しています。
こちらも合わせてご覧ください。
ゲーム企画から発売、配信まで必要なマーケティングに関わるタスクを時間軸でまとめていますので、チェックリストとして使って頂くだけでも、マーケティングの精度アップが期待できます。
マーケティングフォーマットの使い方を動画でも解説しています。
お時間のある時にでもご覧ください。
御社の「マーケティング戦略」をトロネコがサポートします
最後に、もし、マーケティング戦略をちゃんと作り、事業の成功率を高めたいと思われていましたらトロネコまでにご相談ください。
多くのゲーム事業、ゲームだけでなくさまざまな事業において、適切にマーケティング戦略が作られていないケースが多く、整理するだけでも大きく事業を改善することができます。
例えば、トロネコがみなさんの事業を分解してマーケティング戦略を作ることもできますし
または、皆さんと一緒に議論しながら作ることもできます。
また、自社でオリジナルの「マーケティング戦略フォーマット」を作りたいなら、今回のフォーマットをベースに一緒に作ることもできます。
ゲーム会社によって事業における「観点」はさまざまです。
よって、みなさんの会社の仕組み、環境、カルチャー、商品を踏まえた上で「マーケティング戦略フォーマット」をカスタマイズすることで、さらに事業の成功に貢献することができます。
自社のマーケティング戦略をなんとかしたい!
事業の成功率を上げたい!
と考えている企業様がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽にトロネコまでご相談ください。
というわけで今回はここまで