ネット生放送番組ってゲームプロモーション効果あるの?【KPIに効くネット番組設計方法】

宣伝・プロモーション

こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。

コロナウィルスの影響もあり、ゲーム業界もリアルイベントが延期、中止となり、担当されている方は大変な状況かと思います。

そこで、今後、オンラインによる施策を考えているマーケターも多いと思いますので、今回はネット生放送番組施策におけるプロモーション効果や、その設計方法についてお話します。

結構、深く掘り下げていますので、ぜひネット番組施策を検討している方の参考になれば幸いです。

【目次】
・ネット生放送施策の目的と効果整理
・ネット生放送番組の限界
・ネット生放送番組の伝え方
・KPIに効くネット生放送設計のヒント
・ネット生放送番組施策において考えて欲しいこと

ネット生放送番組の目的と効果整理

まず最初にネット生放送施策の目的について整理しておきましょう。

なんとなく、賑やかし施策として実施しているような場合は、目的を整理することでもっと施策効果を高められます。

各ユーザーごとに設定する事で、ネット生放送施策の目的をより鮮明にすることができます。目的設定はタイトルごとで変わってくるので、ぜひ皆さんで議論してみてください。今回は、一般的な目的設定で書いてみました。

・既存ユーザー

【いま】この瞬間を満足させ
【未来】短期(来週)、中期(1か月)長期(3か月以上)の時間軸において期待を持たせ離脱させず、プレイしてもらい続ける動機付けを行う。

・復帰ユーザー

【いま】離脱した原因を解決し、この瞬間に復帰してもいいと思わせ
【未来】短期(来週)の時間軸において期待を持たせ、プレイしてもらい続ける動機付けを行う。

・新規ユーザー

【いま】この瞬間にプレイしたいと思わせ
【未来】短期(来週)の時間軸において期待を持たせ、プレイしてもらい続ける動機付けを行う。

ポイントはターゲットユーザーごとに、アクションさせる時間軸が違う点です。こんな感じターゲットごとにまとめられると目的が明確になります。

ネット生放送番組の限界

ところで、ネット生放送番組としての限界として次のようなものがあります。

「全方位で、全員を満足させられる番組はつくりにくい」
「全方位で満足させることは100%不可能ではないけど、番組の軸が定まりにくくなるのですべての視聴者を十分に満足させられない」(不満に感じるユーザーが必ず出る)

という点です。これってどういうことかというと

・既存ユーザー
・復帰ユーザー
・新規ユーザー

それぞれで、興味を惹く番組内容が異なるためです。そして、その内容は各ターゲットごとで相反します。

わかりやすい例をあげると、

「既存ユーザー」はより濃いゲーム内容が知りたいけど新規ユーザーは濃い内容を伝えても伝わらない(理解できない)という点があげられます。

時折、全方向でユーザーを満足しようとさせるネット番組をみかけます。欲張りすぎる気持ちも分からなくはないのですが、各ユーザーのニーズをすべて満たすのは至難の業です。

特に既存ユーザーと、復帰、新規ユーザーのニーズは相性が悪いので、既存ユーザーに振り切るか、新規復帰ユーザーに振り切って既存は諦めるかといった設計の割り切りが必要です。

ネット生放送番組の伝え方

実際にネット生放送番組を実施しても、その存在をターゲットユーザーに伝えて見てもらわないと意味がありません。

せっかくターゲットユーザー向けに番組を制作したのに、ターゲットユーザーが番組の存在を知らないまま、というケースが本当に多いのです。

当たり前の話ですが、番組の存在を知ってもらうための「導線」もセットで設計する必要があります。ネット番組は作れたけど「導線」が全然作れていない状態は回避する必要があります。

そこで各ユーザーごとにネット番組視聴に繋がる有効な「導線」について考えてみましょう。

・既存ユーザー

ゲーム内から導線をつくる(お知らせ等から導線を張る)のが有効です。

・復帰ユーザー

辞めてしまったユーザーと連絡が取れる手段を使用します。公式Twitter、LINE、ゲームアプリプッシュで伝える、ゲームのアプリアイコンを変える、といった既存資産を活用する方法がまず考えられます。

またデジタル広告でトラッキング追跡できるなら、デジタル広告出稿も手段のひとつです。

・新規ユーザー

まだインストールしていないユーザーに伝えるわけですからデジタル広告は有効な手段です。しかしネット番組視聴のために高額なデジタル広告出稿をしても効率が悪いため、Twitterを使った広告など低単価で、かつ拡散力のある仕掛けが現実的です。

また単体広告でネット番組告知をせず、大型プロモーションの一部として位置付けることで、伝達力の最大化を図る方法もあります。具体的には1周年施策の一連のプロモーションの中で繰り返しネット番組の存在を訴求するなどの方法です。

これ以外にも様々な伝達手段はありますがネット生放送番組を実施するときは必ずターゲットユーザーに対する視聴訴求を必ず忘れず設計しておきましょう。

KPIに効くネット生放送設計のヒント

ここからは、ネット生放送を実施する上での効果的なテクニックの話です。参考になるテクニックがあればぜひ取り入れてみてください。

・ネット生放送中はゲーム運営をメンテナンスにする

これはぜひ検討して欲しい有効な方法です。
なぜならゲームができない状態を作ることで既存ユーザーはネット番組を観るしかなくなるからです。メンテナンス状態にして、ゲームを起動するとポップアップでネット番組のURLに誘導できれば既存ユーザーを確実に視聴誘導できます。

毎月長期メンテナンスの日は「ネット生放送の日」としてしまうのもアリです。「ネット生放送の日」をという認知を既存ユーザーに定着できれば特別な「導線」を用意しなくても、集客しやすくなります。

一方で絶対にやってはいけないのは、ネット番組中にゲーム内で重要なミッションやクエストを同時進行させる方法です。

張り付いてゲームプレイしなければならない状態では、ネット番組を観ている余裕はありませんし、このような施策の重複はゲーム運営側として矛盾しておりユーザーの不満につながります。

「そんなことするわけないじゃないですか!」

という指摘を受けるかもしれませんが、いや実際にそういう事があったので、要注意です。

・ターゲットユーザーの細分化

既存ユーザー、復帰ユーザー、新規ユーザーというように3つにターゲット分けをしましたが、実はこれだけでは不十分です。

なぜなら各ユーザーごとに、もっと細分化でき、細分化することでユーザーのニーズの違いが明確になるからです。

たとえば既存ユーザーでも配信開始時からプレイしているユーザーと、1か月前にプレイしたユーザーは同じレベル感ではありませんし1週間前に離脱したユーザーと1年離脱しているユーザーでも状態は異なるからです。

ネット生放送のマーケティング戦略上、どこのユーザーを獲得したいのか、もっと詳細に細分化することで施策効果を高める番組作りが可能です。

・点ではなく線で設計する

できないマーケターの場合、ネット番組施策に限らず、あらゆる施策において「単発」施策の寄せ集めになりがちです。つまり「点」のマーケティングをいくつも用意している状態なのですが、「点」は「線」にならないとユーザーは次に何をしていいのかわからないですし実際にユーザーを動かすことができません。

ネット番組を観る→ユーザーの感情を動かす→そこでどんなアクションを動かす→アクションの結果どんな感情になる→そして・・・・・

といったようにネット番組を「起点」で「線」になっていく施策ストーリーを設計することが重要です。「線」を作れることが冒頭でお伝えした「目的」の達成に繋がるからです。

「点」ではなく「線」で考えるゲームマーケティング戦略・プロモーション設計

・ゲーム内外施策セットで設計する

「線」の施策はかならずゲーム内外をセットで設計しなければなりません。当たり前の話ですができていないケースが多いのです。

たとえば離脱ユーザーを復帰させる目的でネット番組を設計したとします。ゲーム外では「線」を作れてゲーム内に誘導できてもゲーム内ではユーザーが離脱してしまった原因が何も解決されていない状態だったという事が多々あります。そんな状態では誘導はできても再びゲームをプレイさせることはできません。

あらゆる施策のゴールは「ゲーム本体」になるわけですから、必ずゲーム内の施策もセットでマーケターが設計する必要があります。

・KPIに効果的な理想的なネット番組設計方法

これは非常にシンプルです。
ネット番組終了直後に「新しい発表」をして、それがネット番組終了直後に「ゲーム内で開始する」といった連続性あるサプライズを仕込むだけです。

これができるとネット番組で盛り上げた熱量を即時コンバージョンできます。

ネット番組でどれだけ盛り上げても、そこから時間が経過すると熱量は下がってしまいますのでKPIにインパクトがある施策効果が出しにくいのです。

しかし、これを実現するにはマーケターとゲーム開発が、番組放送前の事前プロモーションから番組終了後のプロモーションまで一気通貫で連携する必要があります。

ネット生放送番組施策において考えて欲しいこと

ところで、ここまでお話してきましたが、1点考えて欲しい事があります。
ネット生放送番組施策って本当に必要なのでしょうか?まず、必要性についてちゃんと議論しておきましょう。

一番良くないのは

・いままでやってきたから
・なんとなく効果があったと思ってるから
・他に施策がないから

というように目的がなく、ネット生放送番組施策をやっている状態です。ネット生放送番組施策に限らず、なんとなく雰囲気に流されて施策をしているケースは多いのです。

目的なく流されて施策をやると、効果測定や振り返りもできないので、何も得るものがありません。これはマーケティングではなく、ただの自己満足にすぎません。

まとめ

多くの人がネット生放送番組施策をやることが目的になってしまいKPIを改善することにコミットできていません。それってお金と時間と工数の無駄ですし、マーケターとしてはもっとも恥ずかしいことだと再認識しましょう。

もし、生放送施策を考えているのであれば、そんな状態にならないようにしたいものですね。

というわけで、今日はここまで!