ゲームは完成してから宣伝では遅い|企画段階から売り方を考える5つの判断
ゲームが完成した。
そこで初めて、

このゲーム、どうやって売ろう?
と考える。
ゲーム開発では、この状態になってしまうことがあります。
しかし私、トロネコは、ゲームを作る前から売り方まで考えることが重要だと考えています。
企画段階から
- 誰が遊ぶのか
- 市場はあるのか
- 本当に作り切れるのか
- 投資に見合うのか
- 完成した時にどうユーザーへ届けるのか
まで考えます。
そして開発が始まったあとも
- このまま進むのか
- 戻るのか
- 作り直すのか
- 場合によっては止めるのか
判断を続けます。
ゲーム開発とマーケティングは、完成したところで初めて繋がるものではありません。
つまり、ゲームを作る工程と売る工程を、最初から分けない。
これが、避けられる失敗を減らすための重要な考え方です。

そこで今回は、特に中小ゲーム会社やインディーゲーム開発を想定して、企画から配信までに確認したい5つの判断を解説します。
| フェーズ | 判断すること |
|---|---|
| ①企画 | このゲーム、本当に作る? |
| ②プロトタイプ | 本開発へ進める? |
| ③本開発 | このまま作り続ける? |
| ④発表・需要検証 | 本当に発売する? |
| ⑤配信 | 売れる状態になっている? |
このプロセスを踏めば必ずヒットする、という話ではありません。
ゲーム事業に絶対はありません。
しかし、大きなお金と時間を投入する前に、避けられる失敗を減らすことはできます。
①企画|このゲーム、本当に作る?

面白そうなゲームアイデアが出た。
だから作る。
私は、ここですぐ本開発には進みません。
ここで、まず確認したいのが、誰が遊ぶゲームなのかです。
ターゲットユーザーを考える
最低限、次のようなことを考えます。
- 今どんなゲームを遊んでいるのか
- なぜそのゲームを遊んでいるのか
- 既存ゲームの何に不満を持っているのか
- なぜ自社のゲームを選んでくれるのか
「面白いゲームを作る」だけではなく、
誰にとって面白いゲームなのか
まで考える必要があります。
市場があるのか確認する
次に市場性です。
どれだけ開発チームが面白いと思っていても、遊びたいユーザーがほとんど存在しなければ、事業として成立させることは難しくなります。
そこで、
- 類似ゲームは存在するのか
- その市場にユーザーはいるのか
- 競合タイトルはどのくらい強いのか
- Steamなのか、スマホなのか
- どの市場で戦うのか
を確認します。
市場が大きければ必ず成功するわけではありません。
逆に市場が小さければ絶対に作ってはいけないわけでもありません。
重要なのは、その市場を理解したうえで投資判断をすることです。
投資に見合うゲームなのか
1000万円で作れるゲームと、1億円必要なゲームでは、必要な売上が全く違います。
そのため、
- この企画にいくらまで投資できるのか
- どのくらい売る必要があるのか
- その売上を狙える市場なのか
- 投資リスクを会社として許容できるのか
も企画段階で確認します。
ゲームとして面白そうだからGOではなく、事業として進める理由があるかを見る必要があります。
本当に作り切れるのか
企画段階でもう一つ確認したいのが実現性です。
- 人員は足りるのか
- 予算は足りるのか
- 技術的に実現できるのか
- 開発期間は現実的なのか
- 必要なアセット量は現実的なのか
- 運営型なら配信後まで回せるのか
企画書の中では面白い。
でも完成しない。
これもゲーム事業における大きな失敗です。
作る前から「どう売るか」を考える

そして私は、ゲームが存在しない企画段階から、
完成した時にどう売るのか
まで考えます。
例えば、
- 面白さを一言で説明できるか
- 動画を見ただけで魅力が伝わるか
- SNSでシェアしたくなる要素があるか
- ゲーム実況との相性はいいか
- 友人に勧めたくなるか
- 価格はいくらなら手を出してもらえるか
といったことです。
特に中小ゲーム会社やインディーゲーム開発では、大手ゲーム会社と同じ広告費を使って戦うことは難しくなります。
だからこそ、
ゲームそのものに広がりやすい要素を持たせられないか
という視点も重要になります。
例えば、
- 言語への依存が小さい
- 見ただけで遊び方が伝わる
- システムが直感的
- マルチプレイによって毎回違う出来事が起きる
- 実況やShortsにした時に面白い
- 手を出しやすい価格になっている
といった要素です。
すべてのゲームに必要なわけではありません。
しかし大きな広告費を使えないのであれば、広告費以外の力で広がる可能性を企画段階から考えておくことには意味があります。
ゲームを作ってからマーケティングするのではなく、
ゲーム企画と売り方を最初から一緒に考える。
私はこれを非常に重要視しています。
②プロトタイプ|本開発へ進める?

企画が固まったら、プロトタイプを作ります。
ここで重要なのは、
作った本人たちだけで「面白い」と判断しないこと
です。
開発者は、
- ルールを知っている
- 操作方法を知っている
- どう遊べば面白くなるか知っている
- どこを見てほしいか知っている
状態です。
一方、初めて触るユーザーは何も知りません。
そこで、狙っているターゲットユーザーに実際に触ってもらいます。
ユーザーの行動を見る
例えば、
- 説明しなくても遊べたか
- 狙った部分を面白いと思ってくれたか
- もう一度遊びたいと思ったか
- どこで止まったか
- 想定していなかった遊び方をしたか
- 一番見てほしかった部分に興味を示したか
などを確認します。
ただし、ここで誤解してはいけないことがあります。
ユーザーにゲームの答えを決めてもらうわけではありません。
「何を作ればいいですか?」
と聞いて、その通りにゲームを作るわけではありません。
最終的に判断するのはゲーム会社です。
ユーザーから得たいのは、
自分たちだけでは見えなかった判断材料
です。
中小ゲーム会社ほど外から判断材料を入れる
中小ゲーム会社やインディー開発は、大手ゲーム会社に比べて意思決定に関わる人数が少ない場合があります。
これは大きな強みです。
判断する人が少ないため、
- 進める
- 戻す
- 変える
- 止める
といった意思決定を速くできます。
一方で、
自分たちの世界だけで判断しやすい
というリスクもあります。
だからこそ、ターゲットユーザーを早い段階から巻き込み、社内だけでは得られない判断材料を増やすことが重要です。
GO・REWORK・STOPで判断する

プロトタイプを確認したら、私は判断をシンプルに分けます。
| 判断 | 意味 |
|---|---|
| GO | このまま次へ進む |
| REWORK | 課題を修正して再確認する |
| STOP | ここで止める |
プロトタイプを作ったから、本開発へ進まなければならないわけではありません。
反応が悪ければ作り直す。
根本的に成立しないのであれば止める。
ここで止めることは失敗ではありません。
むしろ、本開発に大きなお金を使ってから問題に気づくよりダメージは小さくなります。
本開発前なら、まだ安く失敗できます。
GO・REWORK・STOPの具体的な判断基準については、関連記事「ゲーム事業を失敗させないための企画・開発判断マニュアル」で詳しく解説しています。
③本開発|このまま作り続ける?
プロトタイプの結果からGOと判断したら、本開発へ進みます。
しかし、本開発に入ったからといって判断が終わるわけではありません。
実際のゲーム開発では、
- 予定より時間がかかる
- 開発費が増える
- 新しい機能を追加したくなる
- 競合ゲームが登場する
- 市場環境が変化する
- 開発メンバーが抜ける
など、企画段階では想定していなかったことが起こります。
だから本開発中も、
- この追加仕様は本当に必要なのか
- ユーザーがこのゲームを選ぶ理由につながるのか
- 予定していた予算で完成できるのか
- 発売時期は現実的なのか
- 当初考えていたゲームの面白さは残っているのか
を確認し続けます。
必要なら、
- 仕様を削る
- 規模を小さくする
- 方向を変える
- 発売時期を変える
という判断も必要です。
そして場合によっては、中止も選択肢になります。
一番危険なのは、
「ここまで作ったから、もう最後まで作るしかない」
という状態です。
ゲーム事業のゴールは、ゲームを完成させることではありません。
事業として成立させることです。
④発表・需要検証|本当に発売する?
中小ゲーム会社やインディー開発では、ゲームを発表しただけで大量のユーザーに情報を届けることは難しい場合があります。
大手ゲーム会社なら、ブランドや大きな広告費を使って短期間で認知を作れるかもしれません。
しかし中小ゲーム会社が同じ戦い方をするのは簡単ではありません。
そこで重要になるのが、
発表する前からユーザーとの接点を作っておくこと
です。
中小ゲーム会社は「時間」を使う
例えば、
- Web
- YouTube
- X
- コミュニティ
など、自分たちが作っているゲームを遊ぶ可能性が高いユーザーへ継続的にリーチできる場所を育てます。
すべてを運営する必要はありません。
重要なのは、発売時に0人からユーザーを集め始めないことです。
大手ゲーム会社がお金を使って短期間で認知を作れるなら、中小ゲーム会社は開発期間という時間を使って接点を積み上げる。
ゲーム開発に1年、2年かかるのであれば、その時間もマーケティング資産として使えます。
発表は宣伝だけではなく需要検証でもある
ゲームを発表したら、市場の反応を確認します。
Steamであれば、
- ウィッシュリスト
- デモ
- Playtest
- SNSでの反応
- 実況者の反応
スマホゲームであれば、
- 事前登録
- 広告テスト
- SNS
- 動画への反応
などから需要を見ていきます。
重要なのは、
発売前に、本当に欲しいと思っているユーザーが存在するのか
を確認することです。
反応が悪い=広告不足とは限らない
発表したゲームの反応が悪かった時、
「広告が足りない」
「認知が不足している」
とすぐに決めつけるべきではありません。
原因は別のところにある可能性があります。
- 企画段階で市場を読み違えた
- ターゲット設定が違っていた
- プロトタイプで十分な確認ができていなかった
- 開発途中でゲームの魅力が弱くなった
- ゲームは悪くないが伝え方が悪い
- そもそもの需要が小さい
原因によって対応は全く違います。
必要なら、
- 訴求を変える
- ゲームを修正する
- 発売を延期する
という判断をします。
場合によっては、
発売しない
という判断もあります。
ここまで作ったから発売する、ではありません。
ここまで作ったからこそ、最後にもう一度判断します。
⑤配信|売れる状態になっている?

ここまでの流れを整理します。
企画段階で、
- 誰が遊ぶのか
- 市場はあるのか
- 投資に見合うのか
- 作り切れるのか
- 完成した時にどう売るのか
を考えました。
プロトタイプでは、ターゲットユーザーの反応を確認しました。
本開発中も継続して事業判断を行いました。
発売前からユーザーとの接点を作り、発表後には需要も確認しました。
ここまで進めていれば、配信日に初めて、
「このゲーム、どうやって売ろう?」
とはなりません。
企画段階から考えてきた、
誰に、何を、なぜ、どうやって届けるのか
という仮説を実行する段階になります。
もちろん、ここまでやっても売れないゲームはあります。
ゲームビジネスに絶対はありません。
しかし、
- 小さく確認する
- 判断する
- 必要なら戻る
- 修正する
- 場合によっては止める
というプロセスを繰り返すことで、
大きなお金と時間を使ったあとに発覚する「避けられた失敗」を減らすことはできます。
ゲーム開発とマーケティングを分けない
今回の5つの判断をもう一度整理すると、次のようになります。
| フェーズ | 判断 |
|---|---|
| 企画 | このゲーム、本当に作る? |
| プロトタイプ | 本開発へ進める? |
| 本開発 | このまま作り続ける? |
| 発表・需要検証 | 本当に発売する? |
| 配信 | 売れる状態になっている? |
重要なのは、マーケティングをゲーム完成後の「宣伝活動」だけにしないことです。
市場を見る。
ユーザーを見る。
競合を見る。
売り方を考える。
そこで得た情報を、企画や開発の判断にも使う。
ゲームを作ることと、ゲームを売ることを最初から一つの事業として考える。
これが、私がゲーム事業を見る時の基本的な考え方です。
まとめ:企画段階からゲーム事業を支援しています

トロネコでは、完成したゲームの宣伝だけを見るわけではありません。
企画から配信まで、そのゲームをこのまま進めるべきかを一緒に判断する支援を行っています。
企画段階であれば、
- 市場
- ターゲットユーザー
- 投資規模
- 開発の実現性
- 完成した時の売り方
から整理できます。
すでにプロトタイプがある場合は、
- 本開発へ進むのか
- REWORKするのか
- STOPするのか
をターゲットユーザーの反応も踏まえて考えます。
すでに開発中であれば、
- このまま開発を続けるのか
- いつ発表するのか
- どう需要を確認するのか
- 発売までに何を判断する必要があるのか
を整理します。
特に中小ゲーム会社やインディー開発では、
市場、マーケティング、事業、開発のすべての視点を社内だけで揃えることは簡単ではありません。
だからこそ、
社内の開発・事業判断に、
外部からの事業・マーケティング視点と、
ターゲットユーザーから得られる事実を組み合わせる。
それによって判断材料を増やすことができます。
ゲームを作っているけれど、このまま進めていいのか分からない。
企画段階から事業とマーケティングを一緒に考えたい。
完成してから「どうやって売ればいいんだ?」という状態を避けたい。
そんなゲーム会社・開発チームは、トロネコまでお気軽にご相談ください。

