クロスフィットにはゲーム事業の継続率維持と新規ユーザー獲得のヒントが詰まっている
こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。
最近、クロスフィットジムに通っています。
クロスフィットとは、1人のトレーナーさんがついて最大8人程度のグループでトレーニングをする合同トレーニングなのですが、これがゲームアプリのコミュニティマーケティングの参考になりそうなので、
「クロスフィットジムから学ぶゲームアプリのコミュニティマーケティングのヒント」
というテーマで今回は記事を書いてみたいと思います。
クロスフィットとは?
Crossfitとは
歩く、走る、引く、押す、跳ぶといった日常的な動作をトレーニング器具を使って、もしくは使わず高い負荷の中で短時間(だいたい1時間くらい)でこなすトレーニングです。
2000年にアメリカで設立され競技スポーツ(クロスフィットゲームス)も開催されており、全世界で1万以上のクロスフィットジムが存在します。
一般のジムとクロスフィットジムの大きな違いは
最大8人程度のグループでトレーニングをするという点があります。
つまり、ひとりでスポーツジムで通い孤独なトレーニングをするのとは違い、ここにコミュニティが生まれます。
一般的なスポーツジムの場合は月額1万円程度ですが、クロスフィットジムはトレーナーさんがつくため、月額1万円台後半から3万円くらいの月会費のレンジが存在しており、一般のスポーツジムに比べても、顧客単価が高く入会ハードルはやや高めとなっています。
クロスフィットにおけるコミュニティの仕組みを分解
クロスフィットジムのコミュニティを分解してみると次のようになります。
一般的なスポーツジムはトロネコも何度も通ったことがありますが基本的にひとりでトレーニングすることになります。スポーツジムで積極的に友達を作るか、または友達といっしょに入会するなど、コミュニティをつくる方法はありますが、本人のコミュニティスキルに依存します。
一方でクロスフィットジムは強制的にグループトレーニングになります。つまり本人のコミュニティスキルに関係なく、必ずコミュニティが生まれます。
しかも、クロスフィットの場合はコミュニティの内容が一般のスポーツジムと違うのです。
・クロスフィットという競技を含んだ共通の話題ができる
・個人の運動能力に関係なく同じメニューをみんなで同時でこなす
・早くメニューを終えた人は、遅れている人を応援してくれる
・全員がメニューをやりきった後の達成感を共有できる
共通のゴールに向かってみんなでやりきる
クロスフィットには毎回のトレーニングに一体感と達成感があります。
一体感と達成感を共有した仲間は年齢性別を超えて一つのチームになり結束力が高まるため、通い続けるモチベーションになるわけです。
一般的なスポーツジムとクロスフィットで数値で比較したことはないですが圧倒的な「継続率」が違うと思います。
なぜならクロスフィットは継続率を維持するために理想的な構造になっているからです
クロスフィットのコミュニティをゲームアプリに置き換えてみる
先ほどのクロスフィットのコミュニティをゲームアプリに置き換えてみましょう。そうすると、全く同じ構成で置き換えることができます。
クロスフィットの場合は月定額であり、スマホアプリの場合は都度課金という違いはありますが構図は同じになります。
ゲームアプリの場合はゲームの中で出会った「見知らぬ他人」とゲームの外から知り合いだった「知人」が混在しているという点はありますが、
クロスフィットも入会時点では「知人」とクロスフィットジムでたまたまクラスが同じになった「見知らぬ他人」は混在しており、これも同じです。
クロスフィットのテーマや体験をゲームアプリに置き換えると、これが綺麗に置き換えることができます。
クロスフィット | ゲームアプリ | |
テーマ | クロスフィットという競技を含んだ共通の話題ができる | 同じゲームを遊ぶため共通の話題ができる |
体験 | 個人の運動能力に関係なく同じメニューをみんなで同時でこなす | 共通の敵をみんなで倒しにいく。目的が同じである |
応援 | 早くメニューを終えた人は、遅れている人を応援してくれる | やられそうな人を助ける |
感動 | 全員がメニューをやりきった後の達成感を共有できる | みんなで力を合わせて共通の敵を倒し達成感を得る |
つまり、クロスフィットはゲームアプリに置き換えが可能です。となるとクロスフィットジムにおける強力な継続率のパワーになっているものを見つけることで、ゲームアプリの継続率にも活かせるヒントになりそうだと思いませんか?
クロスフィットジムに学ぶ継続率とクチコミの源泉になるもの
クロスフィットにおける強力な継続率、クチコミの源泉になっているものは何なのか?
実際に3ヶ月間くらい、ほぼ毎日通ってみた体験から「継続率」「クチコミ」における要素をちょっと書き出してみました。
継続率(=モチベーションに影響する要素) | クチコミ(=知り合いを誘いたくなる要素) | |
高次欲求 | 仲間といっしょにもっと高い場所を目指したい | クロスフィットの楽しさをもっと多くの人に広めたい |
仲間といっしょに達成感を味わいたい | クロスフィットで一緒に達成感を味わいたい | |
仲間の期待に応えたい | 知り合いにクロスフィットの楽しさを伝えたい | |
同じ話題で話せる仲間が欲しい | 知り合いと共通の話題で語り合いたい | |
低次欲求 | もっとカッコよく健康になりたい | – |
体が変わっていく自分を実感したい | – | |
筋肉をつけてカッコよくなりたい | – | |
健康になりたい | – | |
痩せたい | – |
ここでは高次欲求、低次欲求という区分けをしています。
低次欲求は自己中心的であり、自分が生きていくための個人的な欲求です。高次欲求は自分だけでなく、周囲の人を巻き込んだ欲求です。
実はこれらの欲求はマーケティング的には「マズローの5段階欲求説」で説明がつきます。
ゲームもクロスフィットも根底にあるのは「マズローの5段階欲求」で説明できる
マズローの5段階欲求説とは、人間の欲求の段階的プロセスを可視化したものであり、次のように表現できます。
これをゲームにおきかえると次のようになります。
この辺りは下記の記事でも詳しく解説しています。
マズローの5段階欲求説を踏まえて、先ほどのクロスフィットの表にゲームアプリの項目を追加してみましょう。
クロスフィット | ゲームアプリ | ||
継続率(=モチベーションに影響する要素) | クチコミ(=知り合いを誘いたくなる要素) | ||
高次欲求 | 仲間といっしょにもっと高い場所を目指したい | クロスフィットの楽しさをもっと多くの人に広めたい | 仲間といっしょにランキング1位のギルドをつくりたい
このゲームの面白さを多くの人に知って欲しい |
仲間といっしょに達成感を味わいたい | クロスフィットで一緒に達成感を味わいたい | 仲間といっしょに強大なボスを倒して、達成感を味わいたい | |
仲間の期待に応えたい | 知り合いにクロスフィットの楽しさを伝えたい | 仲間が困っていたら助けたい。このゲームを仲間と一緒に楽しみたい | |
同じ話題で話せる仲間が欲しい | 知り合いと共通の話題で語り合いたい | 同じゲームで語り合える仲間が欲しい | |
低次欲求 | もっとカッコよく健康になりたい | – | ゲームをクリアしたい |
体が変わっていく自分を実感したい | – | 魔王を倒したい | |
筋肉をつけてカッコよくなりたい | – | 新作RPGを遊びたい | |
健康になりたい | – | RPGを遊びたい | |
痩せたい | – | ゲームで暇つぶししたい |
つまり、これらの欲求を段階的に満たしてあげることが
ゲームアプリを辞めにくくして、継続率を維持する源泉になります。
この5段階欲求のプロセスをゲームではなく、クロスフィットジムではリアルな世界で体験できるため、さらに強力な継続率を押し上げるモチベーションとなります。
一方で一般的なスポーツジムはどうでしょうか?
冒頭でお話しましたがトロネコも一般的なスポーツジムに何度も通ってきましたが、基本的に一般的なスポーツジムは本人にコミュニケーション能力がなければ「孤独なトレーニング」「孤独な戦い」になってしまいます。その結果、継続率がさがってしまうわけです。
これはゲームアプリにも置き換えられます。ユーザーは様々な低次、高次の欲求を持っていますが、それを満たしてあげらえず「ひとりにさせてしまう」と低次の欲求が満たされると離脱してしまうのです。
まとめ
ここからが重要です。
クロスフィットはリアルなコミュニティ体験がベースになりますが、ゲームの場合はリアルなコミュニティではなく、基本的にオンライン上のコミュニティがベースになります。ならばゲームの場合どうするのか?という話になります。
ここで検討して欲しい3つのことを最後に挙げておきましょう。
・もともとオフラインで繋がっている友達同士をどうやって囲い込むのか?
・ゲームの中で知り合ったユーザー同士の繋がりをどうやって深くゲームの中で刻むのか?
・オンラインとオフラインを繋ぐSNSマーケティング、リアルイベント等はどのようなものが必要か?
この3つをゲーム開発からアプリ配信後まで、どうやってマーケティング戦略や施策に組み込んで設計していくかが重要です。
それらのヒントがクロスフィットジムには凝縮されていると感じたわけです。
もし、機会があったら、ぜひクロスフィットジムを体験してみてください。
実際のところメンタル、フィジカル共に健康になりますし、マーケターとしての学びも多いからです。
というわけで今回はここまで!
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少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。