ゲームアプリ事前登録キャンペーンの目的と効果、おすすめの媒体まで徹底解説
こんにちは
マーケティングスペシャリストのトロネコです。
さて、今回のテーマはゲームアプリの宣伝やマーケティングをやっている人なら気になる
事前登録プロモーションについてのお話です。
ネットで検索すると事前登録プロモーションに関する記事が多数ヒットしますが
事前登録キャンペーンで集められた事前登録数の多くが
事前登録数としては違和感がある非現実的な数字だったりします
例えば「事前登録100万突破!」と言われても普通に考えれば、おかしい数字です。
なぜなら、
事前登録数=そのゲームを待ち望んでいる本当のファン
と定義するなら
日本を代表する有名漫画、アニメIPを使っても「事前登録100万突破!」は現実的に極めて難しい数字だからです。
ここでの「事前登録100万突破!」は
「そのゲームを待ち望んでいる純粋なファン」ではなく
何かしらの手段を使って「数を集めている証拠」だと推測できます。
そして、数を集めることには「コスト(お金と労力の両方)」がかかります。
しかしプロモーションにおけるコストとは
「将来、回収できるコスト」しか本来は投下できません。
だって、ゲームはあくまでもビジネスなのですから
将来、回収の見込みが低いのに「事前登録数」だけ積み上げても、それって意味ないですよね。
そこで、今回の記事では以下についてお話をします。
「事前登録の目的と期待効果とは?」
「コストをかけて事前登録を積み上げるだけの価値はあるのか?」 |
「事前登録の価値を最大化するために適切な事前登録期間は?」
「事前登録として価値を出すための事前登録の集客方法は?」 |
たぶん、みなさん、この辺りの話が凄く知りたいのではないでしょうか?
実はそこまでして集めた100万人の事前登録者は、そこまで集める必要があったのか?
集めるだけの価値があったのか?
という疑問があるわけです。
先に結論だけ言うと
事前登録100万人を集めても、それが価値ある100万人でなければ
そのゲームは、すぐにサービス終了してしまうかもしれません。
価値のない事前登録100万件ではなく
価値がある事前登録1万件の方が、その後のゲームアプリ運営に貢献できます。
事前登録は数よりも、質が重要
そんな、誰も語らなかったゲームアプリの事前登録プロモーションの正体についてお話します。
事前登録の目的と効果を整理しよう
まずは、事前登録の目的と効果を整理してみましょう。
事前登録の目的って何でしょうか?
以前のゲームマーケティングの世界では
事前登録の目的とは下記のような回答が正解とされてきました。
・多くの事前登録数を獲得して配信前に盛り上がっている空気感をつくること |
・空気感を作ることで、スマホユーザーの気を惹き、さらに事前登録を積み上げること |
・その結果、多くの事前登録数を獲得して、ゲーム配信時に配信したことを連絡することで、そのアプリ初動のインストールを稼ぐこと |
・アプリ初動のインストールを稼ぎ、無料セールスランキング上位にランクインし、そこからの副次流入を獲得すること |
・結局のところ事前登録の多さ(=数のパワー)が全てである |
実際のところ、これは半分正解です。
しかし、近年のゲームマーケティングにおいては、これでは不十分であり、完全な正解とは言えないのです。
とりあえず、事前登録数が重要だよ。
数を集めなきゃ、会社にも顔が立たないし
そもそも何も始まらないじゃん
ちなみに、こんな事を言う人もゲーム会社にはいるかもしれません。
「数を集めなきゃ、そもそも何も始まらないじゃん」
という意見は感情的にはなんとなくわかる気もします。
でも、この考え方って実際のところ全然うまく行かないんですよね。
従来における事前登録施策の目的は
「配信初動のインストールを獲得すること。これこそが事前登録フェーズにおけるマーケティングの成功である」
という考え方が主流でした。
しかし、これは「配信直後のインストールを獲得すること」といった物事を「線ではなく点で考えている」状態とも言えます。
いわゆる「数が重要であり、その中身はどうでもいい、その場凌ぎの視点」と言うわけです。
とりあえず事前登録数だけ集めてアプリの配信日を迎えればいい、といった割り切った感覚がここに存在します。
でも、この考え方ではゲーム事業は実際にうまくいきません。
なぜなら
「ゲーム事業は終わりがない運営型のビジネスだからです」
アプリ配信直後のインストールを獲得することは、その瞬間の局地戦としては重要だけど、「運営型ビジネス」という視点では、瞬間的に事前登録だけ数字を出せても本質的な成功は得られないからです。
よって「事前登録の目的と役割」に対する一歩踏み込んだ答えとしては
・事前登録とは、アプリ配信直後の初動インストールを獲得することが全てではない。
・今後、このゲームアプリを何年にも渡って支えてくれる熱狂的なファンを事前に獲得し、維持するための準備をすることである
ということになります。
ここに気づくと
アプリ配信前の事前登録という施策に対する考え方が変わってきます
事前登録は単なるアプリ配信直後にユーザーを獲得して、アプリ配信直後のDAUを獲得するための手段ではないのです。
事前登録とは、これからこのゲームを何年にも渡って支えてくれる「とっても重要なファン」をTwitterフォローやLINE友達といった方法で
「連絡先」を交換し、お付き合いしていくための「きっかけ」をつくる
ということになります。
そして、心の底からそのゲームについて興味を持ち、期待して事前登録してくれたユーザーは
・誰よりもそのゲームのことを熱く思ってくれて
・誰よりも興味を持ってくれて
・好きになってくれる熱狂的ファンの予備軍
といえます。
実際のところ、事前登録ユーザーは一般施策で獲得したユーザーと比べても課金率やLTVが高いユーザーということがデータでも証明されています。
下記の記事でも説明していますのでチェックしておきましょう。
一部ゲーム会社の中では
「マーケティング担当の仕事」=「事前登録を稼ぐこと」といった考え方がいまだに根強く残っています。つまり、「事前登録で目標数を達成できればマーケティング部門の仕事は完了なので、あとは知らん」というセクショナリズムの存在がゲーム事業をダメにしているケースも多いのです。
事前登録ユーザーの属性
さらに話を進めていきます。
実はここからが非常に重要です。
新作ゲームの発売、配信にあたって
純粋な気持ちで、その新作ゲームを事前登録をするようなユーザーとはどんなユーザーでしょうか?
(機械的に、強い広告施策によって無理矢理、数を集められた事前登録ユーザーではなく、純粋に自分から望んで事前登録したユーザーをイメージしてください)
たぶん、こんなユーザーだと思います。
・そのゲームのタイトル発表直後から
・そのゲームのことを気になって事前登録をして
・アプリ配信当日からゲームをインストールして
・このゲームを遊んでくれる熱狂的なファンになり得る可能性を秘めたユーザー
彼らはこの新作ゲームの将来を決める「超重要な優良顧客様」です。
そして、これから、このゲームを3年、5年、10年と長期運営していく中で、2度と現れない可能性が高いのです。
例えば、このゲームの寿命が5年だと仮定するならば、その5年間で、この瞬間にインストールするユーザーは、このゲームの歴史上、一番熱いユーザーなのです。
事前登録経由で初期にインストールした「ファン予備軍」による1インストールは、広告を使って無理やり事前登録された1ユーザーや、1年後に獲得した1ユーザーと比べても何倍もの価値があります。
これは疑いようもなく、実際に数字で証明されている事実であり、自然な気持ちで事前登録をしてゲームを始めたユーザーはLTVもRRも高く、かつ、このゲームを積極的に宣伝して牽引してくれるオピニオンリーダーになり得るユーザーです。
そう考えると
「アプリ配信日に事前登録からインストールして遊んでくれるユーザー」は、そのゲームタイトルの生涯において最も重要なユーザーであり
「絶対にがっかりさせてはいけません」(絶対にです!!)
もし、期待を持って、ワクワクしてゲームをインストールしてプレイ開始したのに、彼らを「がっかり」させてしまう要素がゲーム内外にあるならば、事前に解決しておく必要があります。
この考え方が深化すると
「辞めさせないゲームマーケティング」
という考え方に進化していきます。
ユーザーが辞める原因は下記でほぼ網羅できます。
これらを事前に解決しながら「ゲーム開発」をすることで、そのゲームにおいて最も重要なユーザーを「がっかり」させずに済みます。
ちなみに、インストール翌日に50%が辞めて、1週間後には70%が辞めてしまう状態を、スマホゲーム業界的には
「基本プレイ無料ゲームだから仕方ない」「スマホゲームの宿命である」「スマホゲームの世界では常識である」
と思っている人も多いのですが
事前登録までしてくれた熱いユーザーなのに何かしらの原因で辞めさせてしまうなんて変な話だと思いませんか?
そして、それを「仕方ない」と考えるのは固定概念に囚われている、ただの思考停止状態ですよね・・
このように考えていくと、事前登録というものに対する考え方が変わってきます。
ちなみにユーザーが辞める理由は下記の記事で紹介している「テスト」を適切に行うことで、かなりの部分を事前に発見し、それに対する対策も取ることができます。
でも、多くの現場で、このようなテストができていません。
実施できている現場があっても、設計方法と実施精度と、分析に課題があるので活用しきれていないのです。
事前登録で重要なのは「数」ではなく「ユーザーの質と状態」である
事前登録について、さらに深く考えていきましょう。
事前登録でもっとも重要なのは「事前登録」という「数」ではありません。
(ここまで読んで頂いた皆さんなら、だんだん理解できているはずです)
そして「事前登録からのインストール」された「数」でもないのです。
多くの人が事前登録数と事前登録経由でインストールされたユーザ数に注目していますが、
それは間違いです。
事前登録で重要なのは
「インストールしたユーザーの状態」が最も重要です。
大切なのは「数」ではなく「質」「状態」なのです。
もし、あなたが事前登録施策において100万人といった「数」ばかり追いかけると
「純粋にそのゲームに興味関心を持つファン予備軍」以外の誰かを「お金を使ってあらゆる手段」で集めなければなりません。
(なぜなら国民的人気漫画アニメ、ゲームを題材にした事前登録でも冷静に考えれば100万人突破はかなりハードルが高いからです)
でも、「純粋にそのゲームに興味関心を持つファン予備軍」以外の誰かを「お金を使ってあらゆる手段」で集めた事前登録ユーザーはすぐに辞めやすく、運営型のスマホゲームの将来を支えてくれるユーザーかというとそうではありません。
つまりターゲットユーザーではない、遊んでくれる可能性も低い、事前登録に集める必要もない、ような人を集めていることになります。
すぐに辞めてしまう、ターゲット外のユーザーは、お金を使って事前登録に集めるだけの価値があるのか?という疑問がここで生まれます。
仮に事前登録100万人、ここからの初期インストール転換率を50%としましょう。
アプリ配信初動で50万人が遊んだ状態をつくれたとしても1週間で70%が離脱するわけですから、35万人が離脱し、15万人しか残らないという計算になります。
そして、残った15万人の「状態次第」では、その後、この15万人は次々離脱するかもしれません。
この考え方は極めて、めちゃくちゃ重要です。ここに踏み込めるかが、無能なマーケターか、優秀なマーケターかの境目になります。
そもそもですが、状態や質の悪い事前登録数100万が50%のインストール転換率になるとは思えません。実際のところ数を優先して集めた事前登録からの転換率はもっと低くなります。
(インストール転換率が一桁%のアプリも世の中にはあるからです)
このパートをまとめましょう!
・事前登録ではそのゲームを支えてくれるファン(マーケ戦略上のターゲットユーザー)に注力する |
・「数」がとれればハッピーだけど、とにかく「質」を重視する。そのためには事前登録したユーザーのアプリ配信、アプリ配信以降も継続した「状態改善」「状態維持」が重要である |
・事前登録とは、このゲームを何年にも渡ってささえてくれる「ファン予備軍」との「連絡先を知ること」であり、新しい出会いと恋の始まりである、と考えるとわかりやすい |
といった感じです。
事前登録の「目的」「役割」が整理されて、考え方が変わってきませんか?
実際のところゲームアプリの配信初動で獲得したユーザーによって、多くのゲームは生涯支えられているという事実に向かい合う必要があるのです。
インストールの転換率をあげる最適な事前登録期間は?
さて、突然ですが問題です。
事前登録したユーザーが、最も高いインストール転換率が期待できる「最適な事前登録期間」ってどのくらいだと思いますか?
1ヶ月?2ヶ月?3ヶ月?・・・・・全部不正解です!
正解は事前登録期間1日です!!!!!
「何だよそれ!?」
と思うかもしれませんが、人間の心理として「事前登録をしよう!」と思って登録した瞬間が一番テンションがあがっている状態です。
「運動をして喉が渇いた、いますぐ水を飲みたい!」
と思っている瞬間がミネラルウォーターが一番売れる瞬間です。
その瞬間に飲めないとしたら
その後、時間の経過と共に熱は冷めて冷静になっていきます。
そして、事前登録からのアプリ配信までの期間が長くなればなるほど、熱は冷めて、やがて事前登録したことすら忘れてしまいます。
しかし
「おすすめの事前登録プロモーションの期間は1日です!」
というと、
事前登録キャンペーン期間が僅か1日では、そもそも「事前登録数」が集まらないですよね・・・・という話になります。
そこでマーケターが考えるべきポイントは以下になります。
「もっとも事前登録数を獲得できて」
「もっとも高いインストール転換率が期待できる」
「もっともバランスのとれた事前登録の期間って配信日から逆算していつだろうか!?
答えをお話すると、事前登録したユーザーの「状態維持」「状態改善」を一切しないとした場合、つまり・・・・・ただ事前登録を積み上げただけなら
事前登録施策開始からアプリ配信まで約1ヶ月(day30)くらいが、「事前登録数」「インストール転換率」のバランスが良いとされています。
下記はわかりやすいようにした作ったイメージ画像になります。数値は仮ですのであまり気にしないでください。
1ヶ月くらい(day30)くらいが事前登録数に対して転換率のバランスも良いのでインストール数が最も取れるタイミングというグラフです。
ただし、これは、あくまでも統計的に導き出された一般論に過ぎないため、これだけでは不十分です。
ここに以下のような変動係数を加えることでさらに「適切な事前登録期間」を導き出すことができます。
その変動係数となるものは「ゲームジャンル」です。
ゲームジャンルについては、あまり深く考えていない人が多いのですが、
・ゲームとは嗜好性が極めて高いエンタメ商材であり |
・ゲームジャンルによって、それを好むユーザーの属性が変わります |
・RPGとパズルゲーム、格闘ゲームでは好きなユーザーの属性(ペルソナといってもいいですが)がガラッと変わります。 |
・ユーザー属性とは、その人のゲームに対する「人生経験」に起因した「ゲーム耐性」なのです。 |
・どこまで「待つこと」に耐えられるか、我慢できるか、情報感度は高いのか、自分で情報を拾いに行くのか?(ペルソナ分析によるターゲット設定にも影響を受けます) |
厳密にはゲームジャンルだけでなく
ゲームコンセプト、版権IP使用の有無なども影響します。
ゲームジャンル×コンセプト=そのゲームの独自性
となります。
ゲームジャンルとコンセプトの掛け算によって、そのゲームを好むユーザー属性も変化するので、これら複合的要因よって、事前登録における「おすすめの期間」が変動します。
話を戻しましょう!
なぜゲームジャンルによって事前登録のおすすめ期間が変動するかというと
ゲームジャンルによってそれを好む「ユーザーの属性」が変動するからです。
ゲームジャンルによってアプリインストール後の継続率も影響するという記事を以前に書きました。下記は参考データになりますが、ゲームジャンルによって継続率にバラツキが出てきます。
ゲームジャンル | 1day | 3day | 7day | 14day | 30day |
一般平均 | 50% | 40% | 30% | 15% | 10% |
パズル | 70% | 60% | 50% | 40% | 30% |
シミュレーション | 40% | 30% | 20% | 15% | 10% |
RPG | 50% | 40% | 30% | 15% | 10% |
例えば2つの新作ゲームがあるとしましょう。
「トロネコという怪しいネコを使った新作RPGの事前登録開始!」
「トロネコという怪しいネコを使った新作パズルゲームの事前登録開始!」
「トロネコという怪しいネコ」モチーフは同じですがゲームジャンルが異なります。
RPGとパズルゲームでは決定的に、それを好むユーザーの属性が異なります。
この時点で2つのタイトルに事前登録するユーザーの属性は変化します。
ユーザーの属性の違いによって事前登録で耐えられる期間の係数が変わるというわけです。
下記の記事で詳しく書いていますのでお時間があるときに読んでみてください。
ざっくりまとめてみましょう。
・コアゲーマー好きジャンルほど「数」は集まらないけど「熱狂的なファン」を集めやすく、事前登録期間が長くなっても転換率が落ちにくい
・カジュアゲーマー(ゲーマーというより一般スマホユーザーに相当)が好きジャンルほど、「数」は集めやすいけど事前登録期間が長くなると転換率は落ちやすい |
つまり、そのゲームの企画を作る段階で、ジャンルとモチーフを組み合わせて企画立案しますが、この時点で事前登録などに影響を与える「ユーザー属性」がある程度決まってくるわけです。
「モチーフ」の話をしましたが「版権モノ、シリーズモノか」「自社完全オリジナルか」
これら要素によっても許容できる事前登録期間は変動します。
極論ですが、どんなに事前登録が長くなっても、自社の完全オリジナルタイトルに比べて、すでに熱狂的なファンが存在する版権モノやシリーズモノの方が事前登録数は集まりやすいし、長期事前登録期間でも転換率葉落ちにくい傾向にあります。
ファンが存在する状態ですから、事前登録期間が長くなっても待つだけの価値を感じ、さらに引き止める策もとりやすいという点もあります
逆に自社新規のオリジナルタイトルの方がファンが0人の状態からタイトル発表をして、事前登録を開始するわけですあら「数」は集まりにくいですし、長期事前登録期間であればあるほどインストール転換率は落ちやすい傾向にあります。
繰り返しになりますが
ゲームの中身、マーケ戦略上のターゲットユーザーの中身によって最適な「美味しい事前登録期間」は異なります。
事前登録期間を決める時は、ここまで踏み込んで考えてみてください。
長期事前登録期間と高いインストール転換率に対する疑問
ここまでの話をまとめると
・長い事前登録期間で、大量の事前登録を獲得しても |
・高いインストール転換率でアプリ配信直後に新規ユーザーを大量に獲得することは一般的には難しい |
ということが想像できると思います。
版権モノやシリーズモノなど「ファンが存在するゲーム」の場合は、事前登録の期間が長期化しても、ユーザーがそのゲームを「待ってくれる可能性」がありますので、挽回する余地がありそうですが、一般的な事前登録では難しいのです。
このような考え方に対して
いや、そんなことはないよ!
という人もいるかもしれません。
でも冷静になって考えてみましょう。実際のところ、事前登録期間が長期化することでインストール転換率は下がっていませんか?
過去の実績を整理して比較してみると、長期化によるインストール転換率の低下は、タイトルによってばらつきはありますが全体平均では必ず比例します。
なぜなら、それは
人間は熱しやすく冷めやすい、時間の経過とともに冷静になり、熱量と記憶が冷めていく特性を持つからです。
それでも、高いインストール転換率を実現したというならば、インストール転換率の効果計算に問題があり、本質が見えていない可能性もあります。
仮に高いインストール転換率があった!と主張するならば、配信直後、1ヶ月後、1年後、そして現在のゲーム運営状況はいかがでしょうか?
冒頭でお話した通り、事前登録をするユーザーはそのゲームのライフサイクルにとって「最も価値がある、定常時に獲得したユーザーの何倍もの価値があるユーザー」です。
そんなユーザーを極めて高いインストール転換率で膨大に獲得できていたら、その後のゲーム運営は極めて順調なはずです。でも実際はいかがでしょうか?
インストール転換率の算出方法は以下でブレる場合があります。
①LINEで事前登録施策をした場合
見た目の友だち数は100万人、しかし事前登録の集客方法に課題があって多くのユーザーはブロックしており実際は10万人しか友達が存在しない
事前登録からのインストール数が5万人だとしたら、
見た目の友達数100万からの5万インストールなら転換率はわずか5%
有効友達数10万からの5万インストールなら転換率は50%
となります。
しかし、見た目のLINE友達数100万は「なにかしら広告費をかけないと集まらない数」ですよね?コストがかかっている以上、インストールしたユーザーの獲得単価、施策効果を算出する必要がありますので、有効友達10万ではなく、見た目の友達100万からインストール転換率は算出する必要があります。
②インストールユーザーのリセマラ要因
インストールしたユーザー5万人という数字の定義によってもインストール転換率が変動します。
・ストアダウンロード数なのか?
・リセマラ込み、リセマラ抜きのゲームインストール数なのあ?
・ゲーム初回起動数なのか?初動チュートリアル突破数なのか?
というインストール転換率を算出するための「定義」によって転換率が変動します。
つまり、定義によって使用する数値によって、インストール転換率が大きく変動します。でも変わらない事実として言えるのは
「一般的には事前登録期間が半年、1年と長期化するとインストール転換率が劇的に下がります」
「その転換率を上げるには、もう一度、何かしら強い刺激を事前登録者に与える必要がありますが、そのためには無駄な追加コストがかかります」
「その結果、事前登録施策におけるコスト単価は高くつき、そのコストはゲーム運営の長年にわたって返済をしていかなけれならないゲーム運営のキャッシュフローに対する負債になる可能性があるのです」
事前登録におすすめの集客方法と集客媒体は?
最後に事前登録におすすめの集客方法と集客媒体についてお話しましょう。このネタだけで1万文字は書けそうですが、今回は簡単に結論だけお伝えします。
集客方法
広告で釣って「数」を集めるのではなく、そのゲームの魅力を時間をかけて伝え「質」を最優先に考えた「ファンを作り集める」ことに振り切りましょう。
なぜなら冒頭でもお話した通り、事前登録で獲得したユーザーは、その後、このゲームを支えてくれる、もっとも重要な「ファン予備軍」だからです。
数に注力して、本来、集める必要がない非ターゲットユーザーを積み上げても離脱率は上がりますし、そこで投下したプロモーションコストと将来の見込み売上は釣り合いません。
大きな負債を抱えた上でゲーム運営をしていかなければならなくなります。
そんな負債という概念が全くなくゲーム運営をしている現場もあるので、ここは注意が必要です。
集客媒体
できるだけTwitterに寄せましょう。
もちろんLINEで集めてもかまわないのですが、LINEで楽に事前登録を獲得できるなら、できるだけTwitterに寄せましょう。その理由は
「事前登録期間におけるさらなる事前登録ファンの囲い込み」
「アプリ配信後のユーザー獲得に活用できる資産として使える」
という2点においてTwitterに寄せることが圧倒的にメリットがあるからです。
そして「ストア事前登録」はできるだけ避けて、どうしてもTwitterでは獲得できないユーザーを獲得する最後の役割としてのみ活用するようにしましょう。
なぜなら、「ストア事前登録」は「使い捨ての事前登録」だからです。
アプリ配信前にインストール転換率をあげるための策もとれず、アプリ配信後には連絡先も分からない状態ですから、彼らを使った新しいユーザー獲得にも使えません。
詳しい内容については下記の記事でも書いていますので参考にしてみてください。
その他、様々なアプリ予約サイトなどもありますが、これも活用は最低限に抑えて、根底にはアプリサービス開始後の自社資産になるよう
自社のTwitter、LINEに寄せるようにしてください。
事前登録フェーズで自社のTwitterやLINE友達の資産を作っておくことで、ゲーム配信後の運営が楽になります。
ここで数字ばかり追いかけてその場限りの使い捨ての事前登録に頼ってしまうと
その瞬間は事前登録数が積み上がったように見えるのですが、サービス開始後で必ず苦戦します。
未だに事前登録キャンペーンを見ると
メール、LINE、Twitter、アプリストア、予約サイトなど様々な事前登録の入り口を全部用意しているゲームタイトルを見かけることがありますが、これは戦略なき事前登録キャンペーンなのです。
「事前登録は無意味!ゲーム運営でなんとかなる」という考え方
世の中にはいろいろな考え方が存在します。
今まで出会った中でも、私が一番驚いたのが次のような考え方でした。
事前登録なんて無意味です。
我が社はとりあえずゲームアプリ配信をして、そこから時間をかけて改善していくことで、最終的に成功を収めることを強みとしています
この考え方は100%間違っています。
なぜなら、どんなにサイレントリリースをしても、何も宣伝をしないとしても、アプリ配信直後にはそのゲームを気になるユーザーが、そのゲームをインストールするからです。
「今はまだゲームの完成度が低いから、インストールしないで!!!!」
と思っていながらも、アプリストアで公開しているわけですから、熱狂的なファンはアプリをインストールしますよね。
そして、アプリ配信直後にインストールするユーザーはそのゲームの歴史上、最高に価値あるユーザーであり、ファン予備軍なのです。
そんな重要なユーザーを「がっかり」させてしまうことが、そのゲームにおいて大きな損失になります。
しかし、今回の発言のベースになっているのは
「とりあえずゲームアプリ配信をして、そこから時間をかけて改善していくことで、最終的に成功を収めた」
という過去の体験が強く影響していると思います。
でも冷静になって考えてみて下さい。
成功したと思っている頂点は、実は頂点ではなく、小さな頂であり、最初からちゃんとやっていれば、もっと高い頂を目指せたのかも知れないのです。
小さい頂を頂点と思い込んでいる状態が世の中には多くみられます。これは本当に勿体無いです。
また5年以上前なら、とりあえずゲームアプリを配信して、そこから改善していくことでビジネスとして挽回できるチャンスがありました。そう言う時代もあったのも事実です。
しかし現在はあまりにもライバルが多く、かつ市場の変化も早いレッドオーシャンであるため、1、2年かけて挽回する猶予は残されていません。
アプリ配信直後が勝負です。そして、そこで勝利しないと先がありません
ここに気づけないと苦戦します。
最後に「事前登録施策」って大変だよね
事前登録施策、いわゆる事前登録キャンペーンはゲームアプリ前における大きな施策になります。
だから人もお金もかかる施策です。
一人の事前登録ユーザーをプロモーションコストをかけて獲得する場合の単価のレンジは100円から200円くらいします。(ゲームジャンル×コンセプト=ユーザー属性によって価格は変動)
もし100万人全てをお金で獲得しようと考えるなら、単価100円なら1億円、単価200円なら2億円かかるわけです。
全ての事前登録ユーザーを広告で獲得するわけでなく、WebサイトやSNS運用などでもオーガニック獲得(自然流入獲得)したりもします。
Webサイト製作費、SNS運用費、さらにマーケティング担当の人件費もかかります。
でも多くの現場では、そうやってかけた人とお金に対するコストが無駄になっているケースが多いのです。
無駄になる結末があるなら、別のことに人とお金をかけるという判断もありです。
例えば開発中のビルドに対するテストを実施する方が、ゲーム事業に対するKPI的な貢献度は高いし、コストもそこまでかかりません。
重要なのは
「この新作ゲームを成功させるために、限られた資産をどこに投資するのが適切なのか?」
という「方針を決めること」です。
実はこの「方針」こそが「マーケティング戦略そのもの」なのです。
ただ、ひたすら事前登録数だけ追いかけている現場に共通した特徴としては
「マーケティング戦略が存在しない」「マーケティング戦略が適切に作られていない」
といったケースが見られます。
みなさんの新作ゲームの「勝ち筋を決めるのは事前登録施策で100万人を取ることですか?」
事前登録で100万人を獲得することが「マーケティング戦略」なのですか?
100万人獲得したらそのゲーム事業の最終目標は達成できて、会社に貢献できるのですか?
マーケティング戦略については下記で解説していますので参考にしてください。
まとめ
今回は事前登録施策についてお話しました。
新しい気づきがあればトロネコとしても嬉しいですし、これほど幸せなことはありません!!
少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。
というわけで今回はここまで