個人開発だけでなく小規模プロジェクトや中小ゲーム会社(ハイパーカジュアルゲーム)でも活用できるゲーム事業の進め方を解説します
こんにちは
トロネコです。
今回は最近、トロネコが注目している個人開発ゲームに関するお話です。
トロネコがゲーム業界に入った頃なんて個人でゲームを開発して世界中の人に遊んでもらうなんて夢のまた夢の世界でした。でも、2021年の現在においてそれは夢ではなく現実になりました。
多くの人がゲーム会社に属さず個人でゲーム開発ができるようになり、今までになかった新しいヒットが生まれる予感しかしないのですが、その一方で非常に勿体ないゲーム開発を見かける場合もあります。
そこで、今回、
「個人ゲーム開発を行う上で、これだけは最低限、押さえておくことで大きな失敗を事前に防ぐことができて、多くのユーザーに遊んでもらえる可能性が広がる」
というポイントをまとめました。
よって、シンプルに伝わるように、あまり細かいマーケティングの話はしないように心がけました。
これから個人で新作ゲームを開発しようと考えている方は、ぜひ一度読んで頂けると、もっと魅力的で多くの人に遊んでもらえる可能性が広がるゲーム開発ができると思います。
個人ゲーム開発において見られる代表的な失敗事例
自分が作りたいゲームを誰にも邪魔されず思う存分作れるのは個人ゲーム開発における最大の魅力です。
なぜなら、ゲーム会社で働いている限り、
決められた予算と納期、開発環境や開発条件などさまざまな制約の中で最大限の結果を残すゲーム開発をしなければならないからです。
自分が世界に向けて生み出した
完全新規のオリジナルタイトルを作りたい!と思っても簡単には叶わず、あまり気の進まないゲームを作らなければならないケースも多いからです。
個人ゲーム開発は自由に世界を作れる「小説家」で、ゲーム会社で働く開発者は、クライアントや会社からの条件の中で作り上げる「脚本家」みたいな感じかな・・・というイメージですね
もちろん、ゲーム会社でゲーム事業に関わることにはエキサイティングで楽しいものです。
ゲーム会社では、そこでしかできない学びや経験もできるし、転職就職するだけの価値もあります。しかも毎月、給料まで貰えて生活も安定するわけですから、ゲーム好きからするとこんなに理想的な仕事はありません。
話を戻しましょう。
個人ゲーム開発における失敗例はさまざまなケースがありますが、マーケター視点で分析すると次の3つにまとめられそうです。
・自分が作りたいゲームを作ってしまう
・自分が作れるゲームを作ってしまう
・ゲームを作ったけど、そのゲームを実際にユーザーが遊んでもらうための準備が用意されていない
個人ゲーム開発の魅力は「作りたいゲームが誰にも邪魔されず作れる」という点につきます。自分がゲームプランナーであり、プログラマーでありプロデューサーなのです。
しかし、ここで重要なのは
「自分が作りたいゲームは、必ずしも一般ユーザーが遊びたいゲームとは限らないのです」
でも、多くの個人開発クリエイターは、自分が作ったゲームを愛していますし、それゆえに多くの人に遊んで貰いたいと思うものです。これはごく自然な感情ですね。
ここで重要になるのが、
「自分が作りたいゲームと、みんなに遊んでもらえるゲームを両立しつつ、実際に開発したゲームをユーザーに遊んで貰える環境を用意すること」
なのです。
でも、個人開発ですから資金、人的リソース、開発環境、開発スキルには制約があります。
その制約の中で今回、お話しする項目を問題を事前に解決することで、多くのユーザーに遊んでもらえるゲーム開発に近づけると思います。
今回の記事は
①企画→②ファン獲得→③テスト→④本開発→⑤配信
といった5つのフェーズにおいてチェックすべきことをまとめていますので参考にしてください。
もちろん、これ以外にもゲーム事業を行う上では様々な項目があることは「マーケティング100リスト」でも書いてある通りです。しかし個人ゲーム開発でこれらを全てカバーすることは物理的に不可能です。
よって個人ゲーム開発者の制約を踏まえた上で、最短距離で結果を出すために必要な項目だけに制限して書いています。
また今回の内容は個人ゲーム開発に限らず、資金やリソースが限られている規模の小さいゲーム会社や、大企業であっても予算の少ないハイパーカジュアルゲームなどの開発担当者でも参考になると思います。
①ゲーム企画
まずは、最初のゲーム企画段階で明らかにして、実際のゲーム企画に反映するべきことを解説します。
シンプルにまとめるため細かい解説は避けていますので、もっと知りたい場合はリンク先の記事などを参考にしてください。
ターゲットユーザーを決める
多くのゲームは誰に向けたゲームなのか定まらずにゲーム開発をしてしまう場合があります。
これは一般的なゲーム会社でもターゲットユーザー不在のまま、
または「ふわっとした不明確なまま」ゲーム開発がスタートしてしまう事が非常に多いのですが、それでもゲーム会社には多くの人がいて、マーケターも存在しますので、何かしら横からツッコミを入れてくれる機会に恵まれています。
しかし、個人開発の場合はあなた一人しかいません。誰もツッコミを入れてくれないわけです。
よって、まずは、ターゲットユーザーを決めましょう。
「性別、年齢、職業、好きなゲームジャンルやコンセプト、いつ遊ぶのか、1人でみんなで遊ぶのか」
といった感じでターゲットユーザーを明確にすることで、そのターゲットに向けたゲーム開発ができます。
なんか、よくわからないよー
という人もいると思うので、下記にてターゲットユーザーを明確にするためのリストを作ってみましたので、これを埋める形で書き出してみてください。本当はもっと細かく分析をしますが、このくらい書き出せるだけでターゲットユーザーが明確になります。
年齢・性別 | あなたのゲームタイトルのターゲットユーザーについて書き出してみてください |
好きなゲームジャンル | 同上 |
好きなゲームのテーマやモチーフ | 同上 |
今、遊んでいるゲームアプリ(競合タイトル) | 同上 |
可処分時間(どのくらいの時間をゲームに使えるのか?) | 同上 |
可処分所得(どのくらいのお金をゲームに使えるのか?) | 同上 |
上記のターゲットユーザーイメージはどのくらい市場にいそうですか? |
ターゲットが「ふわっと」した状態でゲーム開発をすると、誰の関心も引けない「特徴のないゲーム」が作られてしまいます。無味無色透明のゲームを遊んでもらうのは難しいものです。
ちなみにターゲットイメージを書き出したら、それが実際に市場にどれだけ存在していて、実際にそのターゲットユーザー向けにゲームを作ったらビジネスとして成立するか、そこまで踏み込めればさらにOKです!
なぜなら、ターゲット設定は悪くないけど、そんな人、世の中に1万人しかいないよー
みたいなゲームを開発してしまうような事が実際にあるからです。そういったゲームを作ってしまうと1万人という市場を100%獲得できてもビジネスとしてそもそも成立しません。
ちなみに今回は個人のゲーム開発の話をしていますが、これらターゲット設定は一般的なゲーム会社においても、ゲーム企画段階でちゃんと整理されていない、不十分な状態でゲーム開発されているケースがかなり多いのです。
実はゲームが失敗する最大の原因は、誰に向けたゲームかわからないゲームを作ってしまう事であり、
よくわからないゲームが世の中に日々、発売されています。
だからターゲットを明確にしてゲーム開発ができれば、一気に成功確率はアップします。
また間違ったターゲット設定例として
このゲームは、子供から大人まで、男女問わずみなさんがターゲットユーザーです。
みたいなことを言う人がいます。
でも、これはターゲットが絞られていないため、うまく行きません。
(ターゲットが絞られていないというは、ここにはターゲット設定が存在しないといった方が良いかもしれませんね)
国民的キャラクターであるマリオやポケモンではないので、まずはターゲットを絞りましょう。
マリオもポケモンも最初は明確なターゲットがあって、国民的ゲームになった今、それが見えなくなっているに過ぎません。ニッチなターゲットであってもニッチなターゲットの中で熱狂的なファンを獲得できれば成功です。
ちなみに、もし、トロネコが個人でゲーム開発をするならば、大手ゲーム会社が参入できない(参入しても市場規模が小さくて収支が合わない)ニッチなジャンルとコンセプトとターゲットに振り切ります。
なぜなら個人ゲーム開発ですから大企業が採算が合わなくても、個人なら採算があるからです。しかも、そのニッチな分野でヒットしても大企業は参入しにくいですから競合回避も見込めます。
余力があるならペルソナ分析までできるとさらに精度は上がります。
競合タイトル・ベンチマークタイトルを決める
ターゲットユーザーを設定しても、いまいちゲームにどうやってフィードバックすればいいのかわからないという人もい流でしょう。
そこで次にやって欲しいのは、今作ろうとしているゲーム企画の
・競合タイトル:ジャンルやゲーム性が近いもの
・ベンチマークタイトル:ジャンルやゲーム性は違うけど設定したターゲットユーザーが遊んでいるゲーム。いわゆるターゲットユーザーの嗜好性に近いもの
この2つについて明確にしましょう。
既に発売されている大手ゲーム会社のゲームでもいいですし、個人開発のゲームでも構いません。
ただし「競合タイトル・ベンチマークタイトル」という設定なので、ある程度ヒットしているタイトルを選んでください。
競合タイトル・ベンチマークタイトルが設定できれば、ゲーム開発におけるお手本や、目指す場所が明確になります。
競合タイトル・ベンチマークタイトルが遊ばれている理由を明らかにする
競合タイトル・ベンチマークタイトルが設定できたら
なぜそのゲームが遊ばれているのか?分析しましょう。
ここでの遊ばれている理由とはゲーム内における遊ばれている理由を書き出して見てください。
・ゲームシステム
・ゲーム内の機能
・ビジュアル、世界観
・楽しいと思う瞬間、プレイし続けたい、リトライしたいと思う場面
など、ベンチマークタイトルがなぜ遊ばれているのか? 分析しましょう。
遊ばれている理由をゲーム開発にフィードバックすることで、自身のゲームも遊ばれる理由を付与できることができます。
なぜなら、あらゆるゲームは、家庭用、スマホ、PCゲームとか関係なく、継続モチベーションと課金モチベーションの掛け算で作られているからです。
遊ばれている理由は、継続モチベーションと課金モチベーションの掛け算の結果なのです。
下記について詳しく解説していますので参考にしてみてください。
自分の企画のどこが勝っていて、どこが負けているのか分析する
最後に競合タイトル・ベンチマークタイトルに対して
自分のゲーム企画のどこが勝っていて、どこが負けているのか?分析しましょう。
・勝っている部分を伸ばせばさらに大きな武器になります
・負けている部分を改善すれば弱点をなくせます
強い武器はインストールして遊んでもらうための動機になります。負けている部分を改善すれば、継続して遊んでもらえる安定性が手に入ります。
どっちか一つを選ぶならば、弱みを改善するより、勝っている部分を伸ばす方が戦えるゲーム開発ができます。
なぜなら、弱みを改善してもプラスマイナスゼロに戻るだけで、リソースが限られている個人ゲーム開発においてユーザーの興味を惹くパワーを強める方が結果が出やすいからです。
②ファン獲得
ゲーム企画ができて開発に着手したら、同時にファン獲得もはじめましょう。ゲームを発表するもよし、ゲームを発表せずクリエイターであるあなたのファンを増やすもよし!
重要なのはゲーム配信時に遊んでくれるユーザーをこの段階から作り始めることです。
ゲーム開発段階からSNSを使ってファンを獲得する
個人ゲーム開発においては、資金や活用できるリソースは限られています。大手ゲーム会社では当たり前にできることも個人ゲーム開発では困難です。
でも視点を変えてみましょう。
個人ゲーム開発にはゲーム会社にはない強みがあります。
・お金はないけど時間は膨大にある
・配信スケジュールは自由に決められる
・フットワークの軽さ
企業に勤めていると、「あ、この施策プロモーションアイディアいいかも!?」と思っても、
それを実行するために社内決裁を取らなければなりません。
また、やろうと思っても人を動かすことばかり考えてしまい、結局、何もできず時間だけ過ぎてきます。
しかし個人ならどうでしょうか?
やろうと思ったら、今、今日、この瞬間に自分で決めて始めればいいのです。
そして失敗したら、自分で判断してそこで方向転換すればいいのです。
時間だけは膨大にありますから、アイディアを出してすぐに実行すればいいです。
つまり企業に比べて個人は圧倒的な行動力、実行力、判断力が武器になります。
フットワークの軽さ、決裁スピードの速さは個人開発における最強の武器です。普通のゲーム会社でもスピードの速い会社はありますが、個人なら、いま、この瞬間に実行できます。
ゲーム会社にはできないけど個人だからできることがあります。
例えばSNS運用なら企業ではできないギリギリまで個人なら攻められますし、映像制作ひとつをとっても、大企業は一定のPVを作らないと世の中に出せないというクオリティが求められます。
でも100万円かけて製作したPVが、個人が製作したPVに負けることなんて日常茶飯事です。
実はゲームプロモーションにおける映像コンテンツって、厳密には掛けたお金とプロモーション効果が比例しない事が多いんですよ。
100万円かけたPVが全く再生されず、ただの自己満足で終わっているPVはたくさんあります。
だからこそ個人はこれら強みを生かしてSNSで一点突破する施策でファンを集めましょう。
ゲーム企画を終えて、ゲーム開発に着手したタイミングからファン獲得できるのも個人ならではの強みであり、企業なら「タイトル発表前だし・・・」という理由で実行できません。
YouTube、Twitter、LINE、ブログ、または自分でメディアを作るなど手段は問いません。ゲーム開発初期段階らファンを積み上げることが、個人ゲーム開発における資産になります。
膨大な時間と決断力の強みは個人開発ならでの武器です。
ちなみにトロネコはマーケターですが、映像撮影から映像編集まで一人でこなします。グリーンバックで撮影して背景を合成して、ナレーションとテロップ入れてPVや紹介映像を作れます。
でも、これってMacBookとFinal cut ProとiPhoneやGoProとかがあれば誰でもできるわけです。今日撮影すれば明日、完パケを仕上げることだってできます。
ゲーム会社時代に何かプロモーション映像が欲しいのに、ゲーム会社で働いていると外部発注手続きにも時間がかかるし、外部の会社は最低限の発注金額が必要だし、しかも制作まで1ヶ月かかってしまうという場面に何度も遭遇しました。
だったら自分で制作してしまえばいいわけです。
マーケターはゲーム開発はできないけど、映像制作くらい一瞬でできると、幅が広がりますよ。
③テスト
個人開発において開発リソースは本人のみ、ということが多いと思いますから、無駄な開発はできるだけ回避して、成功への最短コースを辿るべきです。
そのためには、テストをうまく活用しましょう。
テストをすることで、無駄な開発を回避して最短コースを見つける事ができるからです。
プロトタイプ版を配信してゲーム開始直後の離脱原因を発見する
ゲームがある程度、遊べる状況になったら限られた人数に遊んでもらって離脱要因を見つけるテストをしましょう。GooglePlay限定などで普通にストアにあげてしまって構いません。
遊んでもらう人数は数十人程度で結構です。ここで、「②ファン獲得」で集めておいた熱狂的ファンの方に協力してもらいましょう。
大々的に発表する必要はありません。あくまでもテストですからこっそり個別でファンに連絡してサイレントテストを実施します。
3日間遊んでもらい、次のような方法でゲームの初期段階における離脱箇所を明確にするテストを行います。
3日間のテストだけど途中でも辞めていいので自然な感覚でプレイしてもらいます。その上でgoogleフォームなどを使ってアンケートを実施て下記を明確にしていきましょう。
・継続モチベーション
ゲームプレイにおいて戸惑った場所、辞めそうになった場所、実際に辞めた場所 それぞれの箇所における理由 ・課金モチベーション(課金機能がある場合) ゲームにおいて課金をしてもいいと思うか? どこで課金したいのか?なぜ課金したくないのか? ・クチコミ要素 友達に勧めたいか?どこを勧めたいのか?なぜ勧めたくないのか? ・定量評価 ゲームシステム:1・2・3・4・5(5段階評価) グラフィック:1・2・3・4・5(5段階評価) ゲームテンポ:1・2・3・4・5(5段階評価) ・自由回答 改善点など何かコメントがあれば。 |
実際のテストではもっと細かくテスト項目がありますが、最低限この程度の内容があれば問題ありません。
離脱ポイントが明確になり、どうすればこのゲームが拡散できるのか?ゲーム改修のヒントを収集できます。
定量評価の部分は、今後、同様のテストを複数回にわたって実施するときに前回と今回の評価の比較ができるため、定量的に改善の方向に向かっているのか?もしくは改悪してしまったのか把握するための使います。
離脱原因を解決して再度、プロトタイプ版を配信してテストを実施する
テストを実施して結果が出たら、プロトタイプ版を改修しましょう。そして完全に改修できたと判断した時点で再度、テストを実施します。
この場合、テストに協力してもらう方は
・前回のテスト参加者が50%
・新しい初見のテスト参加者が50%
という配分にするようにしてください。そして前回同様にアンケートを実施します。アンケート内容は前回と全く同じものにしてください。
ただし、アンケートの結果が「前回のテスト参加者」なのか「新しい初見のテスト参加者」なのか区別できるようにアンケート設計をしましょう。
googleフォームを使えば5分でアンケートは作れてしまいます。企業ならアンケートフォームを作る際にも社内調整が必要だったりしますから、個人開発故のフットワークの軽さは武器になります。
ちなみに、ちょっとだけお金がかけられるなら
テスターさんをオンライン上で雇って遊んでもらうという方法もあります。クラウドワークスなどオンライン上で募集する方法はありますので、個人でも方法は色々あります。
配信初期、中期までの離脱原因を同様の流れで解決する
配信初期における離脱原因が解決できたら、余力があれば中期における離脱原因も明らかにして解決しておきましょう。
一般的にゲーム配信翌日には50%がやめて、1週間では70%は辞めます。
ハイパーカジュアルゲームやパズルゲームなどは、そこまで離脱率は悪くないのですが、1週間辞めさせずに遊んでもらえることができたら、実際にゲームを配信しても大きな事故がなく遊んでもらえることでしょう。
④本開発
ここまでの段階でゲームの基本プレイサイクルにおける離脱原因は解決された状態になっているはずです。あとはゲームコンテンツを量産していく作業をここで着手します。
ゲームコンテンツを量産する
プロトタイプ版に対して、ゲームコンテンツ(いわゆるアセット)の量産をしていきます。
ここでのポイントはあくまでも個人ゲーム開発ですから、
「ゲームのプレイ寿命以上にゲームコンテンツの量産はしない」
という点です。
新規インストールしたユーザーがどのくらい遊ぶのか?14日で飽きるのか?30日なのか?このゲームのプレイ寿命を明らかにしておきましょう。
一般的なゲーム会社の場合は、永遠に遊んで欲しいと思いますし、LTVという観点からすると180日(3ヶ月)でユーザーが入れ替わるという考え方を持っている場合もあります。
しかし個人制作の場合は永遠に遊ばせるのは困難ですから、ある程度の寿命を設定しておくことで適切なゲームコンテンツ(いわゆるアセット)の量産ができます。
例えばハイパーカジュアルゲームの場合は、配信初動の継続率は一般ゲームよりも高いのですが、30日で継続率が限りなく1%になり完全離脱します。
デジタル広告運用をしながら30日でユーザーを入れ替えて、利益を出していくビジネスモデルなのです。
つまり、ゲームコンテンツ(いわゆるアセット)を無駄に量産しても意味がない。というわけです。
無駄にゲームコンテンツの量産をするなら、クチコミを拡散する機能とか、もっと初動でマネタイズするための機能とか、他の部分に注力したり、新たなゲーム開発をする方が良いというわけです。
選択と集中が重要というわけですね。
ゲームプレイの中でクチコミしたくなる要素を入れる
個人制作の場合は膨大な広告宣伝費はかけられません。
つまりお金の勝負になったら瞬間で、普通のゲーム会社に敵いません。
だからこそ「②ファン獲得」でも説明したように個人制作の強みである「時間」と「フットワークの軽さ」を武器にして、早い段階からファンを獲得することが重要になります。
でもファン獲得といっても、無限にファンを獲得できるわけではありません。
そこで重要なのは
本開発の中でゲーム内の機能や、遊びの面白さ、コンセプト、ネタでクチコミしたくなる、友達を誘いたくなるような要素を盛り込むことです。
ゲーム配信した直後は「②ファン獲得」で獲得したファンに遊んでもらいます。遊んでもらった結果、ただ遊んで終了ではなく、
そのファンの皆さんがクチコミしたくなるような要素をゲーム内に必ず実装しましょう。
そうすることで、1人のファンが、新しいファンを連れてきて
新しいファンが、さらに新しいファンを作れてくる
といった「クチコミの連鎖」が発生します。
これによってゲームを遊んだ人が勝手に宣伝してくれるサイクルが出来上がるため「オーガニック流入のユーザー」を継続的にお金をかけずに獲得できるようになります。
「③テスト」の部分における下記のアンケートでも聞いていますが
・クチコミ要素
友達に勧めたいか?どこを勧めたいのか?なぜ勧めたくないのか?
プロトタイプ版のテストにおいて、クチコミしたくなるヒントも事前に収集しているはずですから、それらを合わせて機能設計をしましょう。
⑤配信
多くの個人ゲーム制作においては、ゲームを作ることばかりに注力してしまい、ゲーム配信における告知や、インストール促進が不足しています。
ここを事前に理解しておくことで、大きな失敗を回避できます。
「②ファン獲得」で積み上げたユーザーに向けて配信案内を出す
今回の記事を読んでいただいている人なら「②ファン獲得」の時点で積み上げたユーザーが存在しますので、あとは彼らに向けて配信の告知をするだけです。
ゲーム会社でもアプリ配信前には「事前登録キャンペーン」を実施してTwitterフォロワーを集めたりしますが
Twitterフォロワー=ゲームに関心あるユーザーであり、ファン予備軍である
といえます。
よって個人開発においても「②ファン獲得」で集めたユーザーが、今、このゲームを遊んでくれる可能性があるファンの全てなのです。このファンをどれだけ集められるかに個人制作のゲームはかかっています。
なぜなら、ゲーム会社のように事前登録で集めきれなかった分を、アプリ配信後のWeb広告やTVCMなどで収集することが個人ゲーム制作においては困難だからです。
個人開発でも可能なプロモーションを一通り行う
時間をかけて自前のTwitterやYoutubeでファンを獲得するのが、予算も限られている個人ゲーム開発における突破口なのですが、それ以外に個人ゲーム開発でも可能なプロモーションはあります。
・ゲームメディアにプレスリリースを出す(Social game infoプレスリリース受付)
・予約トップ10に登録する(https://yoyaku-top10.jp)
・友達のインフルエンサーにお願いする
もし友達にYouTubeやtwitterでそこそこのフォロワーを抱えている人がいれば、お願いしてみましょう。数百人程度のフォロワーしかいなくても構いません。
開発したゲームを知ってもらう、きっかけを作ることは個人ゲーム開発においては重要です。もし、そんな友達がいないなら、自分で「②ファン獲得」を徹底的にやりましょう。
少額の広告運用で新規ユーザーを獲得してROIを分析する
最後にせっかく開発したゲームですから、数万円程度でもいいので少額の広告出稿をしてみることをお勧めします。
Twitter広告で配信初動限定で1万円程度のターゲット広告出稿をしてみるだけでもいいのです。実際に1万円でも広告はすぐに出せます。
世の中に皆さんが開発したゲームが存在することを知らせるための「クチコミの波紋を起こす」ような目的で出稿するのです。
波紋を起こさなければ何も始まらないですが、ここまでの段階で「②ファン獲得」をして、圧倒的に継続率の良いゲームが開発されているなら、「波紋を立たしておく価値」はあります。
そして、広告出稿するにあたって下記の記事にも書いてありますが、広告によって獲得したユーザーのROIを算出できるようにしておきましょう。
つまり、お金をかけて広告を出せば利益を生むゲームである
ということを数字的に証明しておくわけです。
もちろん、個人開発ですからお金はないので広告宣伝費はかけられません。
でも、「お金をかけて広告を出せば利益を生むゲームである」ということを証明できれば、資金を持っているゲーム会社や、出資してくれる企業に打診することができます。
実際のところ「ハイパーカジュアルゲームのマーケティング教科書」ではフランスのvoodooという会社はそういう個人ゲームに対して出資をしています。
ここまでできれば、単なる個人制作で終わらず、次につながるゲーム制作ができるようになります。
まとめ
今回の記事の内容はうまくゲーム開発に取り込めば成功確率はグーンと上がります。でも必ず成功を保証するものではありません。
でも仮に失敗しても、いろいろ考えて試して実行した経験から得られるものは大きく、次のゲーム開発には必ずプラスになります。
個人のゲーム開発向けで記事を書いてみましたが、
今回の内容は大企業における小規模プロジェクトや、中小ゲーム会社におけるプロジェクトでも参考になると思います。ぜひ、皆様のお役に立てれば幸いです。